経営陣ファイル 2012年

さらなる成長に向けた
「コマース&サービス」の新たな挑戦

溝口 泰雄

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ソフトバンク創業以来のビジネスであるIT流通事業は、2006年に「コマース&サービス」と名称を改め、時代の流れに伴い変革を続けてきました。常に新たなチャレンジを続け、今さらなる発展を遂げようとしている、ソフトバンクBB株式会社(以下「ソフトバンクBB」)のコマ―ス&サービス(以下「C&S」)の事業について、ソフトバンクBB 取締役常務執行役員の溝口 泰雄にインタビューします。

拡大する3本の柱

C&Sが展開している事業の現状についてお聞かせください。

溝口:市場の変化に伴い、ソフトバンクグループの業態も急激に変化しています。この変化に対応すべく、現在3つの事業を柱として展開しています。それはIT流通事業と通信事業を合わせた「ICT事業」「SoftBank SELECTION事業」、そして「WEBサービス(SaaS※1)事業」です。

まず「ICT事業」についてですが、現在のIT市場におきましては、従来のITの領域に「通信」を加えた新しい提案ができるようになったと感じています。例えばソフトウエアの販売もその一つです。これまではソフトウエアや使用権・マニュアルなど全てをパッケージとして流通させてきました。しかしながら、先日販売を開始したアドビ システムズ 株式会社の「アドビキーカード」のように店頭でカードを購入いただき、ソフトウエアの使用権をインターネットを介してユーザーにご提供するという、新しいIT流通の仕組みが登場しました。これまで通り、店頭での販売でありながら、通信を有効的に使うことによって、お客さまに直接ライセンスをお届けできます。このようなPOSA※2という技術を使ったソフトウエアの販売方法に関しては、日本ではわれわれが先行して開始しています。
また通信に関しても、スマートフォンやタブレット端末の急速な普及により、モバイルインターネットが本格化すると同時に、IT商材と通信回線を合わせた新しいサービスのご提案が必須になってきています。そのようなご要望に対応するべく、われわれの法人向けの事業では、営業・技術・企画のそれぞれの部門に「IT」と「通信」の専門部隊をつくり、有効な提案を行っています。

特にスマートフォン、タブレット端末の登場で、ビジネスのスタイルが大きく変わろうとしています。パートナー企業の皆さまはこれをどう受け止めているのでしょうか?

溝口:パートナー企業の皆さまは「本格的なモバイルインターネットの時代が来たな」という感触を得ていただけていると実感しています。先日「SoftBank World 2012」というソフトバンクグループの法人向けイベントがありました。そこで、最新のDaaS※3ソリューションや仮想化ソリューションなどを説明しましたが、早速いくつかのパートナー企業から導入の打診をいただきました。今までより、明らかに反応が良くなっていますね。

事業の2つ目の柱として「SoftBank SELECTION事業」を挙げていましたが、これは流通事業者から、自らがメーカーになるということでしょうか。

溝口:われわれは長年ディストリビューターという立場でしたが、「SoftBank SELECTION」ではメーカーとして、携帯電話のアクセサリーや周辺機器などを企画・販売しています。われわれにとっては、新しい事業モデルを加えたことになります。「SoftBank SELECTION」はもともと、2006年にソフトバンクBBオリジナルの携帯電話の周辺機器を販売しようという企画からスタートしています。メーカーとしてのノウハウがないところから始めましたので、最初は苦労の連続でしたが、お陰さまで現在は約530種もの商品を扱うまでに成長しました。今後もマーケットの成長に合わせ、さらに拡大していきます。また、日本国内だけではなく、海外での商品展開も積極的に行っていきます。

そして3つ目の「WEBサービス(SaaS)事業」について少し解説をお願いします。

溝口:われわれのSaaS事業は、子会社のBBソフトサービス株式会社が中心になって展開しています。個人向け、法人向け共に、モバイル用の「SaaS」関連商品が増えてきており、「WEBサービス(SaaS)事業」も本格化してきました。
個人向けの主力商品としては、パソコン・モバイル向けのセキュリティサービス「BBセキュリティ」などがあり、「SugarSync(シュガーシンク)」というストレージサービスの拡販にも努めています。
法人向けの商品としては、デバイスを統合管理する「MobileIron(モバイルアイアン)」のようなMDM(Mobile Device Management)※4関連製品や、電子カタログとして多くのお客さまにご活用いただいている「スマートカタログ」、メールの暗号化サービス「Zenlok(ゼンロック)」、社内のグループウエアに外部から連携する「CACHATTO(カチャット)」など、100以上のモバイルソリューションをご提供しています。

「ICT事業」「SoftBank SELECTION事業」「WEBサービス(SaaS)事業」は、それぞれが最近始まったものではなく、いずれも5~6年前より本格的に展開を始めました。それが、モバイルインターネットの拡大によって、ここにきてそれぞれの事業が急速に拡大しています。

今後の抱負についてお聞かせください。

溝口:2012年2月、われわれソフトバンクグループは、「2016年度に連結営業利益1兆円」を目指すことを宣言しました。今の時点では大変大きな目標です。しかしソフトバンクグループのDNAは、まさにそこにあると思うのです。つまりソフトバンクグループは、大きな目標に果敢にチャレンジして拡大してきました。これを今後も継続していくことになります。そう考えると「2016年度に連結営業利益1兆円」という目標は達成できると思っています。「このぐらいのことはやるぞ!」というのが、ソフトバンクグループのDNAだと考えています。
そのような目標に対して、われわれソフトバンクBBのC&S事業としても、お客さまにより良いサービスを提供し、顧客満足度を高めるように貢献していかなければいけません。
われわれの事業は「IT」と「通信」を融合させ、新しい価値をお客さまにご提供していくことにあります。このことがいわゆる通信事業とシナジーを出せる領域でNo.1を取れるような事業の確立につながり、グループにも貢献できると思います。これが私の理想です。


溝口 泰雄(みぞぐち やすお)

溝口 泰雄(みぞぐち やすお)

  • ソフトバンクBB株式会社 取締役常務執行役員
  • BBソフトサービス株式会社 代表取締役社長
  • ディーコープ株式会社 代表取締役社長

略歴:1956年長野県生まれ。株式会社諏訪精工舎(現セイコーエプソン株式会社)、日本アイ・ビー・エム株式会社を経て、2000年ソフトバンク・コマース株式会社(現ソフトバンクBB)入社。ハードウエアマーケティング本部 執行役員本部長に就任。2004年、流通事業統括(現C&S統括)の統括担当に就任し現在に至る。2007年からソフトバンクBB 取締役常務執行役員、BBソフトサービス株式会社 代表取締役社長を兼務。2012年ディーコープ株式会社 代表取締役社長を兼務。

(掲載日:2012年10月19日)

[注]
  • ※1Saas(Software as a Service):アプリケーションソフトウエアなどを買い取りではなく、事業者側のサーバーにあるものを従量制で利用できるサービス。
  • ※2POSA(Point of Sales Activation):POSレジで支払いが確定した時点で、対象のカードを有効化する技術。
  • ※3DaaS(Desktop as a Service):クラウドコンピューティングの形態の一つで、企業内で個人が利用するパソコンなどのクライアント環境をサーバー群に集約し、必要に応じて端末から呼び出して利用するシステム。
  • ※4MDM(Mobile Device Management):企業で利用されるスマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器を、一括管理することができるサービスや製品。
  • 内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。