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「触ってみよう」でキャリアが変化。営業からAI活用の推進役へ、異色の転身ストーリー

営業職として入社し、東北でキャリアをスタートした大川裕矢は、社内の生成AI活用コンテストで3度の優勝を含む複数回の入賞を果たしています。現在は生成AIを活用するための組織、グループASI戦略本部 AIプロダクト推進部に移り、新たな取り組みに携わっています。同時に、教育分野で優勝した提案の事業化に向けた取り組みも進めています。

学生時代にAIを専門的に学んだわけではない営業出身の大川が、生成AIとどのように結び付き、新しい仕事を広げていったのか。東北での営業経験から現在の取り組みまで、新しい挑戦を続ける大川に話を聞きました。

話を聞いた人

大川 裕矢(おおかわ・ゆうや)

ソフトバンク株式会社 グループASI戦略本部 AIプロダクト推進部

2017年入社。仙台・福島での営業を経て、2025年から現職。生成AIの社内活用を推進する傍ら、社内の生成AI活用コンテストで優勝した案件の事業化に向けた準備にも携わっている。

東北での経験から始まった、生成AIへの挑戦

2017年に新卒で入社し、東北で営業としてキャリアをスタートされています。学生時代からAIを学んでいたのでしょうか。

ソフトバンクの入社志望はショップ営業でしたので、その希望がかないました。配属前に会社から「東京で経験を積むか、それとも地方で挑戦するか」と聞かれ、地方を選びました。
私は静岡の出身ですが、当時は「どこでもやってやろう」という気持ちでした。東京での研修を経た最初の配属先は仙台で、その後福島へ。東北では通算5年間勤務しました。縁もゆかりもない土地でしたが、復興途上ということもあり、大変やりがいのある日々でした。
学生時代は文系で、AIや情報工学を学んだ経験はありません。入社当時、自分が生成AIを活用した仕事に携わるとは、全く想像していませんでした。

生成AIに本格的に触れ始めたきっかけを教えてください。

2023年ごろ、会社全体で生成AI活用の機運が高まり、自分も「まず触ってみよう」と思ったのが最初でした。同じころ、社内で生成AI活用コンテストが始まったことも、一つのきっかけです。営業時代から、新しい取り組みやプロジェクトには積極的に挑戦していこうという雰囲気がありました。生成AIも、その流れの中で自然と取り組み始めました。

「何が違ったのか」を考え続けた

社内の生成AIコンテストでは、3回の優勝を含めて複数回入賞しています。現在の仕事にもつながる大きな転機だったと思いますが、最初から順調だったのでしょうか。

全くそんなことはありません。最初のコンテストで、自分では「これならいける」と思っていた提案も、採用されませんでした。

そこで初めて、「何が違ったのだろう」と考えました。

他の入賞者の提案も見比べながら、自分なりに分析し、次の提案では少しずつ改善していきました。振り返ると、その繰り返しだったと思います。

改善する中で、意識したことはありますか。

「面白いアイデア」だけでは足りないということです。

「実際にどう使われるのか」

「誰の役に立つのか」

そこまで具体的に考えるようになってから、提案の内容も変わっていきました。

アイデアは、仕事や日常の小さな気付きから生まれる

現在は教育分野のテーマで、事業化に向けた取り組みも進めているとのことですが、教育との関わりは?

営業でしたし、特段、教育に携わってきた経験もありませんでした。ただ、「こういうものがあったら役に立つのではないか」と考えていく中で、自然とたどり着いたテーマでした。

このテーマでコンテストに入賞したことがきっかけで、現在は事業化に向けた検討が進み、一部ではPoCも実施しています。また自分自身も東北の営業から、本社で生成AIを推進する部門に異動しました。

教育分野のテーマもそうですが、アイデアはどのように考えているのでしょうか。

特別な発想法があるわけではありません。生成AIのアイデアを考える上では、必ずしも自分の業務と同じテーマだけを考える必要はなく、例えば仕事の中で「これ、不便だな」と思ったことや、「こうだったらもっと良くなるのに」と感じたことが出発点になることが多いと感じます。

もちろん業務そのものから生まれることもありますが、日常生活の中で感じた違和感がきっかけになることもありますので、そうした気付きを、そのまま流さないようにしています。

アイデアを形にしていく上で、大切にしていることはありますか。

頭の中だけで考え続けるより、一度試してみることですね。

生成AIは以前に比べて、専門知識がなくても試せることが本当に増えました。実際に触ってみると、「これはできそう」「これは難しい」といったことが分かってきます。そうやって試しながら考えることを大切にしています。

一方、営業時代の経験は、今の仕事にもつながっていますか。

つながっていると思います。営業では、お客さまや店舗の課題を見つけて、「どうしたらもっと良くなるだろう」と考える毎日でした。

今も、「何かを良くしたい」というところから考え始めることは変わっていません。それが営業の仕事であっても、教育であっても、日常生活であっても同じです。

「こういうものがあったらもっと良くなるのではないか」という視点から考えることが多いですね。営業を経験したことは、今の仕事にも生きていると感じています。

講演などで、生成AIは苦手な仕事よりも、自分の得意分野でこそ使うべきだという話をしていますね。

意外かもしれませんが、多くの人は、自分が得意な仕事ほど生成AIを使いたがりません。長年培ってきた経験や、自分なりのやり方があるからです。

でも、本当はそういう領域にこそ生成AIを取り入れてみてほしいと思っています。生成AIは「どう作るか(How)」は得意ですが、「何を作るべきか(Why・What)」は人が考えなければいけません。

だから、自分の仕事を一番知っている人が使うことで、新しい価値が生まれると思っています。

大川が考える「Mind×AI」。苦手なことだけでなく、自分の得意分野にも生成AIを取り入れることで、新しい価値が生まれるという考え方。

現場を知っている人だからこそ、新しい発想が生まれる

生成AIというと、専門知識が必要という印象を持つ人もいるかもしれません。

もちろん技術を深く理解されている方はたくさんいます。でも、現場の仕事を一番知っているのは、その仕事をしている人です。

営業なら営業。

経理なら経理。

人事なら人事。

それぞれの仕事には、「もっとこうしたい」という気付きがあります。その気付きがあるからこそ、新しいアイデアも生まれるのだと思います。生成AIは、そのアイデアを形にするための選択肢を広げてくれる存在です。

だからこそ、エンジニアだけではなく、さまざまな仕事をしている人に挑戦してほしいと思っています。

最後に、大川さんにとって生成AIと向き合う上で、一番大切なことを教えてください。

やはり、「まず触ってみること」に尽きます。

最初から詳しい必要はありません。私自身も、生成AIを専門的に学んできたわけではありませんでした。だから最初は分からないことばかりでしたが、触ってみることで少しずつ見えてくるものがありました。

営業でも、経理でも、人事でも、現場には「もっと良くできる」という気付きがあります。その気付きに生成AIを組み合わせることで、新しい仕事やサービスにつながる可能性があります。

難しく考えず、まず触ってみる。

そこから始まることは、思っている以上に多いと思います。

(掲載日:2026年7月14日)
文:ソフトバンクニュース編集部