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災害対応の迅速化へ向け、より軽量に、より簡単に。ソフトバンクの大規模防災訓練で最新ソリューションを演習

地震や豪雨など自然災害の激甚化が進む中、通信サービスを迅速に復旧するための対策も進化を続けています。

ソフトバンクは2026年6月16日、総合防災訓練を関東地区で実施しました。通信ネットワークの保守・運用・構築に携わる社員や協力会社が参加し、仮設基地局や有線給電ドローン、衛星アンテナを活用した伝送路復旧など、災害時の通信ネットワークの復旧を支えるさまざまなソリューションを実践的に学びました。訓練を統括した担当者に、目的や取り組みについて聞きました。

ソフトバンク株式会社 エリア建設本部 関東ネットワーク技術統括部 関東ネットワーク推進部 技術推進課 課長

吉澤 智英(よしざわ・ともえ)

通信復旧力の強化に向けて実施された総合防災訓練

ソフトバンクでは、大規模災害の発生に備え、全国各地でさまざまな防災訓練を実施しています。今回行われた関東地区での総合防災訓練では、通信ネットワークの保守・運用・構築に携わる社員や協力会社など約200名が参加し、実際の災害現場を想定した実践的な訓練を行いました。

訓練を計画する上で、近年の災害環境や社会状況の変化をどのように反映しましたか?

近年は自然災害の激甚化・広域化が進んでおり、通信サービスの早期復旧に向けて、多様な復旧手段を組み合わせながら迅速に対応することが求められています。

今回は、商用電源の停止、基地局設備の損傷、伝送路の断絶といったさまざまな被災パターンを想定し、実際の災害現場を意識した訓練内容を盛り込みました。

災害発生時には、現地で復旧活動を行う外部の施工班・保全班を取りまとめるとともに、社員自らも災害復旧ソリューションを活用して復旧対応に当たることが求められます。そのため、さまざまな復旧手段を状況に応じて柔軟に活用できる実践的なスキルの習得を目的に、訓練を実施しました。

また、保全会社や施工会社にもご参加いただき、訓練を通して連携強化と一体感の醸成を図ることで、災害発生時により迅速かつ円滑な復旧活動につなげられる体制づくりを目指しました。

これまでの訓練と比べて新たに取り入れた内容やアップデートした点はありますか?

今回の訓練で新たに実践したソリューションは、機材のパッケージ化など操作が簡素化して使いやすくなった「有線給電ドローン」、1人でも持ち運びが簡単な形状になった「可搬型BBU(ベースバンドユニット) BOX」、そして、同時に2人が利用可能な「トイレカー」などがあります。

進化した災害復旧ソリューションを実機で体験し、新しい機能や操作方法への理解を深めることで、災害発生時に迷うことなく活用できる実践的なスキルの習得を試みました。

空・海・陸から通信を届ける復旧ソリューションを活用した訓練

参加者がグループに分かれて各訓練を順番に体験し、実際に機器を操作しながら災害時の復旧手順や設備の特長を学びました。

避難所や自治体施設の通信を支える仮設基地局

災害によって通信エリアの早期復旧が難しい場合には、避難所や自治体施設など、人が集まる場所の通信を確保するために可搬型基地局を活用します。

可搬型基地局は、車両で運搬できる仮設基地局で、被災地へ持ち込むことで一時的な通信エリアを構築できます。設置場所を中心に半径約400mの範囲をカバーできる他、衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink」(以下Starlink)を利用してネットワークへ接続できるため、周辺の通信設備や光回線が被災している状況でも通信サービスを提供することが可能です。

訓練では、機材の搬入から組み立て、設置までの一連の流れを確認。コンパクトに収納されていたアンテナは、ポンプを数回操作しただけでスーッと一気に伸び、気付けば約6メートルの高さに。目の前で仮設基地局が完成していく様子は想像以上にスピーディーでした。

衛星アンテナを搭載した移動基地局車の実動訓練も行われました。移動基地局車は被災地へ出動し、一時的な通信エリアを提供する車両です。車内には通信機器や電源設備、ケーブル類が効率よく配置されており、限られたスペースの中で迅速な復旧活動が行えるよう工夫されています。

また、避難所などでの利用を想定した避難所システムも展示されました。大規模災害によって通信環境が失われた際に、一時的な通信手段を確保し、避難所でのスポット的な通信エリアの構築に活用されます。

孤立地域へ空と海から通信サービスを届ける

土砂災害や道路の寸断などにより、人や車両が被災地へ近づけない場合、復旧作業そのものが難しくなります。そのような状況で活用するのが、有線給電ドローンです。上空から一時的に通信を提供することで、復旧作業が困難な場所でも通信手段を確保します。

訓練で使用した有線給電ドローンは、最大約100メートルの高さまで上昇し、半径2〜3キロメートルの範囲に通信エリアを提供することができます。地上から電力を供給しながら飛行することで、最長100時間の連続運用が可能です。実際に、能登半島地震や岩手県大船渡市で発生した山林火災でも活用されました。

従来のソフトウエアによる操作からウェブページ制御へと変更され、操作画面も刷新されるなど、よりシンプルで扱いやすい構成となりました。これまでは機材を一から組み立てる必要がありましたが、パッケージ化されたことで、機材の運搬から設置、運用までをより効率的かつ迅速に行えるようになりました。

訓練では、機体の組み立てからケーブル接続、飛行準備、運用手順を確認。参加者が積極的に質問する場面も見られ、災害時の運用を想定しながら実践的に学んでいました。

また、会場には船上基地局も用意され、活用方法ついて説明が行われました。道路の寸断などによって陸路での復旧活動が難しい場合に、基地局設備を船に搭載して海上から通信エリアを確保し、沿岸部の被災地へ通信サービスを届けることができます。

災害時の通信復旧を支える多様な支援設備

通信の早期復旧を実現するためには、基地局そのものだけでなく、それを支えるさまざまな設備や後方支援も欠かせません。停電や伝送路の断絶への対応に加え、復旧活動を支える設備も紹介されました。

停電した基地局へ電力を供給する発電機

災害時、基地局が停止する原因の一つが停電です。通信設備そのものが無事でも、電力が供給されなければ通信サービスを提供することはできません。その際に活用されるのが、長時間の運用に対応した発電機です。

訓練では、燃料を自動供給するインテリジェントタンクや、ガソリンとLPガスの両方に対応した「ハイブリッド型発電機」を使用し、参加者は実際に運用方法や安全確認の手順を確認しました。

インテリジェントタンクは二つの燃料タンクを備えており、自動で切り替えて供給することで約21時間の連続運転ができます。ハイブリッド型発電機はガソリンに加えてLPガスも使用できるため、燃料補給の選択肢が広がり、最大60時間の運用が可能となっています。

タンクが二つ備わっているインテリジェントタンクとLPガス

伝送路の断絶に備える衛星通信と可搬型復旧設備

基地局とネットワークをつなぐ光ケーブルなどの伝送路が支障した際は、衛星通信を活用した伝送路復旧ソリューションを活用します。

パラボラアンテナ型の衛星通信設備と、Starlinkを使用した復旧手順を確認。パラボラアンテナは悪天候下でも安定した通信が期待でき、Starlinkのアンテナは軽量で持ち運びや設置がしやすく、迅速な運用が可能です。状況に応じて使い分けることで、被災時の通信経路を確保します。

パラボラアンテナ型の衛星通信設備とStarlinkのアンテナ

あわせて、通信回線の被災によって基地局との接続が途絶えた際に活用する、可搬型通信設備や基地局の制御機能と伝送機能を備えた装置を現地へ搬入・設置することで、通信サービスの早期復旧を図ります。装置はキャスター付きのボックスに収められており、スーツケースのように運搬できるのが特長です。1人でも持ち運びが可能なため、設置作業の負担軽減や復旧時間の短縮につながります。

通信回線が被災し、基地局との接続が途絶えた場合には、基地局の制御機能(BBU)と伝送機能を一体化した可搬型の通信設備「可搬型BBU BOX」を現地に搬入・設置し、通信サービスを復旧させます。キャスター付きのため1人でも運搬可能で、迅速に設置することが可能になりました。平常時は遠隔地に設置されている基地局の制御機能を被災現場近くで代替することで、復旧作業の効率化と通信サービスの早期復旧に貢献します。

復旧活動を支えるベースキャンプと後方支援

災害復旧では通信設備だけでなく、現場で活動する人を支える環境づくりも欠かせません。

訓練では、復旧活動の拠点となるエアーテント型の災害テントを設営しました。テント内には照明設備も備えられており、昼夜を問わず活動できるベースキャンプとして活用されます。

実際に中へ入ってみると、想像以上に広々としており、テントとは思えないほどしっかりとした造りが印象的でした。

照明が点灯すると、参加者からは「こんなに明るいんだ」と驚きの声も上がりました。約20人が利用できる広さがあり、災害時には復旧作業にあたる関係者の待機場所や休憩スペースとして活用される他、風雨にさらすことのできない発電機や衛星ソリューションなどの資機材を一時的に保管するスペースとしても活用されます。

また、MONET Technologiesが提供するマルチタスク車両も展示されました。Starlinkによる通信環境を備え、現場での会議を円滑に行うことができます。車内に入ると用途に応じてレイアウトを変更できる設計になっており、想像以上に広々とした空間が広がっていました。人員輸送や会議スペースなど、災害対応の状況に合わせて柔軟に活用できるのが特長です。

さらに、今年度から新たにトイレカーも展示されました。

災害発生時のベースキャンプでの利用を想定し、トイレカーを展示。大容量の給排水設備を備え、一般的な仮設トイレより快適な利用環境を提供できるため、長期化する災害対応現場での活用が期待されています。

車内には照明や手洗い場が設置されている他、同時に2人が利用可能。復旧活動の長期化を見据え、作業員の衛生環境を支える設備として期待されています。

実際に中に入ってみると、通常のトイレのようにゆとりのある空間が広がっています。明るい照明や清潔感のある内装、手洗い場など設備も充実しており、長期間にわたる災害対応の現場でも、少しでも快適に利用できるよう配慮されていることが伝わってきました。

また、仮設給油所も紹介されました。災害時には燃料不足やガソリンスタンドの営業停止が発生することもあるため、発電機や車両へ安定して燃料を供給するための設備です。

給油方法はガソリンスタンドと同じで、災害現場でもスムーズに給油を行うことができます。ガソリンはドラム缶を交換することで継続的に供給できるほか、軽油などの燃料はタンクローリーから直接供給することも可能です。長期化する復旧活動において、燃料供給を支える後方支援設備の一つとして活用されます。

最後に、今回の訓練を事務局として企画した吉澤に、訓練を通して得られた成果と今後の取り組みについて聞きました。

通信サービスの早期復旧には技術力だけでなく、関係者同士の連携が欠かせないということを改めて実感しました。ソフトバンク社員に加え、保全会社・施工会社の皆さまにもご参加いただき、それぞれの役割を理解しながら訓練を行うことで、より円滑な復旧活動につながることを再認識しました。

自然災害は年々複雑化・大規模化しており、それに合わせて復旧設備や手法も進化を続けています。今後も実践的な訓練を継続するとともに、関係機関との連携をさらに深めながら、災害発生時により迅速かつ確実に通信サービスを復旧できる体制の強化に取り組んでいきます。

(掲載日:2026年7月2日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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