経営陣ファイル 2011年

ネットメディアならではの
テクノロジーを駆使したメディア企業を目指して アイティメディア株式会社

アイティメディア株式会社(以下 アイティメディア)は、IT総合情報ポータル「ITmedia」やITエンジニア向け技術情報メディア「@IT」などを運営し、IT関連分野を中心に、専門性・信頼性の高い情報やサービスを提供しているグループ企業です。今回は、アイティメディアが注力している事業やソフトバンクグループとしての役割、今後の展望などについて、同社代表取締役社長の大槻 利樹にインタビューしました。

ソフトバンクグループ初のオンライン・メディア企業

アイティメディアは1999年12月に設立されました。「まだ分社化する前のソフトバンク株式会社(以下 ソフトバンク)は、1996年1月にYahoo! JAPANを設立し、創業事業であるパソコンソフトの流通も、そのほかの事業もインターネットの活用・事業化を加速させていきました。そのような中、アイティメディアの母体であるソフトバンクの出版事業部(現 ソフトバンク クリエイティブ株式会社(以下 ソフトバンク クリエイティブ))も、同様にインターネット・情報サービス事業へシフトしていきました」と、当時設立に携わった同社代表取締役社長の大槻は語ります。Yahoo! JAPANの設立前に、ソフトバンクはコンピュータ関連出版の最大手、米国のZiff Davis(ジフ・デービス)社を買収しており、1997年9月にジフ・デービスとソフトバンクの出版事業部が共同で、「ZDNet Japan」というIT専門のニュースサイトを立ち上げました。その後ソフトバンクの出版事業部から分社化し、ソフトバンク パブリッシング株式会社(現 ソフトバンク クリエイティブ)が設立されました。そして、その100%子会社として、1999年12月に現在のアイティメディアの前身となる「ソフトバンク・ジーディーネット株式会社」が設立され、ソフトバンクグループにとっては初のオンライン・メディア企業となりました。その後、ジフ・デービスの売却にともない、2004年1月、運営サイト「ZDNet Japan」は「ITmedia」に名称変更し、併せて社名も「ソフトバンク・アイティメディア株式会社」に変更されました。2005年3月にはIT分野専門のオンライン・メディア企業の株式会社アットマーク・アイティと合併。社名も現在の「アイティメディア株式会社」に変更され、2007年4月に東京証券取引所マザーズへの上場を経て、現在に至ります。



アイティメディアでは、ITとその周辺領域を中心に「ITmedia」や「@IT」をはじめとする数多くの専門メディアを運営しており、月間の利用者数は約1,300万ユニークブラウザにのぼります。取り扱う分野は、大きく分けると3つあり、1つ目は、企業の情報システムに関与するキーパーソンを対象に、情報システムの構築・活用に関する情報や、経営・マネジメント情報を網羅した「企業IT」分野。2つ目は、一般の消費者向けにパソコンやスマートデバイス、携帯電話、またデジタルカメラやオーディオ機器などの製品情報や製品レビューのほか、ビジネスパーソン向けのニュース解説や仕事術などを扱う「ビジネス・コンシューマー」分野。そして3つ目は、半導体やエレクトロニクスなどITとも親和性が高い、製造業に関る技術者やマネージャー層を対象とした「エンジニアリング」分野です。
「この『エンジニアリング』分野はこの2年ほど、新しいビジネス領域として取り組んでいます。当社は、『ITmedia』をITの総合情報ポータルサイトと位置づけ、話題性の高い記事や各メディアの最新記事を掲載しており、企業や読者のIT情報収集ツールとして、さまざまなビジネスの場面で活用いただいています」(大槻)。
また、アイティメディアの最近の取り組みとして、東日本大震災後、ネットメディア企業としていち早く、復興支援・日本再生に貢献するための、「復興 スマートジャパン」という特設サイトを開設しました。本サイトでは、震災関連情報だけではなく、節電ノウハウや災害時に役立つツールの紹介、さらには災害に強い企業作りに欠かせない、テレワークやクラウドコンピューティングといったソリューション情報などが取りあげられています。2011年3月30日のサイト公開から7月現在まで、約2,000本の記事を掲載し、多くの読者の支持をいただいています。「ソフトバンクグループでも復興支援ポータルサイト『みんなでがんばろう日本』を立ち上げましたが、当社もネットメディア企業としていち早く復興支援サイトを立ち上げ、震災復興・日本再生に向けての情報やナレッジを、多くの読者に提供してきました。当社ならではの役割を、果たすことができるのではないかと思っています」と、大槻はこれまでの成果についての手応えを述べています。

マーケットや市場の拡大に貢献できる、開かれたメディア

アイティメディアは、編集コンテンツやサービスを通じて、多くのソフトバンクグループ企業と連携しています。具体的な連携事例として、国内最大のポータルであるYahoo! JAPANには、アイティメディアの編集記事が配信されています。また、ソフトバンクモバイル株式会社のスマートフォン向けのAndroid™アプリ「仕事アプリナビ powered by ITmedia」では、コンテンツ製作協力を行っています。

現在のソフトバンクグループには、物販事業を手掛ける企業、インターネットサービスを提供する企業など、さまざまなグループ企業が存在します。この中でアイティメディアは、「情報」分野でソフトバンクグループが手掛ける事業の情報や知恵、ナレッジを提供する役割を担ってきました。一方でメディア企業として、創業以来常に公平性を持ち続けながら、メディア活動を行っています。「私たちメディアには、幅広い意見を取り入れながら、読者が知りたい情報を“正確”に発信する役割があります。そのため、ソフトバンクグループだけがメリットを享受する情報を取り上げるわけにはまいりません。やはりソフトバンクグループがビジネスを展開する業界そのものが活性化しなければ、読者やユーザにとってのメリットがないからです。当社はソフトバンクグループにとっては競合とされる企業とも、公平・中立なお付き合いを心掛けています」(同)。
アイティメディアがマーケットや市場の拡大に貢献できる、開かれたメディアであり続けること、そして、多くの企業から公平な評価をされてきたことは、ソフトバンクグループの発展だけではなく、市場の活性化にも大きな役割を果たしています。

インターネットメディアならではの新しいメディア作りへ

アイティメディアが創業して11年。インターネットの隆盛により、読者の情報の取り方も大きく変化しました。「私たちはネットメディアとして、パソコンで閲覧されることを前提としてメディアビジネスを展開してきました。現在のようにiPhoneやiPad、Android™ 搭載のスマートフォンのような新しいデバイスが普及する時代、当社はこれらの新しいデバイスに最適化されたネットメディアとしてのビジネスモデルを創っていかなければなりません」と、大槻はビジネスの転換期を迎えている状況を分析しています。「すでに、iPhoneやiPadをはじめとするスマートデバイス向けに、『ITmedia』アプリなどを提供していますが、まだ新しいデバイスの魅力を、必ずしも十分には生かしきれていません。『単にiPhoneに対応している』というだけではなく、これから先の10年は、スマートデバイスが持つ機能を十分に生かしたメディア作りに取り組んでいく予定です」(同)。また、ブログやTwitterに代表されるソーシャルメディアの登場により、ネットメディアの在り方にも変化が生まれています。インターネットの利用が加速し、誰でも自由に情報を発信できるような時代、大槻はアイティメディアのこれからの役割を、次のように総括しています。「当社のようなネットメディアは、これまで我々の役割であった『情報を自ら創造し、発信する』ことだけではなく、『玉石混交とする情報を選別する』役割も必要とされています。現在、『ITmedia』に掲載されている情報だけではなく、ブログやTwitterなどネット上にあるさまざまな情報から有効な情報を選別し、併せて提供できるような新しいメディアを開発しています。当社は、ソフトバンクグループの一員として、旧来のメディアの概念や過去の実績にとらわれることのない、テクノロジーを駆使したイノベーティブなメディア企業であり続けます」(同)。

スマートデバイスの登場で、モバイルインターネットが加速するなか、ネットメディア企業として、ソーシャルメディアも活用した新たなビジネスモデル作りに取り組むアイティメディアに、どうぞご期待ください。

(掲載日:2011年7月14日)

[注]
  • *iPhone、iPadは、Apple Inc.の商標です。
  • *Apple、Appleのロゴは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。
  • *Android™は、Google Inc.の商標または登録商標です。
  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。