AIエージェント導入の進め方【前編】
導入支援の責任者が語る、業務選定とデータ整理のポイント
2026年10月30日掲載
AIエージェントへの注目が高まる一方、実際の業務へ導入しようとすると、「どの業務から始めるのか」「必要なデータは何か」など、具体的な検討が必要になります。
本記事では、ソフトバンクのAXソリューション本部でAI活用を推進する皿池に、AIエージェント導入の一連の進め方をうかがいました。前編では、導入の全体像から、対象業務の選定、業務理解、データ・ナレッジの整理まで、導入支援の現場で得られた知見を交えて紹介します。
お話をうかがった方
AIエージェント導入時の最初の壁:「何から始めるか」は現在地の確認から
――企業のAIエージェント導入支援で担っている役割を教えてください。
皿池:「データ統合基盤からAI、AIエージェントまで、企業のデータ・AI活用を支援するのが私たちの役割です。お客さまと直接対話し、要件整理から導入・定着まで一気通貫で対応しています。
ソフトバンクはマルチベンダーとして、Google の「Gemini Enterprise」や「Microsoft Copilot Studio」に加え、自社開発の自律型AIエージェント「AGENTIC STAR」など、複数の選択肢を提供しています。
こうした選択肢の中から、特定の製品ありきではなく、お客さまの業務課題や既存環境に応じて、適したサービスや基盤を選定します。製品の導入にとどまらず実際の業務で活用し、成果につなげるところまで支援することを大切にしています 」
――AIエージェントの導入を検討する企業は、どのような状態で相談されることが多いですか。
皿池:「これからAIを全社的に入れていきたいというお客さまもいれば、すでに生成AIを活用し、次は特定の業務を担うAIエージェントを作りたいというお客さまもいます。AIエージェントの捉え方も企業によって異なるため、まず今どの段階にいて、何を実現したいのかを確認します。
『どこから始めればよいか分からない』という場合には、現在のIT環境やAIの利用状況から整理します。ユースケースがまだ定まっていない、データ基盤があるもののAIが使える状態にはなっていないなど、お客さまの状況はさまざまです」
つまり、AIエージェントをどう作るかを考える前に、まず自社の現在地を把握し、どの業務から取り組むかを定める。皿池は、そこが導入時の最初のポイントだと話します。
――AIエージェントを使う業務がまだ決まっていない場合、どう進めますか。
皿池:「ユースケースを一緒に考えるところから支援します。業務部門の方に参加いただくワークショップなどで、AIエージェントの具体例や実際に動くものを見せながら、自社業務で使えそうな候補を出していきます。
候補は、期待できる効果や業務負荷、関わる人数などを見ながら整理します。ただし、『ユースケースができた=AIエージェントで実現できる』ではありません。エンジニアも入り、技術的な実現性を確認した上で、PoC(概念実証)で検証する候補を絞っていきます」
AIエージェント導入の全体像:7つのSTEP
――では、ユースケースの候補を絞り込んだ後、導入から定着までの流れを教えてください。
皿池:「全体としては、大きく7つのSTEPで考えています。対象スコープを決め、業務を理解し、データやナレッジを整理します。その後、環境構築、エージェント設計、評価・改善を経て、最後に本番展開・定着へ進みます。
ただし、必ずしも一直線ではありません。必要な情報が足りなければ前のSTEPへ戻りますし、お客さまと完成イメージを合意するために、初期段階でダミーデータを用いたデモ環境を構築することもあります。
また、検証を始める前に、成功を判断する指標(KPI)を合意します。例えば、業務の完了率、処理時間、手戻りの発生状況を現状と比較し、AIの利用料や人による確認を含む運用コストも踏まえて評価します。『動いたか』だけでなく、『業務として使い続ける価値があるか』を判断するためです 」
前編ではSTEP1〜3、後編ではSTEP4〜7を取り上げます。
STEP1|対象スコープ選定(業務と範囲を決める)
――候補の中から取り組む業務と対象範囲はどう絞りますか。
皿池:「お客さま側で『本当にAIエージェントを入れて改革したいユースケースはどれなのか』を具体的に考えます。その中で、『エージェント化したときに本当に効果が出るのか』『技術的に実現できるのか』を確認しながら、対象を絞っていきます。この段階がかなり重要なポイントです」
ユースケース創出で「使えそうな業務の候補」を見つけ、STEP1で「今回どの業務を、どこまで対象にするか」を決める。ここまで整理できたら、次は対象業務そのものを深く理解していきます。
STEP2|業務理解(人の判断・暗黙知を把握 )
――対象スコープが決まった後、業務はどこまで具体的に理解する必要がありますか。
皿池:「例えば決裁業務なら、情報収集、申請書の作成、内容確認、承認、結果の記録までを分解します。各段階で使うデータと判断基準、例外時の対応を整理し、どこに人の判断や権限が必要なのかを明らかにします。
実際の業務は一つのシステムだけで完結するケースの方が少なく、複数のシステムから情報を取り、時には人が介入して次の手順へ渡すこともあります。そうした人の動きやシステム間のつながりまでを可視化します。
また、製造業、金融業、貿易関連業務など、業界や業務ごとに必要な知識は異なります。支援する側も対象業務を理解した上で、どこをエージェント化できるのかを考える必要があります」
――業務を理解する際、特に見落としやすいポイントを教えてください。
皿池:「業務フローだけでは見えない暗黙知です。熟練者は、長年の経験から本人も意識せずに判断していることがあります。そうした暗黙知をどう引き出すかは重要です。
例えば製造業の相談では、熟練者が設備データのグラフや波形から故障や設備停止につながる兆候を経験的に読み取っていました。その判断は若い方へ簡単に引き継げるものではなく、いわば『秘伝のたれ』のような暗黙知になっています。
こうした判断をAIで支援するには、ヒアリングに加え、過去のデータと判断結果を照らし合わせ、どの条件で判断できるかを検証する必要があります。例えば設備の波形分析では、過去のデータや熟練者の判断をもとに、故障の兆候を捉える方法を検討します。AIエージェントは、その分析結果をもとに情報整理や担当者への確認依頼を行い、設備停止などの重要な判断は人が担う、といった役割分担も考えられます。」
業務を理解することで、人がどこで判断し、何を補いながら業務を成立させているのかが見えてきます。ここまで整理して初めて、AIに任せる範囲と必要なデータを具体化できます。
STEP3|データ/ナレッジ整理(AIが使える形に整理)
――データ/ナレッジ整理では、何を確認しますか。
皿池:「データをきれいにしてからでないと始められない」と考えがちですが、まず確認すべきなのは、対象業務に必要な情報が、必要な精度と更新頻度で使えるかどうかです。全社のデータを一度に整えるのではなく、業務ごとに必要な品質を見極めます。
そこで業務理解と併せて、どのようなデータが流れているのか、そのデータはどこから取っているのか、人がデータを加工したり、不足情報を付け加えたりしていないかまで確認します。
そうすると、今のデータだけで足りるのか、ほかから持ってきて組み合わせれば使えるのか、人が一度判断しないといけないのかが見えてきます。足りない情報があれば業務理解へ戻りますし、人の判断を残さなければ業務が成立しない場合は、AIに任せる範囲そのものを見直します」
――必要なデータが見えてきた後、AIエージェントが使える状態にするには、どのような整理が必要ですか。
皿池:「簡単に言うと、AIがデータの意味を適切に解釈して利用できる状態にすることです。人間ならExcel やPowerPoint を見て文脈から意味を読み取れますが、AIがデータベースを参照する場合、この項目が何を意味するのかという定義が必要です。
例えば『売上』という項目でも、受注額なのか計上済みの金額なのかで意味が変わります。項目の定義、単位、集計ルール、参照元などを、メタデータや業務ルールとして整理します。その上で、対象業務に必要な情報をAIが参照できるようにし、実際の出力で確認します。 データが存在していることと、AIがその意味を理解して使えることは同じではありません」
――では、必要なデータが十分にそろっていない場合、どう進めますか。
皿池:「『データがないからできない』と諦めず、どうすれば進められるかを考えます。最低限のデータや場合によってはダミーデータを使ってでも、ユースケースを一度回してみることが重要です。
本当にデータ基盤が必要であれば先に整備します。一方、対象業務によっては、大規模なデータ基盤を先に構築せず、既存システムのAPIやコネクターを通じて必要な情報を取得するところから始められます。ただし、データに接続できることと、業務で安全・継続的に使えることは別です。権限や更新頻度、障害時の対応を確認し、複数業務への展開などで共通化が必要になれば、データ基盤の整備を検討します 」
AI導入に必要なデータを最初から全てそろえるのではなく、実現したい業務から逆算して考えます。足りない情報があれば業務理解へ戻り、人の判断が必要ならAIに任せる範囲を見直す。STEP2と3を行き来しながら、実際の業務として成立する形を探っていきます。
AIエージェント導入の第一歩は、業務への深い理解
AIエージェント導入では、最初から「AIに何をさせるか」を考えるより、まず自社の業務を丁寧に整理することが重要です。 人がどこで判断し、どのデータを使い、何を補いながら業務を進めているのかが分かれば、AIに任せられる範囲や本当に必要なデータも見えてきます。
対象業務によっては、全てのデータがそろっていなくても、まずは検証から始められます。 実現したい業務を起点に、対象を絞って小さく試し、不足があれば業務やデータの整理に戻る。こうした行き来を重ねながら、自社の業務に合った形へ近づけていきます。
後編では、この土台をもとに、STEP4〜7の「環境構築」「エージェント設計」「評価・改善」「本番展開・定着」を取り上げます。AIエージェントを作るだけで終わらせず、実際の業務で使い続けるために何を設計し、どう評価・改善していくのかを見ていきます。
AIによる記事まとめ
ソフトバンクのAIエージェント導入支援について、業務選定からデータ・ナレッジ整理までの進め方を紹介しています。導入は7つのSTEPで進め、前編では「対象スコープ選定」「業務理解」「データ/ナレッジ整理」に焦点を当てています。効果と実現性を踏まえて対象業務を絞り、人の判断や暗黙知を含む業務の流れを可視化。必要なデータの意味や品質を確認し、不足があればSTEPを行き来しながら小さく検証することで、実際の業務に合ったAIエージェントの導入を目指します。
※上記まとめは生成AIで作成したものです。誤りや不正確さが含まれる可能性があります。
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ビジネス現場で使える、ソフトバンクのAIソリューション
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