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東日本大震災から2年 当時16歳だった少年が高校を卒業し、新たな一歩を

米国大使館と米国の非営利公益法人 米日カウンシルが主導し、民間企業や団体が共同で日米の若者を支援する「TOMODACHIイニシアチブ」。ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)はこのプロジェクトに参加し、「リーダーシップ」を養成するプログラムを支援しています。2012年夏、「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」と題し、東日本大震災で被災した東北の高校生300名に米国カリフォルニア大学バークレー校での短期留学を体験していただきました。このうち、2013年春に高校を卒業した参加者に、卒業を迎えた今の心境をインタビューしました。

「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」とは?

ソフトバンクでは2012年夏、「TOMODACHIイニシアチブ」のプログラムのひとつとして、「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」を実施しました。このプログラムは、東日本大震災で被災した岩手・宮城・福島の高校生300名を、ソフトバンクグループ代表 孫 正義の母校であるカリフォルニア大学バークレー校への短期留学に招待したものです。3週間の短期留学を通じて、リーダーシップと地域貢献について学び、将来は東北の復興に貢献する人材を育成することを目的に実施されました。今回インタビューに登場いただいた福島県須賀川市の菅野 英那(かんの えな)さんは、このプログラムに参加した高校生の一人。プログラムでリーダーシップを学び、また同じように被災した高校生たちとの切磋琢磨を通じて自信を得たと話します。

被災地の状況を見て固めた決意

東日本大震災発生当時、菅野さんは何をしていましたか。

菅野:震災当日は学校が休みで、母や祖母と一緒に自宅にいました。地震の後近所にある湖が決壊し、湖の水が家の裏まで流れてきて、近所の家や人が流されてしまうところを目の当たりにしました。避難所に逃れた後も、濁流に流され恐怖に震えるおばあさんに対しても、自分はただ立って見ていることしかできなかったことがすごく悔しかったです。「人の役に立ちたい、どうやったら役に立てるのか」—そう考えていたとき「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」のことを知り、参加を決めました。

  • 「TOMODACHIサマー2012」を通して、どんなことを学びましたか。
  • 菅野:実際に経験してみて感じた一番の収穫は、「自信」がついたことです。
    留学前から生徒会長や部活の部長をやっていて、リーダーとして組織の中で動くことは経験していました。しかし、参加前は自分の意見と周囲の意見が食い違うようなとき、気が弱くなってしまい、周囲に任せてしまうことがありました。「ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」を通して学んだことは、相手の意見もうまく取り入れながら自分の考えに信念をもって取り組むことで、自分の目指す方向に進めていけるということです。このことを実感することができました。
  • 卒業式では卒業生代表答辞という大役を果たされましたが、答辞を読みながら涙されていました。その理由は?
  • 菅野:答辞を読んでいて、学生生活のいろいろな思い出が蘇ってきました。そして、保護者の方々への感謝の言葉を読み上げるとき、今まで母が自分にしてくれた支えの数々を思い出し、涙が込み上げて泣いてしまいました。

将来は起業し東北に貢献したい

  • 高校を卒業して、何をしたいですか。
  • 菅野:大学に進学して経済について学び、いつか起業して自分の会社をもちたいと思っています。特に、ITを使って社会に大きな貢献をすることが目標です。今はFacebookやTwitterのような優れたサービスがありますが、僕自身も社会に対して、大きな貢献ができるようなWEBサービスを作りたいと思っています。そして自分の会社が、あるいは自分の会社による社会への貢献が、広い意味で東北への貢献につなげることができればと思っています。
  • 今年も「TOMODACHIサマー2013」が実施されます。参加を考えている皆さんへメッセージをお願いします。
  • 菅野君と母 美和子さん

  • 菅野:リーダーシップを学ぶという点で、「もしかしたら自分には向いていないのでは?」と思う人もいるかもしれません。でも自分で決めつけないで、積極的に行動し、発言するなどしながら、ぜひ学んでほしいと思います。
    僕が参加した「ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」の中で、「地域貢献」について学ぶ機会がありました。最初「地域貢献」と聞いたとき、なかなか具体的なイメージが湧かなかったのですが、実際にプログラムを経験して感じたことは、地域の特色と課題を一つ一つ明らかにしていくことで、地域に合った貢献の形が見えてくると知りました。これは東北の復興にも大いに役立つ経験でしたし、自分自身への自信につながる大きな進歩でした。
  • 「TOMODACHIサマー2013」に参加してみようと少しでも思っている皆さんには、ぜひためらわずに挑戦してみてほしいです!

(掲載日:2013年3月29日)