2016年3月期 第2四半期 決算説明会

ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」または「当社」)は2015年11月4日に、2016年3月期 第2四半期(2015年4~9月期、以下「当期」)決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様は動画配信していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算データシートなどをご確認ください。

決算説明会の模様

決算説明会には代表取締役社長の孫、代表取締役副社長のアローラ、取締役の宮内、常務執行役員の後藤、執行役員の君和田、ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)専務取締役 兼 CFOの藤原が出席しました。今回の決算説明会の模様は、当サイトやUstream、Twitter、ニコニコ動画などでも同時中継されました。

決算説明会の冒頭、登壇した孫は、「福岡ソフトバンクホークスが2年連続で日本一になり、本当にうれしい。一人の選手が優れているからといって優勝できるわけではなく、バランスが大切で、そのためにはいろいろな準備や幸運が必要だと思う。おかげさまでソフトバンクグループ全体の経営においても、いろいろな幸運があって、30数年間継続して成長することができた。もちろん山あり谷ありだったが、最近思うのは、それぞれに打った手が一つ一つ着実に良くなってきているということ。本日の決算発表の内容は、順調にわれわれが成長していることを示せるものになっていると思う」と述べました。
さらに、Sprint Corporation(以下「スプリント」)について、「今年のはじめの決算発表(2015年3月期 第3四半期)では、苦しくて長い戦いになると申し上げたが、この3~4カ月でだいぶ自信が出てきた。反転攻勢させる設計図が見えて、後は実行するのみだ。登る山がいくら険しくても、その山がはっきり見えるという状況は、まさに登山前のように非常にわくわくする。毎日夜10時くらいから、スプリントのネットワーク会議を行っているが、この時間が待ち遠しくて仕方ない」と言及し、決算概要の説明に移りました。

決算概要

当期のSBGの連結決算(国際会計基準、以下「IFRS」)は、売上高が4兆4,238億円(前年同期比10%増)、EBITDA[営業利益(償却前)]※1が1兆3,160億円(同22%増)、営業利益が6,858億円(同21%増)、当期純利益(親会社の所有者に帰属する純利益)は4,267億円(同24%減)となりました。
当期純利益の減少は、2014年9月にニューヨーク証券取引所に上場したAlibaba Group Holding Limited(以下「アリババ」)の持分変動利益を、前年同期に計上していたことによるものです。

事業資産

国内通信事業

国内通信事業における当期の営業利益は4,247億円となりました。iPhone 6s/iPhone 6s Plusの国内販売シェアはNo.1※2、Android™ 端末の新規販売台数もSoftBankとY!mobileブランドを足すと、前年同期比で21%増加しました。また孫は、法人向けネットワークサービスおよびクラウドサービスの顧客満足度調査でNo.1を獲得※3したことを紹介し、「従来、ソフトバンクの顧客満足度は低かったが、最近は着実に良くなってきた」と述べました。

当社は、移動通信サービスの収益の源泉であるスマートフォン、従来型携帯電話、タブレットなどを「主要回線」と位置づけています。その主要回線のARPU※4については、通信ARPU※4が若干減少したものの、サービスARPU※4は増加傾向にあるとし、今後もコンテンツなどを充実させ、サービスARPUを伸ばしていく必要があると説明しました。また、携帯電話の通信料金が高すぎるのではないかとの議論に対しては、「私は日本と米国で経営しているが、日本の通信ネットワークは米国よりはるかに進んでいると思う。人口カバー率、通信速度において、おそらく世界で最も進んだ通信ネットワークであり、それを米国よりはるかに安い通信料金で提供している。その上、海外と比較して、iPhoneを非常に安く提供しているのも日本であるということを、皆さまにも再認識していただきたい」と考えを述べた一方、「頂いたご意見については真摯に受け止め、お客さまからの多様なニーズに合わせて、低料金のサービスから、より高度で複合的なサービスまで用意していきたい」としました。

続いて孫は、家庭への光ファイバーの提供について、「最近、最も伸びているのがソフトバンクである」と説明しました。光ブロードバンドサービス「SoftBank 光」の月間契約数※5のデータを示しながら、「家庭で、光ファイバーとスマートフォンをセットでご利用いただくと、これからはもっと楽しめる」と述べ、その事例としてNetflix株式会社(以下「Netflix」)との独占的提携※6を挙げました。オンデマンド型の番組配信サービスを提供するNetflixについて、「これからは、ケーブルテレビの有料チャンネルのような従来の番組型ではなく、光ファイバーという高速インフラによるオンデマンド型の動画配信が世界の潮流になる。その分野において、世界最大手で最先端の会社」と紹介し、「われわれはインフラ、そしてサービスにおいても、常に時代を先取りする会社として、これからもやっていきたい」と述べました。

ネットワークに関する説明に移ると、「われわれの最も本質的な商品はネットワーク。スマートフォンのパケット接続率および通信速度において、内部調査している統計値だけではなく第三者機関による調査でもNo.1※7になっていることからも、世界で最も優れたネットワークを提供していると自負している」と語りました。また、積極的に行ってきた設備投資が一巡したことで、「フリーキャッシュフロー※8が前年同期比で3倍近くに増えており、今後はさらに増加していく」と強調しました。

スプリント事業

次に孫はスプリント事業について、「マルセロ・クラウレがCEOに就任してから、経営状況が随分変わった」と述べ、収益の多くを占めるポストペイド携帯電話の契約数※9が毎月純増する状況まで反転したと説明しました。さらに、前年同期と比較して他社の純増数が減少した中で、スプリントのみが反転するとともに、タブレットではなく収益の中心となる携帯電話の契約数が純増に転じています。
優良顧客の新規獲得数が前年同期比で10%増加したことについて、「米国では、信用力が低い顧客(サブプライム)と、信用力が高い優良顧客(プライム)では、一人当たりの利益が5~6倍も異なる。スプリントショップに来店するお客さまは他キャリアで断られた人が多く、約8割にも上る。クラウレがCEOに就任する前は、顧客審査基準を低くしてそういったサブプライムの顧客を獲得していたが、彼らは代金を払わずすぐに解約し、経営にとっては最悪の状況であった。現在、サブプライムの顧客を獲得しないよう審査基準を厳しくした。つまり同じ純増でも中身はもっとよくなっており、それが収益に与える影響は大きい。収益を左右するこれらの要素が反転したことはわれわれにとって非常によいニュースである」と述べ、優良顧客獲得などの努力によって解約率※10が、事業開始以来一番低い水準まで改善したことを示しました。

また、解約率が改善した他の要因としてネットワークの改善をあげ、他社に先駆けて2.5GHz帯域内でのキャリアアグリゲーションの提供を米国で開始したことで、ダウンロード速度が前年同期比で66%増加※11したことを紹介しました。

これらの努力の結果、調整後EBITDAや営業利益も着実に改善してきている一方、純利益が赤字なのは金利の影響であることから、「今後、負債の返済が進めば改善が期待できるだろう」と説明しました。手元流動性については、59億米ドル(約7,000億円)の現金および現金同等物を保有しているとし、「社債の返済原資は2016年度分まで調達できている。また、リース会社の設立によって近いうちに第一弾のリースによる資金化を実施できる見込みである」とコメントしました。

続いて、スプリント反転への戦略として、「OPEX(固定費)の削減」、「ネットワークの改善」、「資金調達の多様化」の三つを挙げました。

OPEXの削減

約470の固定費削減のためのプログラムを並行して開始したことで、毎年継続して20億米ドル以上(約2,400億円以上)削減できる見通しであり、その一時費用として2015年度下期~2016年度中に10~12億米ドル程度(約1,200億円~1,800億円)を計上するが、費用対効果として十分なメリットが見込める。

ネットワークの改善

次世代ネットワークに向けて、孫自身が毎晩エンジニアとの設計会議に参加し、全米でNo.1のネットワークを最低限の設備投資とオペレーティング費用で構築するための設計に取り組んでいる。

資金調達の多様化

スプリントは携帯電話のリース販売を行っていて、携帯電話端末代金の回収には2年間(24か月)かかる。しかし、メーカーには30日後で支払いをしなければならず、これまではキャッシュがいくらあっても足りない状態だった。そこで、今回新たにリース会社を設立し、このリース会社が携帯電話端末の所有者となることで、スプリントに一括で現金が入ることになり、収支のギャップを埋めることができるようになる。これにより資金の流れが好転し、前述の経費削減や設備投資の効率化が順調に進めば、来年からは社債などの借入金の返済により多くの資金を充当できるようになり、結果として、純利益が一気に改善しはじめる見込みである。

ヤフー事業

ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)も継続して成長しており、特に広告収入において、スマートフォン上のディスプレイ広告が好調です。これについて孫は、「インターネット利用がパソコンからスマートフォンへ移っていく中、スマートフォンの広告単価が低いので、広告収入が減るという問題があった。しかし、広告掲載方法をスマートフォンに最適化したことにより、スマートフォンの広告単価や効果が上がり、ヤフーの広告事業がもう一度成長路線に入ってきた」と強調しました。また、イーコマースの成長率がマイナスとなっていたヤフーが、2013年10月に打ち出した「eコマース革命」が奏功し、ショッピング事業取扱高の成長率※12が反転、急激に上昇したことを紹介し、「販売店が増えたことで、品揃えの充実化、価格競争が起こり、今後さらに成長すると思っている」とコメントしました。

投資資産

イーコマース

アリババについて、取扱高はウォルマートの全世界の取扱高を抜くところまできており、売上高は前年同期比で32%増加※13し、モバイルでの売上は3倍※13になったことでその成長拡大に大きく寄与する結果となっています。さらにインドのJasper Infotech Private Limitedが運営するイーコマースサイト「snapdeal.com」の取扱高は前年同期比で223%増加※14、また韓国のForward Ventures, LLCが運営する「Coupang」(以下「クーパン」)のリテール売上※15は前年同期比で531%増加しており、イーコマース分野が成長していることを紹介しました。

トランスポーテーション

インドで80%のシェアを持つ、ANI Technologies Pvt. Ltd.が運営するタクシー配車プラットフォーム「Ola」の予約依頼数は前年同期比で30倍増えました。東南アジアで同サービスを運営するGrabTaxi Holdings Pte Ltdの「GrabTaxi」も予約数が前年同期比で8倍となったほか、中国のTravice Inc.が提供する「KuaiDi Taxi」はアリババとテンセントから戦略的支援を獲得しており、乗車数※16は前年同期比で4倍増加したことを紹介するとともに、トランスポーテーション分野においても、それぞれが急成長していることをアピールしました。

ゲーム&広告

ゲームについては、ガンホー・オンライン・エンターエイメント株式会社(以下「ガンホー」)やSupercell Oyなど成熟期に入ってきたものの、依然として継続的にフリーキャッシュフローを生み出しています。
また、広告分野では、モバイルアドネットワークを世界展開するInMobi Pte. Ltd.が紹介されました。世界190カ国以上をカバーし、四半期アクティブユーザーは10億人規模、月間広告インプレッションが約1,000億となっており、今後も成長が期待されます。

フィンテック

現在、世界中の投資家から注目されているフィンテック(Financial Technology:ITを使った金融サービス)分野における有力成長株として、当社が筆頭株主となっているSocial Finance, Inc.(以下「ソーファイ」)が紹介されました。孫は、「ソーファイは誰にでも貸すというローンではなく、優秀な大学の優秀な学生に貸し付けを行う学生ローンから始まったため、焦げ付き率や不良債権率が非常に低く、収益が上がった。それがさらに住宅ローン、個人ローンなどの商品に多様化している」と述べました。2015年のソーファイの貸付実績は9月時点で29億米ドルと、既に2014年の13億米ドルを上回っており、今後さらなる成長が期待されます。

インターネット企業のシナジーグループを

最後に孫は、「世界で最も有力で影響力のあるGoogleで実質的に経営を行っていたアローラが加わり、投資先の経営陣と密接にやり取りする専門のチームを作った。魅力的な投資先を続々とポートフォリオに追加し、彼らの企業価値がより早く、より大きく成長できるよう注力している。インターネット企業への投資は単なる投資ではなく、国内の通信事業で得た資金を元に情報革命の分野に投資を行い、お互いがシナジーを出し合うことでさらに加速的に進化していく」と力強く語り、「決して現状に満足するのではなく、さらなる成長に向かって、いろいろな種を撒き、育てていきたいと思う」と述べ、決算説明会を締めくくりました。

[注]
  • ※1
    EBITDA=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費+減価償却費及び償却費。
  • ※2
    出所:BCNランキング
    全国主要家電量販店における販売データを基にBCNが集計(2015年9月25日~10月24日)。小数点以下第1位を四捨五入しているため、合計しても100%とはならない
  • ※3
    出所:J.D. パワー アジア・パシフィック japan.jdpower.com
    2015年日本法人向けネットワークサービス顧客満足度調査℠。
    法人向けネットワークサービスを提供する通信事業者に関して従業員1,000名以上の企業454社からの642件の回答を得た結果による(1社につき最大2通信事業者の評価を取得)。
    2015年日本クラウドサービス顧客満足度℠。
    通信事業者が提供・販売するクラウドサービスに関して従業員50名以上の企業741社からの838件の回答を得た結果による(1社につき最大2サービスの評価を取得)
  • ※4
    ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入
    主要回線の通信ARPU=(データ関連収入(パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など)+基本料・音声関連収入(基本使用料、通話料、着信料収入など))÷稼働契約数(10円未満を四捨五入して開示)
    主要回線のサービスARPU=(端末保証サービス収入、広告収入、コンテンツ関連収入など)÷稼働契約数(10円未満を四捨五入して開示)
    稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数((月初契約数+月末契約数)÷2)の合計値
  • ※5
    「SoftBank 光」の契約数はSoftBank Airを含む
  • ※6
    日本における移動通信事業者として、Netflixの店頭での申し込み受け付けから請求まで独占的に提供
  • ※7
    出所:Agoop(2015年11月1日時点)
    出所:日経BPコンサルティング「全国主要300駅 LTE/4G通信速度調査」下り速度
  • ※8
    SBGとの内部取引を除く。配当に伴う源泉税の影響を除く
  • ※9
    スプリント・プラットフォームの契約数
    プリペイドからの乗り換え(19.9万件)含む
  • ※10
    スプリント・プラットフォームの解約率
  • ※11
    出所:RootMetrics
    ダウンロード速度:中央値
  • ※12
    Yahoo!ショッピング、LOHACOの取扱高
    LOHACOについては、アスクル株式会社におけるLOHACO事業の2013年以降の6月21日から9月20日までの売上高を含んでいます。
  • ※13
    出所:アリババ開示資料を基に当社作成。1ドル=120円で換算、1USD=6.2036RMBで換算
  • ※14
    売上高:2015年5月のランレート
  • ※15
    顧客の自宅まで商品を直接届ける宅配チーム「クーパン・マン」を含む、クーパンの受託・入金オペレーションシステムを経由し個別配達された商品からの売り上げ
  • ※16
    プライベートカーおよびタクシーの乗車数の合計

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q. 孫社長は日本の携帯電話料金を安いと感じているか。
A.

安いと感じるか高いと感じるかは、相対的なものだと思う。少なくとも米国よりもはるかに優れた通信ネットワークが、はるかに安い価格で提供されている。また、ヨーロッパの主要先進国と比べて、日本のネットワークは何倍も良いと思うが、料金についてはあまり変わらない。しかもiPhoneは日本で世界一安く売られている。これらのことを考えると相対的に見て、本当に高いと言い切れるのかは、やや疑問に感じている。

もう一つ言えるのは、一人当たりの携帯電話に使う費用はソフトバンクがこの業界に参入する前と比べて安くなっている。ただし、一家庭の中で使う人数が増えたので、家計費に占める比率については、別の見方があるかもしれない。一方で、カメラを毎日のように持ち歩く必要がなくなった。テープレコーダーも持ち歩かなくても良い。目覚まし時計も、カレンダーも、手帳も、音楽まで、ありとあらゆる機能が一台のスマートフォンに置き換えられ、さらに動画や新聞、雑誌まで読める。つまり、複合的なサービスを一台でこなしており、これまで使っていた費用がこちらに代替されるようになってきている。

もっと安い方が良いという声があるのも十分認識しているので、安い方が良いというお客さまにはより安い料金プランを用意していきたいと思うし、より高度なサービスを求めているお客さまには、より高度で複合的なサービスを提供できるようにする。多様なお客さまのニーズにそれぞれお応えできるように、しっかりと品ぞろえをしていくのがわれわれの役割だと思っている。

Q. 政府が携帯電話の料金について議論を進めていることに関して、どう感じているか。
A.

真摯に受け止めて、しっかりと対応したい。

Q. アローラ副社長率いる投資チームが加わったことにより、投資体制がどのように変わったか。
A.

以前は、私が海外を飛び回って投資先を見つけて交渉するという時間的な余裕もなかったし、心の余裕もなかった。特に通信事業を開始してからは、私のところに情報が入ってきたもの、あるいは私が見つけてきて話ができたところに投資をしていた。その中で幸運な事例がいくつかあった。しかし、アローラが来てからは、彼が世界中を飛び回り、相手の企業と交渉している。そして、投資を受け入れてもらえるよう、相手企業の既存株主を説得してくれる。また、アローラは自らの配下に優秀な人員をそろえている。プロフェッショナルなチームとして、それぞれの専門で分析し、意思決定を行えるようになった。もちろん重要な意思決定には私も経営者として加わっている。投資の案件ごとに、毎日のように電話やメールのやりとりをしたり、直接会って議論をしている。より広く、深く、早く、専門的にやれるようになったというのが「ソフトバンク2.0」の状況。

Q. アローラ副社長のチームにはどれくらいの人数がいるのか。
A.

今現在は10名くらいの人員がいる。人数がたくさんいれば良いということではないが、非常に優れたメンバーが急激に加わってきている。

Q. 国内の携帯電話純増数(主要回線)が3万9,000件だが、第1四半期の2万件より厳しいのでは?
A.

以前は純増No.1を目指し、「みまもりケータイ」や「デジタルフォトフレーム」などの利益貢献が小さい商品もたくさん売って、数を増やしていた。しかし、現在は数ではなく、中身にこだわっている。
また、PHSやデータ端末のお客さまも数に含まれているが、これらも減っていく。数の上ではマイナスになっているが、中身は改善していて、増益も維持している。

Q. スプリントについて、同社の第1四半期では、プリペイドの減少が30万件あったが、第2四半期決算ではプリペイドからの契約移行数をポストペイド契約数に含めているとある。これは大きかったか。
A.

プリペイドのお客さまの中には、ずっと払い続けてくれているお客さまがいる。そういう方たちには、ポストペイドに誘導することで、さらに利益率が上がるので、切り替えを促す。これは他社もやっていることだが、スプリントは最近やるようになった。また、プリペイドはかなり価格競争が激しくなっているので、数合わせばかりやるのではなく、収益の方を重視している。

Q. スプリントについて、解約をする人が多いと端末の代金を回収できなくなるということについて、詳しく聞きたい。
A.

信用力が低い顧客(サブプライム)と、信用力が高い優良顧客(プライム)の二つに分かれている。過去に米国で住宅ローンの「サブプライム問題」があったが、これはローンの返済能力が低い客層に住宅ローンを過剰に貸し付けた結果、債券市場が悪化し、世界の経済危機の引き金になったというものだった。
同様に通信事業でも、料金をしっかりと払ってくれないサブプライムの客層がいる。そこにスプリントの顧客獲得が片寄りつつあった。目先の数合わせには良いが、後で大きなマイナスになる。
同社のCEOのクラウレは勇気を持って真っ先にこの問題に取り組んだ。それが現在好転してきているきっかけになっている。

Q. スプリントについては先が見えてきたとのことだが、ボーダフォン買収時も先が見えないことがあったか。
A.

Yahoo! BBを開始した当時、ネットワークのインフラ事業を行うのは、ソフトバンクにとって創業以来初めてだった。しかもネットバブルが崩壊したことで株価が100分の1まで下がり、経営的にも相当苦しい時に、日本で一番大きな会社、日本電信電話株式会社に競争をしかけるという無謀な戦いを挑んだ。トンネルの先が見えず、本当に倒産するかもしれない危機を味わった。しかし、3年目でトンネルの先の光が見えた。4年経って、急激に改善して黒字になってきた。3年目で光が見えた時点では、まだ赤字は終わっていない。それが今のスプリントの状態。まだ赤字だが、解決の方法、設計が全て見えた。まっすぐ歩いていけばトンネルの先に出られる、明るい世界が待っているという希望に満ち溢れている。

Q. 新商品発表会の時にソフトバンクの宮内社長から、PHSは今後縮小していくという話があったが、変わりはないか。
A.

時代がPHSから徐々にスマートフォンに移っていっているのは事実。一方、安く、簡単だからという理由で今でもPHSを好んでいるお客さまもたくさんいる。M2M(マシーン・ツー・マシーン)では、エレベーターの中やガスのメーターなどにPHSのチップが入っていて、通信でメーターの測定も行っている。そういうサービスはまだ継続しているので、お客さまの需要があるところはしっかりとサービスを続けなければならない。ただ、サービスには常に終わりがあるので、その検討は常に行っている。

Q. 決算発表にアローラ副社長が来るのは初めてか。
A.

2回目になる。

Q. 6月の株主総会でアローラ副社長が後継者の筆頭候補と言っていたが、その思いはさらに強くなっているか。
A.

強くなっている。アローラが来る前と来てからでは、私の心の持ちようが全く違う。創業以来、後継者問題をどうするかということは最も重要な課題だと思っていた。バトンタッチの道筋がはっきりと見えたということは、私にとって大きな安心感になっている。

Q. 2016年3月期 第1四半期 決算説明会で、株価の水準について、割安だと言っていたが、9月下旬にさらに大きく下落した。現在の株価水準についてどう思うか。
A.

本当に割安だと思っている。実力、潜在能力、現在当社グループの企業価値を足し算すると、現在の株価に対するギャップが相当あると思う。

Q. 端末と料金の一体化について議論がされているが、どのように考えているか。
A.

ソフトバンクが参入する前の移動通信業界では、端末がほとんど無償に近い形で提供されていた。当時の女子高生は半年ごとに端末をどんどん乗り換えていた。そこに新たに参入したソフトバンクは、その状況をおかしいと感じ、端末と通信サービスを分け、端末にしっかりと値段をつけて割賦販売を始めた。しかし、「端末代は1,000円、2,000円が常識だ」と思い込んでいる当時の人達からすると、5万円や6万円の携帯電話は目の飛び出るような価格だった。だからソフトバンクは割賦販売をする代わりに通信料から値引きをするという世界で初めての方法をとった。当時は業界の人にも一般のお客さまにもなかなか理解していただけず、怪しげな粉飾決算をしているのではないかと批判を受けたが、今や株式会社NTTドコモ(以下「NTTドコモ」)やKDDI株式会社(以下「KDDI」)も含め、世界中の多くの移動通信事業者が、割賦販売の方式を取っている。

「端末の価格と通信サービスの価格を分かりやすく区分けする方がよいのではないか」という声があることは、真摯に受け止めて、どうお応えすればよいかの検討を開始した。結果がどうなるかについてコメントすることは時期尚早だと思う。一方、日本のユーザーにとっては、iPhoneが世界一安く提供されているというメリットがあることは時々思い出していただきたい。

Q. iPhoneの比率を見ると、ソフトバンクが一番大きいと思うが、過去と比べるとその比率が下がっている。今後どうしていきたいか。
A.

他社はゼロから始まっている。ソフトバンクに続いて、KDDI、ドコモもiPhoneを取り扱い始めたが、ソフトバンクよりもユーザー数が多いので、累積してきたお客さまにiPhoneが浸透していくと、iPhoneのシェアがだんだんと平準化されていくのは理論通りだと思う。

Q. スプリントのOPEX(固定費)を20億米ドル削減するにあたり、約470項目で検討しているということだが、削減後のスプリントのOPEXと国内通信事業のOPEXを比べるとどういうレベルか。また、人員削減となると労使問題が起こる可能性はあるか。
A.

スプリントのOPEXを20億米ドル削減した後でも、まだ削減の余地があると思っている。20億米ドルは、最低でもこれくらいは下げられると思っている数字で、それに留まるのではなくて、さらに頑張っていく。そのためには、人員の削減も含めて行うべきだと考えており、すでにCEOであるクラウレがその方針を発表している。

Q. 国内の通信事業の統合効果として、コスト削減・経営の合理化の進捗状況は。
A.

(孫)
ソフトバンクは世界の移動通信事業者の中でも売上に対する経費の比率を下げながら頑張っている会社の筆頭であると思う。さらに国内通信事業の会社を合併させたので、コスト削減効果をさらに上げていきたい。順調に進んでいる。

(宮内)
4社を合併したことでの統合効果は、相当大きな額になっている。他社と比較すると、顧客数は約半分だが、営業利益では、他社に匹敵するところまで持ち込むことができた。来年も継続して統合効果を出していく。新しいテクノロジーを使うことで、ネットワーク、マーケティングでも大幅なコスト削減ができると自信を持っている。

Q. スプリントのネットワークについて。米国は人口も増えており、国土も広い。通信の使い方についても日本と違いもあると思うが、一番留意している点や課題は。
A.

米国だから難しいというのはあまりなかった。米国の通信品質が悪い理由として国土が広いことなどが理由にされていたが、単に努力が足りなかったと今は断言できる。そのくらいスプリントのネットワークを改善できるという自信が出てきた。

Q. 来年電力小売りが自由化される。ソフトバンクも東京電力株式会社と提携してセット割などを検討しているが、電気の場合は品質に差を付けにくいと思う。どのように競争力につなげ、顧客を獲得していくのか。
A.

当社グループは日本でもいち早く再生可能エネルギーに取り組んでいるし、今後も強化していく。通信と電気を融合したサービスとして、外出中でもスマートフォンを通じて、温度設定や電気の消灯などができ、電気代をこまめに節約することができるようになると思う。ソフトバンクならではの価格、節電のメリットを出せる。また再生可能エネルギーを組み合わせ、お客さまの心の希望に寄り添っていきたい。

Q. 日本送電株式会社の計画が一部凍結という話があったが、「アジアスーパーグリッド構想」の意気込みを改めて聞きたい。
A.

モンゴルなどを通じて、アジア中に電気をつなげるスーパーグリッドをつくろうというロマンと構想は50年、100年単位の話で、2、3年でできるような話ではない。でも50年、100年単位で見れば、世界中の通信が海底ケーブルを通じてつながっているように、さまざまな国の再生可能エネルギーが海底ケーブルを通じて、協調しながらつながっている時代がきっとやってくるというロマンとビジョンは変わらない。
目先で言うと、日本では北海道で電気を作っても系統に接続してもらえない。受け入れてもらえるか否かについて、われわれには意思決定権がない。既存の電力会社が送電網を独占して持っている状況なので、相手次第。発電はいくらでもできるが、送電してもらわないことには話にならない。送電と発電の分離を日本の制度として一日も早く、より深くやってもらいたいと思う。
一方で、インドでは再生可能エネルギー、特に太陽光による発電を積極的に行いたいということで、今さまざまな準備を開始している。一つの国の中だけで貢献しなくても、地球上ではつながっているので、地球のどこかで環境に貢献することができれば、達成感はある。

Q. スプリントの設備投資について、今後2年間で100億米ドルをかけても、良いネットワークができるかは結果を見てみないと分からないという意見が多い。消費者のネットワークに対する認知を進めていくためには、何を見ていけば良いか。
A.

スプリントのネットワークは1年から半年前は最悪だったが、現在は少なくともその時点よりはだいぶ改善できた。結果、解約率はスプリントの移動通信事業開始以来、一番低くなった。解約の最大の理由はネットワークだった。ネットワークが改善したということが、解約率が改善したという結果に現れている。
今後のネットワークについては、統計の取り方によっていろいろな見方があるが、どの統計をみても、スプリントが間違いなく一番良くなったと感じてもらえるようなネットワークを作る責務がわれわれにはある。スプリントのネットワークが米国で一番になれなかったら、私のせいだと言っていただいて結構というくらい、自分を追い込もうとしている。そのくらい次世代のネットワークに対して自信が出てきた。
内容についてはこと細かくは事前に説明しない。これまでもiPhoneを扱う前に、そのことを一切言わなかった。ネットワークがどのように改善するかについても一切言わなかった。結果をとにかく見てくださいということで示したつもり。スプリントも今から2年経ってみると相当良くなったと思ってもらえるようにしたい。

Q. ここ6カ月の関係会社、子会社への出資額は約5,500億円。連結ベースの純有利子負債は増えているが、もう少しコントロールした方が良いのでは。今後はどう考えているのか。
A.

(孫)
年間数千億円規模の投資は、恒常的なレベルと捉えている。今後、同規模で投資先の一部売却も発生する。ソフトバンクは一度投資したら二度と売らないと思われている方が時々いるが、ソフトバンクの過去を見ていただくと、実は何兆円規模で売却、現金化をしている。一回買ったら二度と売らないということではなく、投資もしながら一部売却もする。その時々の判断でバランスを考えながらやっていきたい。ただこの15年間ほどでは、世界中の大手投資企業の中でも投資した金額と得られた成果という意味で、最も高いリターンを得た会社の一つだということも事実。さらに、直感だけの私に加えて、より確実なアローラがいるので、安心して見ていただいて良いと思う

(アローラ)
孫が言った通り、年間で数千億円という投資を計画しているが、もちろん投資額と負債レベルをコントロールし、バランスを取ることは必要だと思っている。例えば、スプリントのようにターンアラウンド型の投資だったり、アリババのような形での投資など、これから5年、10年という単位で見ていただければバランスが取れる。ポートフォリオがより多様化するアプローチを取っており、業界、地域に関しても多様化している。この1年半で見れば数は少ないが、6カ月先にはまたチャンスがあるかもしれない。全体で見た時にバランスが取れた形で、ある程度予想ができるような投資活動をしていきたいと思っている。