2018年3月16日

電気の豆知識

知って納得!IoT家電

徐々にIoT家電が普及し始めていますが、IoT家電がつくる未来はどのようなものなのでしょうか。今回は最近何かと話題の「IoT」の家電について、ご紹介していきたいと思います。

IoTとは

IoTとはInternet of Things(モノのインターネット)の略語で、「モノをインターネットに接続して、インターネット経由でその動きを制御しデータを集めることで、さまざまなモノが相互に拡張する」という考え方です。

例えば、物品を配送するトラックの荷台にセンサーを取り付け、毎週の積載量を集計して車両の稼働をコントロールすることにより、故障などのリスクを軽減するのも「IoT」ですし、ご家庭の冷蔵庫に入っている食材から、不足している食材をスマホに送信し、仕事帰りのお買い物を楽にするのも「IoT」です。

接続する方法は、大別するとWi-Fi接続(インターネットへ接続)とBluetooth® 接続(モノ同士の接続)の2種類がありますが、現在は前者の方が主流で、モノ同士の接続については、規格の問題もあり、まだ一部の製品でしか採用されていないのが現状です。
IoTにおける「モノ」の範囲は非常に広大で、世の中のあるありとあらゆる「モノ」が対象になりえます。

IoTの構造をかんたんに説明すると、以下の4つのステップに分かれます。

① 対象を計測する。

極小かつ機能を特化させたセンサーによって、特定の数値を採取します。

② 計測した内容をサーバに送る。

上記①のセンシングによって得られた数値をサーバに送信します。使用されるサーバはクラウドが想定されており、アクセス場所を選ばない仕様がのぞまれます。

③ サーバ側でデータを分析する。

収集されたデータをクラウドサーバ上で分析します。AIを使ってビッグデータ化した内容を分析することにより、従来では不可能だった分析も可能となります。
家電メーカーのシャープは、「AIoT」というAIとIoTを組み合わせた造語を創り出し、独自のIoT戦略に基づいて製品開発を行っています。
シャープが標榜する「AIoT」が画期的なのは、クラウドサーバ側だけでなく、端末側にもAI機能を持ったモジュールを搭載することにより、情報の入り口からユーザーライクな仕組みを構築することを目指している点です。

④ 分析結果を分かりやすく人に解説する。

人に伝達する際には、なじみやすい形でフィードバックする必要があります。
例えば、冷蔵庫に入っている食材だけ伝えるよりも、「□□を作るならばレタスを1玉」「××を食べたいなら卵1パック」と送信するとともにレシピも一緒に伝えるなど、消費者に優しい設計をする必要があります。

この4つのステップを踏むことによって、IoTは効果を最大化できるのですが、現在のIoT家電はどういった状況にあるのでしょうか?

IoT家電の現状

① IoT家電で家族を守る

上記の「冷蔵庫の中身から〜」という例は、まだ少し未来の話です。
IoT家電としての冷蔵庫を発売しているメーカーもありますが、まだドア開閉のタイミングや回数くらいしか計測できず、それ以上の情報は自分で入力するか、庫内で決められた場所に決められた食材を入れる必要があります。

実際に使われ始めたIoT家電にはどういったものがあるのでしょうか?
2017年5月に渋谷区と東京電力ホールディングスは、共同で家族見守りサービスの実証実験を6月より実施すると発表しました。内容としては、「渋谷区在住の高齢者、区立小中学校の児童・生徒に専用ビーコン(電波発信機)を携行してもらい、位置情報履歴を後から確認できたり、特定の場所を通過した際にメールで通知されたりする」というサービスです。

専用のビーコン

専用のビーコン
出典:東京電力ホールディングス

「そんなサービスは既に携帯電話会社が提供している」という方もいらっしゃると思いますが、重要なポイントは、通信会社を経由せずに提供されるという点とビーコンの小型化が進んでいるという点です。 公衆電話回線網やGPSを利用せずに、ビーコンから発信される電波をどこでキャッチしてどうやって場所を特定しデータを送信しているのでしょうか? 実は、専用の基地局を渋谷区内各所に配置して、そこで電波をキャッチしているのです。

これは東京電力関連の施設や、キリンビバレッジバリューベンダー株式会社の協力のもと、渋谷区内のキリンの自動販売機に基地局を設置することにより成立しています。
GPSを使用しないことにより、ビーコンの小型化が進み、長期間のバッテリー稼働が可能になりました。
老人や子供たちにスマホを持たせなくてもよいので、家族からすると毎日の充電や高額な料金を気にせずに見守ることが可能となったのです。

② スマートスピーカーがIoT家電の普及を促進させる

ここ数ヵ月、さまざまなブランドのスマートスピーカーが発売されて専門誌の話題をさらっています。
各社がそれぞれ自社製品の特徴を喧伝し、差別化に躍起になっていますが、スマートスピーカーはIoT家電のハブとなる可能性があります。

スマートスピーカー

スマートスピーカーは、かんたんな質問(時刻や天候など)への回答や音楽の再生など、(インターネット接続のみの)単体での機能は極めて限定的です。ほかの家電製品のコントロールが可能になって初めて、スマートスピーカーはその本領を発揮すると言えるでしょう。

今後、各社が発売しているスマートスピーカーの基準に沿って、周辺機器としてのIoT家電がさまざま発売されるという流れを考えると、スマートスピーカーがIoT家電の普及促進に一役買うことになるでしょう。

IoT家電がつくる未来

まだ黎明期にあるIoT家電。機能としては、インターネット接続ができて、スマホからのオン・オフ操作や稼働状況の管理、というレベルから脱却できていません。

① スマートカメラ:スマホから自宅内の状況を確認したり話しかけたりできる。
② スマート照明器具:スマホで照明器具のコントロールができる。
③ スマートセキュリティ:スマホで自宅の扉の解施錠ができる。解錠されるとスマホに通知が届く。

ご覧の通り、「今までその場にいないとできなかったことが、スマホ経由で外出先からできる」というレベルのものが多く、便利になってはいるのですが、本来期待される分析やフィードバックまで達成しているIoT家電は、ごくわずかです。

IoT家電は、その対象範囲の広さから、さまざまな分野での活躍が期待されます。
人が欲している情報は多岐にわたっており、IoT機器が正しく効率よく導くことによって、生活は一変するでしょう。効率化が進むことによって日本が抱える人口減少による労働力不足を解決するかもしれません。それどころか、人口減少自体に歯止めをかけてくれる可能性さえあると思われます。

IoT家電の普及によって、どんな未来が待っているのか、今後の動向から目が離せません。

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