補助金が一気に40倍!政府が太っ腹に支援するBIM活用のススメ

2023年1月26日掲載

ブログ:補助金が一気に40倍!政府が太っ腹に支援するBIM活用のススメ

国土交通省は2022年12月2日に成立した22年度第2次補正予算内で、「建築BIM加速事業」に80億円を計上しました。これまで年間2億円程度だった補助が、物価高の影響を受け一気に40倍に上昇。中小事業者に対するBIMの社会実装の支援に大きく乗り出しています。

▼建築BIM加速化事業について(国土交通省)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/bim.html

当初2025年までだった、小規模を除く全ての公共事業へのBIM/CIMの原則適用。2020年には適用期限を2023年までに前倒しすることを発表しました。巨額の国費を投じてまで後押しする建築BIMの社会実装加速化に、事業者はどのように対応していくべきなのでしょうか。

今回発表された「建築BIM加速事業」のポイントと、BIM活用を進めるための対応策についてまとめました。

目次

事業概要

今回の「建築BIM加速事業」は、一定の要件を満たす建築物を整備する新築プロジェクト において、複数の事業者が連携して建築BIMデータの作成などを行う場合 に、BIMソフトウェアや講習等に要する費用を国が支援する というものです。

初期投資がネックとなりBIM導入・活用に足踏みしている企業にとって、費用面での後押しとなるでしょう。

建築BIMの設計・施行への導入は大手の元請け企業に留まるケースが多く、下請けや外注先企業への浸透まではなかなか進んでいないという現状を受け、国交省がいよいよBIMの社会実装の実現に本格的に支援を始めることが伺えます。

補助対象項目

補助が受けられる対象は以下の3つとされています。

2023年度末までのBIM作成モデルに関しては、対象費用も対象事業者も幅広く設定されています。

建築BIM加速化事業3つのポイント

出典:建築BIM加速化事業の概要(国土交通省)を加工して作成

ソフトウェアの利用費だけでなく、BIMモデルの閲覧投影に必要な機器(スマホ・タブレット・PC・ARゴーグルなど)のリース費用も対象となります。

また、BIM作成・使用に関連する人件費、委託費も対象となるため、BIM活用に関する大方の費用が賄われることになるでしょう。

建築BIM加速化事業 対象となるモデル作成費

出典:建築BIM加速化事業の概要(国土交通省)を加工して作成

対象プロジェクトの建物要件は「3階建て以上、敷地面積が概ね1,000㎡以上」と、対象範囲は幅広く設定されています。

建築BIM加速化事業 延べ面積別の補助上限額

出典:建築BIM加速化事業の概要(国土交通省)を加工して作成

事業者登録申請の際は、面倒な書類などは不要

補助を受けるためには、2023年1月中旬~3月下旬の間に事前の「事業者登録」が必要です。その後2024年3月時点で、それまでの成果に応じて補助金額が決定されます。

これまでも国交省はBIMの活用推進のために事業支援を行ってきましたが、支援を受けるためには応募時に詳細な報告書の提出が必須とされていました。今回の補助事業に関しては「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業のような詳細な報告書は不要です」と記載がある通り、これまでよりも敷居を下げ、幅広い事業者に支援の拡大を目指していると考えられます。

BIM活用における費用面以外の負担

BIMの社会実装が進めば、施行管理の効率化や、現場での手戻り負担の軽減など、さまざまな生産性向上が見込めます。今回発表された補助金の後押しを利用する手はないようにも思えますが、費用面以外でのハードルも残っています。

BIMデータ作成に必要な3次元データを取得するための大型な専用機器の手配と管理、測量士などノウハウを持った専門人材といったリソースの確保など、費用の補助では賄えない現場負担があることは否めません。

費用面でのハードルが下がっても、人手不足や長時間労働課題が山積みの現場に、新たなリソース負荷をかけていては、根本的な生産性向上は実現できない可能性があります。

手軽に3次元データが作れるLiDAR機能搭載スマホの活用

政府の支援で資金的負担を減らし、さらにリソース的負担も少ないBIM活用促進のために、LiDAR機能搭載のスマホ/タブレットの活用が有効です。

専用レーザースキャナの代わりに、携帯電話をはじめとするスマホ/タブレットに搭載されているLiDAR機能を用いて構造物を計測するだけで、対象物を3次元データとして出力することができます。

必要なツールは身近なスマホ/タブレットと、3次元データ生成のためのアプリのみ。精度を高めるためにモバイル機器に取り付けるRTK対応受信機などを加えても、大型の測量機器に比べて管理負担は非常に少なく抑えられます。

また、専用機器と違い誰でも簡単に測量を行うことができるため、測量に関わる人的リソース負担も抑えることが可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。国の支援や手軽なツールの活用を取り入れていくことが、人手不足や残業規制対策の大きな第一歩となります。

「建築BIM加速化事業」の補助を活用しつつ、まずは手軽なスマートフォンやタブレットの機能で対応することで、2023年度のBIM/CIM原則適用へ備えの近道となるでしょう。

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