IT資産管理とは? 管理の必要性や負担を軽減できるサービスについても解説
2024年3月18日掲載
IT資産管理とは、社内で利用しているPCやモバイル端末、サーバなどのITに関する資産を正しく把握し、管理することです。セキュリティ対策やコンプライアンス強化、コスト削減にもつながることから近年IT資産管理に取り組む企業は増えています。しかし、まだまだIT資産管理は広く浸透しておらず、中には「IT資産管理をどうやって始めればいいのか分からない」「具体的には何をすればいいの?」と悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。本記事ではIT資産管理とはどういうものか、そして自社のIT資産を効率良く管理できるIT資産管理サービスとは何かについて詳しく解説します。
IT資産管理とは
IT資産管理とは、企業や組織内で活用しているPCやサーバ、モバイル端末から、周辺機器や外部記憶媒体、インフラ機器、ソフトウェアに至るまでのあらゆるITに関する資産を正しく把握し、管理することです。普段何気なく使っているIT資産も企業にとっては重要な資産の一つです。特に近年はセキュリティ対策やガバナンスの強化、コンプライアンスの遵守、そしてコスト削減につながるといった点からも管理が重要視されるようになりました。
IT資産管理の対象
具体的には以下の5つのIT資産を管理する必要があります。
①ハードウェア
PC・スマートフォン・タブレットなどのデバイスやサーバなどのことを指します。IT資産管理では、それぞれに番号を付与し、型番や商品名、販売元、購入店舗、スペック、インストールされているアプリケーションなどの情報も管理します。
②ソフトウェア
各デバイスに搭載されているOSやインストールされているソフトウェアのことを指し、バージョンやライセンスの発行数、更新期限などもあわせて管理します。もし、脆弱性が見つかった場合には対象となるハードウェアを割り出すためにも使われます。なお、ライセンスとはソフトウェアの使用権のことで、ライセンスのない状態やライセンス数以上の端末での利用はライセンス違反となるので適切な管理が必要です。
③周辺機器
プリンタ・複合機・カメラなど業務で使用する機材のことを指します。周辺機器もハードウェアと同じように管理番号を付与し、型番や商品名、販売元、購入店舗、設置箇所、保管場所などの情報とあわせて管理します。社外で利用するものは貸出記録などを付ける場合もあります。
④記憶媒体
USBメモリ・外付けハードディスクやSSD・メモリーカードなどのことを指します。IT資産管理では、管理するための番号だけでなく利用用途や購入した日付、スペックなどもあわせて管理します。紛失や置き忘れが発生しないよう適宜利用記録を付けることが一般的です。
⑤インフラ
Wi-Fi・有線LANなどネットワーク環境を整えるための機器を指します。型番や商品名のほか、提供元や購入場所、パスワードや購入・設置した日付けについても管理します。また、インフラに関する機器は古いまま使い続けてしまうと、セキュリティリスクが発生したりうまく接続ができなくなってしまうので、定期的にチェックを行うことが必要です。
IT資産管理の必要性
IT資産管理が必要となる理由には以下が挙げられます。
セキュリティの維持
普段利用しているPCやスマートフォン、タブレットなどのOS・アプリケーション・Webブラウザのバージョンが古いとセキュリティのレベルが低下し、マルウェア攻撃*の対象となりやすくなります。脆弱性を突かれずに安全にデバイスを利用するには、利用しているものが最新版であるかどうか、アップデートする必要はないかを定期的にチェックし、必要な場合は迅速にアップデートやバージョンアップをすることが重要です。IT資産管理を普段から行っていれば、アップデートやバージョンアップに関する情報が定期的に得られ、セキュリティを維持することができます。なお、セキュリティ対策は外部からの侵入を防ぐためだけでなく、内部に対しても必要です。
例えば、個人情報や企業の機密情報が漏えいしてしまう一因には、USBメモリやメモリーカードの不正使用や紛失があります。内部の人間が意図的に情報を漏えいさせることもゼロとは限りません。資産管理を徹底することで不正使用や紛失を防ぐことができ、万が一の場合でも適切に対処することができます。
コンプライアンスの遵守
一般的に、多くの企業で導入されているSaaSやクラウドサービスは企業がまとめてライセンスを購入し、従業員一人一人にIDとアカウントを割り当てています。中には保有しているライセンス数よりも多くのPCで不正にインストールできてしまうソフトウェアが存在していますが、もしライセンス数に見合わない数のPCでソフトウェアが不正に利用されていた場合、著作権法違反となり、その責任は企業に課されることとなります。ソフトウェアの利用差し止めや損害賠償が発生し社会的信用にも影響します。保有しているライセンスの数とそのソフトウェアを使用しているPCの台数を適切に管理し、ライセンスが足りない場合は新しく購入することが必要です。
また、IT資産の中には固定資産に該当するものがあり、年に1回利用実態にあわせて固定資産として計上する必要があります。IT資産管理が適切に行われておらず誤った形で計上してしまうと、企業の信用問題に直結する恐れがあります。適切に会計業務を進めるためにもIT資産管理は必須と言えます。
コスト削減
PCの台数や購入しているソフトウェアのライセンス数などがしっかり把握できていないと、見当たらないという理由で必要以上に買い足してしまう恐れがあります。買い足した分は不要なコストとなってしまうので、損失につながります。また、サブスクリプション形式でソフトウェアを購入しているものの長期間使われないものは、不要と判断されるのでコストカットできます。
IT資産管理サービスの利用メリット・選定について
IT資産を管理する際、これまではMicrosoft Excelのような表計算ソフトを使うことがありましたが、近年はIT資産の管理に特化したIT資産管理サービスを使って効率よく管理する企業が増えています。ここではIT資産管理サービスを利用するメリットとその選定方法についてお伝えします。
IT資産管理サービスを利用するメリット
IT資産管理サービスを利用するメリットとしては次の7つが挙げられます。
●セキュリティパッチの配布
セキュリティパッチとは、OS・ソフトウェア・アプリケーションで生じた脆弱性や問題点を修正するプログラムのことを言います。IT資産管理サービスの中には、セキュリティや機能更新などの各種セキュリティパッチを配布しているものもあり、セキュリティ対策として効果的です。
●ソフトウェア配布
IT資産管理サービスには、業務で必要なファイルおよびソフトウェアを社内のネットワークを通じて配布できる機能があり、1台1台インストールする手間を省くことができます。また、ソフトウェア配布機能にはどのデバイスのソフトウェアでアップデートが必要なのかを可視化してくれるものもあり、適切なタイミングでアップデートが実施できます。
●ハードウェア契約管理
ハードウェア契約管理とは、リース(機械や設備を長期間賃貸すること)やレンタル中のハードウェアの契約日を登録できる機能のことを言います。この機能が搭載されているIT資産管理サービスであればハードウェアの契約情報を一元管理できるので、更新漏れ等を事前に防ぐことができます。
●ライセンス管理
IT資産管理サービスには購入済みのソフトウェアのライセンスの数などを管理できる機能もあります。不正な利用を防ぐことができ、ライセンスに過不足がないか随時チェックすることも可能です。
●リモートコントロール
社内で使用しているデバイスをリモートでコントロールする機能です。どの範囲までコントロールできるかはサービスによって異なりますが、紛失・盗難・外部の人間による不正使用などが起こった際にはリモートでロックやデータ消去など操作ができます。
●禁止ソフトウェアの起動制御
あらゆるサイバー攻撃からデバイスやネットワークを守るためには、セキュリティ対策も欠かせません。IT資産管理サービスには危険性が高いソフトウェアがインストールされた際に起動を制御する機能が搭載されています。共有ファイルからダウンロードしたファイルがマルウェアに感染していたという場合でも被害を最小限にとどめることができます。
●デバイス制御
情報漏えいなどを防ぐには外部からのアクセスだけでなく内部にも対策が必要です。そのため、デバイス制御も搭載されており、ファイルの不正コピーを防止したりデバイスごとにアクセスできる情報に制限をかけたりすることが可能です。
IT資産管理サービスを選ぶポイント
さまざまなメリットがあるIT資産管理サービスですが、選ぶポイントとしては次の3つがあります。
●必要な機能が搭載されているか
IT資産管理サービスには、資産管理業務を効率化する機能が充実しているものや、情報漏えいの防止に特化した機能が豊富なものがあります。目的に応じて必要となる機能が搭載されているIT資産管理サービスを選ぶことが大切です。
●自社のセキュリティポリシーに対応しているかどうか
例えば自社ではUSBメモリの利用を禁止していないのに、USBメモリやメモリーカードなど外部へのデータコピーを防ぐような機能が搭載されているIT資産管理サービスを選んでしまうと業務に影響が出てしまう恐れがあります。自社のセキュリティポリシーに合ったIT資産管理サービスを見つけましょう。
●デバイスやOSが対応しているか
Mac端末とWindows端末でそれぞれ利用できる機能が異なるケースも存在しているため、よく確認しないまま購入してしまうと、自社で利用しているデバイスに対応していなかったといったトラブルにつながってしまう恐れがあります。IT資産管理サービスを契約する際には、どんなデバイスやOSに対応しており、それぞれどんな機能が利用できるかなどをチェックしておくとスムーズに使うことができます。
まとめ
IT資産管理とは社内で利用しているPCやモバイル端末、サーバなどのITに関する資産を正しく把握し、管理することをいい、コンプライアンス強化やコスト削減につながることからIT資産管理に取り組む企業は多いです。また、ここ数年はリモートワークやテレワークが導入された影響でワークスタイルも大きく変わり、セキュリティ面からもIT資産管理が必要とされています。IT資産管理を適切に行うにはIT資産の管理に特化したIT資産管理サービスを利用するのがお勧めです。どうやって選べばいいのか分からない場合は、ベンダに相談するのも一つの方法です。適したサービスや機能をカスタマイズできるサービスを案内してくれる場合もあり、問い合わせることでより自社に最適なものを見つけられるでしょう。この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。