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千年を超える清水寺の佇まいをそのままに。歴史ある景観を守りながら「清水の舞台」に通信を届けるネットワーク対策

千年を超える清水寺の佇まいをそのままに。歴史ある景観を守りながら「清水の舞台」に通信を届けるネットワーク対策

修学旅行や京都観光の定番スポットとして、国内外から絶え間なく人が訪れる清水寺。四季折々の絶景を前に、写真や動画をSNSでシェアしたり、周辺をマップで調べたりと、観光中もスマートフォンでの通信は欠かせません。

一方で、山あいに位置する地形や歴史的建造物ならではの構造、景観への配慮といった制約の中で、安定した電波を届けることは決して容易ではありません。

ソフトバンクは清水寺周辺エリアに新たな基地局を整備し、2026年 初春に電波の発射を開始しました。文化財としての価値を守りながら、どのように快適な通信を実現したのか、担当者に話を聞きました。

畔柳 響兵(くろやなぎ・きょうへい)

ソフトバンク株式会社 エリア建設本部 関西ネットワーク技術部

畔柳 響兵(くろやなぎ・きょうへい)

伊藤 真一(いとう・しんいち)

ソフトバンク株式会社 エリア建設本部 関西ネットワーク技術部

伊藤 真一(いとう・しんいち)

多くの観光客が訪れる清水寺。高まる通信需要への対応

「京都といえば清水寺」と言えるほど、誰もが知る定番の観光名所。境内や周辺エリアは時間帯や季節を問わず、連日多くの観光客でにぎわっています。

訪れる人々は景色を撮影するだけでなく、SNSへの投稿や動画の共有、地図・翻訳アプリの利用など、通信が「当たり前につながること」が求められています。

しかし、その当たり前を実現することが、清水寺という特別な環境では大きな課題でした。

国内外から多くの方が集まる清水寺ですが、具体的にはどのような通信上の課題があったのでしょうか?

畔柳 「境内や周辺エリアでは非常に多くの通信トラフィックが発生しています。写真や動画の投稿、ライブ配信、地図アプリや翻訳アプリの利用など、観光中に通信を利用するシーンも増えています。

また、地形的な難しさもありました。一般的に基地局は高い場所から周辺に向けて電波を届けることで効率よくエリアを形成します。しかし、高台に位置する清水寺は、周辺の低い場所にある基地局から境内まで安定して電波を届けることが難しい環境でした。さらに、清水寺へ続く清水坂周辺も観光地なので新たな基地局を設置できる場所が限られていました。

そのため、既存の基地局だけでは十分な品質を確保することが難しく、特に清水の舞台周辺では通信速度が低下しやすい状況となっていました。

ソフトバンクとしても長年通信環境の改善を検討していましたが、歴史的な景観への配慮や設置場所の確保といった課題もあり、対策が難しいエリアでした」

観光客であふれる清水寺エリア

観光客であふれる清水寺エリア

地形の壁だけでなく、設置場所の確保も大きなハードルだったのですね。

畔柳 「京都市には景観条例があり、清水寺周辺は風致地区や美観地区など、特に景観に対する基準が厳しいエリアに位置しており、景観に配慮した設置が求められています。中でも清水寺周辺は特に厳しく、慎重に確認される地域です。

長年にわたって清水寺エリアで基地局の設置を検討してきましたが、設置場所の確保は容易ではありませんでした。さまざまな施設管理者の方にご相談しても、設置スペースが確保できなかったり、景観面の課題から実現に至らなかったりと、対策が難しい状況が続いていました。

そうした中で今回、多くの観光客が訪れる場所だからこそ、通信環境の整備が必要であることをご理解いただき、清水寺側にもご協力いただくことができました。設備のデザインや設置イメージについても事前に丁寧に共有しながら進めた結果、「この形であれば景観に配慮できる」と評価いただき、京都市と清水寺の双方から理解を得た上で整備を実現することができました」

歴史ある景観を守りながら実現した基地局整備

ソフトバンクは清水寺周辺に新たな基地局を整備し、2026年 初春に電波の発射を開始しました。

今回、どのような対策を行ったのでしょうか?

伊藤 「清水寺の敷地内に基地局を1カ所設置しました。清水の舞台を中心に、周囲約200〜300メートルの範囲をカバーしています。

もともとは五条東山付近の基地局が清水の舞台周辺をカバーしていました。基地局自体は1キロメートル程度電波を飛ばせるものではありますが、清水寺までの間には観光地が多く、人も多く集まるため、既存基地局の負荷が高く、圏外ではないものの通信速度が出にくい状態でした。

今回、新たに基地局を設置したことで、清水寺周辺の観光客の通信を新設基地局で分散できるようになり、これまで清水寺のエリアをカバーしていた周辺の既存基地局の負荷軽減にもつながっています」

多くの観光客が集まる京都の人気スポットですが、工事を進める上ではどのような配慮や工夫をされたのでしょうか?

畔柳 「観光客が比較的少ない2月を選び、鋼管柱の設置作業などを夜間に実施しました。工事車両の搬入経路や作業時間帯についても慎重に検討し、観光客の方への影響をできる限り抑えながら工事を進めました。

また、設備面でも景観への配慮を徹底しました。基地局設備は全て景観と同じ色で塗装し、無線機にはカバーを設けることで、外から見てもできるだけ目立たないよう工夫しています。さらに、従来よりもスリムに設置できる構造や小型化した設備を採用するなど、社内で検討を重ねながら設計を進めました。

その結果、清水の舞台から見てもほとんど目立たず周囲になじみながら、舞台周辺をしっかりカバーできる基地局を整備することができました。歴史的な景観と通信品質の両立を実現できたのではないかと考えています」

電波の発射が開始された後、通信環境はどのように変化しましたか?

畔柳 「特に清水の舞台の上で、高速な通信速度が確認できました。速度測定では最高品質レベルの通信環境を構築できました。体感としても、主要都市部で通信するのと変わらないくらい快適に使える環境になったのではないかと思います」

都市部の中心街と比べても遜色のない非常に快適な数値ですね。他の場所でのネットワーク対策と比べても難易度が高いのでしょうか?

畔柳 「かなり高かったですね。清水寺は歴史的に重要な場所であり、景観への配慮が求められることから、長年にわたって対策が難しかったエリアでした。高さや景観に関する制約がある中で、関係者の皆さまと調整を重ねながら設置場所を検討していくことが、特に難しかったです。

さまざまな条件が重なる中で、清水寺周辺に新たな基地局を整備できたことは非常に大きな成果だったと感じています」

長年の課題をクリアし、通信環境の大幅な改善を実現されたのですね。観光地としての価値向上には、どのように貢献できたと感じているか教えてください。

伊藤 「京都はインバウンドの方も非常に多い状況です。品質の良い快適な電波を提供することで、SNSへのアップロードやライブ配信、地図・翻訳アプリの利用など、スマホを使いながらの観光が快適になったのではないでしょうか。そういった意味で、観光地としての価値向上にも貢献できたのではないかと考えています」

畔柳 「このエリアは本当に対策が難しく、さまざまな設置上の制約がありました。もともと電波が入りづらかった場所を改善できたことは、エンジニアとして非常にやりがいを感じています。

現在、清水の舞台周辺ではソフトバンクユーザーの皆さまが快適に使える状態になっていると思います。こうした場所に基地局を作り、快適にスマホを使えるようになることが、この仕事をしていて一番うれしいです」

ソフトバンクのさまざまなネットワーク対策

(掲載日:2026年8月24日)
文:ソフトバンクニュース編集部