プロジェクトPickUp 2016年

働き方を変えるまちづくりで地方創生支援~地域とイノベーターの融合によるまちの共創~

ソフトバンクグループで“「働く」を変える”を経営理念に人材サービス事業を展開しているSBヒューマンキャピタル株式会社(以下「SBヒューマンキャピタル」)は、鳥取県八頭町と地方戦略アドバイザリー契約を締結し、地方創生事業を担うことになりました。現在進められているさまざまな施策について、本事業を統括する同社 取締役の工藤 泰正へインタビューしました。

ITを使って地域内の資源や人材を活用

八頭町の地方創生におけるSBヒューマンキャピタルの役割を教えてください。

戦略拠点として活用予定の八頭町立隼小学校

工藤:八頭町の地方創生戦略の一環として、少子化の影響で地域に増加していく廃校舎を活用し、新たな産業や雇用を創出する事業プロジェクトを2015年10月より始め、今年度は事業のコンセプトと事業計画の策定を進めています。まずは、スズキ株式会社の大型バイク“隼”ライダーの聖地としても有名な隼駅がある隼地区に、戦略拠点「隼Lab(仮称)」を創設していきます。都市部で活躍する企業やイノベーターの誘致を実現するため、拠点のインフラ整備は当然のこと、新しい価値を創造するための“域内の規制緩和”なども含めたさまざまなチャレンジを町として推進していく予定です。

例えば、山間地域である八頭町の課題を解決するための、シェアリングエコノミーのスキームを利用した新しいサービスの企画や、ドローンの研究開発とそれに携わる人材育成を行う実証実験場の提供なども、準備や検討を進めています。また、若者が農業や林業とITの仕事を兼業できるような働き方を提案していきたいというIT企業も出てきています。

シェアリングエコノミーとは何でしょうか?

工藤:シェアリングエコノミーとは、ソーシャルメディアなどを活用して、個人が保有する今は使用していない部屋や土地・車などの遊休資産やスキルのような無形資産の貸し出しを仲介するサービスです。取り組みが最も進んでいる米国では、地域経済の活性化において成果を上げており、日本でも総務省などが注目しています。

どのような取り組みを計画されていますか。

工藤:八頭町は、高齢化と過疎化が急速に進む日本の典型的な地方の町です。こうした町の行政が抱える課題の例として、公共交通の維持があります。八頭町では、車の運転ができない高齢者が移動したい場合、地域を縦断している若桜鉄道や公共バスを利用することになりますが、乗車人数に比べて高い運営維持コストや便数の少なさなど、従来型の対策だけでは解決できない課題が残ったままでした。

そこでインターネット上に専用のプラットフォームを設け、車の運転ができる学生や農作業の合間で時間のある人と、移動したい高齢者をマッチングさせることで、お金や時間などの資源を同じ地域の中で循環させて雇用を産み出すサービスができないか、町役場や地域の方と協議を進めています。この仕組みは、車の運転だけではなく、家事代行や農業の手伝い、自宅の雪下ろし作業など、さまざまな場面に応用でき、過疎の課題に大きく貢献できると思っています。実現に向けてまだまだ課題はありますが、山間部の課題を税金に頼るだけではなく、地元の力で解決していけるモデルケース作りとしてチャレンジしていきたいです。

また、同仕組み作りは、地域全体を巻き込んだ社会実験的要素もあり、鳥取大学地域学部など、近隣の大学とも連携に向けて打ち合わせを重ねています。大学と連携していくことで、学生にも地域の一員として、高齢者がITサービスを利用する際のサポートなど、課題解決に協力してもらえたらと考えています。

今後の展望をお願いします。

SBヒューマンキャピタル 取締役 工藤 泰正

工藤:今年度(2015年10月~2016年3月)は調査や企画立案が中心となりますが、実際に地域の戦略拠点が完成する2017年度に向け、地域の要請の下、実行支援までしっかり継続的に取り組んでいきたいと考えています。そして、地方創生における一つのロールモデルとして、同じような悩みを持つ他の地域にも広げていければと思っています。

余談ですが、現在私は個人としてソフトバンクアカデミアに在籍しており、先述のサービス企画などに、複数のアカデミア生にも協力してもらっています。グループシナジーを生かしたまちづくりを進め、地方をもっと盛り上げていきたいと思います。

(掲載日:2016年1月15日)

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