
ソフトバンクでは、幅広いユーザーに向けた端末やアプリなど、さまざまなプロダクトやサービスを提供しています。その企画・開発を担うプロダクト本部では、障がいのある社員を含むさまざまなバックグラウンドを持つメンバーがそれぞれの視点を生かしながらサービスづくりに携わっています。
部長として子ども向けサービスの企画・開発に携わる社員に、障がいのあるメンバーとともに働く中で得た気付きをはじめ、組織の考え方や仕事の進め方の変化について話を聞きました。
目次

話を聞いた人
ソフトバンク株式会社 プロダクト本部 プロダクトマーケティング1部 部長
榎本 可奈(えのもと・かな)
子ども向けのスマートフォンやアプリなどの企画・開発をはじめ、関連するサービスの推進などに携わる。
固定観念を見直すことで生まれた、サービスづくりの視点と仕事の進め方の変化

アプリやサービス開発を行う上で、実際に利用するユーザーからの意見は非常に重要とされています。しかし、ユーザーの興味関心や困りごとは千差万別。さまざまなユーザーの目線に合わせたプロダクト開発を進めるためにどんなことに取り組んでいるのでしょうか。
榎本さんのチームでは、どのようなアプリやサービスの企画・開発を行っていますか?
プロダクト本部では、「キッズフォン」などの子ども向けの端末や関連サービス、「うごくま」といったシニア向けのサービスなど幅広いユーザーに向けたプロダクト企画・開発を行っています。その中で、私のチームでは子ども向けのサービスを扱っており、端末だけでなくお子さんが安全にインターネットを利用するための「あんしんフィルター」や、発達障がいのあるお子さんの行動をサポートする「アシストガイド」の企画・開発にも取り組んでいます。
子ども向けのサービスづくりに取り組んでいるのですね。さまざまなユーザーの視点で企画・開発や施策などを検討するために、行っていることを教えてください。
サービスを利用しているお客さまの声をしっかり聞くことを重視していて、保護者の方を通じたユーザーアンケートやインタビューなどの定量・定性調査を行っています。アプリやサービスのどんな部分に課題があるのか、なぜ困っているのか、そしてどうすればその課題を解決できるのかを、お客さまとの対話を通して答えを見出していくというプロセスを大事にして日々サービスづくりに取り組んでいます。
また、以前は新しい企画やプロダクト開発に着手するとき「きっとこうだろう」とか、「こうなるはずだ」といった固定観念みたいなものがあったり、多数決で物事を決めてしまうこともありました。障がいのあるメンバーと働くようになってから、「自分が当たり前に感じていることが人によっては当たり前でない」ということを改めて認識し、「どうすればより多くのお客さまの使いやすさにつながるのか」を念頭に置いたサービスづくりに取り組めるようになりました。

例えば、聴覚障がいのあるメンバーとのミーティングでは、話すスピードを確認しながら進めたり、必要に応じて文字起こしツールを使ったりと、今まで当たり前だと思ってきた仕事の進め方や働き方が変わってきます。それはサービスづくりも同じで、人それぞれ違う困りごとの解決策を対話を通して考えるということが意識だけでなく行動としても浸透してきたと感じています。
一人一人の異なる視点が、社会課題解決への糸口に
障がいのあるメンバーと働くようになったきっかけや、それ以前との違いなどを聞いてみました。
ソフトバンクとしては以前から障がい者採用を行っていますが、この部署で新たにメンバーを迎え入れることになったきっかけは何だったのでしょうか?
部署の立ち上げ時に前統括部長から「社会課題の解決に向けた取り組みを全社で進めていく中で、いろいろな視点で課題を捉え、解決につながるサービスやプロダクトを生み出すため、さまざまなバックグラウンドの人がいる組織を目指すべき」という考えが示されました。その考えを背景に、私たちの部署でも2022年から積極的に障がいのあるメンバーの受け入れを始めました。
現在は、聴覚障がいをはじめ上肢障がい・下肢障がい、内部疾患を持つメンバーが働いていて、本部全体の20%を占めるなど、ソフトバンク社内でも障がいのある社員の比率が最も高い組織になっています※。障がいに限らず、性別や年齢も含めて、多様なメンバーでいろいろな意見を交わしながら社会課題の解決に向けてサービスづくりを進めていこうという方針です。
※2026年8月現在
障がいのあるメンバーの配属によって、サービス企画の面ではどのような変化や成果がありますか?
成果としてはまだこれからという段階ですが、企画の視野は広がってきたと感じています。これまでにはなかった視点から企画が出てくるようになりました。日常生活の中で困りごとを抱える人の課題解決につながる商品やサービスを生み出したいという思いから、幅広い企画が出てくるようになっています。
また、成果とは少し違うかもしれませんが、全社で定期的に開催されている「生成AI活用コンテスト」に、障がいのあるメンバーが参加するグループが企画を提案して上位に入賞しました。多様性のあるチームで働く中で身についた、幅広い視点でアイデアを考える力がこのような結果につながったと考えています。コンテストに出場した入社5年目の若手メンバーが、この8月から事業化を目指してプロジェクト推進を始めています。

事業化を推進するメンバーとのミーティング
先回りして案じるより、率直に伝え合う。必要な配慮を話し合える関係が、働きやすさにつながる

より多くの視点を生かしたサービスづくりのため、体制変更を行うことになった榎本さん。しかし、実際の受け入れやチーム運営には不安があったといいます。チーム運営やマネジメントで意識していることをうかがいました。
一緒に働く前に不安だったことや、実際に働いてみて印象が変わったことを教えてください。
実は、私自身これまで障がいのある方と一緒に働いたことがなくて、「どうやってコミュニケーションを取るといいだろうか」「仕事をお願いするときに、どんな配慮があればいいだろうか」など、最初は分からないことが多くありました。
でも、いざやってみると、本人たちもできること・できないことや要望などをしっかり伝えてくれるので、必要以上に先回りして考えなくてもいいんだなと実感しています。今ではもう一緒に働くことが当たり前というか、障がいのことを意識することなくチーム運営ができています。人事とも密に連携して、配属にあたっての情報共有や必要な配慮について都度相談するなど、継続的にフォローしてもらっています。
メンバー同士でも、普段から「話すスピード大丈夫だった?」とか、「必要なことはある?」と確認をとったり、それに対して「この会議はツールを使ってしっかり文字起こしをお願いしたい」「右側から話しかけてほしい」など、率直に言いたいことを言えたり自己開示できるベースが育っているのではないかと思います。
お互いを尊重しあったコミュニケーションですね。では、マネジメントで意識していることはありますか?
いろいろなバックグラウンドのメンバーが働くチームなので、ルールづくりや情報伝達の観点などでの公平性、また、障がいの有無はもちろん性別や年齢などの属性ではなく、それぞれが持つ強みを生かした業務の割り振りができるように意識しています。
特に他の部署から異動されてくるメンバーに対しては、さまざまな視点でサービスづくりをするために多様なメンバーとともに働く体制をとっていることや、障がいの有無にかかわらず皆が働きやすい環境を作っていることをしっかり伝えて理解していただくようにしています。
障がいのあるメンバーからは、どのような声があがっていますか?
サポートに関するところでは、コミュニケーションのとり方やパソコンの操作、出社時間、通勤時に大変なことは何かといった点を一緒に考えてくれるのでとても助かっているという声はありますね。他にも、「新しい業務サポート用のツールを試してみたい」といった希望をもらうこともあります。
障がいのないメンバーからも、「こんなツールがあった方がコミュニケーションを取りやすいんじゃないか」と提案を受けてトライするなど、どうすればより成果を上げながら一緒に働けるかという観点で、積極的な声かけや相談が生まれています。
また障がいのあるメンバー自身によるDE&Iの取り組みも活発で、先日は聴覚障がいの疑似体験や座談会を自分たちで企画して開催していました。実際に、「こんなときはどう対応しているの?」とか、「話しかけるとき、具体的に意識してほしいことは?」「業務中、特に聞き取りづらいのはどんな状況のとき?」など、かなり実務に即したいろいろな質問が上がっていましたし、さらに相互理解を深める機会になったと思います。

聴覚障がいの疑似体験の様子
今後の目標や取り組んでいきたいことを教えてください。
障がい者・健常者関係なく誰でも使いやすいサービスづくりに取り組んでいきたいです。これまでにも、障がいのあるメンバーが「自分と同じような立場の人を助けたい」という強い思いでいろいろなアプリやサービスの企画を提案してくれました。しかし、プロダクト化にはビジネスとして成立するかというシビアな判断が伴います。どうしても断念せざるを得なかったプロジェクトがいくつもあり、悔しい思いをしてきたと思います。
こうしたメンバーの熱意や思いを大切にしながら、より多くの人が使いやすいサービスとは何かをしっかりと追求していきたいですね。
ありがとうございました。
ソフトバンクでは、「配慮はするが、区別はしない」のポリシーのもと、障がいの有無にかかわらず同じ業務に従事しています。必要なサポートをしながらともに働くことで、より多くの視点に立ったサービスづくりなど、新たな価値創出に向けた取り組みを進めています。
ソフトバンクの取り組みはこちらでもご覧いただけます
ソフトバンクの障がい者採用

障がいのある方がいきいきと活躍できる環境と機会、思い描くキャリアビジョンを実現するための支援、そして一人一人の障がいに配慮したサポート体制を整備。障がいの有無に限らず、「情報革命で人々を幸せに」の経営理念のもと、新しい未来へ向けて社会に貢献できる人材を幅広く募集しています。
(掲載日:2026年8月14日)
文:ソフトバンクニュース編集部





