経営陣ファイル 2009年

クルマを通じて、世界の人と人をつないでいく

株式会社カービュー 代表取締役
松本 基(まつもと もとい)

“クルマを通じて、世界の人と人をつないでいく”ことをモットーに、インターネット広告事業を展開する株式会社カービュー(以下 カービュー)は、国内だけでなく、海外にまで幅広く事業展開を行っています。同社の取り組みや今後の方向性について、ご紹介します。

クルマ専門のインターネット企業

1999年、当時「カーポイント」というブランドで、新車の見積りサービスを展開していた米マイクロソフト コーポレーションは、日本での同事業展開のため、ソフトバンク株式会社、ヤフー株式会社、株式会社セブン-イレブン・ジャパンと、「カーポイント株式会社」として、新たに合弁で事業を開始しました。同年11月より新車見積りサービスがスタートし、翌年、中古車査定仲介サービスを開始。2003年に商号を「カーポイント」から「カービュー」に変更し、株式会社カービューは誕生しました。

カービューは、クルマに専門特化したインターネット企業で、自動車関連情報のWEBサイトやSNS*1サイトを通じたインターネット広告事業が主な収益基盤です。事業は、自動車(新車・中古車)見積仲介サービス 、SNS「みんなのカーライフ 」(通称 みんカラ)、中古車輸出支援サイト「tradecarview.com」(トレードカービュー)の大きく3つに分けられます。
自動車見積仲介サービスは、新車販売店への新車見積依頼を代行する「新車見積りサービス」、中古車販売店の在庫車両を検索できる「中古車検索サービス」、最大8社の査定会社に一括して査定を依頼できる「中古車査定仲介サービス」などです。これらはすべて、カービューのサイトより、無料で利用することができます。

クルマを軸にしたオープンなSNS「みんカラ」は、ブログをはじめとして、愛車紹介やパーツレビューなど、クルマが好きなユーザ同士の交流を目的とするさまざまな機能を備えています。月間のアクセス数は5億を超え、4年前と比較すると約15倍にまで成長しました。また、中古車情報を海外に発信し、中古車輸出事業者の販売を支援するサイト「tradecarview.com」も好調です。「年々海外からの『中古車を買いたい』という問い合わせが増えています。『tradecarview.com』加盟事業者の輸出先として多いのは、アフリカ、アジア(中国・インドを除く)で、特にアフリカでの『tradecarview.com』の認知度は高いようです」(代表取締役 松本 基)

近年、会社全体の収益における各事業の構成比においては変化が著しく、「みんカラ」と「tradecarview.com」の占める割合が年々増加しています。

中古車マーケットで、カービューが果たす役割

中古車は、クルマを売りたい人がディーラーや買い取り店に売却し、そのクルマが事業者間オークションで取引されるのが一般的です。事業者間オークションは、事業者のみで行われ、基本的に一般消費者は参加できません。そのオークションで買われたクルマが、中古車として市場で売られているため、クルマを買いたい人は、2つの事業者を経由して初めて中古車を購入することができます。カービューは、「中古車査定仲介サービス」を通して、“中古車を売りたい所有者”と“中古車を買いたい事業者”を直接つなぎ、オークションでクルマを買う事業者にも、新たな買い取り手段を提供しています。

「最近では、事業者間オークションで落札された中古車が、海外へ輸出されるケースも増えていますので、オークションの参加者には海外事業者の方が多数いらっしゃいます。しかし、事業者間オークションに参加できる資格を有する海外事業者は非常に限られています。その点、WEB上で取引ができる『tradecarview.com』を使えば、わざわざ日本に来なくても、サイトに参加している事業者から直接輸入ができるというわけです」(同)。

また、「tradecarview.com」は、日本では商品価値を失っている中古車のリサイクルの手助けにもなっています。「日本では、30年前は約6年だった新車購入後の平均使用期間が、現在は11.6年まで延びています*2。しかし、国内で需要のある中古車は、使用年数が少なく、走行距離の少ないクルマです。つまり、商品価値を失った中古車は、需要がありません。したがって、2009年4月1日よりエコカー*3減税(環境対応車普及促進税制*4)が施行され、今後エコカーへの乗り換えが盛んになると予想されますが、売却された古い中古車が日本国内で再流通することは非常に難しいでしょう。ところが、海外では、性能がよく、整備された日本の中古車は人気がありますので、年式や走行距離から日本では商品価値がないと見なされても、海外では気にならない、むしろ日本車を安価に購入できるというメリットになる可能性が高いのです。こんなとき、『tradecarview.com』を使えば、日本の中古車を需要のある海外で流通させることができます」(同)。

人と人をつないでいく

現在カービューは、日本国内の“アフターマーケット*5”に力を入れています。日本の自動車保有者は、愛車のドレスアップやチューニングに熱心なため、カービューにとって「みんカラ」は、このようなユーザのニーズを満たすことが十分可能だと考えられています。
加えて、海外についても新たな可能性に向けて取り組んでいます。「われわれの事業は、母国語以外でも成功できる可能性が極めて高いと考えています。昨年11月からスタートしたグローバル・リスティングサービスは、海外事業者が海外の在庫を『tradecarview.com』を使って輸出するシステムです。つまり、これまで日本から海外という取引だったものを、“海外から日本”、“海外と海外”という取引にすることができるわけです。今、ヨーロッパなどを中心に事業開拓を進めています。現在の『tradecarview.com』では、取り扱っているクルマのほとんどが右ハンドル車で、左ハンドル車が少ないのですが、世界で右ハンドル車が使用されている国の割合といえば、3分の1強ほどで、それ以外は左ハンドル車です。つまり、『tradecarview.com』を世界規模のインフラにするには、左ハンドル車の流通を促進する必要があります。左ハンドル車を使用している国として、クルマのクオリティーから、ドイツ、イタリア、フランスなどと密接に関わるEU(欧州連合)に魅力を感じています。この市場は開拓の余地がかなりあると感じていますので、これからの取り組みによって、EU諸国から供給される左ハンドル車を、日本を含む他の国へ流通させるインフラを構築していく予定です」(同)。

このように、カービューは、日本の自動車ユーザのカーライフを充実させる役割と、海外の自動車ユーザのニーズに応えるインフラを整備していく役割をさらに拡大することが使命だと考えています。「われわれの事業は、アクセスユーザあってのビジネスモデルですので、ユーザ同士の交流を促進し、各サイトやサービスを活性化させたいと思います。また、市場は、モバイルの活用が進んでいますので、『みんカラ』のモバイル版『みんからモバイル』もより一層強化する予定でいます」(同)。

ソフトバンクグループとの連携については、「多数の会社と連携できる可能性があるでしょう。特にネット関連会社やアジアの会社とは、連携によってより大きなシナジー効果を生み出せる可能性を感じています」と語る松本は、将来的に他社と手を組むことも視野に入れています。

「昨今の自動車業界を取り巻く環境は大変厳しい状況ではありますが、カービューは、日本と世界をつなぐ役割を果たす会社として、全社員一丸となってさらなる飛躍を目指します」(同)。

今後のカービューに、どうぞご期待ください。

(掲載日:2009年5月25日)

[注]
  • *1SNS(Social Networking Service):ソーシャル・ネットワーキング・サービス。人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型の会員制サービス。
  • *2出典:財団法人 自動車検査登録協会「わが国の自動車保有動向」。
  • *3従来の自動車(ガソリンエンジン自動車やディーゼルエンジン自動車などの化石燃料からエネルギーを得る車全般)と比較して、燃料消費量が少ない自動車や環境負荷の低い燃料(電気エネルギーやハイブリッドタイプなど)を使用する自動車。エコロジーカー。
  • *4排出ガス性能、および燃費性能の優れた自動車を対象に、一定の条件で自動車重量税・自動車取得税が減免される制度。
  • *5交換部品、アクセサリー、外装品、修理用工具や機器など自動車販売後に利用されるさまざまな製品やサービスで構成される規模の大きな市場。
  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。