カスハラとは? 対策義務化の時代に企業はどう取り組むべきか


2025年12月10日掲載

カスハラとは? 対策義務化の時代に企業はどう取り組むべきか

お客さま対応の現場には、日々さまざまな声が寄せられます。多くはサービス向上につながる貴重なご意見ですが、中には従業員の心身に負担を与えるような厳しい言葉や要求もあります。こうした顧客から従業員への行き過ぎた行為は「カスタマーハラスメント(カスハラ)」と呼ばれ、近年社会課題として問題視されています。デジタル化の進展により、コミュニケーションは対面や電話だけでなく多様なツールへ広がって利便性が増す一方、距離感や温度感のずれから生じるトラブルも増えています。本記事では、企業がこの課題にどう向き合うべきか、ソフトバンクAI事業組織開発室の中谷監修のもと、解説します。

目次

この記事の監修者

ソフトバンク株式会社 中谷 敏之

ソフトバンク株式会社
IT統括 AIテクノロジー本部 AI&データ事業推進統括部 AI事業組織開発室 担当部長
中谷 敏之

インフラ事業に従事し、次世代インフラ整備に関して政府への提言も実施。生成AI活用コンテストで優勝するなど成果を上げ、実績を重ねている。4年前から社内起業制度を通じ、CS向けカスハラ対策「SoftVoice」を立ち上げ、東京大学と連携しAI音声技術の研究を推進。昨年度はプレスリリースを発表し、多くのメディアで大きな反響を獲得し、企業CS現場や学術分野からも広く注目を集めている。

カスハラとは? いま企業が向き合うべき社会課題

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、お客さまや取引先などから従業員に向けられる不適切な言動のことを指します。主な内容として、強い言葉による指摘や過度な謝罪要求、長時間にわたる対応要請、SNSを利用した脅しや情報拡散などがその代表例とされています。正当な意見や苦情とは異なり、要求の手段が社会通念上適切ではなく、従業員の就業環境に影響を及ぼす点が特徴とされています。

背景には、長年にわたり「お客さまの期待に最大限応える」ことを重視してきた文化や、サービス競争の激化、人手不足、社会全体のコミュニケーション環境の変化などが挙げられます。働く人を尊重し安全な環境を守る観点から、カスハラは国や自治体、企業が連携して対策を進めるべき、社会的に重要な課題です。2025年には労働施策総合推進法の改正が成立し、2026年10月にはカスハラ防止措置の実施が全ての企業に義務付けられる見込みです。こうした流れを受け、企業には、お客さまと従業員の双方が安心して関われる環境を整えることが求められています。

※参考:厚生労働省「令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について

カスハラを正しく理解するために――代表的な例

カスハラは業種を問わず起こりうる問題ですが、特に次のような現場で報告されることが多いとされています。

・小売、飲食、サービス、運輸、宿泊業など、顧客対応を伴う業種

・各種受付、問い合わせを受けるコールセンター業務

・医療・福祉、公共窓口などの生活支援・公共サービスを提供する業務

これらの職場では、言葉遣いや態度、混雑時の対応速度などをめぐる過度な要求、サービス説明における強い指摘、SNSやレビューサイトでの一方的な発信などの行為があります。

こうした行為が続くと従業員が心理的に追い詰められるだけでなく、組織全体の生産性や応対品質にも影響する恐れがあり、場合によっては法的な問題に発展する恐れもあります。一方で、顧客の声の中にはサービス改善につながる建設的な意見も多くあります。

企業に求められるのは、冷静に事実を整理しながら正当な要望と社会的に不当とされる行為を見極める力です。

カスハラが企業にもたらすリスク

カスハラは現場の一時的トラブルにとどまらず、企業経営全体を揺るがす重大なリスクにもなり得ます。従業員が不当な言動を受け続けると心理的な負担が大きくなり、モチベーションの低下や離職につながる恐れがあります。その結果、人材確保や育成にかかるコストが増えるなど、職場環境や企業経営にも影響を及ぼします。厚生労働省の全国調査では、カスハラを受けたことで通常業務に支障が生じたり、従業員の意欲低下や離職につながったりするケースが報告されています。

カスハラとは? 対策義務化の時代に企業はどう取り組むべきか

カスハラとは? 対策義務化の時代に企業はどう取り組むべきか

顧客等からの著しい迷惑行為該当事例の特徴(企業調査)

引用:令和5年度 厚生労働省 職場のハラスメントに関する実態調査

2025年の改正労働施策総合推進法では、事業主が「顧客などからの不当な言動によって従業員の就業環境が害されないよう、必要な措置を講じること」とされています。これは、職場におけるハラスメント防止措置の一環として、カスハラへの対応を「企業の責務」として明確に位置付けたものです。今後対応が不十分な場合には、行政による助言や指導などの対象となる可能性があります。

さらに近年では、SNSなどを通じて従業員の対応を一方的に拡散されるケースも増えており、企業の信頼やブランドイメージに影響を及ぼす恐れがあります。カスハラは「労務リスク」「法務リスク」「レピュテーションリスク」の三重構造を持つ経営課題であり、経営層が主導して取り組むべき時代になっています。

※企業や組織の評判・信頼が損なわれることで発生する経営リスク

企業が取るべきカスハラ対策

カスハラ対策の第一歩は、経営層が「従業員を守る」という明確な姿勢を示し、社内外に発信することです。その上で、制度面と仕組み面の両輪で取り組みを進めることが求められます。

厚生労働省では、相談窓口の設置やマニュアルの整備、研修の実施を通じて、従業員が安心して声を上げられる環境づくりを推奨しています。また「迷惑行為はご遠慮ください」といった掲示やポスター、通話録音による記録の活用なども、トラブル防止に有効とされています。(参考: 厚生労働省「職場におけるカスタマーハラスメント対策について」)

こうした取り組みを後押しするために、国や自治体では助成制度の整備も進められています。例えば東京都では2025年4月から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行し、特定の要件を満たす中小企業のカスハラ対策を支援する奨励金制度を設けています。こちらはマニュアル作成や外部人材活用、AIツール導入などを対象としたもので、企業が安心して対策を進められる環境づくりが進められています。

デジタルの力で、「守る文化」を社会へ広げる

カスハラ対策は、制度や研修といった「備え」を整える段階から、社会全体で「人を守る文化」を育てていく取り組みへと進みつつあります。

ソフトバンクでも、誰もが安心して働ける社会の実現に向け、威圧的な電話応対をAIで抑制する技術の開発を進めており、サービス提供に向けた準備を行っています。

関連ニュース:社会問題化するカスハラへの対策。東京大学と取り組む威圧的な電話音声をAIで抑制する技術開発

ソフトバンクが進める「人を守るDX」は、カスハラ対策という枠を越え、「人が安心して働ける社会を、テクノロジーで支える」という新しい挑戦でもあります。制度や意識改革に加え、デジタルの力が「守る仕組み」を広げていくことで、企業の信頼を支え、働く人の未来を守る――。そんな社会の変化が、いま確実に始まっています。

AIによる記事まとめ

カスハラとは、顧客からの要望等の手段が社会通念上適切な範囲を超え、就業環境が害されてしまうことを指します。この記事では、企業がカスハラの課題に向き合う重要性を解説しています。対応の遅れは離職や企業への信頼低下などの経営リスクになるため、経営層が主導して対策を講じることが求められます。制度の整備に加え、デジタル技術で威圧的な音声を抑制するなど、「守る文化」を社会全体で広げていく新たな動きについて解説します。

※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。

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