CSRトピックス 2011年

環境に配慮した日本初のデータセンター 環境対応型次世代データセンターコンプレックス
「アジアン・フロンティア」

データセンター事業に取り組む株式会社IDCフロンティア(以下 IDCフロンティア)は、環境に配慮し、エネルギーの効率化を図ったデータセンター「アジアン・フロンティア」を2008年10月に福岡県北九州市に竣工しました。「アジアン・フロンティア」では、建築構造を根本的に見直し、空調効率の最適化や外気を利用したサーバ室の温度調整など、画期的な技術を数多く採用しています。2008年11月には環境モデル都市である北九州市より「第6回北九州市環境賞奨励賞」、同年12月に「平成20年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を技術開発・製品化部門で受賞しました。続いて2009年5月には、日立環境財団と日刊工業新聞社主催の「第36回環境賞」において、最優秀賞である「環境大臣賞・優秀賞」に選ばれました。さらに2010年度は、データセンターおよびビジネス・コンピューティング全般のエネルギー効率化に取り組む団体であるグリーン・グリッド(The Green Grid)とDatacenterDynamics社が共催する、「グリーン・グリッド データセンター・アワード2010」の特別賞を受賞しました。「アジアン・フロンティア」における効率的なエネルギー運用などについて、IDCフロンティア 事業企画本部 技術企画部の山中 敦に、インタビューしました。

空調効率の最適化や外気空調によるエネルギーの効率的な運用を実現


環境対応型次世代データセンターコンプレックス「アジアン・フロンティア」
インタビュアー:
環境対応型次世代データセンター「アジアン・フロンティア」とは、どのようなデータセンターなのでしょうか。
山中:

「アジアン・フロンティア」最大の特徴は、サーバ室内の温度調整に外気を利用したことです。これは商用大型データセンターとしては、日本で初めての試みでした。一般的なデータセンターでは、サーバを冷却するための電力量が、サーバを動かすための電力量とほぼ同量と、想像以上に大きな電力を消費しています。「アジアン・フロンティア」ではこの電力に着目し、冷えた外気を効率よくサーバ室内に取り入れることで、大幅な電力削減に成功しました。
また、「アジアン・フロンティア」のある北九州市は、地震や津波などの自然災害が発生する可能性が低いため、リスク面においても非常に優れていると考えています。こういった観点から、お客様にとって、メインのデータセンターとしてはもちろんのこと、バックアップセンターとしてもご利用いただける環境が整っていると考えています。

インタビュアー:
電力削減の具体的な効果や、その他の取り組みを教えてください。
山中:

「アジアン・フロンティア」の取り組みは、経済産業省の平成21年度(2009年度)公募事業「データセンターの高信頼化に向けた技術開発・実証事業」に採択されました。この実証実験の中で、外気空調を使用しない運用方法に比べ、空調消費電力において最大4割弱の削減効果があることが確認されました。これは1,000ラック規模のデータセンターで外気空調を行った場合、その空調消費電力の削減規模は金額換算で年間4千万円強に相当します。
また、サーバ室内からの廃熱を冬季の温室栽培の暖房に再利用することで、ドラゴンフルーツやパッションフルーツといった南国果実などを栽培しています。サーバ室内からの廃熱は、30~40度と中途半端な温度であるため、再利用方法に困っていましたが、農家の方から温室の温度に最適だという話を聞いて、このアイデアを思いつきました。

インタビュアー:
このようなデータセンターを建設することになったきっかけを教えてください。
山中:

外気空調による空調消費電力の削減は、お客様に「当社のデータセンターのサービスを、よりリーズナブルにご提供したい」という考えから生まれました。そのためには、原価の多くを占めていた電力コストの削減が必要となりますが、それを追求した結果、お客様へのサービス向上に加え、二酸化炭素の排出削減による環境保護への寄与という好循環が生まれたといえます。
このようなアイデアは、常識に縛られて考えるだけでは生まれません。我々が持っているデータセンター運営の専門性に加え、建物の建設など専門外の分野において「大いなる素人」としての発想を持ち続け、建設会社をはじめとした専門家の方々とも率直に意見をぶつけ合ったからこそ、生まれたのだと思っています。2011年9月末からは、風力と太陽光を利用した発電によるハイブリッド型の街路灯を設置予定ですが、これも「大いなる素人」の発想から生まれたアイデアのひとつです。

IT技術とともに進化していくデータセンターを目指して

インタビュアー:
今後の展開を教えてください。
山中:

これまでのデータセンターは、お客様のサーバ用スペースの提供や運用代行がメインでしたが、今後は、クラウドコンピューティング(以下 クラウド)の時代となります。我々は、これまでの省エネルギーなどに対する努力を生かしつつ、さらにネットワーク、立地、設計といった面でも研究を進め、クラウドが動きやすいデータセンターを構築する必要があると考えています。
5年後、10年後のIT技術の発展を想定することは容易ではありません。機器の大きさや消費電力、ソフトウエアの性能向上など、あらゆる面でさまざまな発展を遂げていくことになると思います。これまでのデータセンターでは、このようなIT技術の変化に対して、データセンター自体のあり方が変わることはありませんでした。しかし、「アジアン・フロンティア」では、需要に応じた追加建設が行えるように、センター1棟を1モジュールとして建設する「モジュール方式」を採用しています。この方式が、その時々のIT技術の発展への対応としても、有効だと考えています。データセンター内の機器を最先端のものに変更するだけにとどまらず、建物の設計段階から、最先端の機器の性能をフルに発揮できるように設計し、最先端の技術を用いて建設することにより、IT技術の発展に柔軟に対応しつつ、無駄を省き、環境にも配慮したデータセンターを構築できると考えています。
また、日本のデータセンター事業全体が発展することも重要な課題だと考えています。IDCフロンティアでは、データセンター事業者など約130社が参画している「日本データセンター協会」においても積極的な活動を行うことで、日本のIT基盤を支えるデータセンターのあるべき姿を追求するとともに、日本経済の発展に貢献していきたいと考えています。

(掲載日:2011年8月10日)

[注]
  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。