2016年3月期 決算説明会

ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」または「当社」)は2016年5月10日に、2016年3月期 決算説明会(2015年4~2016年3月期、以下「当期」)決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様は動画配信していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算データシートなどをご確認ください。

決算説明会の模様

決算説明会には代表取締役社長の孫、代表取締役副社長のアローラ、取締役の宮内、常務執行役員の後藤、執行役員の君和田、ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)専務取締役 兼 CFOの藤原が出席しました。今回の決算説明会の模様は、当サイトやTwitter、ニコニコ動画などでも同時中継されました。

決算説明会の冒頭、登壇した孫は、「事業経営は困難もあるが楽しい。昨今は、Sprint Corporation(以下「スプリント」)の業績改善に相当な時間を費やしているが、その努力が数字にも表れてきている。この一年の大きな進捗により、次の一年間も着実に改善していける自信が出てきた。新しい課題を得ると、物事をより真剣に考えるようになり、それを乗り越えると、より強い姿を築ける。最近は特にそのことを実感するようになった」と述べ、決算概要の説明に移りました。

決算概要

当期のSBGの連結決算(国際会計基準、以下「IFRS」)は、売上高が9兆1,535億円(前期比8%増)、調整後EBITDA[営業利益(償却前)]※1が2兆4,389億円(同19%増)、営業利益が9,995億円(同9%増)、純利益(親会社の所有者に帰属する純利益)は4,742億円(同29%減)となりました。
特に調整後EBITDA[営業利益(償却前)]の増加について、スプリントが大きく貢献したことを孫は説明し、スプリントの順調な業績改善をアピールしました。

当期純利益の減少は、2014年9月にニューヨーク証券取引所に上場したAlibaba Group Holding Limited(以下「アリババ」)の持分変動利益などを、前年同期に計上していたことによるものです。

事業資産

国内通信事業

国内通信事業における当期の営業利益は前期比7%増の6,884億円となりました。ARPU(主要回線)も、サービスARPUが伸び、安定的に推移しています。また、「SoftBank 光」を今後の成長ドライバーとした孫は、固定通信サービスについて、「ADSLから光ファイバーに移行したことで、攻め口を見つけるのに苦労していたが、ようやく収益をあげられる事業モデルを構築することができ、この一年間、積極的に展開してきた結果、業績が着実に上がってきた」と説明しました。

次に、コンテンツの差別化として、2016年3月17日より提供を開始した、人気スポーツのライブ中継がスマートフォン・タブレットで見放題となる「スポナビライブ」が紹介されました。孫は、「夕食時や出張先、海外滞在時でも視聴している。今後、携帯端末におけるサービスの差別化に役立つのでないか」と述べました。

ネットワークについては、第三者機関の調査によるスマートフォンのパケット接続率が引き続き高水準を維持していることが示され、「世界中いろいろな国に出張するが、日本のネットワークは世界でトップクラスであると体感しており、その中でもソフトバンクは最もつながるネットワークを提供していると自負している」とコメントしました。また、この数年間、ネットワークの改善に注力してきたことで、設備投資のピークが過ぎたことを説明。その結果、「4,000億円から5,000億円程度※2のフリーキャッシュフローが、毎年継続して得られる状況になった」と述べ、「売上に対するフリーキャッシュフローの比率が、世界でも最も高い会社の一つになったのではないか」と自信を見せました。

スプリント事業

ソフトバンクグループ最大の問題点と言われていたスプリントについて孫は、「集中して実行してきた反転への戦略、『純増の改善、売上の安定化』『多様な調達手段』『OPEXの削減』『ネットワークの改善』が進展してきた」と述べ、それぞれの取り組み状況について説明しました。

[注]
  • スプリントは米国会計基準に準拠しています。

純増の改善、売上の安定化

純減が続いていた契約数が純増に転じ、ポストペイド※3は125万件の純増(前期比約150万改善)、うちポストペイド携帯電話※3の純増は、44万件(同約200万改善)と過去3年で最高を達成。2016年1~3月のポストペイド携帯電話純増数はスプリント史上初めて、Verizon Communications Inc.(以下「ベライゾン」)とAT&T Inc.(以下「AT&T」)を同時に逆転するとともに、ポストペイドの解約率は1.61%と年度ベースでスプリント史上最小となるなど、劇的に改善しました。

日本と同様に、米国でも携帯端末を割賦販売あるいはリース販売し、その分を通信料から値引くモデルに切り替わっています。これが安定した売上につながっており、売上高が底を打ったことで、これから反転に転じると考えています。

多様な調達手段

資金繰りについて、潤沢な手元流動性を確保できたことにより、2016年度返済予定の社債は、借り替えせずに償還する予定です。

OPEXの改善

業績の改善に一番効果的なのは、コスト削減であり、2015年度は13億ドルの固定費削減などの努力の結果、調整後のEBITDAは前期比20億ドル以上改善。過去9年間で初めて営業利益で黒字を達成しました。

ネットワークの改善

解約率低下の大きな要因であるネットワークの改善について、積極的な設備投資を行った結果、第三者機関であるニールセン※4が行った全米でのLTEダウンロード実効速度において、スプリントがNo.1となりました。

これらの結果を踏まえ、孫は「本年度のEBITDAも約20億ドル規模で増益できる目処が立ち、2年間で40億ドル規模の改善が見込めるところまできた。自身のプライドにかけて、もう一度V字回復を実現させてみせる」と決意を改めて示しました。

ヤフー事業

孫は「米国Yahoo! Inc.(以下「米ヤフー」)は赤字で苦しんでいる状況だが、ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)は、創業以来一度も営業利益が下がったことがない」とした上で、「19期連続で増益を続け、当期利益※5は1,716億円となっている」とヤフー事業の好調ぶりをアピールしました。

広告収入

インターネットのトラフィックが、パソコンからスマートフォンに変わる中で、iPhoneやスマートフォンの検索エンジンとしてGoogle があらかじめ設定されているため、これまではYahoo! JAPANのシェアの低下が検索連動型広告における課題でした。しかし、最近では、ユーザー自身がYahoo! JAPANを選択するようになり、徐々にスマートフォンにおけるYahoo! JAPANの検索シェアが上がる傾向にあります。

また、ディスプレイ広告については、スマートフォンに最適化した形で掲載することで広告効果が高まり、単価が8倍に上がるなど広告収入が急激に伸びています。また、利益率の面では、検索連動型の広告は米国のGoogle Inc. (以下「グーグル」)や米ヤフーにロイヤリティを払う必要がある一方、Yahoo! JAPAN自らが行ったディスプレイ広告の場合はそのような負担がないため、着実な利益が期待できます。

ショッピング事業

2013年10月に開始した「eコマース革命」でビジネスモデルをアリババ型に変えたことで、現在、日本で最も成長しているEコマースサイトがYahoo! JAPANであり、当期のショッピング事業の取扱高※6は前期比で62%増加しました。孫は「今はまだ先行投資で利益はマイナスだが、最近急激に改善してきている。これから先が非常に楽しみだ。」と今後への期待を語りました。

投資資産

投資資産について、孫は「世界中の起業家たちとのパートナーシップによって“戦略的パートナー”となり、彼らと共に成長していく」とし、新興市場で新たな世界的な起業家が続々と生まれつつある現状を踏まえ「現在、モバイルとクラウドがさまざまな形で融合し、全く新しいビジネスチャンスが生まれている。また、IT、インフラ、AI、テクノロジーなど画期的な技術によって、全産業が変革する時期にきている」と述べました。

一方、現在の投資家の市場心理は弱気な傾向だとした上で「当社は、長期的なパートナーを得るために信念を持って大規模に投資する。グローバルな環境でいろいろな経験をし、グループシナジーを生かせる環境ができた。また、アローラが経営陣に加わり、『ソフトバンク2.0』のグループ戦略の下、これから世界的な企業になっていく。今までは練習ラウンドだったが、これからが本番だ」と、今後の意気込みを語りました。

Eコマース

当期、アリババは世界最大の流通事業者であるウォルマートを流通売上総額、取扱高総額で初めて逆転し、その取扱高は60兆円※7規模となりました。モバイル収入についても急激な成長を見せています。

インドにおいては、「snapdeal.com」の取扱高が前期比で90%増加。また韓国でも、モバイルコマースにおいて「Coupang」のリテール売上高※8が前期比で293%伸び、韓国のEコマース市場でNo.1になったほか、インドネシアの「tokopedia」の取扱高は、前期比で254%の成長率となっています。
また、実質的にインド最大となったホテルチェーンOYO Roomsは、提携ホテルに対して「OYO」ブランドを展開し、携帯端末経由で顧客が予約・チェックアウトすることで、高い収益性を確保。宿泊予約数が前期比で15倍に拡大しています。

トランスポーテーション

インドでタクシー配車サービスを展開する「OLA」は、インターネットを使って車をデリバリーする「Uber」のビジネスモデルを採用し、インドにおいてNo.1となっています。登録している車両が増えたことで配車時間が半減し、ネットワーク効果が拡大したことで、大きく成長しています。また、シンガポールやインドネシア、タイなどの東南アジアで同じビジネスモデルを展開している「Grab」は、四半期の予約数が前期比5.3倍という勢いで伸びているほか、中国の「滴滴」は、乗車数が前期比20倍となっており、乗車数ベースで「Uber」を抜き世界最大となりました。

ゲーム&メディア

3、4年前、スマートフォンが主流となる時代の到来を見据えていた孫は、「ゲーム市場の変化に伴い、スマートフォン向けのゲームを提供する企業が大きく成長し、利益・ユーザー数ともに増えると考え、2社の企業に投資した」と語りました。それが、日本一のガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と、世界一のSupercell Oy(以下「スーパーセル」)で、両社とも大きな成長を遂げました。ゲームタイトルの売上ランキングでは、今までスーパーセルが展開している「クラッシュ・オブ・クラン」が世界一でしたが、新作「クラッシュ・ロワイヤル」が自らのサービスを抜いて、世界一となっています。

フィンテック

フィンテック(FinTech:ITを使った金融サービス)分野においては、現在Social Finance, Inc.「SoFi」が最も業績を上げている企業であり、貸付実績が対前期比で3倍に成長しています。

株主還元の強化

国内通信事業を担うソフトバンクをはじめ、スプリントの改善、ヤフーの増収増益など事業資産における業績と、世界でトップの業績をあげている投資資産の状況を踏まえ、当社は自己株式取得の実施を決定しています。なお、1株当たりの配当金を維持しながら自己株式を取得すること配当金の支払い対象となる株式数が減少し、配当総額も減少するため、配当総額を同等に保つことにより、1株当たりの配当金は増配となる予定です。

孫は、「国内通信事業が、毎年コンスタントに4,000億円、5,000億円という規模で、フリーキャッシュフローを稼げるレベルになっている。スプリントは反転しており、投資先も順調に成長している。ソフトバンクグループはこれからが成長の本番であり、さらなる成長を約束したい」として、決算説明会を締めくくりました。

[注]
  • ※1
    調整後EBITDA=営業利益(損失) + 減価償却費及び償却費 - 企業結合に伴う再測定による利益 ± その他の営業損益
    従来EBITDAとして開示してきた額を、2015年度から調整後EBITDAとして開示しています。
  • ※2
    国際会計基準、SBGとの内部取引を除く
  • ※3
    スプリントプラットフォーム
  • ※4
    Source: Sprint's analysis of Nielsen NMP National data of delivered download speeds for total LTE downloads 150KB+
  • ※5
    国際会計基準。親会社の所有者に帰属する当期利益
  • ※6
    Yahoo!ショッピング、LOHACOの取扱高
  • ※7
    出所:アリババ開示資料を基に当社作成。1ドル=120円、6.2036RMBで換算
  • ※8
    リテール売上:顧客の自宅まで商品を直接届ける宅配チーム「クーパン・マン」を含む、クーパンの受注・入金オペレーションシステムを経由し個別配達された商品からの売上

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q. 米ヤフーの先行きをどうみているか、あるいはソフトバンクとして何か提案があるか。
A.

米ヤフーは自ら方針を決めていくだろう。たまたまブランドを共有しているが、日本のヤフーはSBGが実質的にコントロールしているグループ会社として自らの力で順調に成長しており、特に問題はない。われわれが米ヤフーを買うというのは、少なくとも現時点ではない。

Q. パナマ文書で名前の上がっているグループ企業2社に限らず、タックスヘイブンでプライベートカンパニーを作ったことはあるか。
A.

個人はない。節税よりも仕事のほうが忙しい。ソフトバンクグループ企業2社の名前が出たが、私自身もテレビを見て驚いたくらい。これまで子会社、孫会社、ファンドなどいろいろな形で2,000社近い投資と会社設立を行っており、その中の2社。投資額は、1社に6,000万円、もう1社に対しては2億円ほど。われわれがそれらの会社を設立したのではなく、グループ企業がマイノリティ出資をしていたらしい。2件を足しても投資額は2億数千万円の規模で、投資先の企業がたまたまタックスヘイブンに法人登録していたということ。投資はしたが、両方とも赤字で終わったので、税金を払うレベルの業績にも満たなかった。

Q. 純増数でベライゾン、AT&Tの2社に勝ったというグラフについて、2社に勝ったというよりもT-Mobile US, Inc.(以下「Tモバイル」)の独り勝ちなのでは。
A.

その通り、認める。ジョン・レジャー氏は立派だと思う。敵ながらあっぱれ。さすがは買収したいと思った会社だと思う。

Q. スプリントの純増数について、直近2四半期下がってきているのでは。
A.

競争が激しい。ベライゾンもAT&TもTモバイルも頑張っている。ただ、スプリントに関して言えば中身が良くなってきた。以前は、プリペイドやタブレットなどをすぐに解約してしまう信用力が低い顧客(サブプライムカスタマー)が多かったが、マルセロ体制となり、サブプライムの顧客に対する審査を厳しくした。ポストペイドの信用力が高い優良顧客(プライムカスタマー)に重点を置くことで、数字以上に中身が良くなってきている。結果として、コストダウンは1千数百億円だが、EBITDAで20億ドル改善できているのは、獲得している顧客の中身が良くなっているから。

Q. 国内通信事業について、実質ゼロ円廃止による業績への影響はあるか。
A.

新しい枠組みになったばかりなので、コメントするのは時期尚早だと思う。

Q. スプリントの設備投資について、本格的な投資は来年になるようだが、もう少し前倒しできないのか。
A.

私が自らスプリントのチーフ・ネットワーク・オフィサーを務めており、私の性格として減速することはありえない。設備投資額が小さくなっているのは、投資効率の良い機器を選び、ネットワーク設計をしているから。数は今まで以上に設備投資を行い、機能はより加速して改善する。ただし、ベンダーに対しては厳しい価格交渉を行っている。ソフトバンクと合算したボリューム効果が出てきて、価格交渉力が増し、設計力が一気に上がった。古くて高い機械や技術を導入するのではなく、最先端のテクノロジーとコストパフォーマンスの良いものを、他のキャリアが怖がっている段階で早め早めに積極的に取り入れていくことで、ネットワークの設計が革新的に良くなっている。設備投資が小さくなっているように見えているが、決して設備投資が遅れているのではなくフルスピードでやっている。

Q. 5,000億円の自己株式取得の原資として資産売却をするとのことだが、資産売却をしてしまったら、次の投資に十分な資産は残るのか。また、残った事業の価値をどう見ているか。
A.

5,000億円の資産売却といっても、ほんの一部を売却、あるいは入れ替えるだけだ。先ほども申し上げたが、積極的な投資活動はこれからも続けていく。また私自身はスプリントの業績改善に集中して取り組んでおり着実に進んでいる。ソフトバンクの経営が減速することはない。

Q. スプリントの価値をゼロと仮定しても、現在SBGは本来の価値の3分の1で取引されていると思うが、どう評価するか?富を持つことがネガティブに考えられている日本でビジネスをしているから、3分の1の評価になっていると思うか。
A.

日本で富を持つことが必ずしもネガティブだと考えられているわけではないと思う。特に日本においてだが、評価にはタイムラグがあり、後から付いてくるものなので、現状に不満はない。
今がチャンスだと思っている人がどれくらいいるか分からないが、まだ価値が下がると考えている人たちや社会を非難するつもりはなく、現状を受け入れるのみ。希望を持って楽観的に捉えている。事実こそが最も重要であり、評価や価値は事実に付いてくるもの。
評価が上がっても事実が伴わなければ、やがてその評価は崩れるが、そこに事実があれば、評価は少し遅れて付いてくる。私はただ明日を待つのみ。アップサイドがあるから、私は満足しているし、明日のほうがもっと良くなる。

Q. 実質ゼロ円の規制により、店頭や端末販売に影響が出ているか。また今後のラインアップにどう影響を与えるのか。
A.

国内のモバイルユーザーの総数は変わらないが、端末の販売台数と回転率は下がってきている。同じ端末を少しでも長く使うというサイクルに入っている。ただし、われわれは端末の販売では儲けを得ていないため、販売台数の回転率が上がっても利益は増えない。したがって、端末の数より、ユーザーの数を増やすことが大事。あるいは、1ユーザーが生活の中で使う度合いを深め、通信収入に加えてサービス収入を増やすことが大切。
これは、端末の売り方に対する実質的な業界規制だと思うが、国によって方針があるので、私はそれを批判したり意見を述べる立場にない。日本もいろいろな体験をし、その中で一歩一歩学んでいくことになると思う。一つ言えるのは、日本の通信料金は世界の先進国に比べて本当に高いのかな?と思う。少なくとも米国より安く、英国、ドイツ、フランスと比べても実質的に高くないと思っている。
競争が新しい枠組みになったばかりで、今後各社ともユーザー獲得のためにさまざまな努力を行うことになるため、収益にどういう影響があるのか述べるのは時期尚早だと思う。ただ、われわれはY!mobileで、低価格のサービスを率先して自らやっている。

Q. 海外で投資しているトランスポーテーションやEコマースなどと国内通信事業とのシナジーは。
A.

海外で投資している会社は、その国で一番になるというのを真っ先にやっている。その次に外の世界にどんどんサービスを広げていく。インドはまだ国内で手いっぱい。アリババに関しては、すでに中国国内にとどまらず他の国に業容を拡大している。米国で投資した会社は、日本・中国・インドなどで活躍しはじめており、フィンテックなども今後力を発揮していくと見ている。長い目で見れば、ソフトバンクグループとしてのシナジーは増えていく。

Q. スプリントが、9年ぶりの黒字となったが、いつぐらいに最終黒字になるのか。また黒字化に向けて今後の課題があれば教えてほしい。
A.

最終利益の黒字化は近い。少なくともわれわれが内部的に掲げている目標タイミングは近い。現在金利が3,000億円ほどかかっているが、利益が増えることによって調達金利も下がれば、絶対額も減る。最終利益の黒字化は近い将来やってくると信じている。

Q. 4月から電力小売を開始し、FITプランも導入しているが、再生可能エネルギーで世の中をどう変えていくのか。また契約獲得状況は。
A.

電力の獲得数はまだ小さいが、着実に一歩一歩増えている。国内でメガソーラーのプラントをたくさん作ると同時に、インドでも入札に勝ち、大規模ソーラーへの投資を行うことが決まっている。再生可能エネルギーは、社会的貢献を含めて一歩一歩進めていきたい。私個人としてはライフワークとなっていくと思う。

Q. 東日本大震災の時、株式会社NTTドコモ(以下「ドコモ」)、KDDI株式会社(以下「KDDい」)に比べ、つながりにくさ、災害対策費の少なさで批判があったが、今回の熊本地震における災害対応の評価は。また、今後国内の災害対策への投資を積み増す可能性はあるか。
A.

東日本大震災の時は責任を痛感した。ソフトバンクのネットワークがつながらなかったのは事実。その結果多くの方にご迷惑をかけた。われわれのネットワークがもっとつながっていれば、亡くなった命を一人でも少なくできたのではないか。われわれは圧倒的な規模で設備投資を行い、ネットワーク設計についても真剣に見直した。今回の地震で、全面復旧したのはソフトバンクが一番早かった。以前の震災で感じた責任を行動、実績で示した。当時の900MHzの認可が下りていなかったなどといった言い訳は全て忘れて、今回はとにかく良くするという思いでやった。鉄塔が倒れた時でも電波が届くように、世界で初めて気球を用いた基地局を稼動した。移動基地局車も、おそらく他社の10倍くらいの圧倒的な数を保有している。
「災害対策への設備投資が少ないのではないか」というのは勘違いで、実績は決定的に違う。さらにソフトバンクは、この7~8年で一度も大規模障害を起こしていない。大規模障害を起こすと総務省に報告をする義務があるが、総務省に報告していない。おそらく世界で一番倒れていないネットワークではないかと思っている。われわれがいかにネットワークを真剣に運用しているかをご理解いただきたい。災害対策への投資は今までも行っており、これからもさまざまな対策を行っていく。

Q. 今後、自動運転分野に対してどのくらいの規模で投資をしていくのか。
A.

世界的にスタートしたばかりの分野なので、いろいろ判断するのは時期尚早。小さな投資は行っているが、大きなものはまだやっていない。

Q. Y!mobileがiPhone 5Sを取り扱い始めた理由を教えてほしい。iPhone SEが品薄だが、小さいサイズの端末へのニーズについてどう見ているか。
A.

ユーザーによっていろいろな好みがある。大きい端末が良いと言う人もいるし、女性や若者など小さい手に収まるものや、電車のつり革でつかまっている時に片手で操作できるのが良いといったニーズがあり、そういう意味で結構売れていると認識している。iPhone 5S取り扱いについて、Y!mobileは価格で勝負しているので、そういったユーザーの要望に応えるため、Apple Inc.と交渉し権利を得た。

Q. 熊本地震の際、基地局停波の数が他社と比べて桁違いに多い。2016年4月16日時点で、ドコモが40局、KDDIが28局、SBは199局停波という内閣府の発表があったが、この原因と対策は。
A.

そもそもわれわれは基地局の数が他社よりもはるかに多い。詳細を確認しないと分からないが、同じ地域内で、生き残っていた基地局の数は他社よりもソフトバンクが多かった可能性がある。2.5GHzなど電波が遠くまで飛ばないので、プラチナバンドである900MHzの許認可が出ていないときに少しでも電波を届かせるため、基地局の数を増やした。
復旧は、先ほども申し上げたとおり他社よりも圧倒的に早く全面復旧している。