CSRトピックス 2010年

すべての子どもが理解できる授業を目指して発達障がい児のための「ユニバーサル授業」

発達障がい*1のある子どもを含めたすべての子どもたちが理解できる授業のあり方を検討するセミナーが、NPO法人 企業教育研究会など6団体*2の共催で、1月23日(土)および2月20日(土)の2日間、シリーズで開催されました。ソフトバンクモバイル株式会社は、発達障がい児にとって分かりやすい授業を進行するための課題検証や、携帯電話を活用した支援の可能性についての意見交換において、同セミナーに検討材料を提供しました。

発達障がい児にやさしい授業のあり方を考える

学校教育現場では、発達障がいのある子どもたちがいるクラスで、どのような点に留意しながら授業を進めるべきかということが課題になっています。第1回のセミナーでは、ソフトバンクモバイルが企業教育研究会と共同開発した情報モラル学習プログラム「考えよう、ケータイ」を題材として、「発達障がい児への情報モラル授業の実践検討」がテーマとなりました。会場には、学校教育関係者、保護者、医療関係者、学生、企業担当者など、学校の授業を発達障がいの子どもたちにもやさしい「ユニバーサル授業」*3へと改善することに関心を寄せる幅広い参加者が集いました。

セミナーでは、「考えよう、ケータイ」の教材を使って、参加者全員を対象に模擬授業が行われた後、参加者全員で発達障がいを持つ子どもたちの目線で、授業の工夫点、改善点について活発な意見交換が行われました。参加者のひとりで、発達障がいを持つ高校2年生のM君は、「スライドに使われている色が多過ぎて、どうしてこんなにたくさん色がついているのか理解ができなかった」「文字の大きさのばらつきが気になり、そのことをずっと引きずってしまって途中から授業についていけなくなった」と、その場で模擬授業の感想を話しました。これに対して、「学校で、黒板の周りに張ってある掲示物も気になりますか」と質問が出るなど、実践に活かそうと参加された皆様の表情は真剣そのものでした。

セミナー終了後のアンケートでは、「クラスには必ず何らかの問題を抱えた子どもがいる。今日の話を聞いて、自分の授業にも改善すべき点が多々あることが分かった」「発達障がいの症状には個人差があるので、一人ひとりに合わせた授業を普通学級で行うことの難しさは相当なものだろうと感じた」「実に多くの先生方が参加されていて、発達障がいの教育現場は確実に発展していることに、親として感激した」などの声が寄せられました。

携帯電話を利用した、発達障がい児の学習支援の可能性を探る

第2回のセミナーは、「発達障がい児のための携帯電話を利用した学習支援」をテーマに開催されました。ソフトバンクモバイルは、東京大学 先端科学技術研究センター人間支援工学分野の中邑 賢龍(なかむら けんりゅう)教授と共同で、携帯電話(iPhone™)を障がいのある子どもの学習や社会参加に活用するための実践研究と啓発活動を行う「あきちゃんの魔法のポケットプロジェクト」*4を行っています。セミナーでは、この研究に携わる同センター特任助教の近藤 武夫氏と岡 耕平氏が、プロジェクトの研究成果を発表し、参加者全員で携帯電話の活用方法を検討しました。

近藤氏は、「少年院にいる子どもの約6割が学習障がい、8割以上が注意欠陥多動性障がいの疑いがあるという報告もある。学校の授業や仲間から排除されて自信が持てなくなったことが、結果として犯罪につながっているのではないか」と指摘し、「携帯電話などのツールによって自身の困難が低減される発達障がい児が、学校でそれらのツールを使えるようにすることで、すべての子どもが共に学べる教室を実現することができる」と提言しました。

また岡氏は、発達障がいの子どもたちのiPhone活用事例をまとめた「障がいのある子どもたちのための携帯電話を利用した学習支援マニュアル ~あきちゃんの99の魔法のポケット~」をもとに、発達障がいの子どもの生活や学習に携帯電話の機能を役立てる方法について、具体的な事例を用いて説明しました。読み書きや言葉を使った説明、時間・空間の認知やスケジュールの把握、記憶などが困難な発達障がいのある子どもの生活に、携帯電話に搭載されているメールやカメラ、録音、音声読み上げ、タイマーなどの機能が役立てられている事例を聞いた参加者からは、驚きの声が上がりました。また、参加者から携帯電話の活用方法について新しいアイデアが出されるなど、活発な意見交換が行われました。

ソフトバンクモバイルは、障がいのある子どもの学習や自立を支援し、子どもたちが夢を持って社会に羽ばたける環境づくりに今後も貢献していきます。

(掲載日:2010年4月20日)

[注]
  • *1知能に遅れはないものの、認知、言語、社会性、運動などの機能の発達に何らかの原因で偏りが生じること。自閉症、アスペルガー症候群、学習障がい、注意欠陥多動性障がいなど。
  • *2特定非営利活動法人 企業教育研究会、日本メディアリテラシー教育推進機構、就労支援推進ネットワーク、発達障害児支援アカンパニスト、千葉大学 教育学部 授業実践開発研究室、静岡大学 教育学部 塩田研究室。
  • *3障がいのある子どもを含めた、すべての子どもが理解できる方法で行う授業のこと。
  • *4携帯電話が、障がいのある子どもの学習や社会参加を支援するさまざまな機能の詰まった「魔法のポケットのように便利なもの」として活用されることを祈って名称が付けられました。
  • *Apple、Appleのロゴは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。
  • *iPhoneはApple Inc.の商標です。
  • * iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。