脆弱性管理とは? 脆弱性診断との違いと4つの実行ステップ

2023年6月7日掲載

脆弱性管理とは?

脆弱性対策の新標準として注目が集まっている「脆弱性管理」。年々増加する脆弱性に対して、脆弱性診断だけではなぜダメなのか、その違いと実行ステップを解説します。

目次

脆弱性をついたサイバー攻撃が急増

企業や組織が懸念するべきサイバー攻撃は年々増加し、組織のセキュリティ担当者の悩みの種となっています。特に昨今では脆弱性の発見数が激増しており、脆弱性をついたサイバー攻撃による被害も増加しています。

米国の国立標準技術研究所(NIST)が管理している脆弱性データベースに登録された脆弱性の数は、2021年の20,159件に対して2022年は約25%増加し25,101件となりました。(※)

加えて、脆弱性が発見されてから悪用されるまでの期間が短くなっていることからも脆弱性対策の必要性が高まっています。脆弱性が発見されてからベンダーによる修正パッチが公開されるまでの期間に、攻撃者がその脆弱性を悪用して攻撃することを「ゼロデイ攻撃」と言い、修正パッチが公開されてから組織が修正パッチを適用するまでに脆弱性が悪用される攻撃を「Nデイ攻撃」と言います。脆弱性発見から修正パッチ適用までの期間が短くなればなるほどゼロデイ攻撃やNデイ攻撃を受ける確率は高まるため、組織のセキュリティ担当者は脆弱性情報に敏感にならざるを得ず、疲弊してしまいます。

さらに、脆弱性を起点にしたランサムウェア攻撃などの深刻なサイバー脅威も存在します。これらの攻撃は脆弱性を突いて侵入し、システムやデータを暗号化して解除するための身代金を要求するものです。このような攻撃は企業に深刻な被害をもたらすため、適切な脆弱性対策が必要です。

こうした脆弱性をついた攻撃が急増している中で、年数回の脆弱性診断では脆弱性の発見スピードに追い付かないという課題もあります。一度の診断では、新しい脆弱性が発見されるたびに追加の診断が必要となります。そのため、よりサイクルの速いアクティブな脆弱性対策が必要になってきているのです。

そこで考えるべきは「脆弱性管理」です。

診断だけではない、脆弱性管理とは?

脆弱性管理は、脆弱性診断とは異なります。脆弱性診断では、脆弱性を発見するために組織のシステムやアプリケーション、ネットワークなどを一度に調査し、その時点での資産状況把握や脆弱性の有無を調査します。対して脆弱性管理は、組織の資産状況把握から脆弱性を発見した後、リスク度合にあわせて脆弱性を適切に修正するまでの全体的なライフサイクル管理を指します。脆弱性管理の主な目的は、サイバーセキュリティを維持することです。脆弱性の発見や報告、修正、再評価、および更新を継続的に行うことで、組織内のIT環境が脆弱なまま放置されるリスクを抑えられるのです。

脆弱性管理に必要な4つのステップ

脆弱性管理には、次の4つのステップが必要です。

脆弱性管理サイクル 資産情報管理→脆弱性情報収集→リスク評価→パッチ適用

資産情報の管理

脆弱性管理は、まず組織にどのような資産があるのかを把握するために資産情報管理が必要です。すべてのシステムやアプリケーションに関する情報を収集し、それらのセキュリティ対策状況についての詳細を把握するために行われます。

脆弱性情報収集

脆弱性情報収集は、脆弱性情報を集め、分析するプロセスです。これにはセキュリティニュースや専門家のブログ、セキュリティ関連のウェブサイト、および脆弱性データベースなどから情報を収集することが含まれます。

リスク評価

リスク評価は、脆弱性の重要度を決定するためのプロセスです。現在のように非常に多数の脆弱性が発見され続ける状況において、全ての組織が全ての脆弱性に漏れなく即時対応することは現実的ではありません。脆弱性がどの程度深刻かを決定し、優先順位を付けて対処する必要があります。

パッチ適用

パッチ適用は、脆弱性を修正するためのプロセスです。システムのすべてのアプリケーションやコンポーネントを最新の状態に保つことで、既知の脆弱性を突いた攻撃から組織を守ります。

脆弱性管理を自動化し、よりセキュアなIT環境を

セキュリティ担当者は、日々多くの業務を抱えており、脆弱性管理に多大なリソースを割くことは現実的ではありません。脆弱性管理を自動化することで、費用と時間を節約しつつ脆弱性のリスクを低減することができます。また、自動化によって人的ミスを削減できるほか、従業員はより高度な作業に専念することができるようになります。

脆弱性管理の自動化には、脆弱性管理プラットフォームが最適です。脆弱性管理プラットフォームは、脆弱性情報を集め、分析し、優先順位を付け、適切な修正やパッチの適用までを自動的に行うことが可能です。

脆弱性対策は、都度行う脆弱性診断ではなく定期的かつ継続的な脆弱性管理のアプローチが必要です。企業は、脆弱性管理を重要なセキュリティ戦略の一部として扱い、適切にIT資産が守られる環境を整備していきましょう。

脆弱性管理ソリューション活用事例

脆弱性管理ソリューション「Rapid7 InsightVM」を使った脆弱性管理サイクルの刷新事例をご紹介します。

脆弱性の定期診断と優先順位付けを自動化してセキュリティの「死角」に徹底対策

複雑化を極めた社内システムの正確な資産情報の管理と、膨大なIT資産の脆弱性管理を自動化・一元化したことで、担当者が脆弱性発見後の対応に注力できるようになりました。

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