2010年3月期 決算説明会

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は2010年4月27日に、2010年3月期決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様はオンデマンド配信していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算説明会翌日に開催したアナリスト説明会の資料などを併せてご確認ください。

決算説明会の模様

決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイル株式会社(以下、ソフトバンクモバイル)CFOの藤原が出席しました。

今回の決算説明会の模様は、前回の2010年3月期 第3四半期 決算説明会(2010年2月2日開催)に引き続きユーストリーム(Ustream)とツイッター(Twitter)で同時中継されました。今回も、会場で投影されたユーストリームの視聴画面には、インターネットで決算説明会に参加していた視聴者からの“ツイート(コメント)”が途切れることなく寄せられていました。

登壇した孫はまず、今回の決算説明会開始と同時に、ユーストリームの日本語サイトが公開されたと発表し、「記憶に残る決算説明会になる」と喜びを語りました。

孫は、最近のユーストリームやツイッターの普及について、「誰もが自由にコミュニケーションに参加できる新しい時代が来た」と語りました。さらに、孫自身も日常的なツイッターユーザであることにふれ、「これまで以上に多くのお客様の意見に耳を傾けることが出来るようになった。それらがソフトバンクの経営判断に大きく生かされている」と説明しました。

決算概要

続いて決算内容の詳細な説明に移ると、孫は今回の決算説明会のハイライトが以下の3点であると説明しました。

  1. 2010年3月期 営業利益4,658億円
  2. 2011年3月期 設備投資計画4,000億円
  3. 純有利子負債*1削減目標に変更なし

2010年3月期のソフトバンクグループの連結業績は、売上高が2兆7,634億円(前期比103%)、EBITDA*2が7,876億円(同116%)、営業利益が4,658億円(同130%)、経常利益が3,409億円(同151%)、そして当期純利益が967億円(同224%)でした。

移動体通信事業で携帯電話契約数が増加し、収益が拡大したことで、連結ベースでの増収増益をけん引しました。なお、営業利益は全セグメントで増益となり、創業以来最高益を2006年3月期から5期連続で更新しました。

営業キャッシュフローおよび純有利子負債削減の源泉となるフリーキャッシュフロー*3は、それぞれ6,680億円のプラス(前期は4,478億円のプラス)と3,908億円のプラス(同1,815億円のプラス)となりました。このように順調にフリーキャッシュフローを創出していることから、2011年3月期の連結設備投資計画を4,000億円へと増額し、「攻め」の経営に転じることを発表しました。なお孫は、3年間のフリーキャッシュフロー創出の目標に変更はないと改めて説明しました。ソフトバンクグループは2010年3月期からの3年間で累計1兆円超のフリーキャッシュフローを創出し、純有利子負債残高については、2012年3月末には2009年3月末の半分の水準へ、2015年3月末にはゼロにすることを目標として掲げています。

モバイルインターネットの夜明け

続いて事業の説明に移ると、孫は「今回の決算には世界初の内容が一つある」と語り、ソフトバンク携帯電話サービスのデータARPU*4が初めて音声+基本料ARPUを上回ったと発表しました。世界の大手携帯電話事業者でも、過去にデータARPUがARPU全体の50%を上回った例はなく、孫は「ソフトバンクが目指してきたモバイルインターネットの時代が到来し、人々のライフスタイルが変わった」と語りました。

モバイルインターネット時代の戦略

次に孫は、モバイルインターネット時代を制するための戦略として、ソフトバンクの「ネットワーク戦略」、「デバイス戦略」、「サービス戦略」について解説しました。

「ネットワーク戦略」について、ソフトバンクでは、2009年から5年間でモバイルデータトラフィックが約40倍に増加すると想定し、現在のマクロセル中心のネットワーク設備をマイクロセル化(小セル化)することで、通信速度の向上を目指します。またネットワークのIP化により、従来よりも低コストでマイクロセル化の実現を目指します。

孫は、「ソフトバンクオープンDAY」(2010年3月28日開催)で発表した「ソフトバンク電波改善宣言」(ソフトバンクモバイル)の具体的な取り組みとして、2011年3月末までに基地局を現在の倍である約12万基地局に増やすこと、電波の届かない家庭や店舗・事業所には小型基地局(フェムト)を無償で提供すること、より快適なモバイルインターネット環境実現のために、店舗・事業所にWi-Fiルーターを無償で提供することを改めて説明しました。「ソフトバンク電波改善宣言」は、ツイッターで寄せられたお客様からの要望がきっかけとなり始まった取り組みです。孫は「今後もお客様の満足度を高めていきたい」と意気込みを語りました。

説明会後半では、孫よりモバイルインターネット時代の「デバイス戦略」と「サービス戦略」について説明しました。

「将来、家庭のありとあらゆる電子機器が電子頭脳と通信機能を搭載し、互いに通信しあう時代が来るだろう」

孫は、モバイルインターネットデバイスの未来についてこう語り、その一例として、売れ行きが好調なPhoto Vision(フォトビジョン)やiPhone™、そしてこの決算説明会当日(2010年4月27日)に発売されたソフトバンク初のアンドロイドケータイについて説明しました。

また、「サービス戦略」の説明に移ると孫は、「人々のライフスタイルは、知識や感動を共有する新時代のライフスタイルに移り変わりつつある」と説明し、その実現のために不可欠な物がモバイルインターネットであり、ユーストリームやツイッターなどの革新的なサービスであると解説しました。

ソフトバンクは、2010年3月期 第3四半期 決算説明会(2010年2月2日開催)で、ライブ動画配信サービスを運営する米国のユーストリームへの戦略的な出資を発表しました。それ以来、ユーストリームは日本でも確実に利用者数を伸ばしています。孫は、ユーストリームの日本におけるサービス展開として、「USTREAMスタジオ」の開設と、ユーストリーム日本語サービスの開始などについて改めて説明しました。

[注]
  • *1純有利子負債=有利子負債-手元流動性
    有利子負債=短期借入金+コマーシャルペーパー+1年内償還予定の社債+社債+長期借入金。リース債務を除く。ボーダフォン日本法人の買収に伴う事業証券化(Whole Business Securitization)スキームにおいて発行された社債(銘柄:WBS Class B2 Funding Notes、 発行体:J-WBSファンディング株式会社)のうち、当社が当期に取得した保有する額面27,000百万円を除く。
  • *2EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額+営業費用に含まれる固定資産除却損。
  • *3フリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー。
  • *4Average Revenue Per User:1契約当たりの平均収入(10円未満を四捨五入して開示)。 収入および契約数にはプリペイド式携帯電話および通信モジュールを含む。

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q.

携帯電話解約率が前期に比べて高くなったが、その理由が何か教えてほしい。

A.

2010年3月末に第2世代(2G)携帯電話の通信電波を停波させたため、一時的に解約率が上がりました。しかし、この時解約したお客様のARPUは低いため、経営にマイナスの影響はありません。むしろ二重のインフラではなくなったことで、コストが削減され、経営には増益効果になります。そして、解約率は結果的に落ち着いていきます。

3G携帯電話解約率については、1.1%~1.2%に落ち着きます。さらに解約率が上がるということは想定していません。ここ半年で、2年の割賦の満期を迎えたお客様が増えてきており、サイクルが一巡したので、今後も解約率が急激に上がることはありません。

Q.

DC-HSPAを2011年3月期 第4四半期に開始予定とのことだが、2011年3月期 第4四半期中に42Mbpsで開始するということか。

A.

全国で一斉に開始するわけではありませんが、2011年3月期 第4四半期中に開始予定です。数ヵ月後には、端末においても42Mbpsに対応したものが出てきます。

Q.

先日ホワイトプランの内容変更について発表があり、2年間契約になったが、その狙いは何か。

A.

NTTドコモとKDDIの料金プランも事実上2年間契約です。我々は、当初からその料金プランについて異論を唱えていましたが、状況が変わらないこともあり業界の慣行にならうことにしました。ただ、携帯電話端末を購入するお客様の90%が2年間の割賦販売方式で購入されているため、実態は今までと変わりません。

Q.

全国16万局あるウィルコムの基地局を使ってWi-Fiやマイクロセルの展開をしていくとの話だが、数にしてどれくらい増やすつもりか。

A.

Wi-Fiについては、一部ウィルコムの基地局にも取り付けますが、基本的にはカフェやレストランなどの店内に取り付けることを想定しています。ただし、屋外で電波が干渉しない状況においては、ウィルコムの基地局を使ってWi-Fiを取り付ける場合もあるでしょう。基地局倍増計画のうち、Wi-Fiの数は外数であり、内数ではありません。

Q.

店の数や設置数、または規模について教えてほしい。

A.

数についてコメントするには時期尚早だと思いますが、積極的に行なっていきます。

Q.

ユーストリームのアジア展開の時期や、今後ソフトバンクグループの連結業績にどのように影響していくのかを教えてほしい。

A.

近い将来に発表したいと思います。Yahoo! JAPANもそうでしたが、ユーストリームがソフトバンクグループの業績にすぐに貢献するわけではありません。しかし、将来的にモバイルインターネットのデータARPUが増大し、顧客の獲得にも繋がり、相乗効果となります。

Q.

本日ヤフー株式会社と株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の業務提携についての発表があったが、コメントをいただきたい。

A.

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、特にソーシャルゲームについては世界的に利用者数も増えており、双方にとってwin-winのシナリオとなっています。結果的に我々のモバイルインターネット、またYahoo! JAPANのパソコンによるインターネット利用が増え、総合的にポジティブな影響を与えると考えています。

Q.

光ファイバーの重要性を強く主張しているが、なぜソフトバンクグループ自ら光ファイバーを敷設しないのか。

A.

「一戸の住宅に複数の水道管を引くのは意味が無い」ということから分かるように、複数の会社で物理的なインフラの競争をするのは非効率的でナンセンスです。そのインフラの上に乗るサービスで競争すべきです。過去に電柱が設置されて電線が引かれた時は、複数の会社ではなく政府が独占的に行ったので、むしろ効率が良かったと思います。しかし、光ファイバーを敷設する上で、その過去に設置された電柱を再活用できる会社と、再活用できない会社とでは、コスト面から比べても全く違います。電柱を再活用できない会社にとっては採算が合わない上に、同等の条件でないところで設備競争をしても意味がありません。それよりも、電柱を所有する会社を切り離し「中立な会社」として、電線は物理線として中立なコストで使用できるようにし、そのインフラの上に乗るADSLや音声のサービスで民間企業が互いに競争しあうべきです。同様に光ファイバーもそうするべきです。その方が、不正利用における行政指導などが起きずに済むので、はるかに良いと思います。

Q.

新システムの通信方式TD-LTE*5の評価はどうか。

A.

さまざまな技術を検証しています。まだ何も決まっていることはありません。

Q.

ウィルコムのインフラを、今後どのように生かしていくのか。

A.

どのような技術を進化させるかなど、さまざまな可能性について検討していますが、何も決定していないので、コメントできる状態ではありません。

Q.

ウィルコムの基地局ロケーションを全国で16万局活用するとのことだが、700MHz~900MHz帯のサービスでの利用も考えているのか。もし入っている場合、首都圏以外の地域についてはネットワークの設備はソフトバンクモバイル独自に行なうのか。またはNTTドコモの基地局を利用することもありえるのか。

A.

16万局の基地局の場所については、2GHzの周波数、1.5GHzの周波数、将来の700 MHz~900MHzの周波数、一部はWi-Fiに使うこともあると思います。ロケーション、ネットワークトラフィック、それぞれの通信機器のコストダウンなどの成熟具合をにらみながら、考えていきます。NTTドコモの持っているものを使った方が地球資源のためには良いと思いますが、相手があることですので我々がコメントすることではありません。

Q.

16万局の中に800MHzが入るという理解でよいか。

A.

800MHzが入る可能性はあります。

Q.

モバイルデータトラフィックが5年間で40倍になるとのことだが、それに対する設備投資が4,000億円では少ないのではないか。Wi-Fiで賄えるという見方もあるが、4,000億円の設備投資を行った後、更に設備投資をすることはあるのか。

A.

5年目にはモバイルデータトラフィックが40倍になるという前提で、設備投資が増えすぎないようにコントロールし、ネットワーク設計を切り替えていきます。今回の4,000億円が設備投資のピークで、来年以降の設備投資額は下がっていくはずです。そういう設計になるように、マイクロセル化、フェムトセル+Wi-Fi化を進めていきます。それを実現するためのIPバックボーンを我々は持っています。電波には限りがあり、マクロセルのままでは破綻します。マイクロセル化、フェムトセル+Wi-Fi化すれば設備投資を増大させずに済みます。

Q.

ヘビーユーザに対して各社それぞれ定額料金制を採用し、トラフィック制限をかけている。今後はさらに高速サービス化するが、定額料金制についてはどのように考えているのか。

A.

世界中の携帯電話サービス事業者はデータパケットが無制限に増えることに危機感を感じています。データの料金プランについては、一定量を越えたらボリュームに応じた料金プランを用意するなどの実質的な値上げや、通信速度の制限、トラフィックの制限など、各社真剣に検討しています。我々ももちろん考えていますが、フェムトセル化、Wi-Fi化を進めることにより、消費者の利便性やニーズにあう方法を考えています。

Q.

ホワイトプランでは時間制限をつけることにより、ピークタイムの分散化を図っていた。同様にデータ通信においても夜間がピークタイムと聞いているが、かつて昼と夜で音声通話にかかる料金が違ったように、ピークタイムの分散を計るための中間定額のような料金プランが出てくる可能性はあるか。

A.

色々な可能性があると思いますが、まだ分かりません。

Q.

SIMロック解除について、改めて意見を聞きたい。経営にはどのような影響があると思うか。

A.

世界の市場を見ると、2G携帯電話サービスは、携帯電話端末も安く、SIMを入れ替えて他キャリアのサービスを利用できるケースが多くありました。しかし、高機能な通信速度の端末はSIMロックがかかっているものも多く、事実アメリカでは8割の3G携帯電話にロックがかかっています。

ある程度サービスを長期的に使っていただけると分かれば、携帯電話端末を安く提供することができます。しかし、長期的に使っていただけないと値引きはしづらくなります。全体の2割くらいのお客様が、SIMロックがかかっていない携帯電話端末の方が良いと言うのであれば、そのニーズには対応します。両方のパターンを積極的に行なっていきますが、SIMロック解除を望むお客様は全体数に比べると少ないので、経営に大きなインパクトはありません。

SIMロック解除は強制されることではありません。もし日本で、強制的にSIMロックを解除しなければいけないことになったら、それは世界で初めてのことです。我々には、NTTドコモとKDDIの持っている800MHzの許認可が与えられておらず、対等な条件になっていないという問題点があります。また、KDDIの通信方式はNTTドコモとソフトバンクモバイルとは異なるので、SIMロックの解除をしても結局はNTTドコモとソフトバンクモバイルの間でしか機種変更が出来ません。LTEを使えるようにしても、当面の間はW-CDMAも使えるようにしなければいけないので、KDDIの一つの端末に、3つの電波帯を受信するチップを搭載することになります。よって、もし総務省がSIMロックについて規制し始めると、結果的に3社すべての端末コストが高くなり、電池も長持ちしなくなります。今までのようにメールも使えなくなり、問題点がたくさん出てきます。もし2G携帯電話が中心で、通信方式が統一されているのなら、SIMロック解除はしやすいと思います。深く技術を理解した上で政策を打ち出さなくては、8割の消費者が困ることになります。電波などの競争条件がすべて統一されて、世界標準の環境が整ったら積極的に受け入れたいと思います。無理強いは良くありません。

Q.

「SIMロックを解除するかは事業者ごとの選択制にする」という報道があったが、その場合ソフトバンクモバイルでは2割の携帯電話端末についてSIMロック解除を考えるということか。

A.

2割よりもっと多くの機種を用意したいと思っています。しかし、同じ機種でもSIMロックが無いものはSIMロックのあるものに比べて4万円程端末代が高くなります。そうなると、8割くらいのお客様からは、やはり安い方が良いというご意見をいただくのではないかと思います。

Q.

SIMロック解除は従来の携帯電話で検討するのか。またはスマートフォンにおいて検討するのか。

A.

両方で検討します。

Q.

約16万の基地局に設置する通信規格は現行の3.5Gか。もしくはLTEや2014年からの第4世代(4G)か。

A.

両方です。

Q.

そのバランスは。

A.

鋭意設計中です。

Q.

室内でスマートフォンを使う時のデータトラフィックの受け皿については、フェムトを想定しているのか。また、フェムトの回線はADSLを想定していると思うが、光回線に置き換える考えはあるか。

A.

家庭や事業所では、IPフェムトあるいはWi-Fiにすることで、事実上のネットワークコストがゼロになります。特に我々は、自らADSLのバックボーンのネットワークを持っており、ネットワークのトラフィックが増えても、吸収できる構えが出来ています。また、その設備投資もほとんど終わっているので、トラフィックコストが限りなくゼロに近づきます。

モバイルインターネットの受け皿としては、当面はADSLで十分です。ただ、大型テレビでフルハイビジョンのビデオオンデマンドや3Dの映画が見たいというニーズは家庭にもあるはずなので、将来的には光ファイバーが必要だと思います。そういう意味で、光ファイバーを日本中に引いてメタル回線は引き剥がすということが日本国民のために必要だと思います。

Q.

周波数施策についてどう考えているか。

A.

700MHz~900MHzの電波帯域の許認可については、今から議論が始まって、今年中に大体の方針が決まり、来年には割り当てが決まっていきます。今総務省では、「どの周波数帯をどの会社に割り当てるか」という議論の前に、「どの周波数帯を何の利用目的で使うのか」という議論を行おうとしています。原口総務大臣も「世界標準から外れてしまうようでは、日本がまた周波数でガラパゴス状態になってしまう危険性がある」と公式に発言しています。総務省には、新たな700MHz~900MHzの割り当てが世界標準から外れないように配慮して、割り当ててほしいと思います。本来の用途とは違う用途で使われてしまうと、LTEの時代が来た時にiPhone™、iPad™、Android™などの世界標準の機器が日本だけ使えない、ということになってしまいます。これは日本の先進的なスマートフォン利用者にとって、大変な被害になります。

Q.

ウィルコムとは競合関係が続くのか。シナジーは。

A.

PHS事業を経営しているウィルコムは、APという投資ファンドが100%の株主になる方向性が決まっています。その会社と我々の業務提携については、これから色々な話し合いを行っていきます。その内容次第では、シナジーを出せる部分もあるかもしれません。具体的なことは今後決めていきます。少なくても、コストダウンの部分については、我々も大いに協力していくということは決まっています。

Q.

PC向けの定額サービスは現在イー・モバイルの回線を使っているが、今後ソフトバンクモバイルが提供していくことはあるか。

A.

現在は、イー・モバイルが持っているネットワークの空席を埋めるという形で、お互いにwin-winの関係でMVNOを行っています。今後はイー・モバイルのお客様が増えて空席がだんだん減ってきます。そのタイミングで、我々の新しいネットワークが出来上がってきます。そうなれば、我々が自らのネットワークに重点的にお客様を誘導することになるでしょう。ただ、ネットワークのトラフィックは、どのぐらい伸びるのか読みにくいところもあるので、お互いに過剰な設備投資で余剰を作りすぎるのは危険です。今後は、我々が広げたエリアを利用して、イー・モバイルがローミングやMVNOを受けたいということもあるかもしれません。互いにwin-winになる状況であれば、競争しつつ助け合える部分もあるのではないかと考えています。この関係はこれからも大切にしていきたいです。

Q.

3G回線でスカイプ(Skype)を認める可能性はあるか。

A.

欧米では、少し高いデータプランに加入すれば、スカイプが使えるという事例も出始めています。こうしたビジネスモデルや、スカイプ自体のテクノロジーの動向次第だと考えています。 ちなみに、BBフォン同士は無料通話ができますが、これはまさにスカイプと同様のサービスモデルです。スカイプより先に、同じサービス間であれば通話無料というサービスを実現したのが我々です。スカイプの創業者からも、BBフォンのビジネスモデルを参考にしていて、大変尊敬しているというようなことを何度か言われたことがあります。

Q.

インフラ整備に競争がなくなるとマイナス面があるとも言われているが、NTT分割に関する孫社長の意見は。本当に全国に光回線が必要なのか。

A.

この問題は、「国民にとって何が一番か」という大きな枠で考えていただきたいです。メタル回線を100%光回線に置き換えたとしても、利用者が支払う費用は1,400円のままで変わりません。光回線設置後の保全費を足して計算しても、メタル回線と光回線の二重構造を続けるよりも年間約3,000億円のコストダウンになります。NTTにとっては3,000億円の増益になります。一円も値上げにならないなら、困る利用者は1人もいません。現在のような二重構造のままでは、コストや採算を考えると、90%の地域のカバー率は達成できても、最後の10%のカバー率をあげるまでに相当長い時間がかかります。光回線を使った最先端のサービスを受けたい人が沢山いるにもかかわらず、サービスを受けられないなどの情報技術格差が生じて良いのかという問題です。

無線のインターネットで十分ではないかという声もありますが、LTEになって回線が光ファイバーになっても、それを500人で分け合うことになるので、1人当たりの実行速度は遅くなります。しかも無線の電波は揺らぎがあるので、いつもつながるわけではありません。大型テレビにつないで高度な動画を楽しんだり電子教科書でハイクオリティな映像を見るということができません。

私は、電子教科書は1,800万人の学生に全て無償配布し、電子カルテも25万人の医師や、看護師、介護関係者に全て無償配布すべきだと提案しています。これにより、現在の30数兆円の医療費が年間10兆円削減できます。一般的な用途で使うものは有償でいいと思いますが、電子教科書や電子カルテなど、社会の安心・安全や教育のために必要なものは、全ての国民に無償で提供するべきです。NTTの筆頭株主である日本政府が、国民の立場に立って決断すべきだと思います。

Q.

インフラ面での競争がなくなることの弊害は何か。

A.

光ファイバーという物理線で競争する必要は全くありません。この50年間進化があったのは物理線の両端にあるハイテク機器であって、物理線は一度もバージョンアップしていません。今後も光ファイバーという物理線が進化することはありません。進化があるのは両端のIPの通信機器で、これは各社で設備競争をするべきです。物理線と両端の機器の話を混同して議論しないでほしいと思います。

[注]
  • *5TD-LTE:「time division duplex long term evolution」の略。中国移動通信集団(チャイナモバイル)が普及を進める通信方式。
  • *iPhoneはApple Inc. の商標です。
  • *iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
  • *Androidはグーグル インコーポレイテッドの商標または登録商標です。