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国民の皆様にお話ししたいことがあります 「光の道」実現のための新提案を記者会見で発表

現在議論が佳境を迎えつつある「光の道」構想。本構想にソフトバンクグループは賛同し、さまざまな提案を行ってきましたが、10月25日(月)と29日(金)に相次いで記者会見を行い、実現可能なさらなる提案を発表しました。

ソフトバンクグループは、政府が掲げる「光の道」構想を全面的に支持しています

「光の道」とは、光ファイバーやクラウドコンピューティングなどの整備を通じて、日本の次の成長戦略を考えるという、政府が掲げている構想です。かつて日本は、水道や道路、電線などを国家的規模で戦略的にインフラ(社会的基盤)整備することで、国力を向上させてきました。高度情報化社会を迎えている現在、もっとも求められているのが「情報が通る道」、すなわち「光の道」ということになります。すでにインターネットの世界では、文字から音声へ、静止画から動画へと、送られる情報量は増大しています。今後これらの情報量はますます拡大していくため、大容量高速通信を実現する光ファイバー網による「光の道」の整備は、わが国にとって喫緊の課題となっています。

この「光の道」実現のために、総務省の「ICTタスクフォース」という会議体を中心に議論が行われていますが、旧来からあるさまざまな要因のため、なかなか議論が前向きに進んでいないというのが現状です。しかしソフトバンクグループは、「光の道」の実現なくしては、今後のあらゆる産業の成長も、ひいては日本の復活もない——このような大きな危機感を持っています。そこで「ソフトバンク『光の道』への提言」と題し、“新たに税金を投入することなく「光の道」を実現する”ことをはじめとした、実現可能な具体的な提案を行い、また国民の皆様からのご理解をいただくべく、講演や公開討論などを通じたご説明を継続的に行っています。

ソフトバンクグループからの新たな提案

その一環として10月25日(月)、ソフトバンクグループ代表の孫 正義は「光の道の実現に向けた新提案」を片山 善博総務大臣にご説明し、同日、東京都港区にある「ザ・プリンスタワー東京」にて記者会見を行いました。この度の新たな提案では、主に「共同出資によるアクセス回線会社設立」について説明しました。これは、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と西日本電信電話株式会社(NTT西日本)を、「通信サービス会社」と「アクセス回線会社」に分離し、このうちアクセス回線会社を、国と大手通信事業者で運営しよう、という提案です。

現在のNTT東日本およびNTT西日本のアクセス回線部門は、メタル回線と光回線を二重運用しているため、年間約2,900億円もの赤字を出しています。このメタル回線の維持費が、光回線の料金を高止まりさせる原因のひとつとなっています。そこで、アクセス部門を分離して新会社を設立し、メタル回線から光回線に置き換える工事を、全国で計画的に行いコスト効率を上げることが重要になります。メタル回線の撤去後はメンテナンスコストが大幅に抑制できるため、光回線への置き換え工事が一段落する6年目には、この新会社は十分に黒字が出ると、ソフトバンクでは試算しています。その結果、新たに税金を投入する必要はなく、光回線の料金もメタル回線と同等額程度(1,400円)で提供でき、また全国での工事により地域格差も解消できます。さらに光回線の敷設には、かつてメタル回線の敷設で活躍されたNTTの経験豊富な人材の活躍が期待され、またインフラ整備後は通信事業者間による競争により、安価で高速な光サービスの提供が得られるなど、多くのメリットが考えられています。

この新会社を立ち上げてからスムーズに運営していくためには、およそ5,000億円の新たな出資が必要と考えています。これを国と大手通信事業者で分担することで新たな税金を投入することなく、数年後には黒字が計上できる健全な会社となり、その利益は回線料金などで、国民のメリットとして還元されます。もちろんソフトバンクも責任ある通信事業者の一員として、この新会社に対し応分の責任を果たします。孫はこの新会社設立について、国や事業者が共同で行うことがきわめて重要としていますが、一方で、「たとえソフトバンク1社になったとしても、必ずやりとげます」と、日本の将来のために、不退転の決意であることを表明しています。

孫はまた、この「光の道」の実現を、「大政奉還」であると述べています。もともと国民の税金で建てられた電柱やとう洞*1、光ファイバー、通信ネットワークを、もう一度国民の手に戻し、すべての国民が平等に情報通信サービスを受けられることこそが、21世紀型のあるべき社会の姿であるからです。

海外メディアもこの新しいアイデアに注目

10月29日(金)には、特定社団法人日本外国特派員協会(FCCJ)に孫が招かれ、海外の報道機関の特派員やジャーナリストの皆様に向け、「光の道」に関する会見が英語で行われました。内容が日本の政策に関わる提言であるにもかかわらず、海外の報道関係者の皆様も孫が語る提案内容に大きな感銘を受けた様子で、質疑応答では質問だけではなく、多くの賞賛の声をいただきました。この中で「この提案を実現するために、我々(外国人の記者)はなにをすべきか?」との質問を受けた孫は、次のように述べました。

「皆さんに情熱があるのであれば、ぜひ行動を起こしてください。皆さんの国においても、日本と同じような問題があります。これでは明るい未来にはつながりません。日本が素早い行動に移せないのであれば、皆さんがすぐに行動を起こすべきです。お互いの国が刺激しあうことで、良い競争ができます。私は日本の国民なので、日本政府や日本人に勝ってほしいと思いますが、しかし、日本だけが勝てば良いという小さな考えを持っているわけではありません。本日、皆さんに『光の道の実現に向けた新提案』という新しいアイデアをご紹介しました。私の話を聞いて誰かがすぐに行動を起こすと、それは良い事例となります。ぜひ皆さんが国に帰り、自分の国の中でこのアイデアを伝えていただきたい。お互いに刺激しあっていきましょう」。
孫のこの発言に、会見場には期せずして大きな拍手が巻き起こりました。

「光の道」は、間もなく総務省で一定の結論が出ます。その後は、国会での議論を経て政策決定がなされ、実行に移されることになります。しかし国民的な関心が低ければ、「光の道」の実現は遠のいてしまいます。「光の道」の議論は、政府や一部の通信事業者に係わる狭い範囲での議題ではなく、国民一人ひとりにかかわってくる問題です。そして日本の将来を大きく左右する最重要な意思決定となります。ぜひ多くの皆様に「光の道」実現のために、ひいては日本の未来のために、議論に関心を持っていただければ幸いです。

  • ※1 
    電線や通信ケーブルといったライフラインを地下に敷設するためのトンネルです。

(掲載日:2010年11月8日)