2010年3月期 第2四半期 決算説明会

ソフトバンク株式会社は2009年10月29日に、2010年3月期 第2四半期 決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の映像をビデオオンデマンドで公開していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算説明会翌日に開催したアナリスト説明会の模様を併せてご覧ください。

決算説明会の模様

[イメージ]2010年3月期 第2四半期 決算説明会

決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原、同社CTOの宮川が出席しました。

登壇した孫はまず、「ソフトバンクグループが信じてきた『モバイルインターネット時代』がついにやってきた」と語り、iPhone™の売れ行き好調などを例えにあげながら、携帯電話事業への参入は成功だったと、改めて自信を見せました。

また孫は、今回の決算説明会について、ボーダフォン日本法人買収のための借入金の返済が、2009年3月期 決算説明会(2009年4月30日開催)で説明したとおりのペースで順調に進んでいることを実感していただける内容と説明しました。

最高益を更新

続いて詳細な説明に移ると、孫はまず2010年3月期 第2四半期 決算(2009年4月~2009年9月、以下「当第2四半期」)について、「最高益を更新した決算」と発表しました。さらに孫は、今回の決算で9つの「過去最高」を達成したと説明し、EBITDA、営業利益などを含めた連結業績に加え、主要事業の営業利益も引き続き順調に推移したと解説しました。

当第2四半期のソフトバンクグループの連結業績は、売上高が13,492億円(前年同期比2%増加)、EBITDAが3,871億円(同15%増加)、営業利益が2,306億円(同28%増加)、経常利益が1,735億円(同48%増加)、そして四半期純利益が707億円(同72%増加)です。

移動体通信事業で通信料売上と携帯電話端末売上が増加したことに加え、主要事業の営業利益が対前年同期比で順調に増加したことが、当第2四半期の増収増益を後押ししました。

フリーキャッシュフロー予想の上方修正

次に孫は、「2009年3月期決算説明会で発表した2009年度のフリーキャッシュフロー*1予想2,500億円を、3,000億円に上方修正する」と発表しました。孫は、3,000億円に上方修正したフリーキャッシュフローの源泉について、一時的な要因はほとんど含まれていないとし、2010年度と2011年度のフリーキャッシュフローも3,000億円を下回る可能性は極めて低いと説明しました。また、2011年度までの3年間の累計キャッシュフロー予想1兆円に関しては、「予想ではなく確信に変わった」と自信を見せました。

[注]
  • *1フリーキャッシュフロー(純現金収支)=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー。

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q.

1.5GHz帯の電波の使用方法は。1.5GHz帯に対応する端末はいつ販売予定か。

A.

来年販売予定の端末にはほとんど1.5GHz帯対応チップが内蔵されており、同時に今までどおり2GHz帯のチップも内蔵されています。現在、音声よりもデータ通信で多くのトラフィックが発生していますが、そのトラフィックを吸収するため、データ増大の受け皿として1.5GHz帯を利用していく予定です。

Q.

フリーキャッシュフローを500億円上方修正したが、これは営業キャッシュフローの改善によるものか、または割賦債権の売却によるものか。

A.

主に営業キャッシュフローが拡大しました。500億円のうち100億円は割賦債権の売却によるもので、残りの400億円は割賦債権以外の営業キャッシュフローの改善や、その他の要因によるものです。

Q.

設備投資の内訳について教えてほしい。

A.

1.5GHz帯への設備投資は全体の一部で、大半は2GHz帯のデータトラフィックをまかなうための設備投資です。iPhoneが予想以上に売れていることもあり、携帯電話端末販売の伸びに合わせてデータキャパシティを増やすことにしました。

Q.

400億円の設備投資増額では少なすぎるのではないか。今後の見通しは。

A.

今後、年間ベースで2,600億円よりは増えると思います。数ヵ月前に1.5GHz帯の免許を得ましたが、1.5GHz帯に関する設備投資が一段落するまではCAPEXが発生します。1.5GHz帯への設備投資が終わるとCAPEXは落ち着きます。まずは、iPhoneのようなデータ利用が中心の端末のデータトラフィックを吸収することが必要です。

Q.

明日から始まる総務省の情報通信政策に、孫社長もタスクフォースのメンバーとして入っているが、どのような議論がなされると考えているか。

A.

本件については明日以降コメントします。しかし、基本的に日本の国、国民、将来にとって、どのようなネットワークが最も良いかという観点から意見を言わせてもらいます。

Q.

日本版FCC*2の設立についてはどう考えるか。

A.

内容次第です。

[注]
  • *2米連邦通信委員会(FCC)を参考に検討されている、通信・放送担当の独立行政機関「通信・放送委員会」。
Q.

iPhoneによるデータARPU*3の押上げ効果は、今後もずっと続くのか。

A.

iPhoneのデータARPUは、他の端末に比べて非常に高いと言えます。iPhoneの販売台数については、数を控えさせていただきますが、我々の想定以上に売れています。全体の端末販売台数が増加し、iPhoneの台数の比率も伸びてきています。それに伴い、ARPUも増加しており、iPhoneはまさにソフトバンクモバイルの中核機種です。

[注]
  • *3Average Revenue Per User:契約者1人当たりの平均収入。
Q.

JIL*4のビジネスモデルや進捗状況について、再度説明してほしい。

A.

先日、上海でJILのパートナーである4社が集まってJILについての議論をしました。話は順調に進んでいます。JIL開発者は増加しているため、ユニークなコンテンツが増えています。それによりJIL対応端末が増え、顧客が増大するというビジネスモデルに貢献しています。ただ、本プロジェクトは始まったばかりなので、現時点では詳細についてのコメントを控えさせていただきます。

[注]
  • *4携帯電話端末を利用する新しいテクノロジーやアプリケーションサービスの開発を推進する合弁会社「ジョイント・イノベーション・ラボ(JIL)」。
Q.

OPI*5ではソーシャルゲームを提供しているが、日本では今後ソーシャルゲームをどのように展開していくのか。

A.

我々にとってOPIは戦略的に関係を持っている大切な会社です。アリババも、出資したばかりの頃はマスコミに取り上げられることもありませんでしたが、現在では中国で欠かせない存在となりました。OPIについては、昨年初めに出資の意思決定をした時、同社の運営するレンレンの会員数はまだ1千数百万人でした。しかし今日では1億人を突破しています。現在も毎月1千万人ずつ会員が増えているという状況で、恐らく来年中に会員数は2億人を突破するでしょう。アジアNo.1のインターネットカンパニーを目指す我々にとって大いに役立つ存在です。

ソーシャルゲームに関しては、ヤフーやロックユーアジアを通して世界中に展開したいと考えています。JILのプラットフォーム上に、これらのコンテンツが提供されると思います。

[注]
  • *5中国のOak Pacific Interactive社(OPI)。
Q.

パケットし放題は定額サービスなので、今後APRUが伸びるイメージが湧かない。将来的な見通しは。

A.

パケットし放題の上限は4,200円(税抜)です。APRUが伸び続ける理由は、今まで中間層にいたユーザが上限に張り付くようになり、下限に張り付いていたユーザが中間層に推移しているからです。パケットし放題のような2段階制料金プランの構造上、徐々に平均トラフィックが増加する傾向になっています。また、今までパケットし放題に入っていなかったお客様の、パッケトし放題への加入率が増えています。

Q.

1.5GHz帯に関する設備投資について、データトラフィックの受け皿のためと言っているが、他社のようにLTE*6などへの将来に向けた設備投資はあるのか。

A.

1.5GHz帯は、下りの通信速度が42MbpsのDC-HSDPA*7のネットワークに使用します。(3Gの)データのトラフィックを吸収し、速度も高めていきます。来年早々には1.5GHz帯で送受信できる端末が一気に出てきます。

LTEにも積極的に取り組みます。LTEは、700から900MHzの電波帯の認可をいただき、同周波数帯でサービスを提供していきたいです。2GHz帯で提供することも検討していますが、端末が揃わないと意味がありませんので、端末と通信ネットワークが相互に整った段階で提供したいと思っています。

[注]
  • *6long term evolution: 携帯電話の高速データ通信の規格の1つ。OFDM、MIMOなどの新規技術を用いたW-CDMAの発展系のシステムで、データ通信速度の高速化、接続遅延の短縮や周波数利用効率の向上など、全般的なパフォーマンスの向上を目的としており、W-CDMAの標準化団体である3GPP において精力的に標準化が進められている。
  • *7Dual Cell High Speed Downlink Packet Access: 複数の基地局を利用し、2倍以上の高速化を実現するHSPAという通信規格の1つ。
Q.

今回の決算資料の中で、2014年に純有利子負債*8を完済するというページが見当たらないが、コミットメントは実行されるのか。また、通信インフラの会社なので、純有利子負債を完済させることよりも、設備投資を優先したほうが良いのではないか。

A.

今回の資料内には含まれていませんが、コミットメントは実行します。2011年に純有利子負債を半減、2014年には完済します。

設備投資についても妥協はしません。他社に負けないよう、現在構築中です。例えば他社の基地局数のほうが少ないのに、我々に比べて電波が届きやすいのは、「電波の種類」の差であり「技術力」の差ではありません。しかし、お客様にそのような言い訳をするわけにはいかないので、我々はたくさんの基地局を作り、良い成績を出しています。今後はそれをさらに高めていきたいです。

[注]
  • *8純有利子負債=有利子負債(リース債務を除く)-手元流動性。
    有利子負債:短期借入金+コマーシャルペーパー+1年以内償還予定の社債+社債+ 長期借入金。リース債務を含まない。
    手元流動性:現預金および流動資産に含まれる有価証券。
Q.

アメリカでは3Gネットワークを利用したSkypeのようなデータトラフィックに対応した端末が増加しているが、ソフトバンク携帯電話サービスでの提供を考えているか。

A.

Skypeについては、現在検討中です。

Q.

2009年度の設備投資額が2,600億円ということだが、今後の設備投資額の水準はどうなるのか。

A.

来年以降の水準を数字で公表することはできません。しかし、3,000億円を上回るフリーキャッシュフローを保つレベルでの設備投資をしていくことになります。来年も2,600億円以上の設備投資をすることになるでしょう。1.5GHz帯への設備投資をひと通り終えたらピークは収まるはずです。

Q.

ソフトバンクモバイル単体についての詳細な決算状況を教えて欲しい。

A.

詳細については明日のアナリスト説明会でご説明する予定ですが、増収増益の大枠は売上高が7%増、営業利益が49%増という点です。若干の問題があるとすれば、解約率が1.24%ということでしょうか。

解約率が伸びている背景としては、以下の2点が考えられます。1点目は、2010年3月の2Gサービス終了に向けて、3G携帯電話への移行のご案内をしておりますが、中にはソフトバンクモバイルの3G携帯電話へ買い替えるのではなく、他社へ移ってしまうお客様もいます。しかし、同様のことが他社でも起きるので、これは一時的な要因です。2点目は、他社携帯電話とソフトバンクモバイルの携帯電話を2台お持ちのお客様が、2台目のソフトバンクモバイルの携帯電話を、割賦期間が終了したと同時に解約する場合です。ただし、1台目の他社携帯を解約して、ソフトバンクモバイルの携帯電話1台に集約し、それをメインに使ってくださる方もいます。こうした動きが経営的にはトータルでプラスに影響しており、増益にも貢献しています。

Q.

コスト削減についての試算は。

A.

iPhoneを除く携帯電話端末の平均コストが下がってきています。携帯電話端末の平均利用期間も延びてきています。また、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコムの3社間のシナジーにより、経営の効率化がより進展しています。

Q.

先ほど「これからの時代にPCを使用している人は化石のような人」と言ったが、モバイル以外の事業の見直しを行うのか。

A.

先ほどは少し極端に言ってしまいましたが、今後はPCとモバイル両方使うお客様が増加していく、という意味です。モバイル以外の事業については、今後モバイルに対応したサービスがなされていくようシフトしていきます。

Q.

来年早々にDC-HSDPAの設備投資を始めるとのことだが、iPhoneはDC-HSDPAに対応していないはず。iPhone以外の端末にも、再度力を入れていくということか。

A.

iPhoneはiPhoneで、今後も継続して力を入れていきます。しかし、それ以外の端末については、1.5GHz帯でDC-HSDPA対応のものを出していきます。 (1.5GHz帯を利用した)DC-HSDPAは、再来年の1月から出てきます。また、来年の9月からは7.2MbpsのHSDPAが始まります。来年早々より(1.5GHz帯と2GHz帯の)両方の電波を受けられる端末が市場に出て行きます。

Q.

iPhoneの供給状態はどうか。

A.

先々月くらいまでは品薄状態が続いていましたが、増産体制が整い、現在は問題ありません。

[注]
  • *iPhoneはApple Inc. の商標です。
  • *iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。