2026年8月4日、ソフトバンク株式会社は2027年3月期 第1四半期 決算説明会を開催し、代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一が、連結業績や各事業の進捗に加え、セブン&アイ・ホールディングスとの資本業務提携、Neoクラウド事業の米国展開に向けた取り組みなどについて説明しました。
目次
全セグメント増収。第1四半期として過去最高の売上高を達成
2027年3月期 第1四半期の売上高は、前年同期比9%増の1兆8,147億円となり、第1四半期として過去最高を更新しました。
全セグメントで増収となり、エンタープライズ事業、ファイナンス事業、ディストリビューション事業は2桁増収となりました。

営業利益は前年同期比4%増の3,023億円、親会社の所有者に帰属する純利益は同3%増の1,501億円となりました。エンタープライズ事業、ディストリビューション事業、ファイナンス事業が増益に貢献しました。
前年同期では、LINE Bank Taiwan Limitedへの追加出資に伴う企業結合の再測定益による一過性の要因がありましたが、全社的なコスト改善などの取り組みが進んだことで、この影響を乗り越えて増益を確保しました。


通期業績予想に対する進捗率は、売上高24%、営業利益27%、純利益27%で、中期経営計画が始まって最初の決算として、いずれも順調に進捗していると説明しました。


各セグメントが通期業績予想に対して順調に進捗
エンタープライズ事業は、売上高が前年同期比11%増の2,604億円、営業利益が同28%増と、2桁の増収増益となりました。主にAI計算基盤などの収益拡大により、クラウド・AI領域が31%増で成長し、事業全体をけん引しました。
これまで積極的に進めてきたAI関連投資が収益に貢献し始めたことから、宮川は、クラウド・AI領域が今年度から「収穫期」に入ったと述べました。


また、クラウド・AI領域の売上高の見通しを開示し、2025年度から2027年度までは、年平均成長率30%の成長継続を見込んでいます。

2026年7月に本格提供を開始した「Patching as a Service」については、自社内への先行導入で得た知見を生かし、重要インフラを担う法人顧客のサイバーセキュリティ対策を支援します。
システムの脆弱性診断から修正パッチの適用までを一気通貫で支援するサービスで、完全自動化に向けた開発も進めると説明。ソフトバンクとSB OAI Japanによる約1,000人の推進体制を構築し、3,000社への提供を目指すと述べました。


コンシューマ事業は、売上高が前年同期比4%増の7,497億円、営業利益は1%減の1,529億円となりました。「ペイトク」の浸透によりモバイルARPUが上昇し、前年同期比60円増となった他、モバイル売上も30億円増加しました。
販売手数料の償却や端末購入サポートによる費用の増加が減益要因となりましたが、期初予想を上回り、通期の増益に向けて順調に進捗していると説明。料金改定の効果などにより、第2四半期以降のモバイルARPUは前年同期比200円前後の増加を見込んでおり、ネットワークの強化やサービスのさらなる向上を進めると述べました。


メディア・EC事業は、売上高が前年同期比10%増。前年同期に計上したLINE Bank Taiwan Limitedへの追加出資に伴う企業結合の再測定益の影響を除くと、営業利益は同19%増となり、増収増益となりました。


ファイナンス事業は、売上高が前年同期比27%増の1,159億円、営業利益が同76%増の318億円となりました。PayPayおよびPayPayカードの決済取扱高の拡大に加え、PayPayカードにおけるリボ払いなどの金利収入の増加が寄与しました。


2026年6月には、PayPay株式会社によるT&Dフィナンシャル生命保険株式会社の子会社化を発表。
株式取得完了後はPayPayが70.2%を保有するとして、銀行と証券に加えて保険サービスを強化することで、金融サービスのさらなる成長を目指すと説明しました。

また、8月3日には、SBペイメントサービス株式会社によるSP.LINKS株式会社の子会社化を発表しました。

両社を合わせたオンライン決済取扱高は約13兆円となり、国内最大規模となる見込みです。中長期的には、年間100億円程度のシナジー創出を目指します。


セブン&アイ・ホールディングスとの資本業務提携で、次世代生活インフラの実現へ
続いて宮川は、2026年7月31日に発表した株式会社セブン&アイ・ホールディングスとの資本業務提携について説明。
ソフトバンク株式会社、PayPay株式会社および三井住友カード株式会社が、それぞれ1,000億円を出資します。

セブンIDとPayPay IDをつなぎ、1億人規模の新たな生活経済圏を構築することなどが紹介されました。
宮川は、ソフトバンクとの取り組みがもたらす未来像として「検討段階の内容であるため、これから関係する方々と調整を進め、実現につなげていきたい」と前置きした上で、AIを搭載したヒューマノイドや配送ロボット、AIによる接客、発注、商品の補充、スタッフ配置などを活用し、店舗運営の高度化を目指す考えを説明。「接客など、人にしかできないような仕事のサポートを後ろ側でさせていただきたい」と述べ、従業員が人にしかできない業務に注力できる環境づくりを支援していく方針を示しました。
また、コンビニエンスストアは日常生活を支えるだけでなく、災害時には地域の重要な拠点になると強調。
宮川は、「いざという時のライフラインとして、大変重要な拠点でもあります」と話し、国産バッテリーやAIエネルギーマネジメントシステムを活用して、平時には地域全体の電力利用を最適化し、災害時には地域社会に貢献できる体制をセブン&アイ・ホールディングスと構築していく考えを示しました。
さらに、AIとデータを活用した物流・サプライチェーンの効率化や商品の安定供給、サイバーセキュリティーの強化にも取り組みます。


セブン&アイ・ホールディングスの店舗網は、国内約2万2,000店舗、世界約8万7,000店舗に及びます。
宮川は、「日本で進化した次世代生活インフラのビジネスモデルを作って、そのモデルをセブンさんと一緒に世界に広げていきたい」と述べ、日本で構築したモデルの海外展開も見据えていることを説明しました。
Neoクラウド事業の米国展開に向けて「SB Neo, Inc.」を設立
続いて、中長期的な成長に向けた「Beyond Japan」の取り組みとして、2026年7月に設立したNeoクラウド事業の米国展開を推進する事業会社「SB Neo, Inc.」について説明しました。
出資比率はソフトバンクが51%、ソフトバンクグループ株式会社が49%で、ソフトバンクの連結子会社となります。両社が共同でNeoクラウド事業を推進し、段階的に米国展開を目指します。


ソフトバンクが国内で培ってきたGPUクラウドやデータセンター事業のノウハウと、ソフトバンクグループが持つ大規模なAIインフラ関連のリソースを組み合わせて事業を推進すると説明。米国企業向けには、独自の「Infrinia AI Cloud OS」を活用したクラウドサービスを提供し、2027年度から需要に応じて段階的に展開します。
事業資金については、事業主体の信用力や保有資産を裏付けとするノンリコースローンによる調達を検討しています。ソフトバンク本体の財務健全性を維持しながら、事業の進捗に応じて投資を進める方針です。

Neoクラウド事業の米国展開に向けた協業の一環として、ソフトバンクは第1四半期に、SBエナジーが保有するEnergy Global, LPの優先持分に10億米ドル、約1,600億円を出資しました。この影響により、第1四半期のフリー・キャッシュ・フローは1,285億円のマイナスとなりました。

同優先持分については、2026年7月に持分譲渡契約を締結しています。第2四半期以降には、出資額を上回る水準での売却による資金回収を見込んでおり、フリー・キャッシュ・フローは反転する見通しです。


2027年3月期 第1四半期は、全セグメントが増収となり、第1四半期として過去最高の売上高を達成しました。クラウド・AI領域が成長をけん引したエンタープライズ事業をはじめ、既存事業が順調に進捗する中、国内での大型提携やNeoクラウド事業の米国展開を進めることで、ソフトバンクは「AIとの共存社会を支える社会インフラ企業」への進化を加速します。
質疑応答
質疑応答では、「セブン&アイとの提携」「モバイル事業」「Patching as a Service(PaaS)」「Neoクラウド」を中心に、事業戦略や今後の成長性に関する質問が寄せられました。

セブン&アイとの提携に関連して、出資に至った経緯や検討開始時期、期待するシナジーに加え、出資比率を抑えた狙いについて問われました。
宮川は、長期にわたって議論を重ねてきた案件であり、ソフトバンクが約1,000億円、関係各社を含め約3,000億円を、セブン&アイが目指す未来型コンビニへの投資に活用してもらいたいと説明。目的はコンビニの店舗運営ではなく、小売事業者のデジタル化支援であり、AI、ロボット、決済、エネルギーマネジメントなどの提案を通じて価値を提供していく考えを示しました。
第1四半期のスマートフォン契約純減に関連し、契約数の減少が一時的なものか、今後の回復見通しや料金競争への対応について質問がありました。
宮川は、契約数の純減はホッピングユーザー対策を厳格化した影響であり、2026年6月には解約率が対前年で改善していることを説明。今後なるべく早いタイミングで純増に転じさせたいという意気込みを示しました。また、ahamoが月額料金を変えずデータ容量を30GBから40GBへ増量した件について、現時点では追随は考えておらず、既存の割引、データ増量オプションで競争力があると説明するとともに、長期利用者をより優遇できるルールづくりの必要性にも言及しました。
PaaSについて、有料化後の導入状況や収益化のタイミングなどについて問われた宮川は、多くの企業との商談が進み、契約件数も増加しているなど、順調な立ち上がりであると説明。
また、有料化を開始し、今期から収益への貢献を見込んでいること、現行の業績予想には織り込んでいないため、上振れ要因になり得るとの考えを示しました。
Neoクラウド事業の米国展開については、GPUなどの計算資源の確保や資金調達について問われました。計算資源は確保できる見通しであるとコメントした上で、その種類は複数の選択肢を検討しているとの見方を示しました。
また、自社開発の「Infrinia AI Cloud OS」を活用し、クラウドサービスとして、GPUを複数の企業へ提供する「1対N」のサービスモデルを構築する考えを説明しました。
2027年3月期第1四半期 決算説明会
(掲載日:2026年8月3日、最終更新日:2026年8月7日)
文:ソフトバンクニュース編集部




