「使いたい」をつくるDX―アイカ工業が進める現場起点のデジタル変革

2026年6月23日掲載

「使いたい」をつくるDX―アイカ工業が進める現場起点のデジタル変革

化学合成技術とデザイン力を強みに、建築・住設分野で存在感を放つアイカ工業株式会社。今回は、IT戦略とDX推進、サイバーセキュリティ企画を統括するデジタルイノベーション推進部長の沖永氏に出演いただきました。この記事では、FM AICHIで2026年2月25日(水)に放送された「TOKAI リーダーズ・コンパス」におけるインタビューをもとに、攻めのITと守りのセキュリティをどう両立し、現場を巻き込みながらDXを前へ進めているのか、その実践内容に迫りました。

TOKAIリーダーズ・コンパス

FM AICHIで放送中(2026年6月現在)の『TOKAIリーダーズ・コンパス』はソフトバンクが提供するラジオ番組です。日本のモノづくりの中心地である愛知県・東海エリアで「イノベーションに挑む企業」のキーパーソンに、挑戦へのストーリーをうかがっています。

放送局:FM AICHI(株式会社エフエム愛知 名古屋 FM80.7MHz / 豊橋 81.3MHz)

放送時間:毎週水曜 20:00~20:30

目次

出演者紹介

アイカ工業株式会社 沖永 剛義 氏
沖永 剛義 氏

アイカ工業株式会社 デジタルイノベーション推進部長
広島県生まれ。 1990年に三菱銀行へ入行し、IT部門で長く研鑽。2019年に、化粧板など建築業界における化学合成技術とデザイン力を強みとする素材メーカーであるアイカ工業に参画。現在は IT戦略・DX推進・サイバーセキュリティ企画を統括。
大野 泰敬 氏

大野 泰敬 氏

メインパーソナリティ

複数企業を経営する事業家兼投資家。人気FMビジネス番組のメインパーソナリティを務める。ソフトバンク株式会社でiPhone 日本初上陸時のマーケティングを担当し、シェア拡大に貢献。独立後は事業戦略、M&A、資金調達などで多数の大手企業を支援。東京オリンピックITアドバイザー、農林水産省・明治大学客員研究員としても活動し、「ご当地イノベーション」を提唱。累計500億円の事業実績を持つ。
渡邊 晶子 氏

渡邊 晶子 氏

アシスタント

NHK山形放送局、NHK名古屋放送局に勤務し、NHK山形『NHKニュースやまがた6時』やNHK名古屋『まるっと!』などに出演。2025年よりフリーアナウンサーとして活動を開始、FM AICHIのワイド番組『MORNING BREEZE』のパーソナリティを務めるなど多方面で活躍中。

攻めのITへ組織刷新

大野:FM AICHIをお聞きの皆さん、こんばんは。大野泰敬です。

渡邊:FM AICHIパーソナリティ、渡邊晶子です。

大野:さて、本日お話をおうかがいしますのは、アイカ工業株式会社デジタルイノベーション推進部長の沖永 剛義さんです。本日はよろしくお願いいたします。

沖永:はい、よろしくお願いいたします。

渡邊:よろしくお願いいたします。

大野:所属されている「デジタルイノベーション推進部」は、2025年10月に組織が刷新されてできた部署とお聞きしています。

沖永:そうですね。従来は「情報システム部」と名乗っておりましたが、どちらかというと守りのポジションという意味合いが強いのではないかと思っておりまして、より前向きに色々なことができるようにということで、「デジタル」と「革新(イノベーション)」、さらに「推進する」というこの3文字を入れて、デジタルイノベーション推進部に名前を変更しています。

大野:何か強い意志を感じますが、このデジタルイノベーション推進部というのは、結構アグレッシブにデジタルの施策を押し進めていくのだという強い思いがあってこの名前にされたのですか。

沖永:思いもありますし、「攻めのIT」という意味では、2024年くらいから社内的には進めていたというのもあるので、若干その組織を今やっていることに合わせたというイメージもあります。

大野:ちなみにその「攻めのIT」というのは、今までどのような活動をされてきたのですか。

沖永:データドリブンな経営というのを2025年4月くらいから始めておりまして、色々な取り組みをしている中の一つということになります。

大野:このデータドリブン経営を進めていきながら、守りというところでは、セキュリティの部分もこの部署で担っているということなのですが、攻めと守りを同じ部署でやっていくというのは、効果があったから、あるいは効果があると予想されたから、こういう形式にされたのですか。

沖永:そういう意味では、意図してそうしているわけではなく、限られた人数でITもやって、IT=セキュリティという意識がやはり経営にはあると思うのですよ。なので、ITやりながら結果的にセキュリティもやっているという感じになっていますね。

渡邊:大野さん、よくあるんですか? こういう両方一緒にやる部署というのは。

大野:そうですね、ここは企業さんによってちょっと考え方があって、一緒にやっているところもあれば、分けているところもあるというような感じで、半々くらいかなという印象ですね。なので、きっとアイカ工業さんの組織だとか、やられていることが、この攻めと守りというのを一緒にやった方が上手くマッチしたのかなと思うのですけど、そのあたりは進められていていかがですか。

沖永:本来、セキュリティというのは、会社によってはリスク管理部門にあったりするのですが。

大野:そうですね。

渡邊:そのイメージが強いです。

沖永:うちはそういう意味ではリスク管理部門というのが明確になくて、ある部署にリスク管理もやるメンバーがいるという組織になっています。なので、IT部門については、攻めのIT部分と守りのセキュリティ部分が一緒に動いているという状況になっています。

大野:沖永さんは元々は銀行にいて、そこから転職をされてきたと思うのですが、前職と比べて大体IT部門というのはやっていることは同じだったのですか? それとも何かやはりそのときにやっていたことというのは、今やられている戦略だとかDX推進の方でも役立つところはあったのですか?

沖永:正直ITはずっとやっていましたけど、セキュリティは全くやったことがなかったです。ですが、結果的に役割的にはセキュリティもやっています。ただITについては、前職の方が進んでいたので、そこでやってきたようなやり方をアイカ工業の中で実現できればと、じわじわと広げている感じです。

大野:すごくお聞きしたいのですが、歴史のある企業さんで、しかもITをあまり推進していない、DXの推進が弱いところに入ってきたときって、組織がまだデジタルの導入に反発だとか、心理的な抵抗があるパターンというのがよくあると思っているのですけど、実際、沖永さんはどうやってそのあたりを突破されていったのですか。

沖永:まず、経営がDXに対して非常に前向きになっているというのが一番の追い風だと思います。あとはやはりそうは言っても、担当者レベルは中々同じ波に乗ってこれないというのがあるので、現場に何度も通って、DXの重要さというのを何度もお話をしていくという活動はしています。

渡邊:それが先ほどあった、じわじわと広げていきましたの「じわじわ」の部分なのですね。

沖永:そうですね、じわじわそういうところです。

現場対話が生むDX

沖永:表だって言っても、やはり構えてしまうので、やはり夜の飲み会といったコミュニケーションが重要ですね。

大野:そこで「今こういう状況になっているのだ」という細かい情報も得られれば、やはり新しい気づきみたいなものも結構得られたりするものだったのですか。

沖永:逆に新しい気づきばかりですね。現場では悩んでいるのだけど、中々表に出せなかったというのを、実は意外に各担当者が腹の中に持っています。

大野:それは今まで言い出せなかったのは、そういう風に言ったら断られたりするのではないかとか、あとITとかってちょっとよく分からないから、なかなか言い出しづらかったとか。どういう心境で言えなかったのですか。

沖永:推測ですけども、やはり守りの情報システム部には言いにくかったのではないかなと思います。お願いしても中々やってくれないというイメージが強い組織だったらしいので。今はどちらかというとこちらから「こういうこともできる、ああいうこともできるよ、どうする?」と持っていっているのが、受け入れられる態勢になっているのではないかと思いますけどね。

大野:事前ヒアリングの中で、攻めが6割で守りが4割という言葉があったのですが、これはどのような意味合いがあるのですか。

沖永:まずITの売り込みはします。ただ使っている人ってセキュリティは意識していないのですよ。なので「これはやるけど、守りのそのセキュリティについては、ここまではやらなければいけない」と。そして、最終的にこれはコストに跳ねてくる話なので、スポンサーはやはりエンドユーザーになりますから、そこに理解してもらうために、攻めのITを6割やって色々使ってもらうのだけれど、守りの4割についてはセキュリティでお金をちゃんとこれだけ払ってくださいという交渉に使っています。

渡邊:そのバランスを見つけるというのは、結構時間がかかりましたか。そんなことなかったですか。

沖永:全体的に会社の流れとしても、エンドユーザー開発も最後はセキュリティ大丈夫かというチェックをうちの部門でやるようになっているので、最終的にはお金をどんどんかけて、最終的にそのセキュリティにはお金がかかるよという理解をしてもらえるような流れになってきています。

渡邊:DXとセキュリティ、攻めと守りを一緒の部署でやるというのは、すごく相反するものではないかと最初思っていたのですけど、一緒だからこそみたいなところもあるのですかね。

沖永:一緒にやった方がいいですね。セキュリティ部門とIT部門が別々となると、セキュリティのところを最後に守らなければいけないということで、最終的にサービスインできないようなときもあると思います。だけど、基本的には攻め側なので、6割はもうイケイケドンドン。そしてセキュリティはここまでは守らなければいけないというのを、ギリギリのところで我々から案を出して、飲んでもらうという形にはしています。

渡邊:だから最後の最後でひっくり返るみたいなことがないわけですね。「あ、やっぱり駄目だった」という。

沖永:うちから「入れろ入れろ」と言っているので、最後の最後で「やめてくれ」とは言えません。辞められないような策は考えながらやっています。

渡邊:でもちゃんと守るところは守りながら進めていけるのですね。

沖永:そうですね、はい。

大野:ちなみに今まで銀行もそうですし、こうした大手の大きな組織での企業で、DX・開発というところを推進してくると、色々なトラブルだとか、計画したものに対して遅延するとか色々なものがあったと思います。何かその予定していたものと違うトラブルが発生したときに、何を優先し、何を進めていくのかとか、その判断軸はどういう風にされていたのですか。

沖永:正直に申し上げて、リリースが遅れたことは何度もあります。ただやはり譲れないのは、トラブルを抱えたままリリースしないということが鉄則ですので、リリースは延期しても確実なものを提供しています。

大野:ちなみに今まで色々な苦労があったと思うのですけど、その失敗から学んだ教訓みたいなものって何かあったりしますか。

沖永:やはり失敗、システムトラブルで一番あるのは人への依存の部分で、聞き出せなかった要件、これが実現できなくてトラブルになるということはよくあります。なので、一番私が大事にしているのはコミュニケーションです。最初に要件を固めるところからしっかりと会話する、ということを一番にやっています。

渡邊:最初に出てきた要件の中には、浮き上がってきてなかったけど実は一番大事だったことが隠れていることもあると思うのですけど、そこを上手に拾うコミュニケーションは何が大事ですか。

沖永:そうですね。ベタですが腹を割って話せる場を提供することではないかなと思います。

大野:コミュニケーションツールみたいなものも世の中いっぱいあるじゃないですか。そういうのでやりとりしがちなのですけど、現場はフェイストゥフェイスで、アナログ的にやられているのですか。

沖永:都度はできませんけども、ちょうどフェーズの切れ目とかにはなるべく現地に行って、お話して、懇親会をするという流れは大事にしています。

三方良しの変革哲学

大野:お話をお聞きしていて、沖永さんからすごくパッションを感じるのですが、何か意識されていることとかってあったりするのですか。

沖永:どうでしょう、顔がパッションだからではないでしょうか。

大野:いや、何か意識されているのか、もう自然とそういうのが染みついているのか、そのあたり何かあるのかなと思ったのですが。

沖永:現場がやりたいことに対しては、それにちゃんと、同じような熱さで答えてあげなければいけないというのがベースにあります。

大野:確かに現場の方って、一番色々なものを見ているし、一番苦労されているので、その人たちの熱量に応えてあげたいって思うと、こちら側も熱くなってきますよね。

沖永:熱くなってきますね。

渡邊:だからこそ現場の方も言いやすいのでしょうね。「こういうのに困っている」とか「これってどうにかなりません?こういうことやりたい」というのを。冷たく返されちゃったら、やはりどうしても「あ、これ以上はやめとこう」となってしまう気がするので。

大野:沖永さんは若い頃からそういった姿勢をお持ちだったのですか。それとも徐々に身に付いていったのですか。

沖永:できるかできないかというと今ができているかちょっと疑問には思いますが、やはり今の会社に移ってIT部門の責任者に任命されたということもありますので、それに対しての答えという意味合いがあると思いますね。

大野:渡邊さんはどうですか。パッションを伝えるのとかってできる方ですか。

渡邊:もうパッションだけでここまでやってきました。

大野:私もそうです。

渡邊:実績がない分パッションしかないので、思いを伝えてやる気を見せる。一番早く来て一番最後に帰る……あ、会社に長くいるという意味ではなく、無理のない範囲で姿勢を見せるということです。

大野:いや、でもそれすごく大事だと思います。現場の人ってそういう姿勢を見てなさそうで見てたりしますよね。

沖永:そうですかね。パッションと言われたことが初めてなので。

大野:でもお話をお聞きしていても迷いがないですし、言葉の一つ一つに熱がこもっている感じがします。きっとご自身の社会人人生の中で、何かきっかけがあってスイッチが入った。そうした姿勢があるからこそ、さっき言った現場から情報を引き出しやすくなって、上手くチームが回っているのではないかという気がしましたね。

沖永:日頃考えていることは「三方良し。売り手良し、買い手良し、世間良し」なのですよ。ウィンウィンと言っていますけど、お互いがうれしければ一番いいなと。そういうシステム作りは常に心がけています。

大野:結局そういう三方良しの考え方じゃないと、どこかで破綻しちゃいますよね。続いていかないというか。

沖永:使えと言われて使いたいと思う人はいないと思います。「使いたい」というものを作ってあげた方が、やはり現場も自発的に使いたくなると思うので。

大野:そうですね。上から「作りました」と落として、現場で触ってみると「これ使えないじゃん」って。結局「分からない奴が作るとこうなるんだよ」と言われ、だんだん使われなくなるみたいなことって結構あるのですよね。だからこそ現場の話をちゃんと聞くのが大事なのですが、意外とできてない企業も多い気がします。色々な方にインタビューすると、現場の求めているものとDX部隊がやっていることにズレが生じていることがあるんですが、こういうコミュニケーションミスはなぜ発生してると思われます?

沖永:これは異論がある方もいらっしゃるのかもしれないですけど、やはりIT部門ってエンジニアの方が多いので、「自分が作りたいものを作る」という人が多いのではないかと思います。私はどちらかというとユーザーに寄って開発して、使ってもらいたいもの、もしくは現場の人が使いたいものを提供したいというのが一番のベースにあります。

大野:リスナーの皆さんの中には、新しくDXの責任者として着任したものの、上層部含めて会社を上手く巻き込めず前に進まないという方も一定数いらっしゃると思います。そういう方に一つアドバイスをするとしたら、どういったことがありますか。

沖永:とにかく「仲間を大事にすべきだ」ということです。一緒にやっている同僚も然りですけども、上の人も他部門の人も全部仲間だと思っています。その仲間を大事にするということが一番大事じゃないかなと思います。

渡邊:さて、今日はアイカ工業株式会社デジタルイノベーション推進部長の沖永 剛義さんにお話をうかがいました。

大野:では、最後に一つ。これまでさまざま努力をされてきたと思いますが、ご本人の道しるべとなった言葉、これはどんな言葉だったのでしょうか。

沖永:「やってみなはれ」。サントリーの創業の方の言葉だと思いますけども、まずはトライしてみるということは常に考えています。

大野:本日は、沖永さんありがとうございました。

沖永:ありがとうございました。

まとめ

沖永氏の言葉から伝わってきたのは、DXを成功させる鍵は、最新技術そのものよりも「仲間を大切にする姿勢」と「使いたいと思われる仕組みづくり」にあるということです。攻めのITと守りのセキュリティを両立しながら、現場に何度も足を運び、腹を割って話す。そんな地道な対話が、変革を前に進める力になる――。アイカ工業の挑戦は、DXの本質が人と信頼にあることを教えてくれます。

AIによる記事まとめ

FM AICHIのラジオ番組「TOKAIリーダーズ・コンパス」より、守りに偏りがちなIT部門の課題に対し、アイカ工業が取り組む現場起点のDXに迫ります。攻めのITとセキュリティを統合し、対話を通じた「共創」で現場が心から使いたいと思える変革を推進。仲間との絆を信条とする、リーダーの確固たる変革哲学をお届けします。

※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。

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