経営陣ファイル 2003年

取締役就任挨拶

ソフトバンクBB株式会社 取締役
阿多 親市(あた しんいち)

ソフトバンクBBではこの8月、新たな2人の取締役を迎えた。ひとりはマイクロソフト代表取締役社長からソフトバンクBB常務取締役に就任した阿多親市(あた しんいち)。そしてもうひとりが、名古屋めたりっく通信代表取締役社長などを経て、ソフトバンクBBのBBフォン事業本部長など、一昨年からソフトバンクグループの一員となっていた宮川潤一(みやかわ じゅんいち)だ。今月は「新役員紹介」として、このふたりの新役員みずからが、これまで歩んできた道やそこで学んだこと、そしてソフトバンクBBに寄せる思いなどを語った。

もういちどWindows(R)(ウィンドウズ)を作ってみたい

ソフトバンクとのつきあいはもともと長かったですね。マイクロソフトの広報宣伝にいたときは、ソフトバンクの出版部門とつながりがあり、営業の仕事をしていた時は、営業部門と一緒に客先を回ったこともあった。 そう、社外の同僚という感覚でしょうか。

とはいえ、こちらに移ってきたのは、そういう親近感からではないですね。一番のきっかけになったのは、孫社長のブロードバンドへの熱い思いでした。「100年に一度のチャンスかもしれない」、そう言った彼の言葉にインスパイアされたんです。マイクロソフトではありがたいことに社長職を経験させてもらい、3年でそのポジションを卒業。その後は、しばらくお休み、という選択肢もあったと思いますが、もう一度何かに挑戦してみたいという気持ちが私の中に湧いてきたのです。アイデアというのは、誰もが持っているものですよね。問題はそれがいいアイデアなのかどうかではなくて、ちゃんと実行に移していく事ができるかだと、私は思います。例えば、コンピュータのソフトにしても、画面分割をすれば使いやすくなるというのは誰もが考えること。ただし、それを現実のものにして、誰もが受け入れてくれるものにするのが何より難しいんですね。Yahoo! BB(ヤフーBB)はそんなアイデアの実現をやってのけた。まして立ち上げには、さまざまな規制もあり、それに対しても 果敢に戦ってきたと思います。

もう一度Windows(R)(ウィンドウズ)を作るのと 同じような挑戦をしてみたい−−進路に迷ったとき、孫社長と話して感じた私の思いは、もちろん今も 変わっていません。

日本を活性化させるビジョンを持つ企業

外資系企業に16年、そう聞くと欧米人のようにドライな人と思われるかもしれません。でも実はその逆。こと自分の国への思いは、かえってウェットになりますね。日本の会社から一歩外にでると、自分は日本の代表。自分の国を意識して、好きで好きでたまらないという気持ちになるんです。そして日本がこんなにも変わってきていること、こんなにも進んできていることを何とか外国の人たちに分かってもらいたいと思っていました。

そんな私には、ソフトバンクが、日本の将来についてのビジョンをいつも持ちながらここまで進んできたというのも大きかったですね。IT企業で成功した世界の経営者たちは、一生使いきれないほどの財を成したとしても、まだ徹夜でミーティングをし、休みなく働く人も少なくない。じゃあ、この人たちのモチベーションは何なのかと、いつも不思議に思っていました。やはり彼らにはいつもロマンがあり、世の中のため、人のために何かをするんだと 燃えていることが好きなんですね。

日本を活性化させようと戦っている孫社長も、もちろん例外ではありません。そんな姿勢も、私が孫社長を尊敬する理由のひとつになっています。私の好きな日本が少しでも元気になれることを、私もこの会社の事業を通じて少しでも手伝うことができればいいと思いますね。

壁にぶつかったら、本屋にでかけていく

ソフトバンクに移ってきて数ヶ月、今はまだ業界や技術について日々学んでいるところです。新しいことを学び、さまざまな仕組みが見えてくることはやはり楽しいことですよね。もともと本を読むのが趣味。これまでもなにかの壁にぶち当たったときは、必ず本屋に行って、たくさん本を買っていました。

ビジネス書や伝記、ときには数学の本なんかが混ざっていることもある。まあ、何でもいいんですよ。ちょっとした頭の切り替えができて、自分の頭の中も整理できる。そうして本から、こういう考え方もあるのかというヒントをもらうことは多いですね。たとえば本で読み、私がよく思い出す言葉に「小人」というのがあるんです。これは自分より優れた人を見たときに、その人のアラを探し出して安心する人のこと。これはよくなくて、自分より優れた人を見たときは、自分が努力してその人に近づいていこうとするのが正しい。僕は人の評を求められたときに、やはり「小人」にはなりたくないといつも思っていますね。

ほかに趣味といえば……、そうそう、入社前の数週間、本当のプライベートな休みを過ごしたんです。どこの会社にも所属していない休暇は、初めての体験。さて、何をしようと考えて、何か資格を取ることにしました。

そしてダイビングの資格を取ろうと、沖縄に行きました。いえ、ダイビングはそのときが初めてでした。会社に所属しているときはプライベートといえども、安全管理をしなくてはいけない。フリーになったこの機会に、とにかく危険なことをやりたかったんですよ(笑)。 沖縄の海はキレイで、幸せでしたね。

(掲載日:2003年10月1日)

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