
2026年7月、東京都江戸川区で東京都・江戸川区合同総合防災訓練が実施され、ソフトバンクはドローンによる物資輸送の訓練を行いました。東京都とソフトバンクは、2022年に締結した協定のもと、災害時に孤立した集落や家屋に物資輸送をするためのドローン活用を進めています。大規模風水害により河川が氾濫し取り残された人に対し、空からどのように支援を行うのか。訓練の様子をレポートします。

話を聞いた人
ソフトバンク株式会社 法務・コーポレートガバナンス本部 BCP推進部
小森 國隆(こもり・くにたか)
国・行政機関・全国の自治体からの災害に関するあらゆる要請や相談に対して、社内の関係部署につなぐ窓口・調整役を担う。

ソフトバンク株式会社 プロダクトR&D本部 事業企画推進部
牧志 洸(まきし・こう)
訓練におけるデモンストレーションの企画・進行管理、関係各所との調整を担当。
人が近づけない場所へ、ドローンで救援物資を届ける

今回行われたのは、数百メートル先の荒川上に浮かぶ台船を「浸水により孤立した住民が救助を待つ場所」に見立て、ドローンを飛ばして物資を届けるという訓練です。人が歩いて近づくことが困難な状況で、空から安全に物資を届けられるかを確認することが、訓練の大きな目的です。
訓練では役割の異なる2機のドローンを飛行させます。1機目のドローンでは、安全に物資の輸送をできることを確認。その後、耐風性能や防水性能を備えた2機目のドローンが物資を積んで台船へ向かいます。

奥が周辺を確認するドローン、手前が物資輸送を行うドローン
訓練が始まると、まずは1機目のドローンのプロペラが回りはじめ、地面からふわりと浮き上がり、機体はゆっくりと高度を上げていきます。関係者や来場者の視線が空へと向けられる中、ドローンは荒川の上空へ向かって進んでいきました。

このドローンにはスピーカーが搭載されており、「現在、荒川上の台船に向けて飛行しています」とアナウンスを流しながら飛行。目的地へ向かう機体の姿はみるみる小さくなり、あっという間に荒川の上空へ到達しました。
「1台目のドローンでは着陸周辺の状況を確認するだけでなく、『災害対応のために飛行しています』『安全確認をしています』『これから物資を輸送します』といったアナウンスも行います。近辺の方々に目的を周知して安心していただくほか、ドローンによる二次、三次災害を防ぐ役割があります」
リアルタイムに映像を確認しながら、台船へ正確に着陸
1台目のドローンが状況確認とアナウンスを終えると、Uターンをして発着地点に戻ってきました。続いて準備されたのは、物資輸送用のドローン。機体の下に物資を取り付け、今度は実際に台船への着陸を目指します。
「物資輸送を行うドローンは、最大5kgまでの荷物を積むことができます。約5kmほど離れたところまで物資を届けることができます」
物資輸送ドローンは、数百メートル先の台船に向かって進み、目的地の上空に。ドローンから送られてくる映像をモニターでリアルタイムに確認しながら、慎重に高度を下げていきます。

ドローンから送られてくる映像
周囲の視線が一点に集まる中、機体は台船の上空で位置を合わせ、ゆっくりと降下し台船上に正確に着陸。人が近づきにくい場所へ、空から救援物資を届ける。災害時に想定される一連の動きが、訓練の中で実際の飛行として示されました。

台船へ着陸した白いドローン
「孤立した人に物資を届けることは、救助隊が到着するまで命をつなぐ支援になります。災害時に届ける物資としては、食料品や医薬品に加え、モバイルバッテリーなどを主に想定しています。また、通信環境が失われた地域では、ドローンで衛星アンテナなどを届けることで、孤立した住民が家族や関係機関と連絡を取るための手段にもなります」
自治体や警察、消防などと「顔の見える関係」を構築
今回の訓練は、東京都と江戸川区が合同で行う大規模風水害を想定した総合防災訓練となります。江戸川区は荒川や江戸川に囲まれ、土地の多くが海面より低いことから、大規模な洪水や高潮が発生すると、広い範囲が長期間にわたって浸水するおそれがあります。こうした災害に備え、警察、消防、自衛隊、医療機関など約70の関係機関が参加し、連携体制や役割分担を確認しました。
江戸川区平井運動公園の会場には、倒壊家屋や浸水家屋、がれきなど、災害時に想定される複数の状況が再現。参加機関は、首都直下地震の復旧途中に大規模な風水害が発生する複合災害を想定し、救助活動や物資輸送に加え、現場での情報共有や指揮命令の流れを実践的に検証しました。


「災害発生時には、自治体や警察、消防といった防災関係機関などとの緊密な連携が不可欠となります。こうした共同訓練を通じて、ソフトバンクの技術や支援内容をあらかじめ関係各所に知っていただき、関係機関と『顔の見える関係』を築いておくことで、実際の災害時における円滑な連携体制の構築につながります」
災害用伝言板や避難所支援を地域住民に紹介
ソフトバンクは訓練への参加に加え、地域住民の防災力を高めるため、会場内のブースエリアで災害時の通信支援に関する取り組みも紹介しました。
災害時に家族や知人の安否を確認できる「災害用伝言板」を、来場者が実際の画面を見ながら体験できるコーナーを設置。また、避難所での端末充電機器、無料Wi-Fi機器、固定電話の設置など、被災した方々の生活を支える通信支援キットの紹介も行い、多くの地域住民が足を止め、災害時の通信手段について関心を寄せていました。
「平時では、災害用伝言板や避難所での通信支援に触れる機会が多くありません。実際に見て体験していただき、災害時に役立つ通信手段を知るきっかけになればと思います」


こうした取り組みの背景には、社会インフラを支える企業としてのソフトバンクの責務があります。ソフトバンクは災害対策基本法に基づく「指定公共機関」として、災害時の影響を最小限に抑える役割を担っており、全国各地の行政・自治体が主催する防災訓練にも積極的に協力。年間で約50会場の訓練に参加し、平時から地域の防災力向上と有事に備えた支援体制づくりに取り組んでいます。
「通信事業者としての最大の使命は、通信をつなぎ続けることです。一方で、社会インフラを担う指定公共機関として、地域の防災・減災に直接貢献することも重要な責務だと考えています。平時には災害用伝言板の操作体験やスマホ防災教室などを通じて地域の防災力を高め、有事には避難所での無料Wi-Fiや充電機器の提供、通信各社と連携した支援に取り組んでいます。こうした取り組みをさらに充実させるため、今後も各自治体との連携を深め、ソフトバンクが持つ技術やグループの力を集結して、災害に強い安全・安心な地域づくりに貢献していきたいです」
(掲載日:2026年8月6日)
文:ソフトバンクニュース編集部






