2024年3月期 第1四半期
決算説明会 主な質疑応答

日時 2023年8月4日(金)午後4時~5時15分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • コンシューマ事業の進捗が好調な要因は?

    新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限が解除され、人流が回復している。その結果、当社の強みである営業活動が好調であり、モバイル契約数をしっかりと増やすことができている。当社では2024年度のモバイル売上の反転を目指しており、その目標に向けて順調に推移している。

  • 端末の出荷数が2022年度Q1と比較して減っている要因は?

    6万台程度減っているが、大きな減少ではない。開示している端末出荷台数の定義は、コンシューマ事業とエンタープライズ事業における端末出荷台数の合算。コンシューマ事業では顧客獲得が昨年に引き続き順調であるため微減に留まっており、エンタープライズ事業での減少は需給のバランスもあり、一時的なもの。

  • 競合他社が相次いで新しい料金プランを提供し始めているが影響は?

    競争環境が大きく変わるような影響はない。純増も順調に推移している。

  • 楽天モバイル(株)の「最強プラン」の影響は?

    競争環境が大きく変わるような影響はない。サービス名をつけるのは企業の自由だが、お客さまに誤解を与えるようなサービス名であれば問題となりかねない。総務省とも適宜意見交換していく。

  • 転入先キャリアだけで乗り換え手続きが完結できる「番号ポータビリティのワンストップ方式」が導入されたが影響は?

    大きな影響はない。

  • 楽天モバイル(株)が、「楽天カード」のユーザーを対象に、モバイルデータ回線を契約する際の本人確認手続きの過程などを短縮できる「ワンクリックお申し込み」サービスを開始したが、どのように受け止めているか?

    回線契約時の本人確認は犯罪防止の観点から非常に重要であるというのが当社の考え方。音声通話機能がないデータ回線でも、最近ではアプリから受発信することが可能であるので、音声回線と同様の確認を実施すべきだと考えている。総務省に法整備の見直しを働きかけていきたい。

  • PayPay(株)の収益化は想定よりも早いペースなのか?PayPay(株)の上場時期は近づいているという理解でよいのか?

    PayPay(株)は成長と収益化がちょうどいいバランスで進み育ってきたと認識しており、早いか遅いかといえば「順調」の一言。PayPay(株)の上場についての回答は差し控える。

  • 2023年度Q1の営業キャッシュ・フローが前年比で減少しており、投資キャッシュ・フローは前年比で拡大している。目標として掲げている調整後フリー・キャッシュ・フローの水準に届かなくても配当は維持するのか?また、社債型種類株式が発行できた場合、それは調整後フリー・キャッシュ・フローを補う位置付けになるのか?

    調整後フリー・キャッシュ・フローを高水準で創出する方針は変わらない。2023年度の設備投資額は予定通り約3,300億円に減らす方針。
    2023年度Q1の営業キャッシュ・フローが前年比で減少したのは主に法人税支払額の増加によるもの。投資キャッシュ・フローの拡大は2022年度に検収した設備投資の支払いによるもの。
    社債型種類株式で調達する資金は、調整後フリー・キャッシュ・フローとは別財源の投資原資として、成長投資に使いたいと考えている。社債型種類株式の発行は日本で初めての取り組みになるので、今後のためにも良い条件で発行できるよう全力で取り組んでいく。

  • プラチナバンドである700MHz帯(3MHz幅)の割り当てに関する開設指針案が公表され、プラチナバンドを保有していない事業者に有利だと言われている。ソフトバンク(株)の申請意向は?

    申請するか否かは検討中。比較審査基準の審査項目と配点を見ると、当社がプラチナバンドを割り当てられる可能性は低いと見ている。プラチナバンドは地方のエリアカバーに適した周波数帯。電波を有効利用する通信キャリアの責務という観点から、獲得する通信キャリアにはしっかりと設備投資をしてほしい。

  • 携帯端末を回線契約とセットで販売する場合、携帯端末の値引きの上限が一律に制限されている現状をどう見ているか?

    携帯端末の転売抑止という観点から過剰な値引きへの規制は必要だが、5G端末の普及が進んでいない現状に課題を感じている。携帯回線の契約者以外に携帯端末を販売する場合も含めて、携帯端末の値引き上限を4万円(税抜)に変更するという案も示されているが、これは妥当な水準であると考えている。

  • 政府が、保有するNTT株を長期で売却することを検討しているがどのように受け止めているか?

    NTTの再編に続いて、NTTの完全民営化の話が矢継ぎ早に出てきている。まずは今後の議論を見守りたい。公正競争という観点でNTTの在り方がこれまで整理されてきた。なし崩し的にNTTの規制だけが緩和されることにならないように、高い関心を持って議論を注視していきたい。

  • 生成AIの法人向けサービスの提供時期はいつか?

    企業や自治体のお客さまがよりスムーズに生成AIの導入を実現できるよう、当社では2023年5月から「Azure OpenAI Service スターターパッケージ」を提供している。米OpenAIが開発した大規模言語モデル「GPT-4」を組み込んだ「Microsoft 365 Copilot」の提供は、準備が整い次第開始したい。当社独自の国産生成AIサービスについては、計算基盤の学習期間を2024年中と想定しており、学習が終わり次第、提供する見込み。

  • 米半導体大手NVIDIAと、生成AIと5G/6Gに向けた次世代プラットフォームの構築で協業しているが、どのような意図なのか?

    協業は主に「AI-RAN」に関するもの。米NVIDIAの最先端チップを携帯電話基地局に導入し、「AI-RAN」(基地局にAIを搭載したモバイルネットワーク)を実現する。この最先端チップのメモリーは、5G/6Gの通信のためだけに用いるのではなく、空いた部分で生成AIの処理のためにもリソースを動的に用いることができる。構築に向けてしっかりと準備していきたい。

  • ソフトバンク(株)は社会インフラを担い、サービスはLINEやヤフーが担うというグループ体制と理解してよいのか?

    大枠としてはそのような整理だが、インフラに徹するつもりはない。ソフトバンク(株)はデジタル化社会を支える社会インフラになり、そこにグループ会社のLINEやヤフーのみならず、その他の子会社、コンシューマ事業などの各事業で生まれる新しいサービスが提供される形にしていきたい。

  • ヤフー(株)の検索エンジンの切り替えについてコメントしてほしい。

    現時点で決定した事実はないと聞いている。

  • 以前から「OneWeb」と連携し低軌道衛星通信サービスの提供を目指してきた思うが、なぜ衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business(スターリンクビジネス)」の取り扱いを始めるのか?

    当社としては、お客さまにとって良いサービスは前向きに取り入れる方針。
    それぞれのサービスは異なる位置付けとなる見込み。「Starlink Business」は、低価格で多くのお客さまに利用していただくベストエフォート型のサービスとして提供。「OneWeb」は帯域保障付きのサービスとして提供することを想定。衛星ブロードバンドインターネットサービスのようなNTNは、6Gの重要な構成要素となるため重要視している。

    [注]
    1. NTN:Non-Terrestrial Network(非地上系ネットワーク)の略。宇宙空間や成層圏から通信ネットワークを提供すること。