プレスリリース 2020年

国際会議「Eurographics & Eurovis 2020」で論文が採択

~バーチャルキャラクターを活用した、服のリアルタイム着装シミュレーションを実現~

2020年6月12日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、2020年5月25日から29日までオンラインで開催されたコンピューターグラフィックスにおける世界最高峰の国際会議の一つである「The joint conferences, Eurographics & Eurovis 2020」(EUROGRAPH主催、以下「EGEV2020」)において、ソフトバンクのIT本部アドバンスドテクノロジー推進室とスウェーデンに拠点を置くDeform Dynamics社が共同で執筆した論文(以下「本論文」)が採択されましたのでお知らせします。本論文はEGEV2020の「Modelling–Simulation–Visualization」セッションで、研究成果として発表したものです。

本論文の内容は、服の型紙からの服生成アルゴリズムに加えて、バーチャルキャラクターの着装時に服のメッシュとキャラクターのメッシュの接触面が擦り抜けるのを防止するための衝突判定(Mesh Collider)を高速かつリアルタイムに行い、任意の動きに対するクロスシミュレーションを実現したというものです。これらの実現には膨大な計算量が必要でしたが、その計算量を劇的に減らすアルゴリズムの研究成果を報告しました。

これまでリアルタイムな服の動きのシミュレーションは、簡易的な体形に対して行われていたため、身体と接触する部分に不自然さが多く見られ、服飾業界で実用的に使うことはできませんでした。今回の研究では、独自のアルゴリズムによる衝突判定によって、身体に沿った自然な服の動きをリアルタイムで実現することに成功しました。このアルゴリズムにより、これまで困難であった重ね着やレイヤーの多い服、複数の生地からなる服についても、シミュレーションをすることが可能となります。また、型紙からユーザーが自由に服を縫合することができるユーザーインターフェースも研究開発しました。これにより、任意の体形の任意の動作に対して、さまざまな服を着装させるリアルタイムなシミュレーションをすることができるようになります。

この研究内容を、今後オンラインでのバーチャルフィッテングやオンラインゲームのキャラクター制作に応用することで、新たなユーザー体験の創出や制作作業の効率化への活用が期待されます。

[注]
  1. 3DCGにおいて、オブジェクトの形状を構成する表面上の面の集合体のこと。

EGEV2020で採択された本論文の詳細は、下記の通りです。

タイトル

英文:Interactive Assembly and Animation of 3D Digital Garments
和訳:3Dデジタル衣服のインタラクティブな縫合とアニメーション

概要

バーチャルキャラクターに対して、型紙の服を視覚的に簡単に縫い合わせ、身体の動きに合わせてリアルタイムにシミュレーションすることが可能なツールを研究開発しました。ファッションデザイナーやパタンナーまたは3DCGクリエーターは任意のCADツールから型紙を入力し、任意の体形の3Dキャラクターの周囲に2Dの服のパーツを配置し、双方向に縫合します。布同士の接触や布とキャラクターの接触を数値でシミュレーションすることで、キャラクターの動きを確認しながら型紙を変更し、動きを考慮した服のデザインが可能となる新しいコンテンツ制作のパイプラインを提案しました。

イメージ

イメージ

複数のレイヤーがあるワンピースの例:型紙からバーチャルボディーに服を着せ、キャラクターを動かすことで、服の揺れ方をリアルタイムに確認できる。

イメージ動画

3Dデジタル衣服のインタラクティブな縫製とアニメーション

EUROGRAPHについて

1980年設立。ヨーロッパを活動拠点とするコンピューターグラフィックス協会。コンピューターグラフィックス、マルチメディア、視覚化、ヒューマンコンピューターインタラクションなどの最先端技術を研究する専門家たちが参加メンバーであり、EUROGRAPHが主催する国際会議は、SIGGRAPH、SIGGRAPH ASIAと並ぶ世界最高峰の一つであり、ランクAの学会。

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