2025年3月期 第2四半期
決算説明会 主な質疑応答

日時 2024年11月8日(金)
午後4時~5時10分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • (株)NTTドコモが10月から“ahamo”の利用可能データ量を30GBに引き上げた。今後のソフトバンク(株)への影響をどのように見ているか。

    “ワイモバイル”と“LINEMO”の料金プランを刷新し、競争力を維持できていると考えている。一社でも競争の動きがあれば対抗せざるを得ない。今はあらゆる物価が上がっている中で通信料だけが値下がりしている状況。われわれにも多くの取引先や社員がいるので、このままで良いのか、業界全体で考えなければならないと思っている。中長期的には、物価の上昇に応じた値上げが当たり前のようにできる市場になるとありがたい。

  • “ワイモバイル”から“ソフトバンク”へのブランド移行を促進させる施策はあるか。

    “ワイモバイル”から“ソフトバンク”へブランド移行するユーザーの動機は、利用可能データ量が無制限であることと、「ペイトク」で「PayPay」の利用金額に応じた「PayPayポイント」の付与があること。「ペイトク」の魅力をさらに高めていきたいと考えている。

  • 総務省のルール改定により、「端末購入プログラム」における買取予想価格の算定方法が変更になるが影響は。

    経営に大きな影響が出ることは想定していない。これまでもルールを守りながら「新トクするサポート」などでさまざまな工夫を行ってきた。一方で、昨今では携帯端末の価格が高騰しており、現行の値引きルールが時代に合っているのか疑問に感じている。

  • 現行の中期経営計画で掲げている「年間100万件水準のスマホ純増」という目標は引き続き維持するのか。

    今年度は100万件水準の純増を見込んでいる。引き続き純増は重視するが、無理な獲得コストを投下して純増だけを追い求める経営をするのではなく、ARPUの向上にもこだわっていきたい。

  • KDDI(株)がOpensignalのモバイルネットワーク体験レポートで高評価を得たが、ソフトバンク(株)の今後の通信品質の改善や取り組みについて教えてほしい。

    KDDI(株)が進めてきたネットワーク改善が、一定の評価を受けたものだと認識している。当社は、2024年1月に発生した能登半島地震の影響で、3Gサービスの終了を当初の予定より3カ月(石川県以外)から6カ月(石川県のみ)ほど延期した。その結果、予定していたネットワークの構成変更などが遅れ、影響したと考えている。2024年12月末までに巻き返すべく取り組んでいる。

  • 楽天モバイル(株)の契約数が増加しているが、どのように受け止めているか。

    当社に与える影響は軽微と捉えている。

  • 日本電信電話(株)とトヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)がモビリティAI基盤構築で協業を発表したがどのように受け止めているか。

    報道前に、トヨタからご連絡をいただいていた。非常に良い取り組みであり、お声がけいただければ参画したい。当社も、セルラーV2Xや自動運転のサポートに使うAIの開発に取り組んでいるほか、AI-RANをはじめとする未来交通に向けた要素技術の開発にも取り組んでいる。事故や渋滞のない世界を目指していきたい。

  • KDDI(株)がサイバーセキュリティ企業の(株)ラックを完全子会社化すると発表したが、どのように捉えているか。

    セキュリティの重要性が高まっているため、その領域を強化したいという考えであると受け止めている。当社も同様の考え方の下、2024年9月にSBテクノロジー(株)を完全子会社化した。

  • ディストリビューション事業において、外部顧客向けのAIサーバーの売上が好調とのことだが要因は。また、どのような需要があるのか。

    現在は、製薬業界など、生成AIに関心の高い一部の業界がAIサーバーを導入している。他にも、多くの法人顧客からまとめて購入したいという要望をいただいており、今後も大きな需要になると見込んでいる。

  • PayPay(株)が成長している要因と、上場についての考えは。

    認知率の向上や加盟店数の増加により、「PayPay」が世の中に広く受け入れられた結果であると受け止めている。また、コストを意識した経営も功を奏している。上場については急いでおらず、PayPay(株)の取締役会が決めるべきことであり、当社は見守る立場にあると考えている。

  • 「PayPay」のサービス開始から6年が経過したが、これまでの成長についてどのように受け止めているか。

    PayPay(株)は、ソフトバンクグループ(株)、LINEヤフー(株)、当社が連携し、グループ横断で行った新規事業であり、しっかりと結果を残すことができた。将来の経営陣が新規事業を立ち上げるにあたっての「お手本」になったと捉えている。

  • コンシューマ向けの生成AIサービス「Perplexity」の状況は。

    好評をいただいている。当社は、AIの利便性をお客さまに理解していただくために、「Perplexity Pro」を1年間無償で提供※1している。

    [注]
    1. ※1
      “ソフトバンク”、“ワイモバイル”、“LINEMO”のお客さまを対象に、「Perplexity」の有料版「Perplexity Pro」を1年間(2024年6月19日~2025年6月18日)無料で提供
  • コンシューマ向けに、自社開発した4,600億パラメーターの大規模言語モデル(LLM)をどのように活用していくのか。

    「Perplexity」のようなサービスに組み込まれる生成AIモデルの一つにしていきたいと考えている。一つの区切りとして、4,000億パラメータークラスのLLMを日本でも作れると示すことができたと考えている。
    今後、端末側に「Apple Intelligence」や「Gemini」などのコンシューマ向け生成AIが搭載されることが主流となってくると予測している。通信キャリアの責務として、それらの生成AIサービスがどこでも使える環境を整備していきたい。

  • シャープ(株)の堺工場跡地を活用したAIデータセンターの構築についての交渉状況は。

    最終的な合意に向けて協議を進めている段階であり、2024年内に決着したいと考えている。堺市との協議を経て、AIデータセンターへの転用は問題がない見込みとの回答を得ている。

  • 大阪府堺市でのAIデータセンターの構築が当初の見込みから遅れていることや、米NVIDIAの次世代GPU「NVIDIA Blackwell GPU(B200)」の供給が遅れていることについて、どのような認識なのか。

    大阪府堺市でのAIデータセンターの稼働は、当初の予定より1年程度遅れる見込み。一方で、「NVIDIA Blackwell GPU(B200)」については、当社は世界で最も早く※2導入する企業となる見込みであり、来年早々には納品される予定である。
    2024年度上期に研究開発費があまり発生しなかったように見えるが、生成AI等への先行投資は遅延していない。下期には上期よりも多く発生の見込み。2024年度通期の「その他」の赤字の見込みが減少したのは、期初に想定していたリスク要因が縮小したことが主な要因。

    [注]
    1. ※2
      「NVIDIA Blackwell GPU(B200)」を搭載したDGX SuperPODを大規模に導入した世界初の企業の1社
  • Rapidus(株)への追加出資の状況は。

    金額は開示できないが、出資意向を表明したことは事実。半導体を自国で生産したいという日本政府の思いは理解しており、できる限りの協力はしていきたい。一方で、本業ではないため出資額には限度がある。一株主として今後の成功を見守っていきたい。

  • PayPay(株)やLINEヤフー(株)などの利益が伸びているが、ソフトバンク(株)および完全子会社のビジネスから生み出される利益を今後どう伸ばしていく考えか。

    2025年に予定している通期の決算説明会や株主総会、次期中期経営計画の際に説明したいと考えているので、詳細はそれまでお待ちいただきたい。
    ここ数年は、通信以外の領域を成長させるべく投資を行ってきた。特にデータセンターやAI-RAN関連などのソフトウエアの開発に注力してきたので、今後の成長に期待してほしい。

  • 米国大統領選挙の結果が事業に与える影響は。

    政治に関するコメントは控えるが、当社の事業が大きく影響を受けることはないと想定している。早期に政治が安定し、経済や安全保障などの諸課題に適切に対応いただくことを期待したい。