被災地からのメッセージ Vol.08

被災地からのメッセージ Vol.08

2014年1月24日公開

つながる手と手そこから始まる一歩

みなみそうまラーニングセンター(福島県南相馬市)を訪ねて

2011年8月に誕生したチャリティホワイト(以下チャリホワ)の加入者は、現在184万人を突破し、10円と10円が合わさって積み上げられた寄付金の総額は、なんと3億円にのぼりました。託されたこの想いが、不安な気持ちを抱える方へ確かに届いて、被災地の希望へとつながっていきます。
赤い羽根共同募金で新たに生まれた「赤い羽根チャリティホワイトプロジェクト」は、より長期的に支援できる、よりNPOと密着した助成プログラムとなり、寄付者と支援者の距離が縮まるプログラムとなっています。
想いと想いが結びついた先に、どんな未来が紡がれていくのでしょう?今回は、その様子に迫ってみたいと思います。

ライター 木下真理子

光を失った町に明かりを灯して。

色味のない少し物悲しい国道沿いに、明かりが灯る白い建物が見えます。ドアを開けると迎えてくれる優しい笑顔と、温かな空気に一気に心がほどけていきます。中では、お気に入りのスポンジ製のお家で大好きな本を読んでいる男の子、テーブルに向かい宿題に励む女の子の姿がありました。
地元スタッフや全国より集まったボランティアたちに見守られながら、子どもたちは放課後をほがらかに過ごします。福島県南相馬市にて、NPO法人トイボックスが運営する「みなみそうまラーニングセンター」でのひとコマです。
一見どこの学童保育とも変らない風景ですが、実はこちらでは、震災以降、津波被害に加え、原発事故の影響を強く受けるこの地で、根深い課題となっている、発達障がいの子どもたちのサポートを行っています。
大阪市にて10年に亘り、その分野で大きな功績をおさめてきた代表の白井智子さん。彼女は、震災直後より東北に入り、避難所などを回りながら、環境の変化に適応が難しい子どもたちのケアを真っ先に案じました。学校や親御さんへの丁寧な聞き取りを重ねるとさらにその必要性を実感。同じ問題意識を抱えた南相馬市の要請を受け、2012年4月に施設をオープンさせます。
混乱を極めた当時、人々は皆、生きることに精一杯でした。普段の生活もままならなくなってしまった震災後の暮らしの中で、白井さんをはじめとしたスタッフたちは、声なき声を拾い集め、孤立し行き場を失った方と共に、光の差す方へ歩みを進めてきました。放課後の学習指導を中心に、小学生を対象として始まったサポートも、3年目を迎えようとしています。

光を失った町に明かりを灯して。 光を失った町に明かりを灯して。 光を失った町に明かりを灯して。

つながって生まれる、新しい一歩。

献身的な支えが実りを見せ、はじめは挨拶もままならなかった子どもたちの様子にも結果が現れ出しました。しかし、その一方で、新たな問題が浮かび上がります。
「小学生を対象にした運営も2年が過ぎて、卒業間近に控えた子が施設を去らなくてはいけない状況が生まれました」と白井さんは眉をひそめます。
外に目を向ければ、時を追うごとに膨らんだ子どもたちの心の負担が、問題化するケースも多く出はじめました。そうした中で、追いつめられるのは子どもだけでなく、親御さんや学校も含めて、この場に救いを求める声は増していく一方でした。しかし、10人でスタートした施設は、現状の22人の受け入れが頭打ち状態。ようやく見つけた自分の居場所を失いたくないと白井さんに直談判をする子どもの姿、求められる声に応えられない状況に心を痛める日々が続いたといいます。
そこに、ひと筋の光を与えたのが「赤い羽根チャリティホワイトプロジェクト」による支援でした。「ラーニングセンター」は、その支援先として選定委員会より認定を受け、本年1月より1年間に亘る運営の援助を受けていきます。4月から新しい施設を加え、対象を幼児から中学生まで広げる仕組みを整えて、大きな一歩を踏み出すこととなったのです。
徐々に支援の手が薄れていく被災地の昨今において、これからさらに活動の広がりを見せ、被災地において継続的に活動していこうとする団体の存在は、今後、この地で大きな意味を示していくものとなります。

つながって生まれる、新しい一歩。 つながって生まれる、新しい一歩。 つながって生まれる、新しい一歩。

日々の暮らし、笑顔を、高校生ならではの視点で。

さて、新たな歩みをスタートさせる「ラーニングセンター」では、これから日々どんな笑顔が生み出されていくのでしょう。チャリティホワイトに寄せられた想いが、南相馬で紡がれていく姿を、地元原町高校の放送部の生徒たちによる「取材日記」にて、継続して伝えていこうという試みが2014年2月からこのチャリティホワイト特設サイトにて始められます。地元のNPOの活動を地元の高校生が取材を行い、地域に密着した視点でお伝えしていきます。
27年連続全国大会出場の伝統ある原町高校の放送部。総勢6人の部員が総力を結集し、勉強に励む子どもたちの姿やスタッフの奮闘の様子を、動画番組に写真・記事を交えて、届けてくれるとのこと。
顧問の鈴木千尋先生は「震災後、番組のテーマや内容にも大きな変化がありました。高校生ながらに、被災地の放送部としてのミッションを背負いながらの3年間でした」と話し、その視線の先にある生徒たちの姿を愛情深く見守ります。
町が復興に向け動きだし、生み出された地域の取り組みにも積極的に参加しながら、番組づくりを進めてきたといいます。新たな一年を前に、大きなチャレンジに踏み切った子どもたちは、どんな南相馬の様子を描き出してくれるのでしょう。
そのたくましさと同居するように、あどけない笑顔を見せる彼女たち。複雑な想いを抱えながら被災地を生きる小さなひとりとして、また高校生だからこそ伝えられる、そんな今があるのだと思います。
そして、送られて来る南相馬の日常、高校生たちから投げられる大切なメッセージを受け取り、私たちはどんな返事を送ることができるのでしょう。これからも原町高校放送部のみんな、南相馬の方々と会話を重ねるような気持ちで、しっかりと耳を傾けていけたらと思います。

日々の暮らし、笑顔を、高校生ならではの視点で。 日々の暮らし、笑顔を、高校生ならではの視点で。 日々の暮らし、笑顔を、高校生ならではの視点で。 日々の暮らし、笑顔を、高校生ならではの視点で。

小さな光を集めて、春へと。

夕方を過ぎ日が落ちる頃になると「ラーニングセンター」に灯る光は、より明るさを増していくように感じます。子どもたちは宿題の時間を終えると、待ちわびて甘えるように白井さんに駆け寄って来ます。訪れた私たちに、ここでのたわいもない日常のことや大阪旅行の思い出話をたり、ピーマンが食べられるようになったことを自慢げに教えてくれました。その安心しきった様子は、彼ら、彼女たちにとっての、この場所の意味を言葉なく語りかけます。徐々に取り戻されていくこの笑顔が、これから南相馬の未来を支えていくのでしょう。
外は、冷たく澄んだ空気に包まれ、深く青い空には、月と星が漂っていました。
どうやらここには、いまだ私たちが知ることのない、愛おしい暮らしのカケラがまだまだ詰まっているようです。失った多くのことを受け入れながらも歩み続ける人々と共に、これからどんな景色が紡がれていくのでしょう。
それぞれに持っている小さな光を集めて、もうすぐ春へと向かうこの地に、色とりどりの花を咲かせていけたらと思います。

小さな光を集めて、春へと。 小さな光を集めて、春へと。 小さな光を集めて、春へと。

2月から取材日記はじまります!!

~原町高校放送部が、地元ならでは、高校生ならではの目線で地域に根差したNPOの活動を取材していきます。~
「どんな人でも、生き生きと楽しく過ごせるように支援する」というすてきな活動を、少しでも多くの人に伝えられるように頑張ります。

2月から取材日記はじまります!!
2月から取材日記はじまります!! 2月から取材日記はじまります!!
2月から取材日記はじまります!! 2月から取材日記はじまります!!

≪顧問から≫
このような活動を通して、地域の人々や支えてくださる人々を実感として知り、生徒それぞれが成長していく糧になって、それがまた地域に還元されると良い循環が生まれると思います。
地元の高校生の姿も垣間見えると思いますので、よろしくお願いいたします。

2月から取材日記はじまります!!

取材者紹介

木下真理子
木下真理子

福島県福島市生まれ。福島県内で発行のフリーマガジン「dip」の編集長を創刊より7年に渡り務める。主に同世代向けに、福島での暮らしの楽しみを伝えてきた。 3.11をきっかけに、福島の現状をそとに向けて等身大の声として伝えるべく活動を始める。2012年2月、会社を退社。現在は、フリーでライターやディレクションの仕事に従事している。

●りんご畑の樹の下で https://www.facebook.com/gingo.fukushima2012

撮影:齋藤政之

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