
ソフトバンク最大規模の法人向けイベント「SoftBank World 2026」が開催され、会場には多くの人が来場しました。今年のテーマは「AX for Japan 未来をつくる力が、ひとつになる場所。」。会場では、ソフトバンクやビジネスパートナーによる法人向けソリューションに加え、AI社会の実装を支える最新技術も展示されました。この記事では、AIデータセンター、フィジカルAI、次世代電力インフラ、HAPSなどの展示を中心に、会場の様子をレポートします。
目次
AI社会を支える最新技術展示に多くの来場者

今年で15回目を迎えるSoftBank World。展示会場の入り口に設けられた「イマーシブゾーン」では、2012年から2025年までの歴代キービジュアルや、その時々に話題となったキーワードを紹介。イベントの歩みや時代の変化をたどりながら、今年の展示へと自然に引き込まれる演出が施されていました。
会場内には、AIを活用したサービスだけでなく、その裏側を支える計算基盤やデータセンター、電力・通信インフラ、ロボティクスなど、幅広い取り組みを紹介するエリアが設けられていました。
会場には複数の展示が並び、来場者が担当者の説明に耳を傾けながら、AIの社会実装を支える技術やサービスへの理解を深める姿が見られました。
こうした展示の背景にあるのが、ソフトバンクが2026年5月に発表した中期経営計画です。同計画では、新たな成長戦略「Activate AI for Society」の下、AIを社会に実装するための次世代社会インフラの構築を掲げています。展示会場では、その構想につながる最新技術や取り組みが紹介されました。
AI処理を支える国内最大級のAIデータセンター

最新技術展示の中でも特に注目を集めていたのが、ソフトバンクが構築を進める北海道苫小牧AIデータセンターに関する展示です。
現地で配布されていた資料では、北海道苫小牧市に国内最大級のAIデータセンターを整備し、2026年度に開業予定であることが紹介されていました。敷地面積は約70万平方メートルで、東京ドーム約15個分に相当。急増するAI処理に対応し、次世代社会インフラを支える拠点として位置づけられています。
展示では、将来のGPU要件を見据えた拡張性や、AIサーバーに適した冷却環境、再生可能エネルギーの活用なども紹介されていました。AIモデルの学習や推論、データ処理など、AI活用の拡大に欠かせない計算基盤を支える取り組みとして、多くの来場者の関心を集めていました。
また、2026年10月から提供開始するクラウドサービス「AIデータセンター GPUクラウド」では、「AIの力を、加速する基盤。」というメッセージとともに、AIモデル開発、AI推論サービス、データ処理、AIサービスの実装・運用など、幅広い用途に対応するGPUクラウドサービスとして紹介されていました。中期経営計画で示されたAI計算基盤やAIデータセンターの取り組みが、展示を通じて具体的に示された形です。
フィジカルAIで、ロボットが高度な判断を伴う作業へ

AIがデジタル空間にとどまらず、現実世界における柔軟で複雑な作業を支援するフィジカルAI。会場では、安川電機とともに取り組むフィジカルAIのデモンストレーションも行われました。
ソフトバンクと安川電機は、NVIDIAの協力の下、ソフトバンクが開発を進める「AIデータセンター GPUクラウド」をフィジカルAIの開発基盤として活用し、安川電機が開発する柔軟物体ハンドリングシステムの実証を行いました。ロボットの動作データ収集からAIの学習・評価、実機への適用までの開発工程を効率化することで、フィジカルAIの導入を迅速かつ容易に行うことができます。
会場でのデモンストレーションはこの実証を再現したもので、ロボットがワイヤーハーネスのように形状や配置が変化する柔軟な物体を扱うユースケースを想定しています。従来のロボット制御では、対象物の形状や配置があらかじめ決まっていることを前提とするため、ひもや布、袋などの柔軟な物体を安定して扱うことは難しい領域の一つとされてきました。
デモンストレーションでは、ロボットが視覚情報を基にワイヤーハーネスの状態をリアルタイムに認識し、AIが状態に応じてロボットに指示を出すことで、柔軟物体のハンドリングを安定して行える様子が紹介されました。
AI時代の安定した電力供給を支える次世代電力インフラ

AIの活用が広がるにつれ、AIデータセンターやGPUクラウドを支える電力インフラの重要性も高まっています。会場では、革新型バッテリーセルと蓄電システムに関する展示も行われました。
ソフトバンクは2026年5月、AI時代を支える次世代電力インフラの構築に向けて、ギガワット時規模の国産バッテリー事業を開始すると発表しました。プレスリリースでは、革新型バッテリーセルと先進技術を搭載した蓄電システムの開発から製造まで、国内において一気通貫で推進する方針が示されています。
展示パネルでは、革新型バッテリーセルが備える「高い安全性と優れた蓄電性能」について紹介されていました。また、蓄電システムについては、再生可能エネルギーの導入拡大や電力需給の変動性の高まりに伴い、電力の安定供給を支える重要なインフラとして位置づけていました。
AIデータセンター、GPUクラウド、フィジカルAIといった技術を社会実装していくためには、安定した電力供給とエネルギー利用の効率化が欠かせません。次世代電力インフラの展示は、AI社会を支える基盤が計算資源だけではないことを示していました。
HAPSで広がる、次世代の通信基盤

展示会場の入口付近では、成層圏通信プラットフォーム「HAPS」も展示されていました。
HAPSは、成層圏を飛行する無人航空機などを活用し、空から通信ネットワークを提供する次世代の通信基盤です。展示では、ソフトバンクが開発を進めるHAPS機体「Sunglider(サングライダー)と今夏試験サービスを予定しているHAPS機体「Sceye(スカイ)」の模型や関連映像などが紹介され、地上のモバイルネットワークや衛星通信などと組み合わせた通信ネットワークの構想が示されていました。
AI社会の実装を支える上で、計算基盤や電力インフラとともに、通信基盤の進化も欠かせない要素であることを示す展示となっていました。
法人向けブースでは、AIを実務で活用できるソリューションも紹介

先端技術の展示に加え、法人向けブースでは、企業の業務課題に応えるさまざまなソリューションが紹介されました。
展示会場の中央には「AXゾーン」が設けられ、シンボリックな大型LEDの下に、ソフトバンクが企業向けに提供するAXソリューションを集約。来場者が実際の活用イメージを持てるよう、デモンストレーションを中心とした展示が行われました。
会場では、「マルチLEOソリューション」「AIガバナンス策定支援・AI環境向けセキュリティ対策」「生成AIの定着化支援」の三つをテーマに展示を実施。低軌道衛星を活用した「Starlink Business」や「Eutelsat OneWeb」などの通信サービスをはじめ、企業が安心してAIを活用するためのガバナンスやセキュリティ対策、生成AIを一部の先進的な利用者だけでなく、組織全体に定着させるための支援内容などが紹介されました。
各ブースでは、担当者がデモを交えながらサービスを説明し、企業の現場でAIや通信技術をどのように活用できるのかについて、来場者と活発に意見を交わしていました。
こうした法人向けブースからも、AIを単なる技術トレンドとして捉えるのではなく、通信やセキュリティ、業務変革と結び付けながら、企業の現場に実装していこうとするSoftBank World 2026の方向性がうかがえました。
AI社会の実装を支える“基盤”を見せた展示に
SoftBank World 2026の展示会場では、最新技術から法人向けソリューションまで、さまざまな展示が行われました。
最新技術展示では、AIデータセンター、GPUクラウド、フィジカルAI、次世代電力インフラ、HAPSなど、AIを社会に実装するために必要な基盤技術が紹介されました。一方、法人向けブースでは、企業の業務変革やAI活用を支えるサービスが紹介され、来場者と担当者の間で活発なコミュニケーションが生まれていました。
AIの活用が広がる中で重要になるのは、アプリケーションやサービスだけではありません。その裏側には、計算基盤、電力、通信、ロボティクスといったさまざまな技術が必要です。そして、それらの技術を企業の現場で活用するためには、通信、セキュリティ、業務支援などのソリューションも欠かせません。
「AX for Japan」をテーマに掲げたSoftBank World 2026。会場では、AI社会を支えるインフラと、AIを業務に落とし込むソリューションの両面から、ソフトバンクが描く次世代社会の姿が示されていました。
(掲載日:2026年8月3日)
文:ソフトバンクニュース編集部
SoftBank World 2026 公式サイト

SoftBank World 2026の講演は、一部を除き、
2026年8月31日(月)まで公式サイトからオンデマンド視聴可能です。




