経営陣ファイル 2014年

全く新しいモバイルインターネット体験を ワイモバイル株式会社

寺尾 洋幸

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ワイモバイル株式会社(以下「ワイモバイル」)は、2014年8月1日から新ブランド「Y!mobile」のサービスを開始しました。「インターネットが生み出す便利さと楽しさをすべての人の手元に届ける」を企業理念に掲げたワイモバイルは、ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)との連携により、どのようなサービス、価値を提供していくのか。今回は、マーケティングを統括する同社 取締役 兼 COOの寺尾 洋幸にインタビューしました。

ヤフーとの連携で新しい価値を

ワイモバイルとして、新たなスタートを切りました。今の気持ちをお聞かせください。

寺尾:2013年12月に、株式会社ウィルコム(以下「ウィルコム」)とイー・アクセス株式会社(以下「イー・アクセス」)の合併を発表しました。このときは、正直なところ「どうなっていくだろう?」という気持ちがありました。ウィルコムは「だれとでも定額」で音声通話を、イー・アクセスは「Pocket WiFi」でデータ通信を中心に事業を進めてきましたが、両社とも「低料金」をセールスポイントとしてサービスを提供してきました。「その2社が一緒になって、どんなことをすればいいのか?」そう悩んでいたところ、ヤフーとの協業により「Y!mobile」というブランドでスタートすることになったのです。
ご存じのとおり「Yahoo! JAPAN」というブランドは非常に高い認知度がありますので、「これならばうまくいく」と感じました。2014年8月にサービスが始まりましたが、おかげさまで非常に順調なスタートを切ることができたと思っています。特に、今まで私たちがカバーできていなかったご高齢のお客さまにも、支持をいただけていると感じます。

今、一番意識していること、注力していることは何ですか?

寺尾:「Y!mobile」ブランドでのサービス開始前、「私たちはどこを目指すのか?」をテーマに、ヤフー側から参加しているメンバーと合宿を繰り返し、議論を重ねました。そこで生まれた企業理念が「インターネットが生み出す便利さと楽しさをすべての人の手元に届ける」です。
今、私たちは家から一歩も出なくても、インターネットでいろいろな買い物をすることができます。しかし、ご高齢の方にとってはどうでしょうか。近年「買い物難民」という言葉が聞かれます。郊外型の大型ショッピングセンターの出現により、街中の商店がどんどんなくなってきており、車がないと買い物すら困難な人が増えているという現実があります。「そういう人たちにこそ、インターネットの便利さがまだ伝わっていないのではないか。それを伝えていくことが私たちの使命ではないか」と、合宿を通じて一つの結論に達しました。

こうした人たちに簡単にインターネットを使ってもらうために、例えばスティックのような形をした通信機器が出てくるかもしれません。そして、お米が少なくなってきたら、そのスティックで米びつに触れるだけで業者に連絡がいき、すぐに自宅に届けられるというようなサービスもあり得ます。こういったことが、今や簡単にできる時代です。
ところが、これまでウィルコムとイー・アクセスは共にこのようなサービスを提供しようとしても、難しい事情がありました。それはコンテンツを持っていなかったこと、言い換えれば、まさに「Yahoo! JAPAN」のような、人と人、人と情報をつなげる手段がなかったからです。今回、料金だけではなく次世代のサービスを提供できる可能性が生まれたことは、ヤフーが参画した価値の一つであると考えています。

ヤフーとの連携で実現したサービスはありますか?

寺尾:パケットマイレージ」という新サービスが挙げられます。これは、ワイモバイルのスマートフォンから、ヤフーの各サービスをご利用いただくことで「マイル」というポイントがたまり、たまった「マイル」のランクに応じて、翌月のデータ容量の追加料金が無料になるというものです。ワイモバイルにとっては、ヤフーのサービスをたくさん使っていただくことで通信のトラフィックが増えることになりますし、ヤフーにとっては、ページビューが増えることで広告ビジネスの支えになります。まさにお客さまにとっても、ワイモバイル、ヤフーにとっても、「Win-Win」が実現できていると考えています。まだスタートしたばかりですが、これからさまざまなサービスを拡大していきます。

料金体系についても、新機軸を打ち出していますね。

寺尾:日本におけるスマートフォンの普及率は、およそ50%程度と言われています。いろいろな調査をしてみると、スマートフォンに乗り換えない最大の理由が、「料金が高い」ということでした。そこで「スマホプランS/M/L」という3段階の料金を設定し、最も安いプランの「スマホプランS」であれば月額2,980円という、いわゆる通常の携帯電話と同等の料金にしました。しかも、1回10分以内の国内無料通話が、月300回まで付いてきます。データ通信容量が月々1GBまでという制限はあるものの、スマートフォンを初めてご利用になる皆さまには、インターネットの楽しさを十分体験していただけると考えています。そしてお客さまが「もっとインターネットを使いたい」と思われた場合は、ご利用状況に応じて「スマホプランM」や「スマホプランL」にプラン変更していただくこともできます。

大手移動通信事業者より一歩先を目指して

今後の展開については、どのようにお考えでしょうか。

寺尾:まだ始まったばかりですので、まずは「Y!mobile」というブランドを浸透させることが重要ですが、ここまでは順調に立ち上げることができたと考えています。ブランドの浸透の次は、サービスの中身を充実させていくことが重要です。ヤフーは「スマデバ(スマートデバイス)ファースト」を提唱しており、特に近年、スマートフォンでのサービス強化を図っています。しかしヤフーにとって、まだまだ実現できていないことがあるようです。そんなときに、ワイモバイルと一緒にチャレンジしてもらえたらいいのではないかと思います。
ウィルコムとイー・アクセスの時代から、ワイモバイルになり大きく変わったことがあります。それは、ネットワークが大幅に強化されたこと、ヤフーの膨大なコンテンツとブランドを活用できることです。これは“戦い方が変わる”ことを意味しています。これからは、ワイモバイルの個性を作り上げることが重要です。大手移動通信事業者より一歩先を行くような新しいサービスを提供していけるよう、努力していきたいと考えています。


寺尾 洋幸(てらお ひろゆき)

寺尾 洋幸(てらお ひろゆき)

  • ワイモバイル株式会社 取締役 兼 COO

略歴:1990年、第二電電株式会社(現 KDDI株式会社)入社。2004年、DDIポケット株式会社へ転籍。2005年、株式会社ウィルコムへ社名変更を経て2007年に同社 サービス開発本部 副本部長 兼 計画部長に就任。2014年4月、イー・アクセス株式会社との合併決定を受け、同社 マーケティング本部長 就任(現任)。2014年6月、同社 取締役 兼 COO 就任(現任)。

(掲載日:2014年10月20日)

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