つくる・探す・更新する、資料業務が片付く日本型AIエージェント~「satto workspace」~
2025年08月01日掲載
2025年7月16日、SoftBank最大規模の法人イベント「SoftBank World 2025」にて、ソフトバンクが開発を進める次世代AIプロダクト「satto workspace」についての講演が行われました。本講演では、エグゼクティブリードの平岡 拓をはじめとする若手開発チームが登壇し、「satto workspace」を作った背景や支えている技術、開発の側面についての説明に加え、ユーザーの声も紹介されました。
本記事は、2025年7月16日に開催されたSoftBank World 2025での講演を再編集したものです。
テクノロジーの力で「失われた25年」を取り戻す
平岡は、講演冒頭で「僕はテクノロジーの可能性を信じています。テクノロジーは多くの人々を幸せにできると信じています」と述べました。自身のキャリアの説明の中で、「今ソフトバンクに来て、より大きな舞台でこのテクノロジーの民主化を推し進めようとしています」という彼が解決を目指すのは、「失われた25年」の問題です。特に、日本企業の労働生産性の伸び悩みは、ホワイトカラー業務の非効率性に起因していると指摘します。
日本企業は意思決定における合意形成プロセスが複雑なため、ホワイトカラーは、多大な資料作成業務に追われていると言います。平岡はこれを「合意形成業務に追われる膨大な資料業務」とし、社内アンケートの結果から、日本のホワイトカラーが年間約30兆円ものコストをかけ、精神的ストレスを抱えながら資料作成を行っている実態を指摘しました。
「こうした現状を見て、我々はこの合意形成のための膨大な資料業務を解決しに来たと、そのように今やりたいことを定義しています」と平岡は語りました。
生成AIの登場により、非構造化データである資料をAIが解析・編集できるようになったことで、この課題を解決できる可能性が開かれましたとし、「誰も置いていかないこのテクノロジー。今回は生成AIの民主化を通して失われた25年を取り戻しに行きたい」と述べました。
satto workspaceが持つ「3つの特長」
平岡に続いて登壇したのは、プロダクトリードの田島 一毅です。田島は、「日本で一番、世界で一番資料作成に強いAIプロダクト、satto workspaceを発表できることを非常に楽しみにしていました」と述べ、satto workspaceが持つ3つの主要な特長について、デモンストレーションを交えながら説明しました。
(1) 生成AIにあまり慣れていない人目線で企画をしている
多くの生成AIプロダクトが「白いキャンバス」からスタートする中、satto workspaceは「誰でも使える」ことを重視し、あらかじめ豊富なユースケースが用意されています。これにより、利用者は何ができるのか迷うことなく、すぐに目的の資料作成に取り掛かることができます。
実際に、ソフトバンク社内での先行導入では、AIツールに不慣れなユーザーが多数を占める中でも、導入直後から生産性向上が見られました。例えば、社内調査では、社内メンバーの62.8%が資料作成への課題やストレスを感じると回答している中で、資料作成にかかる時間が平均で2時間/日削減され、業務負荷の軽減に大きく貢献しています。
(2) “日本らしい”スライド作成
satto workspaceは、日本企業特有の資料作成ニーズにも対応しています。「日本らしい」スライドとは、自社フォーマットで統一されたデザイン、そして、情報量が多く複雑なグラフや表を含むスライドを指します。satto workspaceは、これらの要件を満たしたスライドを自動生成することが可能です。
例えば、生成されたスライドに対して、「緑色にしてほしい」といった簡単な指示でデザインを変更したり、棒グラフを円グラフに変更したりと、直感的に操作できるインターフェースを提供しています。さらに、複雑な情報量をシンボリックに表現する図形やグラフの作成も可能で、人間が作成したものと区別がつかないほどの資料を生成できます。
(3) 資料業務の一連のフローをまるっとカバー
資料作成は、情報収集、骨子作成、スライド作成という3つのフェーズに分かれます。satto workspaceは、この3つのフェーズ全てがまるっとsatto workspace1つで完結します。
情報収集: 資料の目的を決めて、その資料を作るために必要な情報を集める
↓
骨子作成: 集めた情報からどんなメッセージをどんな順番で伝えるか
↓
スライド作成: 図や表を用いて綺麗にスライドにしていく
より具体的な操作イメージについては、ぜひ講演動画をご覧ください。
(4) sattoの未来
「我々はこのsatto workspaceを通して、日本の資料業務を早く、簡単に、高クオリティにしていきたいと思っています。しかし、驚くにはまだ早いです。今お見せしたものは、実際に我々が社内で一部導入が進んでいる商用版のプロダクトになりますけれども、我々はその半年先、1年先を見据えて、より高度な先行研究、研究開発をしています」と田島は続けます。
Deep Think(AIの自律的な改善機能)
AIの自律的な改善プロセスをスライド作成に反映します。スライド作成後、AIが自ら改善策を考案し、複数回(2〜4回)の改善を繰り返します。その際、単にスライドを美化するだけでなく、自社の情報、過去のスライド、個人の好みなどを理解し、業務で使えるパーソナライズされたスライドを作成します。
スマートフォンからの資料作成
PCだけでなくスマートフォンからも資料作成を可能にします。スマートフォン上で資料作成ができ、顧客からのフィードバックを2〜3行スマートフォンで入力すれば、帰社するころにはPC上の資料が修正されるような新しい働き方を提案します。
Sarashinaとの連携
国産LLMの「Sarashina」と連携し、よりセキュアで日本企業に適した文章やスライドを作成する研究をSB Intuitionsと共同で開発しています。
田島は最後に「単なる資料作成だけではなく、その周辺業務をまるっとカバーしていくことによって、我々は名実ともにワークスペースとして進化していきたいと思っていますので、satto workspaceのこれからの進化を楽しみに待っていただければと思います」と今後の展望を語りました。
satto workspace導入による「リアルな声」
さらにユーザーリサーチの責任者を務める石原 友介より、プロダクトの構想から開発に至るまでのユーザーを第一とした検証について、実際にsatto workspaceを社内導入したユーザーからの声を交えて紹介がありました。
社内sattoユーザー 北野 華子:「ピンチに助けてくれるパートナー」
北野は、新しい部署に異動したばかりで、業務に手一杯な状況でした。そんな中、上司から突然「新しいアイデアを考えて資料にまとめてほしい」というポジティブな依頼があったそうです。時間がない中で悩んでいた北野は、satto workspaceを使ってみたところ、ものの1~2分で資料が完成したと言います。
石原:「北野さんにとってsatto workspaceとはどんな存在ですか?」
北野:「私にとってsatto workspaceとは、ピンチのときに助けてくれるパートナーのような存在です。加えて、今も使っている中で、毎日小さなサイズのUIからシステムのところ、またこの仕上がりのビジュアルのところまで、本当に日々進化を感じています。そのためこれから長い未来、先にもっと多くの方々を救ってくれるようなツールになると確信しております。これからも楽しみにしています」
社内sattoエバンジェリスト 木口 佳南:「AIに優しく、日本人に優しい設計」
「木内さんはさまざまな生成AIツールをご使用されていると思うのですが、そういった中でsatto workspaceとほかのスライド生成ツールと何が違うと思われますか?」
石原の問いかけに対し、AIスペシャリストとして社内導入を進める木口は、違いを「AIに優しく、日本人に優しい設計」だと述べました。
データの設計がAIに優しく、スライド作成の体験が日本人に優しい点について触れました。
最後に木口は「皆さんもsatto workspaceのAIが導いてくれたおかげで、いつの間にか業務が終わっていたという体験をしていただけたらなと思います」と締めくくりました。
satto workspaceを支える技術基盤
続いて、satto workspaceを支える技術基盤の中から、マルチクラウド、モダンフレームワーク、デベロップメントプロセス、アーキテクチャデザインの4つについて技術責任者の田口 悠希より説明がありました。
「satto workspaceの基盤を支える裏側には、さまざまなモダンな技術やフレームワーク、インフラ技術にAI技術とたくさんの最先端に支えられています。それらを判断して開発を迅速に進めつつ、日々進化できるスーパーなエンジニア達が揃っています。私たちは、ユーザーヒアリングや要件定義、機能設計など、時間をかけて丁寧に行ってきました」と語り、そんなエンジニアたちに最大限のリスペクトと感謝を伝えて、セッションを終えました。
AIによる記事まとめ
この記事は、2025年のSoftBank Worldで発表された「satto workspace」に関する講演内容を再編集したものです。日本企業における資料業務の非効率性を解消し、労働生産性を高める目的で開発されたこのAIプロダクトは、「初心者に優しい設計」「日本型スライド対応」「資料業務の一連フローに対応」の三つの特長を持ちます。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
講演の内容をYouTubeで配信中
レポートではお伝えしきれなかった講演の様子を動画でご覧いただけます。ぜひご視聴ください。
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