プレスリリース(旧ソフトバンクテレコム) 2014年

高速・広帯域移動通信システム対応の
「時間・空間電波伝搬推定法」の国際標準化を達成

2014年1月28日
ソフトバンクモバイル株式会社
ソフトバンクテレコム株式会社

ソフトバンクモバイル株式会社とソフトバンクテレコム株式会社は、国際電気通信連合 無線通信部門(ITU-R)※1において、無線通信に関する国際規格(勧告)の標準化を推進していますが、このたび、両社が開発した高速・広帯域移動通信システム対応の「時間・空間電波伝搬推定法※2」(以下「本推定法」)に関する勧告が承認され、発行されましたのでお知らせします。本推定法は、国内での審議を経て、日本案として提案されたもので、ITU-Rにおいて両社の提案が単独で全て標準化(完成)したことは初めてとなります。

本推定法は、電波の伝搬遅延時間特性と到来角度特性を同時に推定する高速・広帯域移動通信システムの開発に不可欠な電波伝搬推定法で、LTEやLTE-Advancedの屋外マクロセル※3のシステム評価などに対応しています。標準化された本推定法が、無線伝送技術の設計やセル設計のシステムに応用されることで、通信事業者は、より効率的な移動通信ネットワークシステムの構築が可能になります。

本推定法は、基地局受信(上り回線)と移動局受信(下り回線)における推定法で構成され、さらに基地局と移動局間が「見通し外」、「見通し内」※4と伝搬環境ごとに構成されますが、両社では、2007年に見通し外伝搬環境を対象として開発した基地局における本推定法を勧告ITU-R P.1816※5として標準化しました。2012年には屋外の見通し内伝搬環境を対象として開発した基地局における本推定法を追加修正して勧告ITU-R P.1816-1として標準化し、2013年9月に見通し内、見通し外伝搬環境を対象として開発した移動局における本推定法を追加修正し勧告ITU-R P.1816-2として標準化され、12月にITU-Rのホームページで公開されました。この勧告により、屋外マクロセル対応の本推定法の標準化を全て達成しました。

なお、本成果の一部は、総務省から委託された「電波資源拡大のための研究開発(異なる大きさのセルが混在する環境下における複数基地局間協調制御技術の研究開発)」(2008年度~2011年度)、「電波資源拡大のための研究開発(3次元空間セル構成において非同期ネットワークを用いた基地局連携干渉制御の研究開発)」(2013年度)によるものです。また、ITU-Rにおける標準化活動は、総務省情報通信審議会ITU-R部会電波伝搬委員会のもとで行い、東京工科大学の佐藤 明雄教授(電波伝搬委員会主査)には活動当初から多大なるご支援およびご助言をいただきました。

今後もソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコムでは電波伝搬推定のような基礎的な研究開発やその成果の国際標準化活動を通して、通信業界の発展に貢献します。

[注]
  • ※1ITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)について
    国際電気通信連合 無線通信部門(International Telecommunication Union Radiocommunications Sector)は、国際電気通信連合(ITU)の部門の一つ。無線通信に関する標準化や勧告を行う機関であり、衛星通信のような国をまたがる電波の平等で経済的な割り当てや、異なる方式の無線電波による相互干渉を防ぐための基準の制定など、電気通信の標準化と促進活動を行っており、対象となるシステムは、テレビ放送、移動体通信、無線通信や衛星放送などがある。傘下に数々のStudy Group(SG)を持ち、Recommendation(勧告)を策定する。SG3は電波伝搬を担当する。勧告とは、ITU-Rが電気通信システム、ネットワーク、サービスに関する技術、運用、性能および保守などに関した国際規格を指す。数年に一度、世界無線通信会議(WRC)を開催し、無線通信規則(RR)を改定する。RRには法的な拘束力があり、ほぼそのまま電波法に反映される。
  • ※2時間・空間電波伝搬推定法について
    無線通信における電波伝搬の基本特性である電波の伝搬遅延時間特性(一般に「時間特性」と呼ぶ)と基地局および移動局への電波の到来角度特性(一般に「空間特性」と呼ぶ)を同時に推定する方法。周波数利用効率の高い広帯域移動通信を実現するためには、伝搬路の周波数相関特性、空間相関特性の高精度な推定が不可欠である。伝搬路の周波数相関特性は電波伝搬遅延時間特性から、空間相関特性は電波到来角特性から求めることができる。
  • ※3屋外マクロセルについて
    比較的広いサービスエリアを確保するために基地局アンテナをその周辺建物高よりも高く設置した基地局でカバーされるサービスエリア。
  • ※4「見通し外」、「見通し内」
    基地局と移動局の間にビルなどの建物があり、基地局から移動局を見通すことができない伝搬環境を「見通し外」環境と呼び、道路際に基地局があり基地局から移動局を見通すことが可能な伝搬環境を「見通し内」環境と呼ぶ。なお、移動通信では基地局から移動局が見通せない「見通し外」環境がほとんどである。
  • ※5勧告ITU-R P.1816について
    ITU-Rで「時間・空間電波伝搬推定法」に対して発行された勧告番号。「P」は伝搬をあらわす「Propagation」の頭文字であり、1816は勧告の識別番号。続く「-1」、は改定番号であり、「1」は1回目、「2」は2回目の改訂であることを表している。今回の勧告についてITU-Rのホームページでは、「Recommendation ITU-R P.1816-2『The prediction of the time and spatial profile for broadband land mobile services using UHF and SHF band』」として掲載されている。
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