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「AIを使い倒す」から始まる企業変革。ソフトバンクが語ったカスタマーゼロの実践知 ーSoftBank World 2026 基調講演レポート

AIをどう実装して、組織をどう動かし、成果にどうつなげるのか。AI活用が本格的な実装フェーズに入った今、その問いは企業にとってますます重要になっています。7月14日に開催されたソフトバンク最大規模の法人向けイベント「SoftBank World 2026」では、「AI革命の覚悟と挑戦~ソフトバンクの実践知が示す、企業変革の勝ち筋~」をテーマに基調講演が行われました。

登壇したのは、AI実装、営業変革、セキュリティ、クラウド/プラットフォームなど各領域を担うソフトバンクの4人のキーマン。ソフトバンク自身が「カスタマーゼロ」として取り組むAI活用の最前線を通して、企業が変化を成長機会へとつなげるための視点を紹介しました。

ソフトバンクが実践する「カスタマーゼロ」とは

「AI革命の覚悟と挑戦〜ソフトバンクの実践知が示す、企業変革の勝ち筋〜」と題した講演には、ソフトバンク株式会社 副社長執行役員兼COOの桜井勇人、専務執行役員兼CIOの牧園啓市、常務執行役員の宮澤弦、執行役員本部長の竹綱洋記が登壇。

講演の冒頭、法人事業を統括する副社長の桜井は、ソフトバンクがこれまで新しいテクノロジーをどのように自社で活用してきたかを振り返りました。

1980年代後半、ソフトバンクがパソコンソフトの流通事業を展開していた時代には、全社員にパソコンを配布。稟議(りんぎ)のデジタル化やメールアドレスの配布など、業務のデジタル化をいち早く進めました。2008年にiPhone が日本で発売されると、iPhone やiPad を全社員に配布し、いつでもどこでも仕事ができるワークスタイルの変革を進めました。

そして現在、ソフトバンクでは全社員がAIを活用し、仕事のあり方そのものを再定義する取り組みを進めています。

講演中には来場者に向けたアンケートがリアルタイムで実施され、会場の反応を交えながら、AI活用の現在地が共有されました。

桜井は、最新のテクノロジーをまず自ら徹底的に使う「カスタマーゼロ」の姿勢で得た知見をお客さまに提案する。ソフトバンクが長年続けてきたこの姿勢が、AI時代においても企業変革の起点になると説明しました。

法人事業を担う桜井が特に注目しているテーマとして挙げたのが、「暗黙知の長期記憶」です。営業担当者や組織に蓄積された知見やノウハウ、経験値、判断基準といった知見をAIに継承することで、顧客提案の質とスピードを高める考えを示しました。

その一例として紹介したものが、ソフトバンクの法人営業におけるAI活用です。過去の商談データ約6万件をAIに取り込み、提案準備、アカウントプラン、引き継ぎ書などの作成を支援することで、個人の経験に依存しがちな営業活動を組織全体の力へと広げようとしています。桜井は、AIエージェントが組織ごとにフル稼働することで、人とAIの協働による企業成長が加速すると語りました。

AIが変えるクリエイティブ制作と顧客対応。Runway社とSierra社に見る活用の最前線

続いて登壇した宮澤は、LINEヤフーで生成AI領域を担当した後、ソフトバンクでもAIの利活用をけん引しています。講演では、ソフトバンクが世界の最先端AI企業と連携し、日本市場に展開していく取り組みとして、Runway社とSierra社が提供するソリューションを紹介しました。

Runway社のソリューションは、写真1枚を基に、プロンプトで会話を重ねながら高品質な動画を生成できるもの。登場人物や動物、シーンの雰囲気、ストーリーなどを指定することで、広告キャンペーンや企業プロモーション、サービス紹介動画などに活用できます。

ソフトバンクでも、AIで生成した「ふてニャン」などの映像制作にRunway社のソリューションを活用しています。動物をモデルにした撮影は、人間の意図通りに動きを引き出すことが難しく、長時間の撮影や拘束が課題となります。一方、AIを活用すれば多様な動きや演出パターンを短期間で検証でき、負担も軽減できます。宮澤は、従来は数案の中から選んでいたクリエイティブも、AIによって数百パターンを作成し、効果の高い案を見極められるようになると説明しました。

続いて紹介したSierra社のソリューションは、コールセンターやオンラインでの顧客対応において、AIエージェントが自律的に課題解決を支援するものです。自然言語で「どのような対応をしてほしいか」を設定すると、複数のAIエージェントが連携しながら、顧客の課題解決を進めていきます。

特徴的なのは、講演では、AIだけで顧客の課題を解決できた場合に成果報酬が発生し、途中でオペレーターに引き継がれた場合は課金されない仕組みとして紹介された点です。 宮澤は、コールセンターでの人材確保が難しくなる中、24時間365日、より多くの顧客に対応できる体制づくりにつながると期待を示しました。

ソフトバンク自身も、これらのソリューションを率先して活用し、効果を確かめ、顧客に届けていく考えです。宮澤は、自社で使い倒した知見を基に、企業のマーケティングや顧客接点の変革を支援していく姿勢を示しました。

AIが動ける企業システムへ。AI時代のモダナイゼーション

AIの進化が利便性を高める一方で、AIはサイバー攻撃にも悪用される時代になっています。桜井は、企業がAIを使いこなすだけでなく、AI時代の脅威に備えることも重要だと強調しました。

CIOとしてIT・AI・セキュリティ・インフラ領域を担う牧園は、AI時代に求められるモダナイゼーションの重要性を語りました。

これからの企業システムには、AIが理解して検証しやすい設計、AIが監視して改善しやすい運用、AIが解析して修正しやすいコードが求められます。牧園は、これまで自身もモダナイゼーションの重要性を感じつつ、「業務影響の大きさや優先順位の付けにくさから、既存システムはそのままにし、新しいものだけをAIで開発すればよいと考えていた」と振り返りました。

しかし今、その考え方自体が企業にとってリスクになりつつあるといいます。

従来、コードモダナイゼーションは、保守性や技術的な継続性を担保するための取り組みとして捉えられてきましたが、これから必要なのは、AIがコードを理解し、修正し、テストできる前提を作ることだと語りました。牧園は、モダナイゼーションについて、単にコードを新しくすることではなく、「AIがシステムを自由に、かつ安全に動かせるようにするための取り組み」だと説明しました。

システムは日々変更され、それに伴い、外部システムとの連携構成や環境も変化します。さらにAIの進化によって、攻撃手法も高度化していきます。その中で企業に求められるのは、脆弱性を診断し、修正コードを作成し、すぐに適用するサイクルをいかに早く回すかです。

牧園は、コードモダナイゼーションだけではなく、データやシステムとの接続性、ガバナンス、監視、セキュリティなどを組み合わせ、AIエージェントが企業内で業務を遂行できる状態へ変えることを「AI Ready Modernization」と位置づけました。

「AIが直し続けられる」「AIが使える」「安全に動ける」。この三つがそろって初めて、企業の中でAIが力を発揮できると説明しました。

AIを業務に根づかせる、クラウドとセキュリティ基盤

AIを十分に駆動させるためには、データやシステムとの連携や、また、その基盤をどう作るかという視点が重要であると桜井は説明しました。

ソフトバンクの法人事業統括において、AI・クラウドサービスのプロダクトを担う竹綱は、AIを企業の業務に実装していくためのITマネジメントと基盤について語りました。

AIエージェントの活用は、メール確認やデータ登録といった個人のタスクから、ワークフロー化、さらに業務プロセスの自律化へと進んでいきます。特に今後は、汎用(はんよう)業務やマーケティングだけでなく、基幹業務へのAI活用が広がっていくと見られています。

竹綱は、AI実装の現実解として、「まずトランザクションが多い業務や効果が見込める領域を特定し、その上でAIエージェントを前提とした業務フローへ刷新していくこと」が重要だと説明しました。

一方で、AIが業務の中核に入るほど、セキュリティの重要性も高まります。AIの出力を監視・制限するプロンプト・ガードレールのようなLLMのセキュリティ、エージェントセキュリティ、ランサムウェア対策としてのイミュータブルバックアップ、データレジデンシーによるデータ保護など、AI時代に必要な守りの観点は広がっています。

また、脆弱(ぜいじゃく)性対策としては、「Patching as a Service(パッチング・アズ・ア・サービス)」の取り組みにも触れました。「単発の診断ではなく、継続的にシステムを見ていくこと。AIによる攻撃にはAIで防御すること」が、これからの鉄則になると竹綱は語りました。

さらに、AIを基幹業務で活用するには、回答精度だけでなく、実行過程を把握できることも重要です。誰がアクセスしたのか、どのデータ操作を実行したのか、どの根拠や制約で判断したのか。こうした証跡を管理できなければ、AIを企業の中核業務に組み込むことは難しくなります。

竹綱は、ソフトバンクのデータセンター上で展開するクラウドサービスやAIデータプラットフォームについても紹介し、パートナー企業のサービスとソフトバンクのソリューションを組み合わせながら、お客さまのAX(AIトランスフォーメーション)を推進していく考えを示しました。

AI革命を、企業変革の現場へ

講演の最後、桜井は、AIでビジネスを変える取り組みを今後も進めていくと語りました。

今回の基調講演で示されたのは、AI革命を大きなビジョンとして語るだけではなく、企業の現場でどう使い、どう守り、どう基盤化するかという実践の姿です。

AIエージェントに組織の暗黙知を継承する。Runway社やSierra社が提供する最新のAIソリューションを活用し、クリエイティブや顧客接点を変える。AIが理解して修正し、テストできるようにシステムをモダナイズする。AIが安全に動けるクラウドやセキュリティ基盤を整える。

ソフトバンクは、これらをまず自ら実践する「カスタマーゼロ」として取り組み、その知見をお客さまの企業変革につなげていくことを進めています。

AIを使うかどうかではなく、AIを前提に企業の仕組みをどう作り変えるか。「SoftBank World 2026」の基調講演は、AI時代の企業変革に向けた具体的な一歩を示す場となりました。

関連プレスリリース

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(掲載日:2026年7月24日、更新日:2026年8月14日)
文:ソフトバンクニュース編集部

SoftBank World 2026 公式サイト

SoftBank World 2026 AX for Japan 未来をつくる力が、ひとつになる場所。

SoftBank World 2026の講演は、一部を除き、
2026年8月31日(月)まで公式サイトからオンデマンド視聴可能です。

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