“ないと困る”を形にする ― 林テレンプが挑むパーキング新規事業
2026年4月17日掲載
自動車内装部品メーカーとして国内有数の実績を誇る林テレンプ株式会社。同社では近年、自動運転時代を見据えた新規事業として「パーキング事業室」を立ち上げ、駐車場が抱える課題解決に挑んでいます。今回は、パーキング事業室 室長の馬場康輔氏と、システム開発課の安福公隆氏が出演。現場の声を起点に生まれたサービスと、スピードを最優先にした開発の裏側、そして事業に込めた想いをうかがいました。
この記事では、FM AICHIで2026年1月21日(水)に放送された『TOKAI リーダーズ・コンパス』におけるインタビューをもとに、彼らがどのように“ないと困る”から読み解いた挑戦へ挑んでいるのか。そのリアルなストーリーをお届けします。
TOKAIリーダーズ・コンパス
FM AICHIで放送中(2026年4月現在)の『TOKAIリーダーズ・コンパス』はソフトバンクが提供するラジオ番組です。日本のモノづくりの中心地である愛知県・東海エリアで「イノベーションに挑む企業」のキーパーソンに、挑戦へのストーリーをうかがっています。
放送局:FM AICHI(株式会社エフエム愛知 名古屋 FM80.7MHz / 豊橋 81.3MHz)
放送時間:毎週水曜 20:00~20:30
出演者紹介
困りごとから始まったパーキング事業
大野:FM AICHIをお聴きの皆さん、こんばんは。 大野泰敬です。
渡邊:FM AICHIパーソナリティ渡邊晶子です。
大野:さて、本日お話をおうかがいしますのは、林テレンプ株式会社 パーキング事業室から室長の馬場 康輔さん、そしてシステム開発課の安福 公隆さんにお越しいただいております。本日はよろしくお願いいたします。
馬場・安福:よろしくお願いいたします。
渡邊:お願いいたします。
大野:林テレンプというと、自動車の内装部品のメーカーとして国内でも有数の企業だと思うのですが、今回、新規事業として立ち上がったパーキング事業室では、一体どういうサービスをやられているんですか。
馬場:まだ始まったばかりの事業室になりまして、部署自体は2026年の1月から発足したものなんです。私どもが、このパーキング事業でやりたいなと思っているのは、自動運転時代の駐車システムです。新しいことを何かやろうと始まった中で、駐車という、どんな時代になっても必要とされる行為に我々が着目して、最初はカーシェアリングの困りごとの解決から始めました。それを進めていくと、今度は時間貸駐車場の困りごとなど、色々なところがどんどん見えてきて、そこから自動運転時代の駐車システムにつながっているという状態ですね。
大野:そこの新しいサービスというのは、色々な人のお困りごとを聞いて、お客さまとコミュニケーションを取られている方にヒアリングをして出てきた課題があって、だったらそれで解決できるのではないかっていうので始められたのですか。
馬場:おっしゃるとおりです。
大野:オートスタンドというサービスなんですけれども、これは具体的にはどういうサービスなんですかね。
馬場:従来からあるコインパーキングに、車が止まると上がってくるロック板といわれるフラップ板がありますけれども、あちらは車を止めてから車を出さないようにする入庫制御、射出制御の仕組みですよね。
渡邊:車を止めて、がちゃんとなって、出るときに精算すると出られるようになる。
馬場:私どもが作ったのはその反対のものです。
渡邊:反対?
馬場:まず駐車場に設置する機械がありまして、ゴムでできた黄色いアームが上がっていって入庫を妨げる、制御する、入れさせないようにするという仕組みですね。
大野:駐車場にコーンじゃないですけど、黄色い突起物があって勝手に止められないようになっている。
馬場:そうですね。
大野:これすごい便利だなと思うのは、例えばよくあるのは、障害者や車椅子の方用に優先されているゾーンとかに健常者の方が停めてしまうことがあるじゃないですか。そういうのを防げるのはすごくいいなと思うんですよね。要は申請をしたり、許可をもらわないとそこに停められないので。
渡邊:これ、車を停めるときはどうするんですか?出っ張りが出ているじゃないですか。
馬場:解除する方法がいくつかございまして、一つはアプリケーションです。アプリケーションから下げるという方法以外には有人で下げる方法もあります。管理事務所様とか、防災センターなどで電話を受けて、それで私どもの管理画面からこれを下げるという仕組みです。あとは押しボタンも実はついていまして、人がタッチして倒していただくという仕様もございます。あと、車にあらかじめ車載器をつけておいて、その車が近づくとBluetooth®︎に反応して倒れるという方法もあります。
渡邊:Bluetoothで?
大野:例えば法人の利用されているお客さまとかが使う感じですか?
馬場:そうですね。
大野:それは便利ですね。私はよく車を使うので、駐車場スペースを確保するのが大変なので、これなら事前予約とかもきっとできるんですよね?
馬場:はい、おっしゃる通りです。
大野:すごい。場所を押さえておけるんですね。
渡邊:そうか、この時間は自分が駐車するスペースですってキープできるわけですね。
大野:そうなんですよ。あとは、私はEVも乗っているのですが、EVを充電するところにEV車じゃない車が停まっていたりするんですよ。商業施設とかだと3〜4台は必ず充電できるスペースがあるんですけれど、明らかにEV車じゃないよなっていうの車が停まっていたりすると、本来充電したい人が充電できないんです。これがあれば回避できますよね。
馬場:おっしゃる通りですね。
大野:だからきっとそれで事前予約して、使いたい人が予約して自分のところに来たらボタンを押せばウイーンって上がるということですね。
馬場:そうですね。
大野:あと、これ便利だなと思うのは、実物を本日持ってきていただいているんですけど、すごく小さくないですか?
渡邊:まずこういったラジオのスタジオに持ち込めるサイズと同じということに驚いております。
大野:これどれくらいだろう。表現がちょっと難しいな。PlayStationぐらいか。
馬場:そうかもしれないですね。
渡邊:家庭用の置き型のゲーム機ぐらいのサイズですね。重さはどのくらいなんですか?
馬場:7キロぐらいのものですね。
大野:人が持ち運びできるので、既存の駐車場を作る設備コストもだいぶ下がるっていう感じなんですか?
馬場:そうですね。
大野:実際どれくらい下がるんですか?
馬場:一番大きいのは工事費がかなり安価に済みます。今この中に入ってるのは、バッテリータイプのものなんですが、電源の引き込みが要らないという利点がございます。
大野:電源の引き込みが要らないんですね。バッテリーは?
馬場:本体の中に電池が入っていまして、それは大体1カ月ちょっとで交換していただいて、もう1台充電しておいて、それをクルクル回すという運用もできますし、もちろん外部電源で12Vの電源を入れていただければ動くという仕組みでございます。
渡邊:なるほど。場所を問わず色々なところに設置できて可能性が広がりますね。
大野:ちょっと今、土地が空いているから、それを一定期間だけ駐車場にしたいとかっていうのにはすごく便利。
馬場:そうですね。
スピード重視のシステム開発
大野:私も駐車場を作ろうかなと思ったことがあるんですけれども、結構大変なんです。お金がかかるんですよ。なので、安く済ませられるというのはすごく利点があるなと思いますね。新規事業としてスタートされているわけですけれども、システムの部分を作るのというのはなかなか大変だったんじゃないでしょうか。これは、安福さんが所属されているグループ会社が対応されたんですかね?
安福:そうですね。もともとグループ会社の株式会社ハイテックスというところに所属していまして、そこでチームを作って今のパーキング事業室が管理するようなシステムを開発していったという流れです。2026年1月からシステム面も一緒にやりましょうということで、林テレンプの方に出向しまして、今一緒にやっています。
大野:しかも、すごい大変そうだなと思うのが、最初4人でスタートして2カ月で作ったんですか?
安福:オートスタンドに関係ないシステムにはなるんですが、当時馬場から依頼をもらって、そのシステム構築に割ける工数っていうのが2カ月だったので、そこで4人で頑張って作ったシステムが今稼働してます。
渡邊:そのシステム開発を2カ月ほどでやって運用しているということですか。すごく短いですよね。
大野:すごいなと思って。これはラジオで言っていいんでしょうか?すごい時間をかけてやったのか、一人一人が超優秀なのかどちらでしょう?
安福:ちょっとアプローチが違いまして、100%を目指さないというのを最初に決めて、もう目をつむるものは目をつむるという形にしました。例えば、100%動かなくてもいい機能って実際あるんですよ。ページを開くのに10回中1回失敗しても、リロードして、もう一回開き直すっていうことのを皆さんやられると思うんですが、そういう感じで、例えばページ表示を100%やらなくてもいいよねと。ただ、その駐車場に関わるシステムなので、決済だったりとか、入庫、出庫、そういった処理は100%やる必要があるので、そこを重点的に開発して、ほかの部分はちょっと後回しだったりとか、あとから機能を100%に近づけるというようなアプローチをして2カ月で開発を進めました。
大野:これはすごいですね。普通だと完成形を目指しそうじゃないですか。切るものは切ってできること、要はスケジュールがマストだったんですね。馬場さん、ちなみにこれはなんでスケジュールはマストだったんですか? もうお客さまがいて、その日までに作って欲しいという要望だったんですか?
馬場:そうですね。もともとこの事業は営業部門が主導して始まった新規事業というところで、我々はとにかくマーケットイン最優先というキーワードを掲げました。とにかくマーケットが求めるものをいち早く、他社よりも早く世の中に提供するために、スピードを一番重視しているので、時間軸を一番真ん中に置いてやってきました。
“ないと困る”を見極める視点
大野:最初に色々なところにヒアリングしながら、こういう需要があるのかもしれない。そして新しくこのサービスを作って、何回か営業されて手応えを感じたのはいつぐらいだったんですか。
馬場:色々なニーズに溢れていてですね、私も色々なお客さまを回ってきましたけれども、顕在化しているニーズもあれば、ちょこっとだけ頭が出ているニーズもあれば、まだ沈んでいるニーズというのもあります。お客さまも「今後欲しくなるかもな」みたいなこと言いながら、そういうのを細かく拾うんですね。とにかく拾いまくるというところを重点的にやってきました。
大野:いや、でも今ふと思ったんですけれども、駐車場って色々な種類あるんですよ。商業施設に入っているものもあれば、コンクリートで本当に駐車場っていう看板があるだけのところとか、色々なタイプがあるし、病院もあればスーパーもあれば、本当に色々なお客さまがいらっしゃるので、そのお客さまごとにニーズがたくさんありそうですよね。
馬場:おっしゃる通りですね、駐車って基礎駐車と言われるところや、経路駐車とか、あと目的地駐車とか特定利用とか、分類するとかなり広いんですね。要するに、もっと簡単に言いますと、車を買うときに必ず車庫証明が必要になりますよね。ですから、極論、その車の台数イコール駐車場があると思うとですね、とてつもない数があるというのがまず大前提ですね。
大野:となると、そういうお客さまをターゲットにしてしっかりやっていけば、十分事業としてやっていけるんじゃないかということで、新しくパーキング事業室というのを設立されたんですかね。
馬場:そうですね。その中で一つがオートスタンドという黄色い機械なんです。これが2022年から販売を開始しまして、それが累計台数がだいたい2,500台ほど世の中に出ておりまして、これは一つ需要がありますねと振り返りをして、事業化に舵を切りましょうとなりました。
大野:それが2025年ぐらいですか?
馬場:そうですね。2024年にその辺の判断が出ました。そこの中で我々も一つのポイントがあって、「あったらいいな」というのはまだ売れないんですね。「ないと困る」というものは売れるんですね。私どもは散々色々なニーズを拾ってまいりましたが、そこを丁寧に精査しないと「あったらいいな」というのはいずれ萎んでしまうんですね。
渡邊:なるほど。ただ、作り手としては「あったらいいな」を作りたい気持ちって膨らんでいきませんか? 楽しそうだったり、夢があったりしますよね。そこは「これはあったらいいな」側だからちょっと今回は我慢しよう、「なくては困る」って、ここだよねって。その精査の判断するときというのは、どんなことを大切にして決めていくんですか?
馬場:そこで多分我々の中では時間なんですよね。時間、すなわちそのスピードです。僕たちが追いつける時間軸にお客さまが我慢ができるかというところと、やはり「ないと困る」というふうにニーズがどんどん高まってくると、「あったらいいね」が「ないと困る」というところまで、ある日到達するんですね。
渡邊:なるほど。上がっていくんですね。
馬場:ですから、ここで自分たちがそこにキャッチできるような案件は、我々は狙いに行って、無理なものはもう見逃します。我々じゃとても対応できませんから、それはもう見逃すと。そこの判断をきちっとやらないと、何が何だか分からないですね。山のようにニーズがありますので、そこがこの市場の一番の難しさかなとは思っております。
大野:安福さんはシステム開発をやられていると思うんですけれど、このサービスを作っていくにあたって、どの辺に苦労されたんですか?
安福:私がもともとハイテックス社でやっていた領域が、今パーキング事業所で使っている技術領域と全然違う技術でして、経験なしで部署異動したような形でした。
大野:すごいですね。
安福:さっき言っていた2カ月のシステム開発の間に半年間ほど学習だったり、元々いたチームメンバーについていくとか、学習というのが最初本当に手間取りましたね。
大野:それって何からやっていたんですか?
安福:まずは先輩社員の方からいろいろ引き継ぎで教えてもらっている中で、小規模な開発とかをこなしながら、元々システム開発自体に関してはもちろん知識がありますので、その技術を身につけるというところにフォーカスして半年間で解決してきました。
大野:なるほど。今はそういう形でサービスもできて、ちゃんとシステムを自分たちで作りながら、パーキング事業室としてもきっちり形になってきていると思いますが、馬場さんとしてはこれからどういう戦略をとられていこうとされているんでしょうか。
馬場:ちょっとどこまでお話しするべきか分かりませんけれども、我々本業が車の業界の会社ですので、やはり車がいつまでも求められる一つのデバイスと考えたとき、モビリティーというのを目指しております。、端的に言えば、車に乗りながら駐車場が予約できるようにしたい。
渡邊:なってほしい。
大野:いやいや、本当に探すのは大変なんです。
渡邊:本当に土日の都心部は停める場所がないですからね。
大野:じゃあ、ちょっとこれから楽しみですね。
渡邊:さあ、本日もあっという間にお時間となってしまいました。今日は林テレンプ株式会社パーキング事業室から室長の馬場康輔さん、システム開発課の安福公隆さんにお話をうかがいました。
大野:それでは最後にお二方にお聞きしたいんですが、色々な困難に努力をされてきたと思うんですが、その道しるべとなった言葉ですとか、座右の銘、仕事で意識していることを教えていただけますでしょうか。
渡邊:では、安福さんからお願いします。
安福 :座右の銘となっているのは「攻撃こそ最大の防御」という言葉でして、これをすごく実感したエピソードがあります。すごい小さいときなんですが、私の趣味がサッカーで中学校ぐらいのときから海外のサッカーを見るのが好きだったんですね。ちょっと細かい話になるんですけれども、当時FCバルセロナっていうサッカーチームがずっとボールを支配して、相手にボールを触らせないというような戦術でやっていたんです。まさにそれが「攻撃こそ最大の防御」だなと気づきまして、つまり先手を打ち続けると、相手は何もできないよねということで、実際私の業務でも「攻撃こそ最大の防御」を座右の銘にして、自発的にとにかく動くということを心がけています。特に私は技術部門ですので、新しい技術を学ぶこと、実践することを自発的にすることで、遅れを取らずに世の中に適応していけるようになっていると思います。
渡邊:馬場さんはいかがですか?
馬場:強いて言うなら、やっぱり「ファンづくり」かなと思っています。これはファンというのはもちろん社外、お客さま、取引先、サプライヤー、色々ございますし、あとは社内ですね。社内が一番大事なんです。実は社内のファンというのがいないとやっぱり継続できないんです。ですから、やっぱりファンづくりをきちっと常に意識してやっていくというのは大事だなというふうに思っています。
大野:林テレンプの馬場さん、そして安福さん。本日はありがとうございました。
馬場・安福:ありがとうございました。
まとめ
林テレンプ株式会社 パーキング事業室の挑戦から伝わってくるのは、「スピード」と「見極め」を何よりも大切にする姿勢です。現場の困りごとに真正面から向き合い、仲間とともにファンをつくりながら前に進む。その積み重ねこそが、同社の新規事業を次のステージへ導いていくのだと感じさせるインタビューでした。
AIによる記事まとめ
FM AICHIのラジオ番組『TOKAIリーダーズ・コンパス』より、林テレンプの馬場康輔氏と安福公隆氏へのインタビューをもとに、現場の困りごとを起点に始まったパーキング新規事業を紹介しています。駐車場の課題解決に向けた入庫制御システム「AUTOSTAND」の特徴、スピードを最優先した開発体制、「あったらいい」ではなく「ないと困る」を見極める事業判断の視点を描いています。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
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