お知らせ 2025年
入社式あいさつ(骨子)
2025年4月1日
ソフトバンク株式会社
本日開催したソフトバンク株式会社の2025年度の入社式で、代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川 潤一が、新入社員479人に向けてあいさつをしました。
皆さん、本日は入社おめでとうございます。
ソフトバンクのDNAは「挑戦=進化」です。挑戦し続けるからこそ進化できるということです。ソフトバンクはベンチャー企業として始まり、私は2001年に入社しましたが、当時は赤字を抱える会社でした。それが今は時価総額が約10兆円になりました。
ソフトバンクは、これまでにいろいろな挑戦を続けてきました。44年前の創業時は、パソコンのソフトウエアを卸す流通事業からスタートして、1996年にヤフーの検索エンジンの提供を始めたのがインターネット事業の入り口でした。2001年にはADSL事業の「Yahoo! BB」を立ち上げました。2004年に固定通信事業を行う日本テレコムを買収してブロードバンド事業を拡張し、2006年にボーダフォン日本法人を買収してモバイル事業に参入しました。2008年に日本でのiPhoneの独占販売を開始して、さらに会社が成長しました。常に挑戦の歴史です。
これからの時代はAI(人工知能)です。AIに向けて経営資源(ヒト・モノ・カネ)を集中投下していきます。OpenAIのモデルは、2018年に発表されたGPT-1からGPT-2、GPT-3までの約3年間はテキストを生成するフェーズでしたが、次の3年間はコード生成や画像認識、画像生成、音声認識などができるようになりました。そして、2024年にブレークスルーが起こったと考えています。音声を生成できるようになり、コールセンターの自動化が可能になりました。高度な推論や動画生成など、いろいろなシリーズが出てきましたが、特に今年はAIエージェントです。ソフトバンクグループでは、「クリスタル・インテリジェンス(Cristal intelligence)」を展開していこうとしています。AGI(汎用人工知能)の到達も今年中だと言われていますが、皆さんはそのような年に入社しました。
知識系では、GPT-3.5からスタートしたOpenAIも、GPT-4、GPT-4oと知識を積み重ねてきました。それに加えて推論モデルのoシリーズが出てきて、OpenAI o1、OpenAI o3と進化してきました。これからGPT-5が出てくるとされています。
ソフトバンクグループは、OpenAIとクリスタル・インテリジェンスを開発していきます。OpenAIおよびソフトバンクグループの合弁会社として「SB OpenAI Japan」を設立し、ソフトバンクの連結子会社として事業を行っていく予定です。新会社は手挙げ方式で人材を募集しようと考えているので、われこそはという人はぜひチャレンジしてほしいと思います。
AIエージェントにより何がどう変わるのでしょうか。例えば人間はAIエージェントに打ち合わせの設定を依頼するだけで、予定の調整や会議室の予約、スケジュールの通知をAIエージェントが自律的に行ってくれます。組織も同じで、AIエージェントが浸透すると、今までの企業や組織の常識は大きく変わっていくと予想しています。管理職は必要なくなるかもしれませんし、10年後、20年後の会社の組織は一体どうなるのか分かりません。すべて自律化された「ひとりユニコーン」が登場するかもしれません。
ソフトバンクは、次世代社会インフラの構築を目指しています。AIとの共存時代を見据えて、AI時代を支えるインフラを構築している最中です。北海道の苫小牧市や大阪府の堺市など、全国にAIデータセンターを建設してGPU(Graphics Processing Unit)を搭載し、クリスタル・インテリジェンスのようなAIエージェントが動き、会話をする時代を支える計算基盤を構築していきます。また、国産の大規模言語モデル(LLM)を内製で開発しています。次世代社会インフラのコアになる部分とそれに必要な道具、アプリとレイヤーを分けて開発しており、クリスタル・インテリジェンスもこのパーツの一つです。ソフトバンクは事業を担う会社であり、皆さんと知恵を出し合いながらこの取り組みを進めていきたいと思っています。
最後に、私の想いとして、皆さんにどのような社会人生活を送ってほしいのかをお話しします。何のためにAIを使うのか、AIを使って何をしたいのか、どのような未来をつくりたいのか、それを決めるのは皆さん自身であり、世の中にいくら便利な道具が出てきても、使うのはわれわれ、人間です。道具は、人を豊かにするために開発するものです。過去から現在に至る偉人たちが、強い志と想いを持ち、挑戦を続けてきたからこそ、今の私たちがあるのです。
電話の父と言われるグラハム・ベルは、彼が11歳の時に難聴になった母親と会話したいという強い想いがありました。彼はもともと難聴の学校の先生で、技術者ではありませんでしたが、ワトソン技師と共に2~3年で100種類以上の試作機を作り、27歳の時に電話を完成させました。そして、ニューヨーク~サンフランシスコ間の約5,400kmに電柱を13万本立てて、大陸横断通話を成功させました。ベルは電話技術の専門家ではありませんでしたが、強い想いを持っていたことが電話の開発につながりました。
ソフトバンクのDNAは「挑戦=進化」です。失敗を恐れず、チャレンジできる文化があります。いろいろなことに挑戦してほしいと思います。
劇的に進化する時代に突入する今、皆さんには傍観するのではなく、「時を読み、時を創る」側として挑戦し続けてほしいと思います。今日から皆さんはわれわれの同志です。「AIとの共存社会」が本当にやってきます。一緒に輝かしい未来をつくっていきましょう。