経営陣ファイル 2011年

“コンシェルジュ”のようなサービス提供会社をめざす 株式会社オールアバウト

株式会社オールアバウト(以下 オールアバウト)は、「その道のプロがあなたをガイド」というキャッチフレーズのとおり、専門家(ガイド)が情報発信する日本最大級の総合情報サイト、「All About」を運営しているグループ企業です。今回は、オールアバウトが注力している事業やソフトバンクグループとしての役割、今後の展望などについて、同社代表取締役社長の江幡 哲也にインタビューしました。

「All About」は「詳しく調べるための信頼できる情報源」

オールアバウトが運営する「All About」は、住まい・マネー・健康といった日常的な暮らしに係わるテーマを中心に、各分野の専門家(ガイド)が顔と名前を明示し、各テーマに1人の専門家が「ガイドサイト」を担当して情報を発信するWEBサイトです。現在は861テーマを取り扱い、約1,700万人の会員の皆様にご利用いただいております。

オールアバウトは、ソフトバンクグループの中でインターネット・カルチャー事業を手がける企業として、2004年9月に、ヤフー株式会社(以下 ヤフー)との資本提携によりグループ入りを果たしました。設立はそれよりも4年早く、2000年6月までさかのぼります。同社の立ち上げに携わった代表取締役社長の江幡 哲也は、「そのころインターネットの普及やブロードバンド化により、誰もがインターネットを通じて、必要な時に必要な情報にアクセスできる環境が整いつつありました。当時リクルートに勤務しインターネットの新規事業に携わっていた私は、大きな変化が2つあると思いました。それは、消費者が自由に情報発信をできるようになること。そして、入手困難な情報も簡単に入手できるようになり、消費者自身が賢くなるのではないかということでした」と当時を振り返ります。江幡は、ある意味“玉石混交”とした情報で溢れかえるインターネットの世界で、「信頼できる情報源」や「さらに詳しい情報」を簡単に入手できるサービスがあればと考え、現在のオールアバウトのサービスに繋がるビジネスを思い描きました。
その後、アメリカで同じような構想でサービスを展開している「アバウト・コム」を運営するAbout, Incとの交渉を重ね、株式会社リクルートとアメリカのAbout, Incのジョイントベンチャーとして、2000年6月に株式会社リクルートアバウトドットコム(その後、2004年7月に現在の社名に改称)が設立されました。そして2001年2月はインターネット情報サイト「All About」が開設され、2004年のヤフーとの提携を経て、今日に至ります。

オールアバウトの事業は、主に広告事業が柱となっています。「2001年2月のスタート時には161だったテーマは、現在は861テーマにまで拡大。利用者数についても、サービス開始から3年後には、月間の平均利用者が500万人を超え、さらに5年後には1,000万人を達成し、現在は1,700万人を超えています。多彩なコンテンツと会員基盤により、企業のマーケティング支援に役立つメディアとして、多くの広告出稿をいただいています」(代表取締役社長 江幡 哲也)。またオールアバウトでは、事業の柱を広告に置きながらも、現在では広告事業だけでなく、オンラインショッピング事業や消費者と専門家を結ぶマッチング事業まで、幅を広げています。「『All About』がメディアとしても成長する中で、情報提供のほかにも、その道のプロが厳選し、おすすめする商品が購入できたらと考え、2005年5月に『All About スタイルストア』を開設しました。『All About スタイルストア』は、まさにプロが目利きした商品を取り扱う、ネット上のセレクトショップです。また同年の11月には、『All About プロファイル』という消費者と専門家を結ぶマッチング事業をスタートしました。具体的には、例えば『All About プロファイル』に出展するファイナンシャルアドバイザーのプロフィールを閲覧した利用者が、『保険の見直しをしたい』と思った時、サイトを通して、直接そのアドバイザーに相談できるサービスです」(同)。
なお、「All About プロファイル」は、2010年4月にサービス内容の刷新を図り、相談だけではなく、専門家の知見やスキルを活用いただけるように、サービス内容、料金などを明確にしたパッケージ商品として、「All About プロファイル」のサイトからご購入いただけるようになりました。また、これまで主にパソコン向けにサービスを展開してきたオールアバウトですが、現在は、iPhoneをはじめとした新しいデバイスに向けても、サービスを展開しています。

ソフトバンクグループとのシナジーを強化し、お客様に喜ばれるコンテンツを

オールアバウトは、ソフトバンクグループの中では、特にヤフーとの協業により多くのシナジー効果を創出しています。現在、国内最大のポータルサイトである「Yahoo! JAPAN」には、「All About」の編集記事やコンテンツが活用されており、ヤフーの集客力とオールアバウトの編集力を活かしたさまざまな連携が行われています。また、ソフトバンクモバイルのポータルサイトである「Yahoo!ケータイ」へもコンテンツの提供を行っており、トップ画面にある「話題」「お役立ち」という日々更新されるコーナーで、「All About」のコンテンツが活用されています。ソフトバンクグループは「21世紀のライフスタイルカンパニー」として、お客様との接点をより強固にしていくことを目指しています。江幡は「そのための当社の役割として、具体的に求められるコンテンツやサービスを、パソコンだけでなくスマートフォンやスマートパッドといったデバイスに合わせて提供していくことが重要です」と語ります。オールアバウトでは今後も、ソフトバンクグループ各社とのシナジーをさらに強化していくことで、お客様に喜んでいただけるようなサービスやコンテンツを提供していく考えです。

ネットメディアからさらなる進化へ

ソフトバンクグループは、中国をはじめとしたアジアのインターネット関連企業への戦略的投資を行っていますが、オールアバウトでも中国のマーケットに向けた事業展開を検討しています。「中国から日本への観光といった高い渡航ニーズはもちろん、特に中国の女性は、日本のファッション、コスメ、健康に関する情報、さらには安心・安全や知育といった分野の情報や商品・サービスに大きな興味と関心を持っていると言われています。当社はこれらの分野に関し、専門家ならではの信頼できる情報の蓄積があります。まずは今あるコンテンツを活用しながら、これらの分野に特化した情報サイトを、中国で立ち上げる予定です」(同)。中国の消費者の興味や、関心が高い分野に特化したサイト運営を通じて、広告事業やオンラインショッピング事業など、日本で成功した事業と同じような展開が期待されています。

一方、スマートフォンやスマートパッドのようなデバイスの進化により、手軽にモバイルデバイスでインターネットが利用できるようになり、その利用シーンはますます拡大しています。膨大な情報が押し寄せる現在では、信頼できる情報や、自分に必要な情報を自分に代わって効率よく取捨選択してくれる“コンシェルジュ”のような役割が求められるのではないかと、江幡は現状について分析します。「例えば、『家を建てたい』と思った時に、専門家のアドバイスがあるかないかでは、大きく違います。住宅ローンひとつをとっても、より良い選択ができますし、何よりも自分自身が賢くなると思います。『ちょっとしたこだわり』を持つことで、人生がより豊かになると思うのです。『All About』のきめ細かいサービスが、有用であると信じています」(同)。現在、「All About」には総勢2,591名の専門家が情報を発信していますが、オールアバウトではこの数をさらに増やし、専門家とお客様とのネットワークも進化させていく計画です。江幡は「今後は、情報提供するだけでなく、専門家の皆様と一緒に、“サービスごと提供する”ようなビジネス展開を目指します」と、今後の抱負を語っています。

ネットメディアという位置づけから、一歩抜け出たサービス提供会社へと進化するオールアバウト。
今後のオールアバウトの展開に、どうぞご期待ください。

(掲載日:2011年1月18日)

  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。