ハイアールが変える、クラウドを活用した未来のスマート家電
2022年2月22日掲載
中国の家電メーカー各社は、現在IoTを使ったスマート家電をリリースしています。中国国内外で一番知られているのはシャオミでしょう。
シャオミは真っ先にIoT家電に舵をきり、シャオミブランドを利用して売る代わりに安く仕入れるという「小米模式」で中小様々なメーカーを取り込み、スマートフォンなどで無数の対応家電を設定し動かすことができるようになりました。それを追いかけるようにファーウェイなどの情報機器メーカーや、バイドゥやアリババといったソフトウェアメーカー、それにハイセンスやハイアールといった家電メーカーも、それぞれスマート家電を拡充しています。
IoTを活用したスマート家電対応機種は、防犯カメラ、ライト、カーテン、ロボット掃除機、炊飯器、加湿器、電子レンジ、エアコン、フィットネス機器など多岐にわたります。
さらにスマートフォンやスマートスピーカー、加えて最近ではスマートテレビを活用して、遠隔で起動できるように指定したり、タイマー設定をしたり、ライトであれば明るさを、電子レンジや炊飯器であれば調理設定を変更したり、利用ログを見たりすることができます。
また、家にあるスマート家電をひとつにまとめて、帰宅時にエアコンやライトがつき、日中にはカーテンが開きロボット掃除機が稼働するといったこともできます。あらかじめ自主的に設定した上で、それが正しく動くわけです。
中国各社がスマート家電をリリースする中、ハイアールは前述の基本的なスマート家電ができることに加え、考えて提案してくれる「智家感知決策系統(UhomeOS 3.0)」というスマート家電システムで差別化しています。
ハイアールのスマートホーム(出典:ハイアールWebサイト)
たとえば「小優小優(シャオヨウシャオヨウ)」と同社用のウェイクワード(音声アシスタントを起動するための特別な言葉)で声をかけ、「シャワーを浴びる」と声掛けを行うと、ハイアールの給湯器が季節ごと利用者ごとに異なる適切な給湯温度を提供し、入浴後にリビングの空調温度を積極的に調整して家族の健康をケアするといった調整をしてくれます。
また、季節や天候や標高からエアコンの最適な温度を判断し設定したり、洗濯する際には室内外の物干しの提案や、電動で物干し竿が上下するスマート機器との連携を行ったりします。
また、ユーザーが「〇〇したい」と伝えなくても、アドバイスしてくれるケースも。たとえば冷蔵庫に保存した牛肉の賞味期限が迫っていることを知らせた上で、ローストビーフとポテトのレシピを積極的にすすめてくれたり、寝室のエアコンが室内の空気がよくないことを知らせた上で、空気の入れ替えシステムをオンにするようすすめてくれたりします。また出かける際に「出発します」と話しかけると、「わかりました。給湯器がまだついています、消しますか?」と家の対応家電の状況を確認し反応してくれます。
さらに、家電自身が持ち主が便利な生活を送れるように学習していきます。たとえばユーザーがエアコンを使用すると、エアコンはスイッチを入れた時の時間と温度を記録し、そのデータをソフトウェアに送信して、ユーザーの習慣を継続的に学習し、ユーザーが再びエアコンをつける際には率先して適温に調整してくれるのです。つまり今日の気温が低ければ、「温度を上げますか?」とユーザーに尋ねてくれます。ユーザーの自主的な設定ではなく、機器の稼働状況を認知した上で、最適な提案をしてくれるわけです。
一方、スマート機器が故障した時もクラウドを活用できます。スマート家電が状態を感知し故障だと判断すると、クラウドに故障情報を送り、クラウドに蓄積された各製品の故障情報やアフターサポートのデータから最終的に故障を判断します。各種スマート家電が独立した判断を下せるインテリジェントなクラウドと繋がり、ユーザーの習慣を学習しそれを家電にフィードバックすることで、より快適な家庭内でのスマートライフが実現されます。
2021中国家用電器技術大会で発表する劉建国氏(出典:中国家庭用電化製品研究所)
昨年10月、中国の家電展示会「2021中国家用電器技術大会」では、ハイアール傘下で同社の白物家電などを扱う「Haier Smart Home」の劉建国副総裁が「智家感知決策系統」について次のように語りました。
「ハイアールのスマートホーム屋内分散型インテリジェント意思決定システムは、分散型とインテリジェント意思決定の2つの大きな部分を含むソリューションを提供します。 業界をリードするスマートホームブレインは、インテリジェントな意思決定を実現する中核的な能力であり、屋内全体の規模での分散した意思決定をサポートすることができ、スマートデバイスが受動的な反応から能動的なサービスへと移行することを可能にします」。
また劉氏は「ハイアールは給湯器の温度設定やエアコンの空気洗浄など15年間積み立てた無数のユーザーデータを持っています。ユーザーの行動や習慣をより深く理解し、機能的なニーズを積極的に喚起・提案することで、人々が便利でアクティブ、かつインテリジェントなスマートライフを体験できるようにします」と老舗家電大手の強みをアピールし、パートナー企業を歓迎するとコメントしました。
ハイアールがスマート家電のクラウド活用で中国では先手を打ちましたが、他の家電企業も追随するでしょうし、そうしたスマート家電を導入した新築物件は徐々に増えていくでしょう。クラウドで分析して家電がますます便利な生活を送れる提案をしてくれる日は、そう遠くない未来にやってきそうです。
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