CTEMとは? 話題の予防型セキュリティを分かりやすく解説
2025年2月12日掲載
現代のビジネス環境は急速にデジタル化が進み、企業にとって情報セキュリティの重要性がますます高まっています。サイバー攻撃の手法が高度化・多様化する中で、企業は効果的なセキュリティ対策を講じる必要があります。
そこで注目されているのが予防型セキュリティである「CTEM(Continuous Threat Exposure Management)」です。本記事では、CTEMの基本的な概念やASM(Attack Surface Management)との違い、取り組む際の5つのステップについて分かりやすく解説します。
▶関連資料もチェック
サイバー攻撃を未然に防ぐフレームワークCTEMが注目される理由
CTEMとは
CTEMは、シーテムと読み、「継続的な脅威とエクスポージャの管理」と訳されます。具体的には、企業のネットワークやシステム、アプリケーションなどに潜む脅威とエクスポージャを常に監視し、その状況を分析・評価して、適切な対策を講じることを指します。エクスポージャとは脆弱性、設定ミスなどサイバー攻撃者に対する弱点の露出 を意味します。つまり、攻撃者の動向と自社の弱点を継続的に管理しようということ です。
CTEMは、サイバー脅威が常に変化し続ける現代において、企業が持続的にセキュリティを強化し迅速に脅威に対応するために重要な手法です。CTEMは、一度きりのセキュリティ対策ではなく、常に変化する脅威環境に対応するために継続的なプロセスを取り入れていることにより、企業は最新の脅威に対して常に備えることができ、セキュリティインシデントの発生を未然に防ぐことが可能となります。
CTEMが注目されている理由の一つに、従来の一時的なセキュリティ対策では最新の脅威に対応しきれないことがあります。サイバー攻撃は日々進化し、新たな脆弱性が発見されるたびに攻撃手法が洗練されています。例えば、ランサムウェアの進化やフィッシング詐欺の巧妙化など、攻撃手法は多岐にわたります。CTEMはこのような状況に対応するため、セキュリティの管理を継続的かつ動的に行うアプローチを提供 します。
ガートナー(Gartner)によれば、2026年までにCTEMに基づいてセキュリティ投資の優先順位を設定している組織は、セキュリティ侵害を3分の2減らせるようになると述べています※。
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20231114-techtrends
ASM(Attack Surface Management)との違い
CTEMとよく似た言葉で ASM(アタックサーフェスマネジメント) があります。ASMは「攻撃面の管理」と訳され、企業のITインフラストラクチャーにおける攻撃対象(攻撃面)を可視化し、管理する手法です。具体的には、ネットワークやシステム、アプリケーションなどの脆弱性などを特定し、それを修正することで攻撃リスクを低減します。
一方、CTEMはASMの機能をさらに拡張し、企業にとっての脅威とエクスポージャを継続的に管理する 点が特長です。ASMが主に攻撃面の可視化と脆弱性の特定・修正に焦点を当てているのに対し、CTEMはこれに加えて脅威の動向分析やリスク評価、対応策の実施・見直しを 継続的 に行います。
ASM
CTEM
定義
目的
対象範囲
実施タイミング
CTEMにおける5つのステップ
CTEMは下記5つのステップを継続的に行う必要があります。
1. Scoping(対象範囲の設定)
企業が直面する可能性のある脅威や攻撃対象の範囲を明確に設定します。具体的には、自社のITインフラ全体を把握し、どの部分が最もリスクにさらされているかを特定します。
- 資産の特定:重要なデータやシステム、アプリケーションを特定
- 脅威の種類:考えられる脅威の種類の洗い出し
- 脅威の発生源:内部や外部からの脅威、自然災害による脅威など、どこから発生するか
正確なScopingは、後続のステップで効果的な対策を講じるための基盤となります。
2. Discovery(発見、検出)
設定した範囲内で具体的な脅威や脆弱性を発見します。最新の脅威情報の収集や、企業内のシステムやネットワークの詳細なスキャンを行い、可能な限り多くの脅威を迅速に発見します。
- 脆弱性スキャン:ネットワークやシステム、アプリケーションの脆弱性を検出
- 脅威インテリジェンスの活用:外部の脅威インテリジェンスを活用し、新たな攻撃手法や脆弱性情報を収集
- 従業員からの情報収集:内部報告や従業員の意見を取り入れ、潜在的な脅威を把握
3. Prioritization(優先順位付け)
発見された脅威が企業に与える影響やリスクの大きさに応じて優先順位を付けます。限られたリソースを最も効果的に活用できるよう、優先的に対策を講じるべき脅威を明確にします。
- 脅威の影響度:ビジネスへの影響度を評価
- 脆弱性の重大度:脆弱性の深刻度や修正の難易度を判断
- 発生可能性:脅威が発生する可能性の高さを評価
4. Validation(検証)
優先順位が付けられた脅威に対して、実際に対策が有効であるかを確認します。検証作業を行うことで、対策の効果を確実に把握し必要に応じて追加の対策や改善策を講じます。
- 対策のテスト:実施したセキュリティ対策が期待通りに機能しているかをテスト
- 効果測定:対策の効果を定量的・定性的に評価
- フィードバックの収集:フィードバックを収集し、対策の妥当性を確認
5. Mobilization(対策の実行)
検証済みの対策を実際に実行し、全社的に展開します。
- 対策の展開:有効性が確認された対策を全社的に展開し、必要なシステムやプロセスに組み込む
- 従業員教育:新たな対策やポリシーについて、教育やトレーニングを実施
- 継続的な改善:対策の実行後も、継続的に効果を監視し必要に応じて改善を行う
まとめ
現代のビジネス環境において、サイバーセキュリティは企業の存続と成長に直結する重要な要素です。EDRを行っているだけでは足らず、そもそも攻撃されづらい環境を作ることがポイントになりつつあります。CTEMは、企業のサイバーセキュリティを継続的に監視・管理し、脅威に迅速かつ効果的に対応するための強力な手法であり、プロアクティブなアプローチを行う予防型セキュリティです。
CTEMの導入を検討することで、企業は変化する脅威に対して柔軟かつ強固なセキュリティ体制を構築し、安心してビジネスを展開することができるでしょう。CTEMの導入におけるステップを踏まえ、効果的な脅威管理を実現し、企業の安全と信頼性を高めていってはいかがでしょうか。
関連資料
関連サービス
セキュリティ対策
変化するIT環境に柔軟に対応するセキュリティ対策をご提案します。