SBテクノロジーとのタッグで生まれるソフトバンクの新たな姿 セキュリティフォーラム講演レポート

2025年3月4日掲載

SBテクノロジーとのタッグで生まれるソフトバンクの新たな姿

2024年9月、ソフトバンクはクラウド領域を中心としたセキュリティやマネージドセキュリティサービス(MSS)に強みを持つSBテクノロジーを完全子会社化しました。SBテクノロジーが仲間に加わったことで、ソフトバンクのセキュリティ領域はどのように変化するのでしょうか。ソフトバンクとSBテクノロジーのセキュリティ部門を担うキーマンが語りました。

本記事は2025年2月18日に開催されたソフトバンクセキュリティフォーラム2025の講演「何が変わる? 何を大事にする?“テクノロジー”が加速させる新たなソフトバンクの姿」を再編したものです。

目次

登壇者の紹介

登壇者紹介 アイティメディア宮田氏、ソフトバンク中野、SBテクノロジー金澤氏

登壇する3名の自己紹介より講演はスタートしました。

宮田氏(以下、宮田)「モデレーターを務めるアイティメディアの宮田です。今回は両社に登壇いただき、ソフトバンクが皆さまをどう安全にしていくのか、そしてどう信頼を継続していくのかを語っていただきます」

中野「ソフトバンクで 法人プロダクト&事業戦略本部 副本部長、セキュリティ事業第一統括部 統括部長を務めている中野と申します。ソフトバンクの法人事業は、お客さまがデジタル化・DXを進めていく4つの事業基盤をご提供しています。いわゆるスマートフォンやネットワーク・クラウドのようなコミュニケーション、RPAやAIなどの業務を自動化するオートメーション、マーケティング活動のデジタル化、そしてこれらに共通するセキュリティ課題を解決するソリューションをご提供しています」

金澤氏(以下、金澤)「SBテクノロジーの金澤と申します。セキュリティ&テクノロジー本部の執行役員本部長、CISOを務めています。我々SBテクノロジーは、ソフトバンクグループの中でICTソリューションを中心としたSIer的な立ち位置で活動しており、全社員の約70%が技術者で構成された会社です。クラウドやセキュリティを中心としたソリューションを活用しながら、お客さまのデジタルトランスフォーメーションを推進しています」

提供するセキュリティサービスと各社の強み

続いて、各社が提供するセキュリティサービスについて現状について説明を行いました。

ネットワークセキュリティが強みのソフトバンク

ソフトバンクの提供するセキュリティソリューション

講演資料より

中野「ソフトバンクでは、EDRやMDMであるモバイル管理、SASEや連動するIDaaSなど多くのソリューションを提供しています。クラウド関連のセキュリティ商材もラインナップしていて、脆弱性管理やCSPMなどや、これらセキュリティのセンサーから出る通信ログを監視するMSS(マネージドセキュリティサービス)もご提供しています。セキュリティリスクの可視化やアセスメント、コンサルティングなど上流工程から下流工程の運用をカバーする形です。

私たちは通信事業者として特にネットワークセキュリティを強み としています。ガートナーでも高く評価されている3つのSASEソリューション(Zscaler™、Prisma Access、Netscope)をマネージドサービスとして提供し、国内で唯一これらのメーカーの認定サービスプロバイダーを取得している事業者でもあります。J.D.パワーの調査でネットワークサービスの顧客満足度で3年連続ナンバーワンを獲得しているのですが、ネットワークとセキュリティの両方を提供できる点がお客さまの満足度につながっているとも思っています」

監視とクラウドが強みのSBテクノロジー

SBテクノロジー セキュリティソリューションマップ

講演資料より

金澤SBテクノロジーでは、MSSを中心としたセキュリティ監視・運用サービスが特に強み です。取り扱いプロダクトも企業のセキュリティ対策に必要な要素をカバーしています。(ソフトバンクの)ソリューションマップと近しい所はありますが、取り扱いソリューションが少しずつ異なっている部分もあるので、一緒に取り組むことで強化されるところがポイントかなと思っています。

特にマイクロソフトやServiceNowなどのプロダクトを利用したセキュリティ導入実績が豊富で、各種メーカーからの評価も受けています。SBテクノロジーの強みであるMSSを中心とした監視サービスでは、市場レポートでもシェアナンバーワン※1を3年連続で獲得 しています」

※1 出典:ITR「ITR Market View:エンドポイント・セキュリティ対策型/情報漏洩対策型 SOC サービス市場2024」SIEM 運用分析サービス、Microsoft 365 運用監視サービス

完全子会社化に至った理由

宮田「それでは、完全子会社化に至った理由について教えてください」

中野「我々は法人事業のデジタル化支援が重要ミッションであり、人的リソースの効率的な運用や技術トレンドの迅速なキャッチアップが必要です。特にSBテクノロジーと同じ領域であるクラウドやセキュリティ分野は進化が速いため、両社が一緒になることでお客さまにより高い付加価値を提供し、お客さまにより良いサービスを提供することが重要だと考えています」

金澤「セキュリティでもクラウドにおいてもDX推進において人材不足は本当に大きな課題となっています。そのような中で、我々も同じ法人領域において別々に活動していくよりも、両社の強みを組み合わせて新しいサービス価値を提供することで、包括的に企業の人材不足をカバーすることが、何よりもお客さまにとって大事なことなのではないかと思っています。
両社で似ているところはありますが強みとなるポイントは異なるので、両社で取り組むことでお客さまに提供できる価値を大きくしていくことができるのではと考えています」

ソフトバンクのセキュリティの目指す姿

宮田「ソフトバンクとSBテクノロジーが作り出すソフトバンクのセキュリティの目指すべき姿と方向について教えてください」

選ばれるセキュリティベンダーでありたい

中野「我々が目指すべき姿は、お客さまをしっかり見てどうあるべきかを考えていかなければいけないと思っています。当然お客さまは自身の市場の中で競争力を上げていく必要があり、それを支えるために自社のITインフラをアップデートしていくことになります。クラウドやAIなど最先端のテクノロジー活用とともに、これらにフィットするセキュリティーも必須条件になると思っています。しかし、DXやセキュリティに対応できる人材は不足しているため、自社で育成するとともに外部ベンダーの活用も重要になり、我々もしっかりと選ばれるベンダーにならないといけません。

我々が昨年実施したアンケートでは、セキュリティベンダーの選定基準において、高い技術力や知見を有することが一番求められていました。最近はさまざまなセキュリティインシデントが発生しています。セキュリティインシデントのポイントごとにソリューションを利用するだけでは効果が出しづらいため、検知含めて対応していくことが必要です。高い技術力やトータル対応できるベンダーを目指していきたい と考えています」

豊富なエンジニアと技術支援を可能に

ソフトバンクとSBテクノロジー両社の強み

金澤「日々変化するIT環境の中で、最適なセキュリティ対策がどうあるべきかは、どの企業においても非常に悩ましいところです。我々としては、Microsoft 365 E5 Securityなどを中心としたクラウドのセキュリティ対策、ServiceNowなどのプラットフォームをベースとしたセキュリティオペレーションの自動化などを支援・実装していくエンジニアが豊富に在籍しています。

お客さまはベンダー選定の際にセキュリティソリューションに関する高い技術力を求めている中で、SBテクノロジーではクラウド領域を中心としたセキュリティ対策を行ってきました。そこにソフトバンクのSASEのようなネットワークセキュリティが加わることによって、包括的なセキュリティソリューションに関する高い技術支援が可能になるため、これからの新生ソフトバンクのセキュリティ事業にご期待いただきたい と思っています」

ワンポイントセキュリティでは守り切れない時代のサービス展開

宮田「セキュリティを全方位でカバーする必要があり、ワンポイントソリューションだけでは守りきれないという厳しい時代において、このような現状をどう守っていくのか。具体的なサービス展開について教えてください」

セキュリティ、クラウドの一体運用

今後のセキュリティサービス展開

中野「先ほども述べた通り、ポイントごとの対応だけでは難しいと思っています。我々としては、引き続きエンドツーエンドで可視化から運用や対応を強化しつつ、サービスラインナップ強化も行う必要があると思っています。つまり、運用でもセキュリティサービスでも拡充を考えています。特に、現在は生成AIの登場により時代の転換点を迎えたと思っているので、クラウドやAIに紐付くセキュリティソリューションの強化をまず行っていきます。

さらにクラウドやAIを単純に製品として提供するだけでなく、セキュリティとクラウドを一体的に運用、サポートしていく観点も重要です。我々の得意としているところでもあるのでより強化していきたいと思っています」

オペレーション統合の推進

講演資料より

継続的な運用サービスで、日本企業の人材と技術力不足を解消していく

金澤「我々の課題として、セキュリティ監視の支援だけではお客さまのセキュリティ運用の課題解決までは寄与しきれていないのではと感じています。

また、政府で『能動的サイバー防御』の法案が閣議決定されましたが、その中で兆候に関わる情報を収集しつつ排除していく対策を講じていかなければいけないと述べています。しかし、これらを実現していこうとすると、日常的なセキュリティ対策の状況を可視化し把握した上で、さらにセキュリティ運用において必要な対策を日々していかなければなりませんが、人材不足に加え、(各企業のセキュリティに関する)技術力も課題になってきます。すでに海外では日々のリスク管理や可視化をしてくれるプロダクトが非常に増えていて、日本においてもこれからの重要なアイテムになってくると思っています。

しかし、これらのプロダクトは入れて終わりではなく、入れた後に継続的に運用しなければなりません。我々としては運用サービスの幅を広げ、包括的なセキュリティ運用サービスとして提供していくために、ソフトバンクとのシナジーの一つとして取り組んでいければと考えています」

ソフトバンクとSBテクノロジーで二人三脚でセキュリティに取り組んでいくため、ぜひ期待してほしいと講演を締めくくりました。

関連サービス

関連セミナー・イベント

辻村 昌美
ソフトバンクビジネスブログ編集チーム
辻村 昌美
ソフトバンクで新規事業立ち上げなどを経験後、2020年より法人向けマーケティングに従事。中小企業や既存のお客様向けマーケティングを担当し、2022年よりコンテンツ制作に携わる。

同じカテゴリーの記事をみる

Tag
セキュリティ強化
Display
part
/common/fragments/sidebar