“アグリテック共創” ― 豊橋市が挑む農業革新
2026年6月24日掲載
全国有数の農業地域として知られる愛知県豊橋市。いま同市では、スタートアップと地域農業者をつなぐ「TOYOHASHI AGRI MEETUP」を通じて、現場発の課題解決と新たな産業創出に挑んでいます。出演は、豊橋市 産業部地域イノベーション推進室 室長補佐の小野健太郎氏。農家との対話を起点に実証と製品化を前へ進める、そのリアルな取り組みに迫ります。この記事では、FM AICHIで2026年3月18日(水)に放送された「TOKAI リーダーズ・コンパス」におけるインタビューをもとに、彼らがどのように“攻めと守りのDX”へ挑んでいるのか。そのリアルなストーリーをお届けします。
TOKAIリーダーズ・コンパス
FM AICHIで放送中(2026年6月現在)の『TOKAIリーダーズ・コンパス』はソフトバンクが提供するラジオ番組です。日本のモノづくりの中心地である愛知県・東海エリアで「イノベーションに挑む企業」のキーパーソンに、挑戦へのストーリーをうかがっています。
放送局:FM AICHI(株式会社エフエム愛知 名古屋 FM80.7MHz / 豊橋 81.3MHz)
放送時間:毎週水曜 20:00~20:30
出演者紹介
地域農業を変える構想
大野:FM AICHIをお聴きの皆さん、こんばんは。大野泰敬です。
渡邊:FM AICHIパーソナリティ、渡邊晶子です。
大野:さて、本日お話をおうかがいするのは、いつもと趣向を変えまして、自治体の方にお越しいただいております。豊橋市 産業部 地域イノベーション推進室 室長補佐の小野健太郎さんです。本日はよろしくお願いいたします。
小野:よろしくお願いします。
渡邊:お願いいたします。
大野:今回、なぜ豊橋市の小野さんに来ていただいたかというと、「TOYOHASHI AGRI MEETUP」という、アグリテック(農業×テクノロジー)に特化した非常にイノベーティブな取り組みをされているからです。国内でもかなり規模が大きいプロジェクトだと思っておりまして、この内容や苦労話、今後の展望についてお聞きしたいと思っております。
小野:はい、よろしくお願いします。
大野:まず、この「TOYOHASHI AGRI MEETUP」とはどのような取り組みなのですか?
小野:豊橋は全国的に見ても農業が盛んな地域です。その地域の強みを生かす一方で、やはり課題も多くあります。将来を考えると今から農業を強化していかなければならないという背景があり、全国の農業関係のスタートアップやベンチャー企業に豊橋に来ていただき、豊橋の農家の方と一緒に農業課題を解決する製品開発にチャレンジしようという取り組みです。
大野:それは例えば、豊橋の農家の方の困りごとをアグリテック企業がヒアリングして解決策を出し、それに対してコンテスト形式にしたり、補助金を出したりするのですか?
小野:はい、まずコンテスト形式で募集を行い、総額1,000万円の賞金を用意しています。過去の例では入賞した3社で分けて活用していただいています。
大野:市区町村単位の取り組みで1,000万円というのは、かなり高額な方ではないかと思いますが、この金額設定には理由があるのですか?
小野:実は、他自治体で1,000万円の規模で実施している前例があり、そこを目指してしっかり予算を確保しなければならないということで決まった金額です。
大野:豊橋市の特徴や、ほかの地域と違うこだわりなどはありますか?
小野:やはり地域の農業が強いという中で、農家の方々のレベルが非常に高いことです。皆さん研究熱心で、技術や経営を深く追求されています。そうした農家さんたちに前面に出ていただくという点に非常に力を入れています。
大野:自治体の方が引っ張ってやっていただけているのは心強いですよね。
渡邊:自治体と農家さんが連携して頑張っている地域はたくさんあると思いますが、そこにさらにスタートアップ企業の力を取り入れ、三者で一緒にやるというのは素晴らしい取り組みだと感じますね。いつ頃から始まったプロジェクトなのですか?
小野:今年度で丸4年が経ちました。
大野:なぜこのプロジェクトを始めようと思われたのですか?
小野:農業が盛んである一方で課題も抱える中、地域をどう盛り上げていくかと考えたときに、外部の強い力も取り入れるべきだという着想から始まりました。
大野:小野さんは最初からこのプロジェクトに携わっていたのですか?
小野:ちょうど私が人事異動で今の部署に来たときに、この企画を考えるようにと言われたのが始まりでした。
大野:いつツッコミを入れようかと思っていたのですが、小野さんは本当に市役所の方なのですか? 失礼ながら市役所の人には見えないキャラクターといいますか。資料にあるイラストは小野さんご自身ですよね?
小野:はい、漫画家の方に描いていただいたものを自分のプロフィール画像で使っています。
大野:失礼ながら、髭も髪型も市役所の人っぽくないなと意外に思いました。
渡邊:やはりそこは、イノベーション推進の部署だからではないでしょうか。
大野:スタートアップの方々も安心して話ができる雰囲気がありますよね。それは意識されているのですか?
小野:格好については、好きにさせていただいている部分もありますが、親しみやすさ、接しやすさという点は大事にしたいと考えています。
大野:小野さんご自身は、過去にアグリテックや農業に触れる機会はあったのですか?
小野:学生時代は農学部でしたが、当時はあまり農業の勉強はしていませんでした。市役所に入庁して最初の配属先が農業振興課で、そこから一生懸命農業を勉強し始めたのが最初の接点ですね。
実証を生む共創の仕組み
大野:農家さんの課題として、資材価格の高騰や人手不足など、とにかく課題が多い中でスタートアップの方々が協力して4年が経ちました。成果としてはどのようなものが出てきていますか?
小野:まず、さまざまな領域のスタートアップの方々が豊橋の農家さんとタッグを組んで開発しようと、豊橋市内で多くの実証プロジェクトが動き始めています。さらに、実際農家さんから対価をいただいて販売する製品化を達成したものも、いくつも出てきています。
大野:スタートアップと農家さんが協力して物を作るとき、ほかの企業やJA、大手企業とのネットワークも必要になると思いますが、そういったサポートもされているのですか?
小野:この仕組み自体にサポート団体という枠組みを設けており、連携できそうな地元の団体さんにも登録していただき、良い連携をしていただいています。
大野:資料には「豊橋市にはすぐに実証実験を始められる環境がある」とありますね。
渡邊:コンテストで評価を得たアイデアをすぐにマッチングさせて、実証実験を始めるという感じなのですか?
小野:まさにその通りです。なるべくマッチングを前倒しにして、コンテストの前からスタートアップの方に豊橋市に来ていただきます。我々と一緒に農家さんを訪問して、「一緒にやろう」という座組を早く作るように努めています。
大野:愛知県内には、農業を研究している大手企業も多いですよね。そういった方々も参加してくれると、さらに盛り上がりそうです。最近では、潮の満ち引きや引力が作物に与える影響を研究している自動車関連企業もあると聞きます。そうした大手企業が集まる場所になれば、またステージが変わるかもしれませんね。認知活動やプロモーション、企業誘致はどのようにされていますか?
小野:WebサイトやSNSでの発信はもちろんですが、市役所の職員を1人、東京に常駐させています。首都圏の企業との関係性をしっかり構築するための担当を置いています。
渡邊:スタートアップ企業に対するアプローチと、農家さんに対するアプローチで、何か大切にされている違いはありますか?
小野:両者で見ているものが違うので、スタートアップには「実証実験がすぐにできる環境」であることを強調し、農家さんには「今の経営がどう改善されるか」という関心事に応えるよう心がけています。
大野:プロジェクトを始めて、これまでになかった関係を一から築く中で、苦労された点はありますか?
小野:最初は農家さんへのヒアリングから始めましたが、すぐに「面白そうだね」と言ってくださる方は少なかったです。構想段階では「本当にできるのか」「うまくいくのか」と半信半疑だったでしょうし、一人一人に仲間になっていただく過程が一番苦労した点かもしれません。
渡邊:もしほかの自治体が同じような取り組みをしたいと視察に来た場合、何が一番大切だと伝えますか?
小野:やはり、農家さんの課題をしっかり把握することです。そのために、現場の方々としっかりとお話をすること。そこが一番大切だと思います。私が伝言役になるのではなく、熱意のあるスタートアップの方を実際に連れて行き、農家さんと直接会って話す機会を作ったことが、大きな転換点だったと思います。
大野:確かに、アグリテックをやられているスタートアップ企業って熱い方が多いじゃないですか。「農家さんのこういう課題を解決したいんだ!」という熱い人同士が直接会って話をしたほうが盛り上がりそうですよね。
小野:そうですね。直接顔を合わせることで、お互いの真剣さが伝わるのかなとすごく感じたところですね。
現場発の成功と未来
渡邊:実証実験の具体的な成功事例があれば教えてください。
小野:分かりやすい例として、フィールドワークスという会社があります。豊橋市は冬になるとキャベツ畑が広がりますが、キャベツの間に生える草を刈るための小型ロボットを開発しています。約2年間の実証を経て、製品として販売できる段階まで到達しました。最初は畑の凹凸を乗り越えられず、畑に入れなかったというところからのスタートでした。
大野:そこから課題を乗り越えて実装化されたのですね。
小野:実装には至りましたが、まだ改良を重ねているところではあります。
渡邊:渥美半島のキャベツは生産量が凄いですし、甘くて美味しいんですよね。こういう色々な技術が集まって我々のところに届いているんだなと、お話しをうかがって改めて感じました。
小野:さらに面白いのが、実は、最初はロボットの草刈り機能はあまり評価されませんでした。しかし、農家さんとの雑談の中で「農薬散布の方が役に立つのでは」という声があり、その2カ月後には農薬散布機能を作って持ってきたのです。それが今、現場で非常に好評を得ています。
大野:これからの展望について、どのようにお考えですか?
小野:地域の農家さんが儲かる、あるいは若い方が農業をやりたいと思えるような魅力ある農業にしていきたいです。この取り組みがその環境づくりに役立つようにつなげていきたいと考えています。
渡邊:さて、今日は豊橋市 産業部 地域イノベーション推進室 室長補佐の小野健太郎さんにお話をうかがいました。
大野:最後に、小野さんの座右の銘、道標となった言葉を教えてください。
小野: 「地を這う」という言葉です。
大野:なんだか、深いですね。
小野:学生時代の恩師が「自分は地を這う研究者だ」と仰っていました。インドネシアの貧しい農村に入り、自らインタビューをしながら村の開発のあり方を研究されていた方です。スマートな手法も大切ですが、現場で泥臭く取り組むことの大切さを今も大事にしています。
大野:本日は豊橋市の小野健太郎さんにお越しいただきました。ありがとうございました。
小野:ありがとうございました。
まとめ
小野さんの言葉から伝わってきたのは、派手な仕組みや制度だけでは地域は動かない、という実感です。農家の声を聞き、スタートアップと直接つなぎ、うまくいかない実証にも粘り強く向き合う。その“地を這う”姿勢が、豊橋市の挑戦を確かなものにしていました。地域課題の解決は、現場に足を運ぶことから始まる――そんな原点を、あらためて教えてくれるインタビューでした。
AIによる記事まとめ
FM AICHIのラジオ番組「TOKAIリーダーズ・コンパス」より、豊橋市が直面する農業の課題と変革の軌跡に迫ります。解決策である「TOYOHASHI AGRI MEETUP」を通じ、農家とスタートアップの共創によるDXの実態をお届けします。現場で泥臭く取り組む「地を這う」マインドセットが導く、新たなビジネス創出のヒントをご一読ください。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
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TOKAIリーダーズ・コンパス
ソフトバンクが提供する東海地域で放送中のラジオ番組です。番組では、東海圏から未来を切り拓くリーダーたちを迎え、経営の舞台裏や挑戦へのストーリーをうかがいます。普段は聞けないキーパーソンの素顔やエピソードから、明日へのヒントが見つかる…そんな「羅針盤(コンパス)」のような番組です。