経営陣ファイル 2014年

悲願の日本一奪還を目指して 福岡ソフトバンクホークス株式会社

後藤 芳光

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いよいよ今年もプロ野球パシフィック・リーグ(以下「パ・リーグ」)が開幕しました。昨年は、残念ながらパ・リーグ4位に終わってしまった福岡ソフトバンクホークス。今年こそは日本一奪還を目指して、チーム一丸となって戦いに臨みます。今回は、昨年10月に福岡ソフトバンクホークス株式会社の新社長 兼 オーナー代行に就任した後藤 芳光に、2014年の展望などをインタビューしました。

全ての課題を達成し“常勝軍団”を目指す

昨年10月に急逝した笠井 和彦氏の跡を引き継ぎ、代表取締役社長 兼 オーナー代行に就任されました。まずは就任の感想を聞かせてください。

後藤:ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)が当時の福岡ダイエーホークス(現「福岡ソフトバンクホークス」)を買収した2004年以降、笠井が9年間にわたって社長 兼 オーナー代行を務めてきたわけですが、実は私にとっても、ホークスは大変思い入れの強い事業でした。球団買収時にはソフトバンク側のプロジェクトマネジメントを担当し、買収後もソフトバンクの関連事業室長として、最重要子会社の一つであるホークスの経営を笠井と一緒に見てきました。2012年の「福岡 Yahoo! JAPANドーム(現「福岡 ヤフオク!ドーム」)」買収時にも、私が交渉などを全て担当しました。生前、笠井からは球団の今後についていろいろと相談を受けていました。まさかこんなに早く笠井から球団を引き継ぐ日が来るとは思っていませんでしたが、今は、「笠井が挙げていた課題を一気に解決し、必ず“常勝軍団”を作り上げる。そして、笠井に報告したい」という思いが一番強いです。

社長就任後、まず取り組んだことは何ですか?

後藤:“常勝軍団”を作るための最大のポイントは、「ワンホークス、ワンソフトバンク」を実践することだと思っています。そのために、これまで別々に運営していた「福岡ソフトバンクホークス株式会社」と「福岡ソフトバンクホークスマーケティング株式会社」の2社を、2014年3月1日付で1社に統合しました。2004年の買収以降、野球をすることに専念する部隊と、ホークスのブランドを生かして営業などのビジネスに専念する部隊に分けて運営し、それぞれに結果も出してきました。しかし、今後スタッフ全員が同じベクトルを向いて進むためには、一つの組織にした方が良いだろうと考えました。笠井も、数年前から「いずれは1社にしたい」と言っていました。そこで、笠井からホークスを引き継ぐことになった段階で、スピード感を持って統合し、さらに組織やマネジメントも大幅な若返りを実施しました。その結果、より活力のあるチームとして、良いスタートを切れる準備が整いました。スタッフたちも、この改革を前向きに捉えてくれているようで、私も大変うれしく思っています。

その他、オフシーズン中に取り組んだ課題について教えてください。

後藤:今オフは、2社の統合のほかにも、取り組むべき課題がたくさんありました。一つ目は、長年の懸案だった人材育成のためのファーム本拠地候補の選定と、その計画の確定です。
二つ目は、今年確実に優勝できる戦力にするためのチーム作り。そして三つ目は、ロッカールームの改装です。よくメジャーリーグの映画などを見ていると、試合後にチーム全員が広いロッカールームに集まって、反省会や祝賀会を行うシーンがありますよね。そうやって選手やスタッフが一堂に会することで、チームの和が生まれます。また、若手の選手たちがその場で学ぶことも多いはずです。そこで今回、選手会からの要望を受けて、「福岡 ヤフオク!ドーム」のロッカールームの仕切りを全て取り外し、チーム全員が一カ所に集まれるようにしました。
シーズンが始まるまでの3カ月という短い期間で、これらの課題に平行して取り組むため、スタッフ一同がフル回転で動いてくれました。取り組むべき課題は全て達成できたと思っています。ここから先はもう選手に任せるだけです。

“競争”こそソフトバンクのDNA

課題の一つに「チーム作り」を挙げていましたが、今年の補強についてはどんな手応えを感じていますか?

後藤:昨年は、パ・リーグ4位という残念な結果に終わってしまいました。なぜ4位だったのか。その理由を戦略的に分析したところ、克服すべきテーマが明確に見えてきました。まず最大の急務だったのは、先発ピッチャーの補強です。そこで、ブライアン・ウルフ投手、デニス・サファテ投手、ジェイソン・スタンリッジ投手ら3名の外国人投手、そして中日ドラゴンズの中田 賢一投手を獲得しました。また、穴のない打線を作り上げるため、韓国球界三冠王の李 大浩選手や、北海道日本ハムファイターズの鶴岡 慎也捕手を獲得しました。このように徹底して補強した結果、オープン戦では全12球団中1位を達成し、公式戦の開幕カードでも3連勝という好スタートを切ることができました。
こうした補強について、「若い選手の出番がなくなる」というご批判を受けることもあります。もちろん、一時的にはそうなるかもしれません。しかし一方で、若い選手たちには「次は自分の時代だ」という思いで、今回獲得した選手たちからどんどん技術を盗み、競争し合い、強くなってほしいと思っています。よく「試合に出さないと若手は育たない」と言いますが、私は若手が育つために必要なのは“競争”ではないかと思っています。ですから、若手の選手たちには常々、今回の補強は「補強のための補強」ではなく、「育成のための補強」なのだと話しています。“競争”こそ、ソフトバンクグループのDNAですから。

2014年の目標を教えてください。

後藤:今年の目標は、シンプルに「日本一」。それだけです。そして、そこから“常勝軍団”の歴史をスタートさせたいと思っています。ホークスは、ソフトバンクグループにとってかけがえのないブランドです。例えば、お客さまは携帯電話を選ぶとき、つながりやすさ、料金プラン、サービスなどによって構成される全体のブランド力で判断しています。その要素の一つとして、ソフトバンクグループには、エンターテインメントの分野における「ホークス」というブランドがあります。このブランドは知名度も高く、ソフトバンクグループ全体のイメージアップに大きく寄与しています。この「ホークス」というブランドがさらに強く価値のあるものになればなるほど、ホークスのみならず、グループ全体のビジネスの収益力を底上げできると信じています。だからこそ、ホークスは“常勝軍団”でなければならないのです。

ご自身の今後の展望を聞かせてください。

後藤:私は、ソフトバンクの財務部門も任されていますので、これからも一人二役で頑張っていきます。一見、財務と野球ではずいぶん違うジャンルのように見えるかもしれません。しかし、社員や選手と同じ思いを持ち、常に高みを目指して、共感を持って仕事ができるリーダーになれば、必ず両方成功させることができると考えています。また、二役やるからといって、100%の力を50%と50%に分けるつもりはありません。どちらも100%と100%で、200%やる。そんな思いで、ソフトバンクとホークスの仕事に取り組んでいきます。


後藤 芳光(ごとう よしみつ)

後藤 芳光(ごとう よしみつ)

  • ソフトバンク株式会社 常務執行役員 財務部長
  • ソフトバンクモバイル株式会社 取締役
  • 福岡ソフトバンクホークス株式会社 代表取締役社長 兼 オーナー代行

略歴:2000年6月にソフトバンク株式会社入社、同10月、財務部長就任。2006年4月、ボーダフォン株式会社の株式取得に伴い社外取締役に就任し、2007年6月に社名変更を経てソフトバンクモバイル株式会社 取締役に(現任)。2012年7月、ソフトバンク株式会社 常務執行役員 財務部長就任(現任)。2013年10月、福岡ソフトバンクホークス株式会社 代表取締役社長 兼 オーナー代行およびSBギフト株式会社 代表取締役社長に就任(現任)。

(掲載日:2014年4月18日)

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