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被災地と支援者をつなぐ Yahoo! JAPAN 「現地発 ボランティア(NPO・NGO等)情報ホットライン」

ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)では、2011年3月11日に発生した東日本大震災関連の情報を集約した「復興支援サイト」を震災発生直後に開設し、運営を続けています。同サイト内で被災地と支援者をつないでいるコンテンツのひとつが、ボランティア情報を発信している「現地発 ボランティア(NPO・NGO等)情報ホットライン」(以下「ボランティア情報ホットライン」)です。今回は、「ボランティア情報ホットライン」を立ち上げた中心メンバーの一人、ヤフー R&D統括本部の宮内 俊樹にインタビューしました。

被災地の生の情報を早く、広く伝える

東日本大震災発生から「ボランティア情報ホットライン」の開設までには、どのような経緯があったのでしょうか。

宮内:
ヤフーでは、震災発生直後から募金活動を始めましたが、その次のステップとなる復興支援策として、被災地で必要とされているボランティアや物資の情報を発信し、被災者の方の要望に応じた支援を増やす取り組みを検討していました。しかし、震災直後の被災地では、インターネットを使った情報入力が困難だったため、ニーズの情報収集が大きな課題でした。
そうした中、震災から10日後、「助け合いジャパン」*1という、復興を支援する民間プロジェクトの会合に参加した際に、「被災者の方が必要としているボランティアの情報を集約するデータベースを構築している」という話を聞きました。

そこで、「助け合いジャパン」のデータベースと、「Yahoo! JAPAN」の持つ情報発信力を連携させることで、被災地の方が求めているボランティア活動に、より多くの方に参加してもらえると考え、「ボランティア情報ホットライン」の開設を決めました。実際に「助け合いジャパン」では、約20名のスタッフが、被災地で活動するNPOを通じて現地のヒアリングや電話確認などを行うことで、被災地の生の情報を集約しています。こうした有用な情報をできる限り早く、できる限り多くの人々に届けることが我々の使命であると、強く感じています。

「ボランティア情報ホットライン」は、いつ開設されたのでしょうか。また、サイトの使い勝手や情報の集め方において工夫していることを教えてください。

宮内:
立ち上げにあたっては、何よりスピードを重視しました。「助け合いジャパン」が持つボランティア情報のデータベースと連携することが決定したのは3月28日。

そして、それから2日後の3月30日、「ボランティア情報ホットライン」をリリースしました。なぜこれほどまでに迅速に提供を開始できたかというと、開発を1日で終わらせて最低限のシステムチェックを行い、リリース後、運営しながらサイトの修正を図っていったからなのです。これは通常のサービスでは考えられない手段です。関わっていたスタッフ全員が「ボランティア情報ホットライン」の重要性を理解し、1日でも早く被災地の方々に役立つツールを提供しなくてはならないという気持ちが原動力となり、成し遂げられたものと考えています。

「ボランティア情報ホットライン」は、被災地のニーズの変化に柔軟に対応しています。震災直後は、「○○の地域で○名のボランティア募集」という大まかな支援希望だったものが、やがて「泥かきの人員○名、家の補修のため大工○名」といった、具体的な内容に変化するだろうと想定しました。これに合わせ、当初は地域検索だけであった検索機能にキーワード検索を加えたほか、データベースの情報を単語化して例示する「タグクラウド」の機能を導入し、より具体的な検索ができるように改善しました。
さらに7月には、夏休みのボランティア増加に備え、それまでNPOなどの団体が発信する情報に限定していたところに、個人が入力した情報も加えることにしました。これにより、規模が大きいNPOのニーズから、個人の小さなニーズまで、被災された皆様の希望に沿った支援情報が提供できるようになりました。

復興支援で生きる、「Yahoo! JAPAN」の情報発信力

ヤフーは今後、どのような復興支援に取り組んでいく予定でしょうか。

宮内:
「ボランティア情報ホットライン」では、開設から11月までの約8カ月間で、5千件以上の情報を掲示しています。被災地の方には、「自分たちでは発信力がないが、『Yahoo! JAPAN』に掲載されることで人や物資が集まっている」と、感謝のお言葉をいただいています。我々は、こうした「Yahoo! JAPAN」の高い情報発信力を使い、被災地で行われているボランティア活動もきちんと伝えていきたいと考え、12月に「復興なう」という被災地の現地リポートコンテンツを新たに追加しました。残念なことに時間の経過と共に、新聞・テレビなどのメディアから、被災地の現状が伝えられる機会が少なくなってきています。しかしながら、被災地では震災から9カ月経過した今でも支援が必要な状況であり、多くのボランティアの方々が熱意を持って、復興に向けて活動されています。このような活動と現地の生の声を伝えていくことで、東日本大震災を風化させないようにしたいと考えています。

被災された皆様の細かいご要望を広く伝えていくこと、支援者が支援できる機会を提供し続けること。ヤフーは今後も皆様のために、情報を発信し続けてまいります。

  • ※1 
    内閣官房「震災ボランティア連携室」と恊働し、被災地の情報提供を受けてボランティアによる救援を支援するプロジェクト。同プロジェクト内の「ボランティア情報ステーション」が情報収集に当たっていた。

(掲載日:2011年12月20日)