2015年3月期 決算説明会

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」または「当社」)は2015年5月11日に、2015年3月期(2014年4月~2015年3月期、以下「当期」)決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様は動画配信していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算データシートなどをご確認ください。

決算説明会の模様

決算説明会には代表取締役社長の孫、バイスチェアマンのニケシュ・アローラ、代表取締役副社長の宮内、取締役 常務執行役員の後藤、取締役 常務執行役員の藤原、執行役員の君和田が出席しました。今回の決算説明会の模様は、当サイトやUstream、Twitter、ニコニコ動画などでも同時中継されました。

決算説明会の冒頭、登壇した孫は「ソフトバンクを創業して30数年が経った。今までは、“日本のソフトバンク”が海外の会社に投資を行う立場だったが、“世界のソフトバンク”が日本でも大きく事業を展開していると言えるように、立場を変えたいと思う。今年はソフトバンクが第2のステージに向かう上で、大変重要な転機になる」と述べました。

決算概要

当期のソフトバンク連結決算(国際会計基準、以下「IFRS」)は、売上高が8兆6,702億円(前期比30%増)、EBITDA[営業利益(償却前)]※1が2兆1,329億円(同20%増)、営業利益が9,827億円(同9%減)、純利益※2は6,684億円(同29%増)となりました。営業利益の減少については、前期にガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(以下「ガンホー」)と株式会社ウィルコム(以下「ウィルコム」、現ソフトバンクモバイル株式会社)※3を子会社化した際、一時益などを2,539億円計上したことによるもので、この一時益の影響を除くと、当期の営業利益は前期よりも19%の増加となり、実質的には前期を上回る業績となります。なお、配当方針についても、変更はありません。

通信事業

国内通信事業の状況

移動通信事業の営業利益は、ボーダフォン日本法人買収直後から9年間で9倍※4の6,953億円となりました。これについて孫は、「買収当時、成熟した携帯電話の会社ではなく、モバイルインターネットの会社をやると申し上げたが、理解されなかった。スマートフォンがモバイルインターネットの中心となり、急速に普及したことで、大幅に成長した」と述べました。スマートフォン向けアクセサリーなどを取り扱うSoftBank SELECTIONの売上高が5年で7倍※5になったことを紹介し、スマートフォンやその関連商品の売り上げが伸びていることを説明しました。
さらにネットワークについては、科学的に分析し統計値を取った結果、ソフトバンクモバイル株式会社(以下「ソフトバンクモバイル」)のスマートフォンにおけるパケット接続率と通信速度が、いずれも継続して高水準※6を維持しています。
国内の通信事業については、「今後も引き続き成長していくことができる体制が十分に整った」と述べ、今後、同事業をソフトバンクモバイル 代表取締役社長 兼 CEOの宮内が統括し、成長戦略強化と経営効率化を両輪に、バランスよく推進していくことを説明しました。

最後に設備投資について触れた孫は「通信事業として重要なネットワークを改善するため、ピーク時は年間7,000億円台の設備投資をしていたが、ネットワークの改善が実現できたため、今後は3千数百億円台の通常のレベルに落ち着く。したがって、今後はEBITDA(償却前営業利益)から設備投資額を差し引いたフリーキャッシュフローで十分経営を行なっていける。また、借入金の返済にも当てられる目処が立った」と述べました。

スプリント事業の状況

Sprint Corporation(以下「スプリント」)は、CEOのマルセロ・クラウレによる新体制への移行後、ポストペイドの契約者数が純増へ転じ、解約率も大幅に改善しました※7。ネットワークの品質も急速に改善し、次世代ネットワークの設計には孫自ら深く関わり取り組んでいます。孫は、「ようやくスプリントが改善に向かっており、明るい兆しが見えてきた」と前向きにコメントしました。

インターネット企業への投資

次に孫は、「第2のソフトバンクのステージについて触れたいと思う。これまでの10年間は、通信インフラ構築のために力を注いできた。今後はインターネット関連企業への集中的な投資を再開し、“世界のソフトバンク”、“インターネットのソフトバンク”に向けた戦略を加速していく」と宣言しました。

Alibaba Group Holding Limited(以下「アリババ」)について、インターネット事業における世界戦略の中核を担う会社の一つとした上で、「昨年、ついにアリババの取扱高が米国のウォルマートの取扱高を上回り、全世界のウォルマート取扱高に匹敵するところまで来た※8。純利益(税引後)も6,767億円※9に達し、世界のイーコマースで最大級の企業となった。今後もさらに伸び続ける要素がある」と説明しました。
また、国内のインターネット事業では、ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)の純利益※10が順調に増加していることを紹介し、「さらに成長を加速させる戦略を練っている」と意欲を見せました。
ガンホーとSupercell Oy(以下「スーパーセル」)の説明に移ると、「スマートフォン最大のデジタルコンテンツはスマートフォン向けゲームである」と述べ、スマートフォン向けアプリケーションの売上世界ランキングのうち、ガンホーとスーパーセルのゲームが毎月継続して1位と2位を維持※11していることを紹介し、「驚異的なことであり、大変喜ばしい」とコメントしました。

インドへの投資においては、同国で最大級のマーケットプレイス「Snapdeal.com」の取扱高が2014年3月から2015年3月までの1年間で301%増加したことを紹介し、インドにおけるイーコマース市場が急速に伸びていると説明しました。一方、ソフトバンクが出資を行った「Ola Cabs」や「Tokopedia」、「GrabTaxi」の業績も順調に推移しており、「Ola Cabs」については、マーケットシェア※12が投資前の60%から80%へと増加するなど、これまでに投資を行ってきたインターネット企業が急速に成長しています。

「第2のソフトバンク」に向けて

革新的な起業家集団であり続ける

孫は、テクノロジー企業における共通の問題点として、30年経過するとIT企業の成長が止まってしまう「30年ライフサイクル問題」を示しました。その衰退の原因として、「テクノロジーが古くなる」、「創業者が年を取る」、「ビジネスモデルが古くなる」の三つを挙げ、「われわれ自身がベンチャー精神を持ち続け、革新的な起業家集団であり続けることが、これらの解決へつながる」と結論付けました。
また、「ソフトバンクのグループ戦略は、世界中の革新的な企業の筆頭株主となり、パートナーとして起業家たちと同じ目線で、共にビジネスモデルを形成していくこと。日本のビジネスモデルを海外に持っていくのではなく、われわれ自身が野心的な起業家集団として、世界中の起業家の仲間と共に挑戦していきたい」と力強く語りました。

持続的な成長に向けた新体制

長期的な視野に立ち事業を持続的に成長させるための戦略として、まず2015年6月に開催される株主総会の承認をもって、7月1日付で持ち株会社であるソフトバンクを「ソフトバンクグループ株式会社」に、その子会社であるソフトバンクモバイルを「ソフトバンク株式会社」に、それぞれ社名を変更するとともに、6月19日付で現在当社バイスチェアマンであるアローラを代表取締役副社長とすることを明らかにしました。なお、当社の代表取締役社長は引き続き孫が務めます。

最後に孫はアローラについて、「世界中のインターネット企業のビジネスモデルやテクノロジーに関する、幅広い知見や人脈、経験を持っている」と評価し、「それらを基に、“世界のソフトバンク”となるべく、第2のソフトバンクの成長を担う重要なパートナーを得たと確信している。ぜひ応援していただきたい」と述べ、決算説明会を締めくくりました。

[注]
  • IFRIC第21号「賦課金」の適用に伴い、遡及修正を行っています。遡及修正の内容については、「平成27年3月期 決算短信」の50ページをご覧ください。
  • ※1EBITDA=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費+減価償却費及び償却費。スプリントの業績を2013年7月11日から反映。
  • ※22014年度はアリババに係る持分変動利益影響4,058億円を含む。
  • ※32014年6月1日に株式会社ウィルコムは、イー・アクセス株式会社に吸収合併され、同年7月1日にワイモバイル株式会社に社名変更しました。なお、ワイモバイル株式会社は2015年4月1日付で、ソフトバンクモバイル株式会社に吸収合併されています。
  • ※42006~2011年度:移動体通信事業の営業利益、2012~2014年度:移動通信事業のセグメント利益
  • ※5出所:ソフトバンク コマース&サービス株式会社 国内におけるモバイルアクセサリーの売上高
  • ※6パケット接続率:統計分析処理 株式会社Agoop(以下「Agoop」)。プラチナバンド対応スマートフォンのパケット接続率。防災速報(ヤフー)とラーメンチェッカー(Agoop)を利用の各社プラチナバンド対応スマートフォン計120,000台のデータを個別に分析。(ソフトバンク:40,000台、NTTドコモ:40,000台、KDDI:40,000台を無作為抽出)
    スマートフォン通信速度:Agoop「スマートフォンのデータ通信速度を解析」(2015年3月31日)。調査期間:2014年4月1日~2015年3月31日。調査地域:全国。対象データ:電波つながりチェッカー(Agoop)アプリケーション利用中のスマートフォンの通信速度データを個別に解析。解析条件:500mメッシュ上に、ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIのログデータが存在するメッシュのみ解析。
  • ※7出所:Sprint Corporation
  • ※8出所:アリババ開示資料を基に当社作成。1米ドル=120円で換算、1USD=6.23036RMBで換算。
    Walmart(全世界):Walmart U.S.およびWalmart InternationalのNet Sales
    Walmartは各年1月期決算
  • ※9出所:アリババ開示資料(米国会計基準)を基に当社作成。1米ドル=120円で換算、1USD=6.2036RMBで換算
    ソフトバンク(国際会計基準)の連結決算に取り込まれる元となる数値とは異なる。
    株式報酬費用/無形資産償却費の一時損失を除く。
  • ※10親会社の所有者に帰属する純利益
  • ※11App Annie Index 全体ランキング トップアプリ iOS、Google Play の合計。ワールドワイド売上ランキングを基に当社作成。
  • ※12マーケットシェアは各プラットフォームに登録されている車両台数を基に算出。各プラットフォームの公開情報(一部予想)に基づく。2015年3月末時点。

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q.

スプリントのポストペイドについて、携帯電話自体の契約数は純減しているようだが、他社の顧客を獲得できていないのでは。今後はGoogle Inc.(以下「グーグル」)もスプリントのネットワークを使ってサービスを始めるが、価格面ではどのように戦っていくのか。

A.

ポストペイドの契約数ついて、これまで純減していたのが、クラウレ体制以降大きく反転した。また直近の日次の状況では、スマートフォンユーザーの獲得についても急速に改善し好転している。価格に関しても積極的なマーケティング戦略を実施しており、営業コストの効率化が進んでいる。価格競争は今後も当面続くと思うが、EBITDA(償却前営業利益)は着実に改善していくと考えている。

Q.

ガンホーが子会社から関連会社に異動するが、今後はグループ全体の業績をどのように伸ばしていくのか。

A.

個々の企業業績は着実に伸びている。ただし、最近積極的に新しい投資を行っており、今後は売却も進む可能性がある。全ての会社が伸び続けるわけではなく、それぞれのステージがある。
今回ガンホーは東証一部に上場することを発表し、新たな経営のステージに入るため、自社株買いの申し出があったので、それに応じて協力をした。
今後もインターネット業界で投資と回収というサイクルを回していくので、買収・投資・現金化が頻繁に起こる。連結における業績予想を出すことで、経営の意思決定がその数字に縛られるのは良くない。会計上の数字に縛られるよりは、実質的な企業価値の最大化を目指すための投資や売却を機動的に行えるようにしたい。発表した予想が変わる可能性があることを考えると、数字の発表や予想を出すべきではないと考える。しかし、一つ一つの事業は着実に伸び続けており、実質的な増収増益は続けられると思っている。

Q.

後藤取締役と藤原取締役の退任後の役目は。

A.

世界戦略を推進するため、社名や体制を変えるとともに、経営陣強化を図っている。藤原は国内通信事業のCFOの任務に特化して、宮内を補佐する。後藤についても、国内中心から世界を睨んだグループ戦略への変化の中で、任務の変更を行った。

Q.

アローラ氏は新ソフトバンクの何に一番魅力に感じたのか。グーグルではなく、ソフトバンクではどのようなことができるのか。

A.

(アローラ)
世界トップのインターネット企業であるグーグルで、世界中のキーとなるテクノロジーを開発したラリー・ペイジ氏やサーゲイ・ブリン氏と10年間共に仕事をする名誉を得て、多くのことを学んだ。グーグルの成功から分かるように、両名はテクノロジーにおけるイノベーター(革新者)であり、ビジネスやテクノロジーのさまざまな分野を具現化してきた。5年前に孫と出会い、より多くの時間を共にし、お互いを知り合う中で、テクノロジーのイノベーターであるラリー氏やサーゲイ氏と同じく、ビジネスイノベーターである孫からは、ビジネスについてより多くのことが学べると思った。
ソフトバンクグループをどのように世界的に大きくしていくかを毎晩話し合う中で、先ほど孫が説明したように、どんな偉大な企業にもサイクルがあり、長期間継続的に成長する企業グループになるには、多くの情熱的な起業家を見つけ、強力にサポートしていくことが重要であると気づいた。
孫と宮内をはじめとするチームの皆さんの助けを借り、ソフトバンクで孫が長年かけて築いてきた「成長し続ける構造」を引き継ぎ、興味深いテクノロジーを持つ世界中のインターネット企業を見つけ、投資や助言・サポートを行うことで、それらの企業が革新的なテクノロジーを創出するために必要な燃料を供給していきたい。

Q.

ソフトバンクは第2ステージに入り、社名も変更するということだが、なぜこのタイミングなのか。

A.

おかげさまで国内通信の事業が、経営的に軌道に乗ってきた。スプリントにおいても、クラウレをCEOに任命し、立て直しの方向性が見えてきた。また現在インターネットの革命がさらに加速していると感じており、この機会を逃したくない。そこでこの機会に、ソフトバンクは第2のステージとして、“世界のソフトバンク”に生まれ変わると心を決めた。そこに世界一のインターネット企業グーグルで実質的に経営をしていたアローラが参画してくれた。まさに時に人を得たということ。また、アローラは9カ月の間に非常に有能な人材を続々とソフトバンクグループにスカウトして、増やしてきている。これを一気に強化し、挑戦をしていきたい。

Q.

アローラ氏の代表取締役副社長就任について、実質的な後継者指名と捉えてよいか。

A.

実質的な後継者指名と捉えていただいて問題ない。もちろん私はまだ引退するつもりはないし、これまで通り、第一線で経営を継続していくが、アローラが最も重要な後継者候補である。

Q.

アローラ氏と9カ月間一緒に仕事をしてきて、心に残っているエピソードがあれば教えてほしい。

A.

インターネットのテクノロジーやビジネスモデルに関する知見、人脈については私をはるかに上回る才覚を持っており、アローラから多くを学んだ。また、互いに刺激し合い、議論することで投資の意思決定がより深まったと感じる。それに加えて、人格についても尊敬に値するものでなければやっていけないが、9カ月間共に仕事をしているとだいぶ見えてきて、非常に楽しくやっている。私は1カ月のうち1週間ぐらいはアローラの拠点であるシリコンバレーに行き、アローラも1週間ぐらいは日本に来ていて、お互いに月の半分くらいは顔を合わせている。また他の国々に一緒に出張することも多く、会っていない時もほぼ毎日のように電話やメールで連絡を取り合っている。非常に楽しく、エキサイティングに仕事ができている。これまではインターネット投資について、社内外に対して私が積極的に、常識にとらわれない自由な発想を持って話をする機会が少なかった。お互いが気心知れて一緒に議論していけるというのは非常に素晴らしい。今後もそういう関係を継続していけると心から確信できたため、今回の人事となった。


(アローラ)
9カ月孫と一緒に仕事ができたことは、非常に光栄に思う。互いにチャレンジし合い、違う考え方を持ち寄り、グループとしてよりよい議論ができている。私はグーグルに入る前は通信業界で経験を積み、グーグルではインターネット業界に携わった。孫やチームはアジアに精通している。この組み合わせはビジネスでの意思決定をする上で上手く働いていると思うし、共にアジアや世界中のより多くの事業家をサポートしていきたい。

Q.

スプリントは、クラウレ体制になっても財務的には純利子負債の拡大が続いており、市場評価でも心配する声があるが、どう対応していくか。

A.

3カ月前の決算発表のときと今日の私はスプリントに対してコメントするときの表情がだいぶ違うと感じられたのではないかと思う。それが正直な私の気持ち。3カ月前は今後スプリントがどれほど借入金を増やしていかなければいけないのか、いつキャッシュフローや利益の面で反転できるのか、私自身が確信を持てず、不安を抱いていた。しかし、特にこの1カ月半、次世代のスプリントのネットワーク設計に自ら深く関わり、さらに、ソフトバンクモバイルとスプリントのネットワークエンジニアと連日深夜まで一緒に仕事をしている。その中でスプリントの次世代のネットワークについて、非常に良い方向性が見えてきた。まだ具体的なコメントはできないが、自分の中での自信が深まってきた。

Q.

アリババが、今後ソフトバンクの純利益を押し上げていくことは間違いないと思うが、ソフトバンクの株主への配当を増やすなど、株主還元は考えているか。

A.

先週アリババの取締役会が香港であり、次の10年についていろいろ話したが、非常に楽しみな状況。すでに世界の中でも最大級のイーコマース企業になっているが、今後もさまざまな角度で急成長できると確信した。燃え盛る炎に薪を入れると一瞬でさらに燃え上がるが、今まさにアリババはそういう状況にある。
それをどう株主に還元するかは何通りか方法があるかと思うが、現在、ソフトバンクもアリババも今後の成長チャンスが多くあり、今収穫期に入るよりはまだまだ伸ばした方が良い。両社とも、30年サイクルで言うところの成長が止まって落ちていく時期とはほど遠いため、成長を優先することが株主にとっても良いのではないか。

Q.

社名変更の意図は。また経営陣の体制について、今後の方向性は。

A.

世界戦略の体制をとるということが、「ソフトバンクグループ」という新社名に象徴として表れている。アローラを代表取締役副社長に任命し、最も重要な後継者候補として体制を整えた。私以上に素晴らしいアローラの人脈を生かし、米国やヨーロッパ、アジアを中心にインターネット業界の優れた人材のスカウトを始めている。この2、3年の間に、新ソフトバンクグループのグローバル戦略を担う経営幹部を続々と増やしていきたい。すでに始めているが、一気に強化していきたい。


(アローラ)
新体制となるソフトバンクグループ株式会社は、宮内が統括する国内事業を筆頭に、世界中にある資産を管理していく会社となる。つまり、ソフトバンクグループ株式会社は国内と国外の両資産を持つことになる。ソフトバンクブランドとしては、国内の一般消費者向け通信事業を伸ばし、グループとしては適切な方向性で投資を進め管理していく。それらの資金を使い、将来に向けた投資を行っていく。

Q.

エネルギー事業について、東日本大震災後の事業展開の総括は。また、電力自由化に向けてどのような事業戦略、構想を抱いているか。

A.

世の中が平穏無事なときには、革新のチャンスはなかなかないものだが、世の中の前提が大きく切り替わるとき、新しい切り口からのチャンスが生まれる。60数年ぶりに電力の自由化が行われるということは、これまで地域ごとに100%独占されていた電力市場が競争に入るということで、決定的なパラダイムシフト(劇的な変化)になり得る。そこにソフトバンクグループのチャンスがある。
通信料と電気代は毎月各家庭が支払う固定的な費用である。その二大生活インフラの支払いをパッケージ化できるということに大きなチャンスがあると考えている。
また、電気について、スマートグリッドや再生可能エネルギーなど、今後数十年で新しい技術革新が起こり得ると考えており、そこにソフトバンクグループとして挑戦しがいのあるチャンスが生まれる。方向性として、電力の自由化はビジネスチャンスだと捉えている。

Q.

今後はインターネット企業への投資が中心となり、海外の通信企業への投資は考えていないのか。

A.

ソフトバンクが第2のステージとして世界に展開していきたい事業の中心はインターネット企業への投資で、今後はその戦略的グループ構築が中心になる。ただ、通信についても素晴らしいビジネスチャンスやシナジー(相乗効果)が見込める案件があれば検討しないわけではない。ただ、あくまでもインターネット事業を中心に拡大していく方針である。

Q.

ソフトバンクモバイルだけSIMロック解除の方針を発表していないが、SIMロック解除が業績に与える影響と、今後の考えを教えてほしい。

A.

国内の移動通信事業においては、ほとんどゼロサムゲーム※13だと思う。しばらくの間は大きな変動が急激にやってくる状況は考えにくい。今やるべきことは、現在あるものを効率的にマネジメントし、フリーキャッシュフローを回していくこと。真面目に、一つ一つ磨いていく。もちろん各社が激しい戦いをしており、真剣に勝負をしているので、一瞬たりとも手を抜くわけにはいかない。SIMロック解除についても、各社が総務省のガイドラインに従い実施しており、ソフトバンクモバイルも同様の方針なので、これもまたゼロサムゲームとほとんど変わらない状況だと思う。

[注]
  • ※13参加者の得点と失点の合計(サム)が常に0(ゼロ)になるゲームのこと。拡大余地のない市場におけるシェア争い。