プロジェクトPickUp 2007年

斬新なデザインのワンセグ携帯を創る
FULLFACE SoftBank 913SH

ソフトバンクモバイル株式会社
ターミナル企画部 ターミナルプランニング課 担当課長
浦元 芳浩(うらもと よしひろ)

液晶画面をスライドすると、ダイヤルボタンなどすべての操作キーを収納した下筺体が登場し、まるで液晶画面のみを持っているかのように「ワンセグ」が楽しめる新感覚の「FULLFACE SoftBank 913SH」。このフルフェイス・スライド型のワンセグ携帯がどのように企画・開発されたのか、ソフトバンクモバイル ターミナル企画部ターミナルプランニング課で担当課長を務める浦元にインタビューしました。

フルフェイス・スライド型の新しいワンセグ携帯

インタビュアー:
まずは、「FULLFACE SoftBank 913SH」の開発コンセプトを教えてください。
浦元:

ワンセグ携帯への注目が高まり、主要な機能となりつつある中、「ワンセグをより象徴的に見せるデザイン」について、孫社長を交えた開発会議の場で議論しました。従来のスライド式ですと、スクリーンと幾つかの操作キーが閉じた状態で存在します。会議の場では、スライドする部分を全体の約60%に増やし、閉じた状態で操作キーを全て下筐体に収納することで、薄型テレビのようにスクリーンだけが象徴的に見えるスタイルを実現しようと、メーカーであるシャープ様と我々の意見が一致しました。

今年の夏商戦向けラインナップはすべて「スタイル」をテーマとしています。「スタイル」には様々な意味があり、お客様にとってはファッションもスタイルですし、生活者としてのライフスタイルという位置づけもあります。ものづくりの視点からすると、個々の工業製品はスタイルを表すべきであり、そこで表現されたデザインそのものがスタイルであると思っています。「FULLFACE SoftBank 913SH」は、単純な携帯デザインの延長ではなく、AV機器との融合がもたらす1つのスタイルの表現です。ワンセグとして新しい提案をしたという意味で、今年の夏の注目機種と位置付けていますし、携帯というよりは「AVツール」を持っている感覚でお使いいただきたいですね。

インタビュアー:
「FULLFACE SoftBank 913SH」の特徴や工夫した点は何でしょうか。
浦元:

開いた状態で初めて携帯だとわかるデザインが最大の特徴です。また、開発でもっとも苦労したのはフルスライドの実現ですね。下の部分には基盤が入っていて、スライドする上の部分には液晶のデバイスやカメラ、スピーカーなどが収納されています。筐体が分かれているということは上と下をつなぐ配線基板(フレキ)があるわけです。スライドの動きに上手く追従し、かつ、従来のスライドタイプに比べ、より限られた上下筐体の重なり部位にこのフレキが確実に収納される必要があります。

また、スライドする部分を全体の約60%まで高めつつも、それによって商品としての強度を犠牲にするわけにはいきません。携帯は他の家電製品と比べても品質基準が一段と厳しく、特に日本市場のお客様の要求レベルは非常に高い。例えば携帯をズボンの後ろのポケットに入れたまま座ったり、カバンの中に鍵や手帳など硬い小物類と一緒に入れたりすることもよくありますよね。携帯は、他の電化製品に比べ相対的に安価に手に入ることから、「高価なものなので大事に使わなきゃ」というよりは、「壊れたら替えればいい」という意識をお持ちのお客様も多いと思います。そのような使用環境の中で、スライド部分をここまで大胆に伸ばすのは大きなハードルでした。シャープ様のご協力のもと、何度も試作を繰り返し、何とかスケジュールに間に合いました。革新的な製品の開発にはリスクも伴いますし、やってみなければわからない部分も多いだけに、シャープ様のご理解と情熱には改めて大きな感銘を受けています。

インタビュアー:
カラーに関してはいかがでしょうか。
浦元:
スクリーン部分は全モデル黒で統一し、スライドして出てくる下の色はビビットなピンクやオレンジ、グリーン、ライトブルー、ゴールド、シルバー、ブラックと8色を揃えています。閉じた状態で並べるとすべて黒に見えるので、店頭で陳列する際、カラーバリエーションの訴求力を疑問視する声もあり、一般的に高く評価されているAV機器の精緻感を表現したいという思いとの間で悩みましたが、孫社長へのプレゼンテーションでは珍しく1度でOKをいただきました(笑)。

ソフトバンクとして常に新鮮な驚きを提供したい

インタビュアー:
新製品デザインに対する思い入れや今後の期待を教えてください。
浦元:

これからの製品は、従来の携帯が持つ既成概念を突き破りながら進化していくと思います。いろいろな要素を持つことでお客様に多くの価値を提供していくツールになるのではないでしょうか。携帯はますます肌身離さず持ち歩くものになっていくでしょうし、もっと身近なものであってほしいという要望が増えていくと思います。携帯を使用する際に、人が感じるのは見た目だけでなく、手にもった時に感じる触感や、通話の音、匂いや温度など、まさに“五感”です。そのすべての視点を前提に、お客様にとってもっと身近で、もっと大切な存在になるよう、新しい携帯のあり方、デザインや価値を提案し続ける必要があります。

常に新鮮な驚きを提供するソフトバンクならではの携帯として、商品開発の現場でも高い意識を持ち、新しい提案をお客様に行っていきたいと思います。

(掲載日:2007年6月22日)

  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。