プロジェクトPickUp 2008年

お客様にご満足いただけるコンタクトセンターを目指して

ソフトバンクBB株式会社
カスタマーサービス本部 企画部 WEBソリューション課 課長
正木 信行(まさき のぶゆき)
ソフトバンクBB株式会社
管理部 セキュリティ&ファシリティ管理課 課長代行
上林 宏子(うえばやし ひろこ)

ソフトバンクBB株式会社のコンタクトセンター(コールセンター)では、主にYahoo! BBを始めとするブロードバンド総合サービスに関して、お申し込み受付や回線開通後の電話サポート、各種お問い合わせ対応などあらゆる電話応対業務を担っています。

このコンタクトセンターを管理・運営しているカスタマーサービス本部では、応対業務に使用するITソリューション*1の企画・構築や、セキュリティ管理、高いパフォーマンスを生み出す就業環境の整備などを実施し、継続的に業務の品質改善に努めています。

これらの取り組みは、コンタクトセンターにおける業務改善の取り組みを表彰する「コンタクトセンター・アワード2008*2」でも高い評価を得ています。電話応対業務の独自システム開発に成功し、同アワード「テクノロジー」部門 最優秀部門賞の受賞を牽引したカスタマーサービス本部 企画部 WEBソリューション課 課長 正木 信行と、情報セキュリティ管理への積極的な取り組みの中でペーパーレス運用を具現化し、「ストラテジー」部門部門賞及び審査員特別賞を受賞した同本部 管理部 セキュリティ&ファシリティ管理課 課長代行 上林 宏子にインタビューしました。

現場の知識とアイデアを活かした理想的なシステムを開発

インタビュアー:
コンタクトセンターの効率化を支援しているということですが、具体的にはどのような業務をしているのでしょうか。
正木:

コンタクトセンターでは、Yahoo! BBを始めとした弊社サービスに関して、お客様から多岐に渡るお問い合わせをいただいていますが、お電話をいただいたお客様にご満足いただくためには、電話応対の効率化も欠かせない要素の1つです。私たちの部門では、オペレータのスムーズな対応を支えるオペレータ専用サイトを企画・運営しています。このサイトに、各種ツールや業務連絡、経営陣のメッセージや質問集など、必要な情報をすべて集約しています。扱うサービスや業務ごとに作ったサイトが全部で30 種類以上あり、全国に多数点在する全センターへ展開しています。

また、インターネットを通じてお客様にご利用いただく「よくあるご質問(FAQ)」、「オンライン手続き」、「トラブルシューティング」などが掲載されているサポートサイトの企画・運営も行っています。カスタマーサポートにおけるお客様とのコミュニケーションは知識のキャッチボールとも言われ、サポートサイトにおいても一方的な情報発信とならないよう、コンタクトセンターへの問い合わせが多い質問をQ&A形式にまとめて公開するなど、お客様のご満足のために日夜工夫を重ねています。

インタビュアー:
「コンタクトセンター・アワード2008」において、「テクノロジー」部門 最優秀部門賞の受賞理由となった「コールスクリプトソリューションの開発(現場力を活かしたトータルナレッジマネジメントの取り組み)」とは、どのようなものでしょうか。
正木:

昨今のコンタクトセンターの業務には、内部統制の強化やさらなるコストの削減、品質の向上などが求められ、複雑な業務をこなすオペレータへの負荷が増大する傾向にある一方で、オペレータはお客様にご満足いただける対応を常に求められます。このような状況を受け、私たちの部門では支援ツールの必要性を痛感し、即時性が求められる電話応対業務でオペレータの知識とアイデア(ナレッジ)をうまく引き出すシステム、「コールスクリプト」の開発に取り組みました。

「コールスクリプト」とは、簡単に言うと業務フローおよびトークフローを示してくれる「台本」です。パソコンで確認できるツールですので、電話応対を行いながら使用することができます。同ツール画面にはフローチャートがあり、対応に準じて各項目をクリックすると、適切なご説明内容と注意事項が表示される仕組みになっているので、あらかじめマニュアルなどを暗記していなくても、お客様に柔軟かつスムーズに正確なご案内をすることができます。その上、クリック履歴を出力する機能を搭載しているので、案内内容を記録する作業が不要となり、1件あたりの対応時間を短縮する手助けにもなっています。

現場で培った知恵・知識・経験を集めて開発し、現場の声を元に日々改善を繰り返した結果、開発者からだけでは見えなかった課題をも克服し、総合的なナレッジ管理のパッケージ化に成功しました。これにより、お客様満足度の向上と、生産性の向上を実現することができたと確信しています。

インタビュアー:
「コールスクリプト」の導入効果はいかがでしょうか。
正木:
業務の効率化・正確性向上とともに、オペレータとの意識統一や情報共有、オペレータ負荷緩和などの成果が表れ、その成果はオペレータの創造性豊かな対応につながっており、お問い合わせをいただいた約8割のお客様にご満足いただいております。また、オペレータ教育に関しても、従来の繰り返し訓練でのスキル習得方法とは異なり、暗記の必要性がないため、研修期間の短縮が可能となりました。このノウハウを応用し、バックオフィスやメール対応業務など、電話応対以外のさまざまな業務にも活用できるシステムを2,400種類ほど開発し、各業務の改善に役立てています。そのほか、グループ会社のソフトバンクモバイル株式会社やソフトバンクテレコム株式会社にも「コールスクリプト」を提供し、グループシナジーを狙った取り組みも実施しています。

100%ペーパーレス化への挑戦

インタビュアー:
「コンタクトセンター・アワード2008」で評価された「ペーパーレス運用」実施の背景には何があったのでしょうか。
上林:
私たちの部門では、カスタマーサポート本部の従業員に対する安全環境保持と業務品質の向上を担当しています。具体的にはセキュリティ管理、資産管理、センターの運営になるのですが、恥ずかしながら2004年に当社が起こしてしまった個人情報の流出で、「情報セキュリティに対する認識の甘さ」が浮き彫りとなりました。この事件を機に、全社的にセキュリティ対策への取り組みを強化し、セキュリティ意識の変革を実施しました。人に頼るのではなく、リスクを招くシステムや環境を徹底的に排除し、組織面、技術面などさまざまな角度から徹底的な対策を全社的に行いました。その流れの中でカスタマーサービス本部では、大量のお客様情報を取り扱う部門として独自のセキュリティ対策を検討した結果、情報セキュリティの観点で非常に高い危険をともなう紙媒体を用いたオペレーションを廃止すべきだと決意しました。
インタビュアー:
どのようにペーパーレス化を実現されたのですか。
上林:

まず、当時同本部で運用されていた紙オペレーションは多数存在しましたが、単なるルールの押し付けではなく、ひとつずつ紙を使わない代替案の提案、トライアル運用の繰り返しにより改善を図り、その結果ペーパーレス化を実現させました。例えば、一時的なメモはホワイトボードを使用する、会議資料はすべてプロジェクターに投影する、オペレータの研修資料をWEB化するなど、それぞれに新たなルールを策定しました。対応履歴をWEBページに表示できる「コールスクリプト」は、紙帳票の廃止に貢献したツールでもあります。

さまざまな取り組みにより、多数存在した紙オペレーションを現在では90%以上廃止しています。今なお残っている紙オペレーションはFAX業務のみです。そのほかのコンタクトセンターの業務では、100%ペーパーレス化を完了させています。

風化させないセキュリティマインド

インタビュアー:
「ペーパーレス運用」のほかに取り組んでいるセキュリティ対策について教えてください。
上林:

コンタクトセンターへの入退室時は、警備員による持ち物チェックがありますが、その前に必ずセルフチェックを行うことを徹底し、持ち込み制限を厳守しています。

また、セキュリティ意識を維持・向上させるため、セキュリティルールはWEB上に掲示し、積極的に啓蒙を図っています。入社研修時には、セキュリティルールもテストへ組み込まれており、「合格点を取ることができなければ業務に就けない」という基準を設け、セキュリティ意識の育成にも力を入れています。加えて、毎月実施している自主監査や、現場からの提案に沿った連絡体制の改善など、従業員一人ひとりの協力でセキュリティ環境を作り上げています。

このように、さまざまな取り組みを通じて、セキュリティ違反が不可能な環境とオペレーションを整備することで、お客様の情報を守ると同時に、従業員が違反を犯すリスクを徹底的に低減しています。セキュリティが厳格であると働きづらいというイメージを持たれるかもしれませんが、セキュリティを徹底することで従業員を守ることができ、従業員自身も「働きやすい環境となった」と実感しています。今後とも、カスタマーサービス本部一丸となって、お客様に満足していただけるサービスの維持・向上に努めていきたいと考えています。

(掲載日:2008年9月18日)

[注]
  • *1業務上の問題点の解決や要求の実現を行なうための情報システム
  • *2コンタクトセンター専門誌「コンピューターテレフォニー」を発行する株式会社リックテレコムが主催する「CCJA(コンタクトセンター・アワード)」は、コンタクトセンターを運営する企業が業務改善の取り組みを申請し、参加企業同士が相互に評価し合うという、国内唯一のオープン形式のコンタクトセンター表彰制度
  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。