経営陣ファイル 2012年

「爆速」経営で利益倍増へ
新生Yahoo! JAPANが目指すもの

(右)宮坂 学、(左)村上 臣

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2012年4月、大幅な若返りを図り、「新しい執行体制」への移行を果たしたヤフー株式会社(以下「ヤフー」)。事業や意思決定における圧倒的なスピード感を意味する「爆速」をスローガンに掲げ、より一層の成長に向けて、新たな船出を切っています。「第二の創業」とも呼べるこのたびの改革で、新生Yahoo! JAPANはどこへ向かうのか。2012年6月、ヤフー 代表取締役社長に就任した宮坂 学と、同社 執行役員 チーフモバイルオフィサー(CMO) 兼 スマートフォン戦略本部長の村上 臣に、新体制での成長戦略についてインタビューしました。

「課題解決エンジン」の使命の下に

「新しい執行体制」によって、社内の組織はどう変わったのでしょうか?

宮坂:「才能と情熱を解き放とう」、これは新体制で大切にしているキーワードです。従業員が自由に演じられる、あるいは音楽を奏でられるような舞台を、執行役員みんなでつくりたいと思っています。そのために必要なことは「権限委譲」。従業員が自ら考え、実行する体制にしなければ、燃えるものも燃えない。現場の従業員が自立的に動けるように、思い切って権限委譲を行いました。サントリー創業者の鳥井 信治郎氏が、「やってみなはれ」の精神で従業員の能力を生かしたように、「自由にやってみなはれ」と、安心して才能と情熱を解き放てる環境にしていきたいと思っています。

新生ヤフーのスローガン「爆速」には、どのような思いが込められていますか?

宮坂:新体制への移行を機に、Yahoo! JAPANの使命は「課題解決エンジン」であると、あらためて定義しました。世の中で、個人や企業が抱える課題を、IT(情報技術)を活用して解決することがYahoo! JAPANの存在理由です。われわれは、解決できることをもっと増やしていきたい。そのためには、より多くのものをつくれるスピード感が必要不可欠です。そのスピード感を「爆速」と名付けました。爆速でものづくりができるようになれば、ますます解決できることが増え、ユーザーであるお客さまが増える。お客さまが増えれば売上アップにつながっていきます。スピード感は相対的なものです。去年の今ごろと比べると速くなったとは思いますが、来年の今ごろに振り返ったときに、「去年は遅かったな」と言えるよう加速していきたいです。

利益成長の再加速に向けて

新体制では「スマホファースト」を掲げ、スマートフォン向けサービスの強化を打ち出していますが、今後のスマートフォンの可能性をどのように見ていますか?

村上:手のひらに乗せたスマートフォンが、インターネットに常時接続できるようになった現在、スマートフォンやスマートパッド(タブレット端末)の市場は、あと2、3年のうちに、今のパソコンの規模と同じくらいになるだろうと見ています。特に日本は、インターネット回線の設備環境が良く、目新しいもの好きの方が多い。また、年配の方でもスマートフォンを使いこなしています。スマートフォンの市場には大きな可能性がありますね。

その中でヤフーは、使いやすさにこだわりながら、スマートフォンやスマートパッド(タブレット端末)向けにインターネットサービスを広く届けていきたいと考えています。われわれには、創業からこれまでの16年間、パソコン向けのサービス提供で培ったノウハウがあります。この経験がスマートフォンやスマートパッド(タブレット端末)向けサービスの普及にも、大いに役立つと思っています。

宮坂:今後も世の中には、スマートフォンに限らず、続々と新しい端末が出てくると思います。しかし、たとえ使う端末が変わっても、お客さまのニーズは変わりません。「天気を知りたい」「株価を見たい」「オリンピックの結果を知りたい」…。そういった「変わらないこと」に目を向けることは、非常に大切です。「変わること」に敏感に反応しながらも、「変わらないこと」を大事にしていきたいです。

最近の新たな動きとして、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社やアスクル株式会社などの異業種企業と提携した意図は?

宮坂:「課題解決エンジン」を標榜する中で、全て自前の資源で「課題解決」できればいいのですが、実際にはそうはいきません。ヤフーだけでは解決できない課題がたくさんあります。そういう場合は、その分野に強い企業と組めばいいと思います。あくまで「ユーザーファースト」、お客さま第一の観点で、さまざまな異業種と連携していくつもりです。

村上:日本はこの先数十年で、「課題先進国」になると言われています。止まらない少子高齢化、原子力発電の是非、政治の問題など、さまざまな課題が山積みです。社会人として、企業人として、そしてIT業界の一員として、課題解決に貢献できる取り組みを精力的に行っていきたいと思います。

東日本大震災の復興を支援する取り組みはありますか?

宮坂:Yahoo! JAPANでは、東日本大震災の発生以後、継続して復興支援に取り組んでいます。例えば、復興支援に関わる情報の発信や、復興を目指す人たちが作る商品を販売するインターネット百貨店「復興デパートメント」の運営。最近では、東北の食材を使った「石巻爆速復興弁当」の販売を始め、2012年7月30日には宮城県石巻市に新事務所「ヤフー石巻復興ベース」を開所しました。ここを拠点として、引き続き復興支援に注力していきます。

ヤフーの向かうべき姿

今後、ヤフーをどのような会社にしていきたいとお考えでしょうか?

宮坂:社長としての任務は、従業員の才能と情熱を解き放てる場をつくることに尽きます。自分のためではなく、誰かのために解き放ってほしい。仕事として社会のため、お客さまのため、仲間たちのために自分の才能と情熱を使うということは、ものすごく楽しいことですよね。従業員が「居心地が良い」と思える会社にしたいです。

村上:エンジニアの観点では、「自分たちで全てのものをつくれる力」を備えておくことが非常に重要だと思っています。実際には自分たちで全部をつくらないとしても、やろうと思えばできる力があるのとないのとでは、視野が大きく違うと思うからです。ヤフーでは、エンジニアやデザイナーなど、ものづくりできる従業員が全体の半数を占めていますので、みんなで力を合わせて、世の中に内在するさまざまな課題を解決していきたいと思っています。

宮坂:ソフトバンクグループは、世界に例のない企業グループです。インターネットサービスNo.1、スマートフォンキャリアNo.1の企業を併せ持つグループは、ソフトバンクグループ以外ありません。この強みを大いに生かすべく、ソフトバンクグループとは今まで以上に連携を強め、国内外の事業において、シナジーを発揮していきます。爆速で走るヤフーにご期待ください。

(右)宮坂 学、(左)村上 臣

右:宮坂 学(みやさか まなぶ)

  • ヤフー株式会社 代表取締役社長

略歴:1967年山口県出身。株式会社ユー・ピー・ユー入社を経て、1997年ヤフー入社。2002年メディア事業部 事業部長、2009年コンシューマー事業統括本部長 執行役員を歴任し、2012年6月、代表取締役社長に就任。


左:村上 臣(むらかみ しん)

  • ヤフー株式会社 執行役員 チーフモバイルオフィサー(CMO) 兼 スマートフォン戦略本部長

略歴:1977年東京都出身。1996年、大学在学中に仲間と共にベンチャー企業、有限会社電脳隊を設立。2000年株式会社ピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴いヤフー入社。2006年ソフトバンク株式会社による買収に関連し、ボーダフォン株式会社(現ソフトバンクモバイル株式会社)出向、「Yahoo!ケータイ」の開発に従事。2008年モバイル事業部 サービス開発室長に就任。2011年ヤフーを円満退社後、2012年4月ヤフーに再入社、執行役員 CMOに就任。同年7月よりスマートフォン戦略本部長を兼務。

(掲載日:2012年9月19日)

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