ライブコマースなどで縦型動画を活用! ソフトバンクとFireworkが実現する新時代のユーザー体験
2023年6月15日掲載
ライブコマースなどで近年トレンドとなっている縦型フォーマットの動画は、デジタルマーケティングにおいても企業から注目を集めています。しかし、自社サイトに縦型動画を実際に取り入れ活用できている企業は、まだ多いとはいえないのが現状です。動画マーケティングを取り巻く課題とソリューションについて、Firework カントリーマネージャーの瀧澤氏とソフトバンクの河西氏に話を聞きました。
*本ブログはマーケター向け専門メディア:Markezineからの転載記事です。
縦型動画がトレンドに
MarkeZine編集部(以下、MZ):本日は、動画DXプラットフォーム「Firework(ファイヤーワーク)」のカントリーマネージャー 瀧澤さまと、ソフトバンクでデジタルマーケティング支援をされている河西さまにお話を伺ってまいります。まず、現在の動画マーケティングにおけるトレンドをどのように見ていらっしゃいますか?
瀧澤:私は今米国本社におりますので、日米両方のトレンドをお伝えしたいと思います。まず共通点は、SNSの動画コミュニケーションが当たり前になっていること。多くの方がSNSを使って情報を取得しており、利用時間もどんどん伸びています。
またSNSのフォーマットは大きく変化しています。例えばTwitterから始まったテキストをシェアする形式は、FacebookやInstagramによって写真の投稿へと変わりました。フォーマットの変化にあわせてユーザーのニーズも変化しており、今のトレンドは縦型動画ですね。TikTokに代表される、短いスパンで動画をスワイプしながらどんどん情報を取り入れていく ユーザーが多くなっています。
瀧澤:一方、日米で異なる点はビジネスにおける動画活用への取り組み具合です。米国は、縦型動画へのリソースの投下が非常に高いと感じます。日本は動画を作る社内リソースやノウハウが十分でないことが多いようです。
より多くの情報を伝えることができる動画を、ユーザーがスマートフォンで日々慣れ親しんでいる縦型フォーマットを通じて企業のオウンドメディアや各ブランド・メーカーの自社Webサイトやアプリで活用 することで、より優れた顧客体験を提供できる可能性があると考えています。
MZ:河西さまにお伺いします。近年はデジタルマーケティングで、どのような相談が多いと感じますか?
河西:さまざまな種類の悩みがあるのですが、デジタルマーケティング部門とセールス・販売部門が連携できておらず、デジタルマーケティング上での貢献度合いが可視化できないというご相談があります。例えば、デジタル施策の実店舗への来店効果が不明瞭であったり、実店舗の販売スタッフたちの知見や経験といったノウハウをマーケティング活動に生かせていないなどです。
ほかにも、生活者ニーズの多様化によりこれまでの一方通行の広告表現からコミュニティ形成を通じた顧客体験の創出にシフトしようとしているクライアントから、スタッフと顧客が同じ場でコミュニケーションできるような顧客体験 を創れないかという声もありますね。
「Firework」でユーザーにスムーズな購買体験を提供
MZ: Fireworkのサービスについて教えてください。
瀧澤:Fireworkは縦型ショート動画やライブコマース、動画編集ツールを一気通貫で提供する動画DXプラットフォームです。縦型動画やライブコマース機能を自社Webサイトやアプリにノーコードで実装することが可能で、すべての顧客接点とその体験をアップデートします。
また「FW Studio」という弊社の動画編集ツールを利用することで、動画の編集だけでなく静止画像を組み合わせて動画を制作することが可能です。豊富なテンプレートがあるので、画像や文字を変えるだけで簡単に縦型動画が制作できます。Webサイト上では、動画をスワイプしてそのまま購入や予約ができるため、商品の認知から決済までスムーズな体験 をお客さまに提供できます。
ライブコマース機能では、Fireworkカメラアプリを通じてライブ配信の撮影から管理、配信までを一括で実行 することが可能です。ライブ参加者とのコメントを通じたやりとりなど、インタラクティブなコミュニケーションの中でお客さまにブランドへの理解を深めていただけます。
また SNS同時配信機能(サイマル配信)により、自社WebサイトだけでなくSNS(Instagram・TikTok・YouTube・LINE・Twitter・Facebook)でも同じコンテンツを同時配信 できます。これにより視聴者のリーチを増やすことができます。
リアル店舗の顧客体験をオンラインでも実現
MZ:Fireworkの豊富な機能によって何が実現できるのでしょうか?
瀧澤:私たちは、Fireworkで 店舗とオンラインを相互補完し、相乗効果を生み出すことができる と考えています。店舗では1対1の接客が基本なため、対応できるお客さまの数も限られます。一方で新しい商品との偶然の出会いや、店舗スタッフとの会話の中でロイヤルティが生まれるなどの強みが店舗にはあります。これは、写真と文字だけのWebサイトではなかなか実現できない体験です。
Fireworkを活用し動画やライブ配信を自社Webサイトに展開することで、よりリアルな情報や店舗での購買体験をオンラインでも提供できます。またオンラインで展開する動画アセットをQRやサイネージを通じて店舗で利用することで、お客さまは店舗で動画を通じた詳細な情報を入手できるため、店舗での接客支援にも役立てることができます。
河西:先ほど申し上げた、実店舗の販売スタッフたちの知見や経験といったノウハウをマーケティングに生かしていきたいといった悩みに対し、Fireworkでトップセールスを誇る販売員の方の動画を作成し、自社Webサイトや店舗に流す施策 を行いました。
その結果、販売員の知見や経験といったノウハウをデジタルマーケティングに生かせるだけでなく、売り上げアップにつながるなど、Fireworkでデジタルマーケティングの課題を解消することができました。加えてこういった動画は、ほかの販売員へのスキルトランスファーとしても機能しました。
視聴データと自社データの連携で顧客理解を深める
MZ: Fireworkを活用するメリットについて伺えますか。
瀧澤: 商品の認知から比較検討、購買までスムーズに進んでいただけることです。また欲しい商品を検索して買う “単品買い”にとどまらず、ページを行き来して複数の商品購入 へと簡単に進めます。
さらにライブ配信では、コメントで寄せられる質問に対してスタッフがリアルタイムで回答。これによりユーザーは まるで店舗で店員に相談しているかのような体験 を得ることができます。ライブ配信中に商品をクリックすると、裏側で商品の詳細ページに遷移できます。ライブも引き続き視聴している状態なので、違う商品の紹介やその詳細ページを行ったり来たりすることも可能です。
MZ: Fireworkならではの強みについて教えてください。
瀧澤:自社Webサイト・自社アプリを基軸に考えていること にあります。これまではYouTubeやInstagramなど、それぞれのプラットフォーム上で施策を考えることが多かったと思います。しかしこの考え方の課題は、プラットフォーマーが方針やルールを変えた瞬間にそれまで積み重ねてきたアセットやフォロワーがほぼなくなってしまう可能性があることです。
ですから私たちは、メインに置くべきは自社Webサイトや自社アプリだと考えます。自社アセットを中心に据えることで顧客体験を自ら設計でき、すべてのデータを1stパーティデータとして取得できる メリットもあります。Fireworkを使うと、動画の視聴データと自社データおよびCRMとの連携が可能なので「誰が見たのか」「見た後にどんな行動をしたか」といったデータを確認し、より成果の高いマーケティング施策を実行することが可能です。
ソフトバンクとのシナジーで実現する高度なデータ活用
MZ: 具体的にどのようなデータ活用が行えるのでしょうか?
瀧澤: Google Analyticsのほか、Treasure DataのCDPとの連携により、デジタルと店舗の購買データを統合した分析が可能になります。「最近ライブ配信は視聴したが、店舗での買い物をしていない顧客にクーポンを発行する」「6ヵ月間、同じものしか買っていない顧客に新商品を紹介するライブ配信をする」など、特定のユーザーに対してメッセージを最適なタイミングで届けることができます。
河西: さらにソフトバンクがデータ領域で連携することで、より効果的なマーケティング施策が行えます。ヤフーは8,400万人、LINEは9,400万人(2023年2月時点)の会員がいるなど、ソフトバンクグループは国内最大規模のデータプラットフォームをもっています。ヤフーやLINEもTreasure DataとAPIの連携をしているため、グループリソースを通じたアクションが可能です。
例えば、以下のような形でソフトバンクグループが持つアセットを活用し、施策のPDCAを回していきます。
- ヤフーやLINEで広告を配信し、自社のWebサイトやEC Webサイトにユーザー集客
- 受け皿であるWebサイトやEC WebサイトでFireworkを活用し、集めたユーザーーのエンゲージメントや売り上げを向上
- データをすべてTreasure Dataに集めデータを統合・分析することで、リターゲティングなどの新たな施策に活用
また、ソフトバンクのデータ分析とFireworkのコンテンツ力の掛け合わせにより、強いシナジーを生み出せます。当社がもつヤフーやLINEのユーザーデータなどの分析結果をもとに、Fireworkのコンテンツチームが作成したクリエイティブコンテンツを提案することもできます。
MZ: 具体的にどのような企業がFireworkを導入しているのでしょうか?
瀧澤: アパレルやコスメ、ビューティー、家電、ライフスタイル、通信系までさまざまです。例えばアパレル事業を展開されるアーバンリサーチさまは、Fireworkを活用し公式オンラインショップ上でライブ配信を高頻度で行われています。
配信では、リアル店舗のスタッフが着用感やスタイリング例などを交えて商品を紹介。ターゲット層のお客さまに利用シーンを想起させるテーマでライブ配信を行うことで、共感を高め、購入の促進を図るとともに、エンゲージメント向上にもつなげています。
瀧澤: またワイモバイル様やLINEMO様は、Webサイト内のQ&Aにショート動画を活用されています。言葉では伝わりにくいサービスの特徴やメリット、手続きや設定方法を動画で案内することで、自社サービスの魅力を伝え、利用者の利便性も高めています。
目指すのは、すべての顧客体験のアップデート
MZ: 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
瀧澤: Fireworkが目指すのは、オンライン・オフライン問わず コマース全体を通じてあらゆる顧客接点と顧客体験をアップデート していくことです。近く実現予定の動画版チャットボットによる1対1の接客など、多様なお客さまのニーズを先取りした革新的な機能を今後も継続的に提供してまいります。
コンテンツ面でも、チームの強化を進めるとともにナレッジを生かしながら、動画戦略の立案や内製化の部分までサポートしていきたいと考えています。
河西: ソフトバンクはグループの持つLINE・ヤフー・PayPayといったあらゆる顧客接点とTreasureDataなどのデータ基盤を活用し、Fireworkとの連携を進めることで、顧客体験の創出やデータ活用、コンテンツ作成も含めた包括的なエコシステムの強化 に取り組んでまいります。
加えて冒頭でも触れたように、昨今は価値観(生活者ニーズ)の多様化により従来の一方通行の広告表現だけではユーザーへの訴求が難しくなってきました。今後はメタバースとの掛け合わせなど、当社だけではできないようなアプローチをFireworkとともに挑戦していきたいです。
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