2010年3月期 第1四半期 決算説明会

ソフトバンク株式会社は2009年7月30日に、2010年3月期 第1四半期 決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様はビデオオンデマンドも公開していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算説明会翌日に開催したアナリスト説明会の模様をあわせてご覧ください。

決算説明会の模様

[イメージ]2010年3月期 第1四半期 決算説明会

決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原が出席しました。

登壇した孫はまず「ソフトバンクは創業以来いくつかの大きな山を乗り越えてきた」と語り、インターネット事業やブロードバンド・インフラ事業の開始、そして移動体通信事業への参入が、結果としてすべて成功だったことを説明しました。
また今回の決算については「ソフトバンクはこれから自らの足でしっかりと歩んでいけると実感していただける内容」と自信を見せました。

決算概要

決算概要の説明に入り、孫は2010年3月期第1四半期決算(2009年4月~2009年6月、以下「当四半期」)のハイライトとして、以下の3つを挙げました。

  1. 増収増益を達成
  2. 移動体通信事業が増収増益で牽引
  3. フリーキャッシュフロー*1大幅改善

当四半期のソフトバンクグループの連結業績は、売上高が6,663億円(前年同期比3%増加)、EBITDAが1,848億円(同14%増加)、営業利益が1,082億円(同27%増加)、経常利益が787億円(同45%増加)、そして四半期純利益が273億円(同41%増加)となりました。なお、四半期ベースの営業利益は、創業以来初めて1,000億円を突破しました。

増収増益を達成した背景には、移動体通信事業で通信料収入や携帯電話端末の販売台数が増加したことに加え、主要事業の営業利益が前年同期比で順調に増加したことが挙げられます。

[注]
  • *1フリーキャッシュフロー(FCF)=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー。

フリーキャッシュフロー

次に孫は、2009年度のフリーキャッシュフロー予想額2,500億円について「着実に実現できるめどが立っている」とし、2009年4月に発表した今後3年間のフリーキャッシュフロー創出目標額にも変更はないと説明しました。ソフトバンクは2009年度からの3年間で累計1兆円前後のフリーキャッシュフロー創出を見込んでいます。さらに、純有利子負債*2残高については、2011年度末には2008年度末の半分の水準へ、2014年度末にはゼロにすることを目標として掲げ、「純有利子負債ゼロ」を達成するまでは大規模投資をしないことを基本方針としています。

孫は、フリーキャッシュフロー創出の源泉は、移動体通信事業、固定事業*3、ヤフーの3つであると説明し、それらが今後どのようにフリーキャッシュフローを創出していくのか詳しく解説しました。

アジアNo.1インターネットカンパニーへ

ソフトバンクの企業ビジョンを支える戦略の柱が「モバイルインターネットNo.1」「アジアインターネットNo.1」です。この2本の柱の中でも特に、「アジアインターネットNo.1」を実現するための取り組みはすでに加速し始めています。

「中国でビジネスをしないのは、事業家としていかがなものか」
決算説明会後半、中国でのビジネスの説明に移ると孫はそう語り、目覚ましい成長を続ける中国市場の魅力とその計り知れない成長性について解説しました。そして、ソフトバンクが投資をしているAlibaba Group Holding Limited(アリババグループ)傘下のAlibaba.comやTaobao.comなどの中国のインターネット企業は、今後も確実に成長していくだろうと自信を見せました。

[注]
  • *2純有利子負債=有利子負債(リース債務を除く)-手元流動性。
    有利子負債:短期借入金+コマーシャルペーパー+1年以内償還予定の社債+社債+長期借入金。リース債務を含まない。
    手元流動性:現預金および流動資産に含まれる有価証券。
  • *3固定事業=ブロードバンド・インフラ事業+固定通信事業。

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q.

当四半期のARPU*4が増加しているようだが、2009年度で完全に底を打ち増加していくという見通しでよいか。その場合、音声と基本料はこれからも多少変動し、データARPUは増加していくという理解でよいか。

A.

大きなトレンドとして、今後も多少の変動はあるものの、データARPUの伸びが音声ARPUの下落を上回る時期に来ていると受け止めています。24ヵ月の割賦販売に伴う月月割明けのお客様が増えることも貢献しています。他の機種もiPhone™化し、データARPUが増加していくでしょう。

[注]
  • *4Average Revenue Per User:契約者1人当たりの平均収入。
Q.

当四半期の携帯電話端末販売台数は何台か。前年同期比はいくらか。

A.

今期(2010年3月期第1四半期)の販売台数は約200万台。前期2009年3月期第1四半期)の販売台数は約181万台でした。

Q.

パケットし放題の加入率は。

A.

パケットし放題の加入率は3Gユーザ数の約50%です。加入率に特に大きな変化はありませんが、加入件数は徐々に増えています。また、平均パケット使用率も上がってきており、パケットし放題の上限に達する人も増えてきています。今後も、動画や音楽などのコンテンツが増えるとともにパケットし放題の加入者数も増え、上限に達する人の割合も増えていくでしょう。モバイルインターネット化を推し進めて行くことで、今後もパケットし放題の加入者が増えていくと思います。

Q.

iPhone以外の機種もiPhoneのようになっていくということだが、その道筋が見えにくい。
また、iPhoneにどのようなソフトバンクなりの味付けをしていくのか。

A.

長期的に見れば、ほとんどの携帯電話がiPhoneのようになっていく道筋ははっきりと見えています。また、iPhoneはソフトバンクが味付けをしなくても、すでに十分優れています。ワンセグや絵文字を搭載するなど、ソフトバンク独自の機能は追加しましたが、すでにたくさんの優れたiPhone向けのアプリケーションが世界中のクリエーターによって生み出され、にぎわっています。日本独自のワンセグやおサイフケータイなどの機能は、日本以外の国で展開されるiPhoneには搭載しにくいと思います。反対に、一般的な日本の携帯電話がiPhone化していくときには、ワンセグやおサイフケータイを標準搭載することになると思いますし、ソフトバンクならではの味付けをしていくことも考えています。

Q.

新スーパーボーナスの月月割の割引対象から基本料が除外されるということだが。

A.

現在テストを行っていますが、全国的に実施するかどうかはまだ検討中です。我々のお客様の中には月々のお支払い総額が8円だけという方もいます。こうした方々が、我々のネットワークを他のお客様と同じように使用すると、ほかのお客様にとって不平等になってしまいます。もともと、4,000円程度していた携帯電話の基本料を、我々が値下げしました。少なくとも基本料は払っていただきたいという思いで、現在検討しています。基本料以外の通信料などから割引をさせていただき料金を相殺すれば、以前と同じように月月割のメリットを受けることができます。

Q.

獲得手数料が増加している。売り上げが横ばいのまま加入者が増えると面は広がるが利益の伸びは減速する。
これについてどう考えるか。

A.

利益はキャンペーンなどで一時的に多少変動すると思いますが、長期的には大きく変動するものではありません。

Q.

現在の獲得手数料の水準についてどう考えるか。

A.

もう少し減少すると考えています。期によっては多少変動するかもしれませんが、ユーザ数が増加し出荷台数も下げ止まっているので、1台あたりの獲得手数料は落ち着いていくと思います。

Q.

パケットし放題加入者のパケット利用量が上がってきているとのことだが、直近ではどの位か。

A.

3Gユーザの約50%がパケットし放題に加入していますが、その中でも約40%が上限に達しています。そして約30%が下限にとどまっており、残りの30%程が中間にいるイメージです。割合は約3分の1ずつです。動画、音楽、ゲームなどさまざまなコンテンツが続々と登場しており、上限に達するお客様が増えてきています。お客様1人あたりの利用量は確実に増えており、前年比でも約10%伸びています。 なお、パケットし放題の上限に達しているお客様は、昨年度は約36%、今年度は約44%です。

Q.

選べるかんたん動画が100万件を突破し、PhotoVision(フォトビジョン)の売れ行きも好調とのことだが、それらの初動についての分析は。

A.

S-1バトル、選べるかんたん動画、かんたんミュージックは毎月着実に登録者が増えています。ユニークユーザでは2百数十万人を突破しています。利用頻度も増え、ダウンロード率も高くなっており、状況は着実に良くなってきています。ダウンロード数は月に300万くらいです。

PhotoVisionについては、他社製品よりも簡単に使えるということにこだわりました。電話番号だけで写真を送ることが可能で、受け取る側が何も操作をしなくても、全自動でスライドショーが始まります。日次で出荷が増加しています。このような新製品を今まで利用していなかったシーンで利用していただけるのは嬉しいことです。今後もさまざまなプロジェクトを検討しており、よりご満足いただけるお客様を増やしていきたいと思っています。

Q.

PhotoVisionの出荷台数は。

A.

数字の公表は時期尚早ですが、日々増加しています。

Q.

中国市場に関して、アリババ以外の企業の上場についてはどう考えるか?今後の展望は。

A.

今のところB2BであるAlibaba.comだけが上場しているという状況ですが、Taobao.com、Oak Pacific Interactive(OPI)、Alipayも急成長しています。今すぐ上場しなくても、これらの事業はキャッシュフローが十分にあり、手元現金も2,000億以上あります。いずれ上場ということは当然考えていますが、慌てる必要はありません。上場は一部株式を売却することなので、現時点のようにまだ株価が低い時期にすることはないと思います。

Q.

固定通信事業は減収増益ということで今期の業績は良いが、中長期で見た成長戦略はどうか。増益の理由については、他社に比べFTTHへの投資をしていないからとも思えるが、改めてグループにおける固定事業の位置づけを教えて欲しい。

A.

FTTHについては、やりたくてもやれないという状況です。手続きが非常に煩雑で、コスト採算性がよくありません。電柱を持っている会社と持っていない会社とでは、そもそも前提が違います。手続きや採算性などを考慮して、あまりにもハンディキャップが多いので、やらないと決定しました。しかし、ソフトバンクBBやソフトバンクテレコムの事業については、我々なりの戦略を用意しています。まだ企業秘密ですが、事業を先細りにしようとは思っていません。

Q.

国内の携帯電話端末販売台数を見ると、NTTドコモとKDDIが大幅に減少している中でソフトバンクは台数を伸ばしている。iPhoneに救われたということか。

A.

iPhoneの販売台数が伸びたのは事実です。しかし、割賦販売の影響で割賦期間(24ヵ月または12ヵ月)が過ぎるまでは携帯電話を買い替えないお客様が増えてきました。他社も割賦形式を取り入れたので、頻繁に携帯電話を買い替えないお客様が増加したことによる影響で、販売台数が減少しているのだと思います。我々は他社に先行して割賦販売をはじめたので、先に販売台数の底打ちを経験しましたが、他社も24ヵ月経てば底を打つでしょう。

Q.

国内の携帯電話端末メーカーの経営状況が厳しい局面にある一方、アップルのような世界的に好調な端末メーカーも出ている。国内の携帯産業が浮上するにはどうすればよいと思うか。

A.

海外戦略をもっと積極的にするべきでしょう。もともと日本のメーカーは、テレビやミュージックプレーヤーにしても世界にそのブランド名をとどろかせ海外に販路を持って経営を進めてきました。しかし、携帯電話や固定電話については、世界から分断されたような日本特有の通信政策を行ってきており、それが日本のメーカーの悲劇の始まりだと思っています。2Gについてはそれがとても顕著に現れています。3Gについては世界共通の仕様になっていますが、日本のメーカーは殻に閉じこもったままです。

日本メーカーが内向き志向で閉じこもり型経営になってしまったことが、厳しい経営状況に陥ってしまっている最大の理由です。我々通信キャリアは音声利用からデータ利用増へと移行しており、通信モジュール、マシーン・トゥ・マシーンやマン・トゥ・マシーンなど、さまざまなビジネスモデルを成長戦略として展開していきます。メーカーは世界へ、そして我々通信キャリアはPhotoVisionなどのような新しい製品をもっと増やしていくべきだと思います。

Q.

JILの進捗状況は。

A.

現在、合弁会社である「JIL B.V.」(ジョイント・イノベーション・ラボ)のプラットフォームを作っている最中です。このプロジェクトには世界の通信4社(Verizon Wireless(ベライゾン・ワイヤレス)、中国移動有限公司(チャイナモバイル)、Vodafone Group Plc(ボーダフォングループ)、ソフトバンク)の経営者が積極的に関わっており、大切なプロジェクトです。

Q.

JIL実装の端末の発売時期はいつ頃になりそうか。

A.

来年(2010年)を予定しています。

Q.

チャイナモバイルがグーグルのAndroidを搭載した「OPhone」を発売するようだが、ソフトバンクでも発売する可能性はあるのか。

A.

良いものは何でも真剣に検討していきます。

Q.

先週、総務省の接続料問題に関しての報告書案が出たが、どう考えるか。

A.

我々は接続料の内訳を透明化し、フェアにすることに賛同しています。接続料に営業費用が計上されるのは問題があるということで、決着がつきそうです。ソフトバンクでは、営業費用が約10%なのに対し、一説によるとNTTドコモやKDDIでは約30%~40%含まれると聞いています。つまり、もし接続料の引き下げが実際に起こると、影響が大きいのはNTTドコモとKDDIということになります。しかし、NTTドコモの収益は下がるとしても、NTT東西は利益を増やすことになります。本来なら、固定についても議論がなされるべきです。

営業費用が含まれるのが不当という判断がなされたら、NTTドコモやKDDIは我々以上に営業費用を含んでいるので、結果的には減収するという計算になります。

Q.

顧客の料金には関係ないのか。

A.

払う側の費用が減るということは、受け取る側の費用も減るということであり、差し引きするとあまり変わりません。

Q.

接続料が値下げされると固定でも値下げをする事業者が出てくると思うが、どう思うか。

A.

それは、各社の経営判断だと思います。

Q.

今後 FTTR*5を提供しやすくなると思うが、積極的に展開する予定はあるのか。

A.

電柱の所有権を持っていない我々には事実上開放というわけではないので、採算が合わないと思っています。

[注]
  • *5Fiber To The Remote terminal:NTT局舎からユーザの建物の直近まではFTTH (Fiber To The Home)と同様に光ファイバーで伝送し、電柱等に設置した伝送装置を介してユーザまでの区間はADSLと同様にメタル線を利用して伝送する方式
Q.

貸出費用が安くなっても採算が合わないと思うか。

A.

総合的に考えても採算が合わないと思います。電柱を所有している方が圧倒的に有利です。本来電柱は国民のものであり、一企業が独占するのは問題があると思っています。同じコスト、同じ手続きで利用できるようにならなければ、本当の意味で対等な立場とは言えません。

[注]
  • *Apple、Appleのロゴは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。iPhoneはApple Inc.の商標です。
  • *iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。